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ヴァイオリン弦の寿命
投稿日時:2002年04月27日 21:37
投稿者:克彦(ID:RhdzBXA)
こんばんは,札幌の克彦です。ヴァイオリン弦の音色の善し悪しや好き嫌いに関する記述は,掲示板上などで時々見かけますが,弦の寿命(耐久性)に関する記述はあまり見かけないように思います。そこで,このたびは,ヴァイオリン弦の寿命(耐久性)に的をしぼって,情報交換をさせていただきたいと思っております。
さて,弦の寿命には,切れる(あるいは,ほつれる)までの寿命と,音色が悪くなる(あるいは,正しい音程が出なくなる)までの寿命という2種類の概念があります。
ほつれるというのは,弦に巻いてある銀やアルミの巻き線がほつれることを意味しています。たいていは,ナット(上駒:指板の先端にある黒檀の部品)や駒の溝に当たる巻き線が,摩擦によって徐々にほつれて行きます。ほつれると弦が切れ易くなるだけでなく,調弦時の5度が合いにくくなったり,音程が悪くなったりします。
弦が古くなると,発音があいまいになり,音色がぼやけてきます。また,音量も小さくなります。感覚的には,レスポンス(反応)が鈍くなり,ヴァイオリンを鳴らしにくくなります。
なお,ヴァイオリン弦の寿命は,演奏頻度(演奏時間),演奏の強度(弦への負荷の強さ),演奏者の体質(汗の量),弦のメンテナンス(演奏後に松脂や汗をきれいに拭き取っているかどうか)などの要素によって,影響を受けます。また,音色の寿命は,演奏者の主観的な感覚によるところが大きいと思われます。
こうしたことから,弦の寿命は,一概にどれくらいとは言えない面がありますが,多くの方々から情報を提供していただけたら,おおよその傾向はつかめるのではないかと思っています。
まず,僕自身がこれまでに使用してきた弦の寿命(耐久性)について,記述します。なお,一般的に,E線とA・D・G線の寿命は大きく異なるので,分けて記述します。なお,音色の寿命については,僕自身が音色の劣化を感じて,弦を張り替えたくなる時期を書いていますので,あくまで参考程度に読んでいただけたらと思います。人によっては,もっと短い(長い)と感じる方もいらっしゃると思いますが,こうした情報が集積されてくれば,「Xという弦はYという弦よりも音色の寿命が長い(らしい)」というような傾向はつかめるのではないかと思います。
①ドミナント
巻き線がほつれるまでの寿命は,極めて長く,音色や弾き易さを度外視すれば,A・D・G線は半年くらい使用できると思います。ドミナントは,6ヶ月経過後も,演奏が可能な程度には調弦時の5度が合います。切れにくく,ほつれにくいという点での耐久性は抜群で,そういう点での信頼性は高いです。ただ,音色の寿命は,意外と短く,E線(アルミ巻き)が約3週間,A・D・G線が約1.5ヶ月だと思います。A・D・G線は,約1ヶ月経過すると,明らかに発音が鈍くなって,音がこもりがちになり,弦の劣化を感じます。
②トニカ
ドミナントよりも音色の寿命は少し長く,E線(アルミ巻き)が約1ヶ月,A・D・G線が約2ヶ月だと思います。ただ,ドミナントに比べると,巻き線がやや弱くてほつれ易く,2ヶ月経過しないうちに,A・D・G線のいずれか1本が切れてしまったことが何度かあります。
③インフェルト・ブルー
ドミナントよりも音色の寿命は少し長く,E線が約1ヶ月,A・D・G線が2ヶ月を少々超えるくらいだと思います。ただ,ドミナントに比べると,やや丈夫さに欠けるようで,3ヶ月経過しないうちに,A・D・G線のいずれか1本が切れてしまったことがあります。
④インフェルト・レッド
インフェルト・ブルーと同様に,ドミナントよりも音色の寿命は少し長く,E線が約1ヶ月,A・D・G線が2ヶ月を少々超えるくらいだと思います。ブルーと比較すると,レッドの方が,音色の寿命は少し長いように思います。ただ,ドミナントに比べると,やや丈夫さに欠けるようで,3ヶ月経過しないうちに,A・D・G線のいずれか1本が切れてしまったことがあります。
⑤ヘリコア
巻き線がほつれるまでの寿命は,極めて長く,音色や弾き易さを度外視すれば,A・D・G線は半年くらい使用できると思います。ヘリコアは,6ヶ月経過後も,演奏可能な程度に調弦時の5度が合います。ドミナントよりも音色の寿命はかなり長く,E線(アルミ巻き)が約1.5ヶ月,A・D・G線が3ヶ月を少々超えるくらいだと思います。
多くの方々からこうした情報を提供していただけるとうれしく思います。特に,最近評判の良い高級ナイロン弦,例えば「エヴァ・ピラッツィ」や「オブリガート」などの寿命(耐久性)について,教えていただけると助かります。それでは,また。
さて,弦の寿命には,切れる(あるいは,ほつれる)までの寿命と,音色が悪くなる(あるいは,正しい音程が出なくなる)までの寿命という2種類の概念があります。
ほつれるというのは,弦に巻いてある銀やアルミの巻き線がほつれることを意味しています。たいていは,ナット(上駒:指板の先端にある黒檀の部品)や駒の溝に当たる巻き線が,摩擦によって徐々にほつれて行きます。ほつれると弦が切れ易くなるだけでなく,調弦時の5度が合いにくくなったり,音程が悪くなったりします。
弦が古くなると,発音があいまいになり,音色がぼやけてきます。また,音量も小さくなります。感覚的には,レスポンス(反応)が鈍くなり,ヴァイオリンを鳴らしにくくなります。
なお,ヴァイオリン弦の寿命は,演奏頻度(演奏時間),演奏の強度(弦への負荷の強さ),演奏者の体質(汗の量),弦のメンテナンス(演奏後に松脂や汗をきれいに拭き取っているかどうか)などの要素によって,影響を受けます。また,音色の寿命は,演奏者の主観的な感覚によるところが大きいと思われます。
こうしたことから,弦の寿命は,一概にどれくらいとは言えない面がありますが,多くの方々から情報を提供していただけたら,おおよその傾向はつかめるのではないかと思っています。
まず,僕自身がこれまでに使用してきた弦の寿命(耐久性)について,記述します。なお,一般的に,E線とA・D・G線の寿命は大きく異なるので,分けて記述します。なお,音色の寿命については,僕自身が音色の劣化を感じて,弦を張り替えたくなる時期を書いていますので,あくまで参考程度に読んでいただけたらと思います。人によっては,もっと短い(長い)と感じる方もいらっしゃると思いますが,こうした情報が集積されてくれば,「Xという弦はYという弦よりも音色の寿命が長い(らしい)」というような傾向はつかめるのではないかと思います。
①ドミナント
巻き線がほつれるまでの寿命は,極めて長く,音色や弾き易さを度外視すれば,A・D・G線は半年くらい使用できると思います。ドミナントは,6ヶ月経過後も,演奏が可能な程度には調弦時の5度が合います。切れにくく,ほつれにくいという点での耐久性は抜群で,そういう点での信頼性は高いです。ただ,音色の寿命は,意外と短く,E線(アルミ巻き)が約3週間,A・D・G線が約1.5ヶ月だと思います。A・D・G線は,約1ヶ月経過すると,明らかに発音が鈍くなって,音がこもりがちになり,弦の劣化を感じます。
②トニカ
ドミナントよりも音色の寿命は少し長く,E線(アルミ巻き)が約1ヶ月,A・D・G線が約2ヶ月だと思います。ただ,ドミナントに比べると,巻き線がやや弱くてほつれ易く,2ヶ月経過しないうちに,A・D・G線のいずれか1本が切れてしまったことが何度かあります。
③インフェルト・ブルー
ドミナントよりも音色の寿命は少し長く,E線が約1ヶ月,A・D・G線が2ヶ月を少々超えるくらいだと思います。ただ,ドミナントに比べると,やや丈夫さに欠けるようで,3ヶ月経過しないうちに,A・D・G線のいずれか1本が切れてしまったことがあります。
④インフェルト・レッド
インフェルト・ブルーと同様に,ドミナントよりも音色の寿命は少し長く,E線が約1ヶ月,A・D・G線が2ヶ月を少々超えるくらいだと思います。ブルーと比較すると,レッドの方が,音色の寿命は少し長いように思います。ただ,ドミナントに比べると,やや丈夫さに欠けるようで,3ヶ月経過しないうちに,A・D・G線のいずれか1本が切れてしまったことがあります。
⑤ヘリコア
巻き線がほつれるまでの寿命は,極めて長く,音色や弾き易さを度外視すれば,A・D・G線は半年くらい使用できると思います。ヘリコアは,6ヶ月経過後も,演奏可能な程度に調弦時の5度が合います。ドミナントよりも音色の寿命はかなり長く,E線(アルミ巻き)が約1.5ヶ月,A・D・G線が3ヶ月を少々超えるくらいだと思います。
多くの方々からこうした情報を提供していただけるとうれしく思います。特に,最近評判の良い高級ナイロン弦,例えば「エヴァ・ピラッツィ」や「オブリガート」などの寿命(耐久性)について,教えていただけると助かります。それでは,また。
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[ 1コメント ]
【ご参考】
[1047]
Re: ヴァイオリン弦の寿命
投稿日時:2002年04月27日 22:32
投稿者:Pochi(ID:N4BmhGQ)
この話題は非常に興味深い。
コレルリ・クリスタルは、1~2ヶ月で弾きにくくなる比較的寿命の短い弦だと思う。ドミナントより短い。
音色は個人的なものだけど、線密度は物理的。2オクターブ上のフラジオの音が低くなってきたら、替え時。
金属弦はE線を除いて一般的に長寿命。
コレルリ・クリスタル<ドミナント<トニカ<オブリガート=エヴァ・ピラッツィ<コレルリ・アリアンス<ヘリコア<スピルコア
だとおもう。
ガットは切れるまで使えるなんて言っていた人がいたけど、嘘だと思う。
音色の面では長寿命だけど線密度が問題になる。寿命はゴールド≦オイドクサ<オリーブ
昔、薄青緑色の袋に入った「熱帯人の汗を弾く軟鉄の弦を開発した」とか書いてあった日本製の金属弦を使っていたけど、何て言うブランドだったのだろうか?
60年代中頃、Eが40円、Gが190円だったと記憶している。金属のくせに1ヶ月位で音が死んだよ。
コレルリ・クリスタルは、1~2ヶ月で弾きにくくなる比較的寿命の短い弦だと思う。ドミナントより短い。
音色は個人的なものだけど、線密度は物理的。2オクターブ上のフラジオの音が低くなってきたら、替え時。
金属弦はE線を除いて一般的に長寿命。
コレルリ・クリスタル<ドミナント<トニカ<オブリガート=エヴァ・ピラッツィ<コレルリ・アリアンス<ヘリコア<スピルコア
だとおもう。
ガットは切れるまで使えるなんて言っていた人がいたけど、嘘だと思う。
音色の面では長寿命だけど線密度が問題になる。寿命はゴールド≦オイドクサ<オリーブ
昔、薄青緑色の袋に入った「熱帯人の汗を弾く軟鉄の弦を開発した」とか書いてあった日本製の金属弦を使っていたけど、何て言うブランドだったのだろうか?
60年代中頃、Eが40円、Gが190円だったと記憶している。金属のくせに1ヶ月位で音が死んだよ。
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