ジャン・バティスト・ヴィヨーム / Jean-Baptiste Vuillaume | ヴァイオリン製作者ライブラリ

ヴァイオリン製作の飛躍的発展に寄与したヴァイオリン製作家、実業家。

ヴィヨームは、それまでのバロック・ネックから、より力強い音の出せるモダン・ネックを考案したと言われる。また、ストラディヴァリとグァルネリ・デル・ジェズの最高の名器としての評価を決定づけたのは、ヴィヨームがそれらの真価を明確に見抜いて数多く蒐集・販売を行ったからと言える。そして優秀な職人を多数雇い入れ、これらの名器を忠実に摸した楽器を製作した。その数は3000を超え、鉛筆でシリアルが振られている。これをヴィヨーム・ナンバーと言う。ヴィヨームはまた、フランソワ・トゥルテによって考案されたばかりのモダン・ボウの普及にも大きく寄与し、当時のフランス中の優秀な弓製作者の殆どはヴィヨームに雇われ弓を製作した。

ニコロ・パガニーニとの親交は有名で、パガニーニの愛器グァルネリ・デル・ジェズ「イル・カノーネ」を修理で預かった際に、この完全なコピーを製作してこれを何食わぬ顔でパガニーニに納品し、パガニーニが愛器がすり替わっていることに気づかなかったという逸話もある。ただし、これはさすがにヴィヨームによる創作であろう。しかしパガニーニを含め多くの名演奏家の信頼を得ていたことは疑いようのない事実で、後年もフリッツ・クライスラー、アルテュール・グリュミオー、アイザック・スターンなど、名演奏家の数々により愛用されている。近年ではヒラリー・ハーンの愛器としても有名である。