ナタン・ミルシテイン / Nathan Milstein 掲示板に投稿 [ 英語/日本語| 英字/カナ| 英字/カナ| 英字/カナ| 掲示板 ] 1903年12月31日~1992年12月21日Russia - America 所属音楽学校:サンクトペテルブルク国立音楽院(学生)期間:1916年~1919年 師匠:レオポルト・アウアー / Leopold Auerウジェーヌ・イザイ / Eugène Ysaÿeピョートル・ストルヤルスキー / Pyotr Stolyarsky弟子:エウジェネ・サルブ / Eugène Sarbu古澤巌 / Iwao Furusawaアレグザンダー・ロマヌル / Alexander Romanulディラーナ・ジェンソン / Dylana Jenson木野雅之 / Masayuki Kino ウクライナ・オデッサ生まれ。ピョートル・ストルヤルスキーにヴァイオリンを学ぶ。1916年、11歳でサンクトペテルブルク音楽院に入学しレオポルト・アウアーに師事、1919年に卒業。後にブリュッセルでウジェーヌ・イザイの教えも受けた。 その音楽と音色には独特の気品があり、同門のヤッシャ・ハイフェッツやミッシャ・エルマンに比してアクは少ない。しかしその音楽は決して退屈なものではなく、例えばサン・サーンスの協奏曲や序奏とロンド・カプリチオーソなどは特にこの演奏家の典型的な素晴さが発揮されており、堅固に構築された音楽の中からほとばしる情熱を垣間見せる。こうした演奏スタイルは、フランス・ベルギー(フランコ・ベルギー)楽派の流儀をイザイから継承したことも大きいのかもしれない。 ミルシテインの演奏は音色もフレージングも非常に明瞭であり、イツァーク・パールマンはミルシテインのことを「彼は古今東西最も音が明瞭・透明なヴァイオリニストだ」と評している。バロック時代の楽曲からパガニーニのような難曲まで、そのスタイルは全く同等で、技巧性を強調しないその演奏スタイルが逆にとてつもない演奏技術の裏付けを感じさせる。 その演奏技術を維持するためだったのか、単なる性格だったのかは不明だが、彼が練習の虫だったことは有名で、イヴリー・ギトリスは次のように回想している。「彼は毎日毎晩、来る日も来る日も練習していたよ。私が彼に会いに行った時も練習していた。何十年も弾いているような楽曲を取り出しては『もっと明瞭なフレージングができる指使いを発見したぞ!』と喜んでいる。まるで時計職人のような人だ。演奏はもう完璧と言う他ないね。」 ミルシテインはその人生の最後まで演奏家に徹し、演奏旅行中にロンドンで逝去した。間違いなく20世紀を代表する大ヴァイオリニストのひとりである。 生ではどうだったのでしょう 1957とか1963年の演奏を収めたDVDを楽しんで視聴しています。非常に歯切れの良い音、清潔な音楽性。堂々たるマナーで感心します。画面から見る限り音量を強調するタイプには思われないのですが。生演奏を一度も聴いておらず判断できません。 どなたかミルシテインの生ステージを聴かれた体験をお聞かせいただけるとありがたいです。 2004年7月26日 前田 泉 彼について思うこと 彼の自叙伝みたいな本を買いました。ものすごく知性的で、頭脳の冴えがよく分かる本でした。この本を買うまで、あまり彼の演奏は、自分には合わないなあと思っていましたが、彼の本を読んだ後で、今まで買い込んでいたCDやDVDを改めて鑑賞して、何だか彼のことが、とても好きになりました。ベートーヴェンのソナタで、バルサムのピアノとあわせたCDと、ブラームスの協奏曲のスタインバーグ版、特に3楽章が、とてもうるわしく感じられました。 2008年11月17日 くろちゃん
ウクライナ・オデッサ生まれ。ピョートル・ストルヤルスキーにヴァイオリンを学ぶ。1916年、11歳でサンクトペテルブルク音楽院に入学しレオポルト・アウアーに師事、1919年に卒業。後にブリュッセルでウジェーヌ・イザイの教えも受けた。
その音楽と音色には独特の気品があり、同門のヤッシャ・ハイフェッツやミッシャ・エルマンに比してアクは少ない。しかしその音楽は決して退屈なものではなく、例えばサン・サーンスの協奏曲や序奏とロンド・カプリチオーソなどは特にこの演奏家の典型的な素晴さが発揮されており、堅固に構築された音楽の中からほとばしる情熱を垣間見せる。こうした演奏スタイルは、フランス・ベルギー(フランコ・ベルギー)楽派の流儀をイザイから継承したことも大きいのかもしれない。
ミルシテインの演奏は音色もフレージングも非常に明瞭であり、イツァーク・パールマンはミルシテインのことを「彼は古今東西最も音が明瞭・透明なヴァイオリニストだ」と評している。バロック時代の楽曲からパガニーニのような難曲まで、そのスタイルは全く同等で、技巧性を強調しないその演奏スタイルが逆にとてつもない演奏技術の裏付けを感じさせる。
その演奏技術を維持するためだったのか、単なる性格だったのかは不明だが、彼が練習の虫だったことは有名で、イヴリー・ギトリスは次のように回想している。「彼は毎日毎晩、来る日も来る日も練習していたよ。私が彼に会いに行った時も練習していた。何十年も弾いているような楽曲を取り出しては『もっと明瞭なフレージングができる指使いを発見したぞ!』と喜んでいる。まるで時計職人のような人だ。演奏はもう完璧と言う他ないね。」
ミルシテインはその人生の最後まで演奏家に徹し、演奏旅行中にロンドンで逝去した。間違いなく20世紀を代表する大ヴァイオリニストのひとりである。
生ではどうだったのでしょう
1957とか1963年の演奏を収めたDVDを楽しんで視聴しています。非常に歯切れの良い音、清潔な音楽性。堂々たるマナーで感心します。画面から見る限り音量を強調するタイプには思われないのですが。生演奏を一度も聴いておらず判断できません。
どなたかミルシテインの生ステージを聴かれた体験をお聞かせいただけるとありがたいです。
2004年7月26日 前田 泉
彼について思うこと
彼の自叙伝みたいな本を買いました。ものすごく知性的で、頭脳の冴えがよく分かる本でした。この本を買うまで、あまり彼の演奏は、自分には合わないなあと思っていましたが、彼の本を読んだ後で、今まで買い込んでいたCDやDVDを改めて鑑賞して、何だか彼のことが、とても好きになりました。ベートーヴェンのソナタで、バルサムのピアノとあわせたCDと、ブラームスの協奏曲のスタインバーグ版、特に3楽章が、とてもうるわしく感じられました。
2008年11月17日 くろちゃん