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J.S.Bach Sonata No.1 Adagio

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映画とヴァイオリン楽曲

映画とヴァイオリン楽曲
 ヴァイオリンのための名曲は数多く、映画のBGMとしてもしばしば使われることがある。ヴァイオリンの繊細な音色が映画のムードの演出に適しているということだろう。ここでは、ヴァイオリンが映画の演出に一役買っている例をピックアップしてご紹介しようと思う。

ときには優雅さ、ときには荘厳さで映画を演出〜バッハ

 まずは教師と教え子の恋を描いた「愛は静けさの中に」(1986年)。この映画では バッハの2重協奏曲 使われており、映画のムードを高めている。バッハのドッペル(2重の意味)と言えば、その1楽章はヴァイオリンを学んでまず最初の目標となる曲である。映画で使用されているのはその2楽章で、非常に優雅な雰囲気漂う楽章だ。
 次にシャルリー・ヴァン・ダム監督の「無伴奏『シャコンヌ』」(1994年)をご紹介しよう。この映画は売れないヴァイオリニスト(リシャール・ベリ)の物語。そのものずばり 無伴奏パルティータ第2番 のシャコンヌが全篇にわたってのテーマ曲となっている。その他 イザイの無伴奏ソナタ も演奏している。この映画の演奏吹き替えは クレーメル が行っている。リシャール・ベリの演奏ぶりについては、さすがに実際弾いているかと見まごうほどではないが、ひと月みっちり弾きマネの練習をしたとのことで、かなりいい線までいっていた。

映画でもキャラが立つ〜パガニーニ

  パガニーニ の楽曲は現代でいうところのへヴィ・メタのようなもので、あまりに技巧的でBGMには向かないのではないかと思われる。しかし、彼自身を題材にした映画となれば話は別である。彼の生きた時代に既に『悪魔に魂を売った男』などという噂がまことしやかに囁かれるほどの濃いキャラクターは、恰好の映画化の題材となる。「魔法の楽弓」(1946年)はそんなパガニーニを描いた映画である。パガニーニに扮するのはスチュアート・グレンジャー。 ラストの演奏会シーンでは ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲 を披露する。ちなみにこの映画の演奏吹き替えは メニューイン が行っている。
 他にもパガニーニを題材にした映画にはクラウス・キンスキー脚本・監督・主演の「パガニーニ」(1989年)がある。冒頭、喝采と罵声の中 カプリース の第5番を演奏する。カプリースはヴァイオリンのありとあらゆる技巧が散りばめられた全24曲からなる無伴奏の楽曲で、第5番は猛烈な分散和音の上昇および音階の下降にソーティエ奏法による速いパッセージが続く曲である。この映画での演奏吹き替えは、パガニーニと同じくイタリア人でデビュー当時『パガニーニの再来』と評された アッカルド が行っている。また、そのクラウス・キンスキーの娘、ナターシャがクララ・シューマンを演じた「哀愁のトロイメライ」(1983年)では、冒頭で クレーメル がパガニーニに扮して出演している。もちろん演奏はクレーメル自身が行っている。

しっとりとした楽想で落ち着いた雰囲気に〜ブラームス

 ブラームスはその不器用だが誠実な性格から、表面的な派手さより内容的に重厚な楽曲を数多く残した。しかしその楽想にはロマン情緒も溢れており、美しい旋律を聴く事ができる。「カミーラ あなたといた夏」(1994年)では、ブリジット・フォンダ扮する作曲家の卵が、ジェシカ・タンディ扮する老ヴァイオリニストが奏でる ブラームスの協奏曲 の2楽章の美しい旋律に誘われてその家に入っていく。この曲の2楽章はブラームスの他の作品の緩楽章の例に漏れず大変美しい旋律で、ソロ・パートの前に一通りのメロディーがオーボエによって演奏される。この曲の初演者 ヨアヒム は、「オーボエがこの美しい旋律で観客の羨望の眼差しを受けている間、ソリストはじっと何もせず待っていなければならないのだ」とぼやいたと言う。さて、映画では二人が親密になった後、連れ立ってコンサートに行くが、そこでの曲目もブラームスの協奏曲である。
 二人の音楽家の友情を描く「メロ」(1986年)では、一方の妻が二人との三角関係の末自殺してしまい、ラストで二人が彼女を思い演奏する曲が ブラームスのソナタ第1番《雨の歌》 である。ちなみに同曲は1896年にブラームスが生涯愛したクララ・シューマンの追悼の催しで演奏された。ピアノを担当したブラームスは悲しみのあまり最後まで演奏できなかったという。

ドラマチックな演出にはうってつけ(?)〜チャイコフスキー

 名演奏家たちが次々と出演する「カーネギー・ホール」(1947年)では、 ハイフェッツがショート・バージョンながら、 チャイコフスキーの協奏曲 の第1楽章を全て演奏する。演奏前にハイフェッツは楽屋で「緊張しない本番などない」と台詞を言う。演奏中、悩みを抱える主人公ノラが、もっともドラマチックな楽想部分で感極まって舞台袖を離れる。演奏後にはそのノラとハイフェッツは言葉を交わす。なかなかの役者ぶりである。
 アメリカのコメディー映画「殺したいほど愛されて」(1984年)でも、ダドリー・ムーア扮する指揮者が妄想する場面で同曲が用いられている。この映画では、その他にもモンティの チャールダーシュ も使用されている。これもまた妄想の場面で。。。
 「絆−きずな−」(1998年)では、役所広司扮する実業家の妹(川井郁子)がコンサートで弾いている曲はやはりチャイコフスキーの協奏曲である。

その他もろもろ。。。

 「家族の肖像」(1974年)では、バート・ランカスター扮するモーツァルト好きの老教授が一人ベッドにつくとき、 モーツァルトの協奏交響曲 のレコードをかける。協奏交響曲はヴィオラとヴァイオリンのための協奏曲だ。古典の時代はヴィオラにスポットライトが当たることは少なかったが、ヴィオラが好きだったというモーツァルトはこの曲でヴァイオリンソロパートと交互に、ヴィオラにまったく同じフレーズを弾かせる。
 フランス人4人の人間模様を描いた「春のソナタ」(1990年)では、タイトルそのものずばり、 ベートーヴェンのソナタ第5番《春》 がテーマ曲となっている。この曲のすがすがしい旋律は全てのヴァイオリンソナタの中でも 最も人気が高いもののひとつだ。
 全篇にわたりラヴェルの音楽に彩られている映画「愛を弾く女」(1992年)ではエマニュエル・ベア−ル扮する女流ヴァイオリニストがラヴェルの ヴァイオリンとチェロのためのソナタ ヴァイオリンソナタ フォーレの名による子守歌 を演奏する。
 ルイ・マル監督「さよなら子供たち」(1987年)では、戦争で疎開している子供たちがチャップリンの映画を見るシーンで、伴奏曲としてサン=サーンスの 序奏とロンド・カプリチオーソ が流れている。これはスペインの大ヴァイオリニスト、 サラサーテ に捧げられた曲で、民族情緒溢れる名曲である。 「ツィゴイネルワイゼン」(1980年)はそのサラサーテが1904年に録音したタイトルと同名曲の謎をテーマにした映画である。
 ノンクラシックだが、スピルバーグ監督のアカデミー作品賞初受賞作「シンドラーのリスト」(1993年)では、全篇にわたる物悲しげなテーマ曲がソロのヴァイオリンにより奏でられる。この演奏を行っているのは、自身もユダヤの血が流れる パールマン である。作曲はスター・ウォーズをはじめとしたハリウッドの大作の音楽監督を数多く務めたジョン・ウィリアムズ。

 以上ご紹介してきたわけだが、これらの映画で用いられた曲はいずれも親しみやすい名曲ばかりである。この記事がヴァイオリンの楽曲を全く知らない、という方のひとつの指針になれば幸いである。また、映画を観た時曲名を知らなかったという方も、楽曲は知っているが映画を知らないという方、両方になるほど、と楽しんで頂ければと思う。

[2001/03/27]

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