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調弦と音律 | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 88 Comments
[1461]

調弦と音律

投稿日時:2002年08月07日 18:40
投稿者:あすぱら(ID:IokkiQk)
バイオリンの調弦って、みなさんどういう音律で、されていますでしょうか?

私自身は、隣合う弦が、純正律(自然倍音)の5度になるように、と教わり、今までそのようにしてきました。しかし、色々とネットを見ていく中で、(ピアノと合わせる場合以外でも)、平均律でチューニングするという方もいらっしゃるのを知り、色々なやり方があるのだと、驚きました。

弦楽器だけのアンサンブルや、ソロの曲を弾かれる場合(つまり、ピアノが入っていない時)にどのように、チューニングされているか教えてください!できれば、理由も教えていただけると嬉しいです。

ちなみに、私が純正律で調弦するように、と教わった時の理由は、「ピタゴラスで旋律&純正律で和音」と音程をとっていく場合に、開放弦が響きやすく、ガイドになることが多いから、といったような理由でした。
(確かに、チューニングがずれると、弾きにくくなるのですが、それが平均律だったら、どうなんだ?という点については、ピアノとはあんまり合わせないし、チューナーも持っていないので、よくわからないのです。。)
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[1612]

Re: 調弦と音律

投稿日時:2002年08月28日 12:23
投稿者:よが(ID:JJiWRw)
こんにちは. とある Viola 弾きです.

私は,12平均律,ピタゴラス,純正律,もしくは
中全音律などどれか一つの音律だけが正しいとは
思っていない派です.

私は(旋律を弾く際に)どちらかというと
ピタゴラス音階(らしきもの)のほうが平均律よりは
好きですが,それがすべて(ベスト)とは思いません.
黄金分割比のように,整数比以外にも,
人が美しいと感じるものはあると思います.
それが何なのかの答えは見いだせていないのですが.

人さまに主張できるほどしっかりとした音律
使い分けのセオリーも技術も持っていないので,
散文的になってしまますがとりあえずネタをいくつか.

□ 私は A=442Hz を基準に純正5度 2:3 (のつもり)で調弦します.
私が所属していたアマチュアオケではそれが普通でした.

カルテットなどのときもみんな基本的には純正5度であわせます.
ただ,G線をみんなで一斉にひいて,うなっていたら各自G線だけ
微調整ということもときどきやります. とくに本番前など.

□ ピアノも一緒の小編成アンサンブルなどでは
ピアノのC,G に C線G線の開放弦をあわせるということは
ときどきありました. 当然,G線とC線は 2:3 になりませんが,
その曲としてはそちらのほうがしっくりくるということで
意見が一致したからです.

□ とある指揮者のレッスンで,「伴奏の第3音は低めに(4:5)
メロディ(管楽器)の第3音は和声の3音とはちがって高めに(64:81?)」
ということをいわれた経験があります.
(もちろん同時に高さの異なる2つの第3音がなることになります.)
数学的には辻褄があいませんし,
この指揮者のやりかた自体には賛否両論あるでしょうが
音楽的にはその方がしっくりくることもあるのかもなぁと思いました.

□ 私は,たとえば D線1stポジションの 1 の指でおさえる「ミ」に関して,
G線と 上純正6度でとる E と A 線から 下純正4度でとる E は
使い分けます. より正確言うと,場面にあわせて適切なほうを
選択できるようになりたいのでときどき練習します.
楽譜にメモするときはおたまじゃくしを△とか▽で囲みます.
1stポジションの各音ぐらいは使い分けられるようになりたいと
思っています.

でも,音程以外にも練習したいことはたくさんあるので,
練習といっても調弦のついでにその日の調子を見る程度だったり,
さらいながらメモだけするとかです.

□ いろんな曲をひいている中で和音の一つとして C線の開放弦の
ドを弾くが微妙に低くて他の和声音とどうしてもあわない
(調弦が狂ってるのではなくて,理論的に単純な整数比にならない)
ことがあります.
そういうときはナット部分の指版よりを押さえて
C線開放のドを少し高めに弾くこともあります.
逆に微妙に低いままで単純な整数比になっていないほうが
曲の雰囲気にあっていることもあります.

□ チューナーにも12平均律だけでなく,
純正律やピタゴラス,ベルグマイスターなどを
チェックできるものがあるようです.
たとえば,KORG の OT-12(1万円弱) です.
残念ながら実際に試したことはありませんので,
「使える」ものかどうかはわかりません.

□ ピアノの調律は平均律といわれていますが,
一番低い音から一番高い音まですべて,チューナーの
針が真ん中に来るようにはあわせられていません.
低い音ほど若干低めに,高い音ほど若干高めになっています.
理由は,倍音がきちんとした基音×N倍(N=2,3,4,5...)
ではないからというのと,聴感上の理由から.
という話を本で読んだことがあります.
"調律曲線"というキーワードでインターネットで
検索してみるともっと詳しい話がわかると思います.

□ 弦が古くなっってきたり,張力の高いもの(とくにスチール)だと,
倍音が厳密に 基音×Nにはなっていません.
そういう場合には,2:3 で調弦したつもりでも,
微妙に広すぎたり,狭すぎたり(これはないか...)
することがあります.

確認するならチューナー(平均律)でわざと約2(1.955)セントづつ低く
(A:442Hz,D: -2セント,G: -4セント)調弦していったもので
開放弦の重弦をひいてみるとある程度わかると思います.
逆に完璧と思える 2:3 の調弦をしていって,G線開放が
チューナーで -4 セントのところに合うかというのでもいいと思います.

たとえば,全部ヤーガーのような甘めの音色や太い音のする
弦を張っている場合とかは耳であわせるより若干狭いほうが
しっくりくるかもしれません.
チェロにはわりとそういう人(平均律っぽい調弦をする人)が
いた気がします.

あすぱらさんが納得できる平均律(に近い)調弦の
理由があるとすればこれでしょうか.


□ ついでなので調弦に関するヒントです.
ff で調弦したときと pp で調弦したときは
結果が違うかもしれません.

調弦でペグ動かすときは低い音(1/4音くらいかな)から音程を上げて
あわせるようにするとその後開放弦のピッチが下がりにくいです.



余談ですが,宮本文昭のOboe と矢野顕子のボーカル
が一緒にアンサンブルすることになったら音程は
どうあわせるんでしょうね.
何もしなくてもいいのかな.
[1613]

Re: 調弦と音律

投稿日時:2002年08月28日 15:20
投稿者:あすぱら(ID:KJEzdUU)
みなさん、色々なご意見、ありがとございます。

現時点では、

  - 原則、旋律はピタゴラス、和声は純正律で音程をとっていこうとする   場合、純正5度でチューニングするのが都合がよい。
   (オケの場合はちょっと狭め)
 
 理論的裏付けについては、「弦楽器のイントネーション」に書かれてる。

ということで、よろしいかと思うのですが、
 
 平均律でチューニングされる方が、どういう音程をとっていこうとしてるのかが、今ひとつはっきりわかりません。
 pochiさんの説明ですと、理想と「世の中音痴が多いという現実に対応する妥協策」と両方あるというように読めるのですが、それぞれどういう音程を作ろうとされているのでしょうか?

 また、作ろうとする音程と、調弦のメリットの論点としては、主に下記の4つがあがっていると思います。

 
 1)ある音を弾いた場合、その音を弾いている弦がどのように響くか。
    (例:E線の2ポジのGを弾いた場合、E線がどう響くか。)
 2)ある音を弾いた場合、その音を弾いている以外の弦がどのように響く 
   か。
    (例:E線の2ポジのGを弾いた場合、G線、D線、A線の響きはどの
    ようになっているか。)     
 3)開放弦そのものが、作ろうとする音程の中でどれくらい使えるか。
 4)転調した場合、上記はそれぞれどのように変化するか。  

 
 しかし、今までの議論ですと、1)と2)のどちらのことを根拠としてあげているのか読み取りずらい箇所があり、どのような場合にどの要素をを重視しているのかが、今ひとつはっきりわかりませんでした。 
 どのような音程を作ろうとされているか教えていただいた上で、これらを明らかにしていただけるど、とてもすっきりすると思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。 >  平均律で合わせられる方 特にpochiさん!
 
(どのような音程を作りたいのか、また基音をどうとるつもりか、という点を教えていただければ、1)~4)の個々の内容(基音をXXに合わせた場合の、何調の何律の第何音は何で調弦したどこの弦と共鳴するetc)については、誰が考えても同じ結論になると思うので、特に教えていただく必要はありません。念のため。)
[1614]

Re: 調弦と音律

投稿日時:2002年08月28日 17:13
投稿者:あすぱら(ID:KJEzdUU)
> よがさん #1612

ご自分の経験を色々と教えてくださって、ありがとうございます。
他の方がどう考えていらっしゃるか知るのは、参考になります。


>私は,12平均律,ピタゴラス,純正律,もしくは
中全音律などどれか一つの音律だけが正しいとは
思っていない派です.
  
  1つだけでないという意味では、私もそうです。原則、旋律はピタゴス、和声は純正の組み合わせです。 といいますか、多くの方が原則的にはこの組み合わせ派だと思います。(前にも書きましたように、あくまで原則で、そこからちょっとずれたところが、よかったりすることもありますが。)
 ちなみに、ミーントーンやベルクマイスターといった鍵盤系の音律を原則的に使う曲はまだ弾いたことないので、ちょっと未知分野です。

  
>□ とある指揮者のレッスンで,「伴奏の第3音は低めに(4:5)
メロディ(管楽器)の第3音は和声の3音とはちがって高めに(64:81?)」
ということをいわれた経験があります.
(もちろん同時に高さの異なる2つの第3音がなることになります.)
数学的には辻褄があいませんし,
この指揮者のやりかた自体には賛否両論あるでしょうが
音楽的にはその方がしっくりくることもあるのかもなぁと思いました.

  これは、和声は純正、旋律はピタゴラスにした場合におこる典型的な悩み(?)ですね。


> 私は,たとえば D線1stポジションの 1 の指でおさえる「ミ」に関して,
G線と 上純正6度でとる E と A 線から 下純正4度でとる E は
使い分けます. より正確言うと,場面にあわせて適切なほうを
選択できるようになりたいのでときどき練習します.

  よがさんも、原則、和声は純正で、とっておられるのですね。
  和声か旋律か、何調かによって、音高は変わる(変えられる)のが、音
程を自由に作れる楽器の楽しみだし、大変さですよね。
  
  上の指揮者さんのご指摘事項とあわせて、このあたりのことは、話題
の「弦楽器のイントネーション」に、とても詳しくかかれているので、もし
よろしかったら、お読みになってみてください。
   きっと、色々なことがすっきりするのではないかと思います。 


>□ チューナーにも12平均律だけでなく,
純正律やピタゴラス,ベルグマイスターなどを
チェックできるものがあるようです.
たとえば,KORG の OT-12(1万円弱) です.
残念ながら実際に試したことはありませんので,
「使える」ものかどうかはわかりません.

   そのバージョンではないのですが、色々な調の色々な音律の音が出
せるものを、以前持っていました。弾いた音にもランプで反応します。た
だ、私には向いていませんでした。 電子音って、わかりにくいんです。
  ランプの反応も、、、それをみてスケールの練習をするより、楽器の響き
をきいて練習するほうが楽しかったので、すぐやめちゃいました。
   せっかく、紹介していただいたのに、否定的な感想ですみません。
  あくまで、私の感想です。それぞれの音律を知るのには役立つと思う
  し、人によっては気に入るかもしれません。
[1615]

Re: 調弦と音律

投稿日時:2002年08月28日 17:50
投稿者:takashi(ID:goJzCWA)
音型、和声構造とそのテンポによって
正しい音程は常に異なる。
と、カザルスが言うてるらしい。

  話題は少々横道にそれますが
  カザルスのバッハ無伴奏チェロ組曲の音程には
  皆さん驚くことがありませんか。
  彼はこの音程が正しいとして録音を残したに違いない。  
  その違和感は私らアマチュアにはよくわかりませんが。

単純な話、ソラシドのシと、ドシラソのシを
違った音で弾けるのが弦楽器の強みと思っている。

そういう音作りの自由度を確保するのに、平均律調弦の方が都合がよい
と言う意味で、pochiさんの議論は理解はできる。
私には実行はできません。
楽器の響きで音程をとってはいけない、結果として響くことがあるだけだ。
との発言も初心者を除けば正しいと思う。
これがこの議論の一番生産的な結論ではないだろうか。

ここの議論で一つ混乱していると思うのは
調弦を平均律でとる事
楽曲の音程を平均律的にとる事
の区別である。

pochiさんの議論は、
開放弦を平均律でとっておいた方が
演奏時に(平均律を離れた)正しい音程をとるのに都合がよい。
と主張されているように思うのだが、間違ってますか。

但し私たちアマチュアにとって、
ごく僅かな差である、調弦が平均律か純正調かについて
こだわるのはあまりに些末だ。
ここの掲示板には、そういう議論が多すぎると思う。

プロのライブでも、アマチュアが聞いていて
かわいそうになるような音程のエラーはいくらでもある。
それが人間の作る音楽なのだと思う。
無いに越したことはない、
またそのために必死の練習をするのでしょうけれど。

私のレベルで言えば
ハイポジションで16部音符の音程が
”ピアノ程度に正確に”取れることの方が、
また、きちっとハモる重音を素早く取れることの方が、
ずっとずっと大切な課題です。

少なくとも「これじゃ都合悪い」と感じられるまでは、
純正5度に調弦しておけば良いのではないでしょうか。
私もその一人です。

疑問点。
歴史的には平均律と言う調律法の成立はかなり最近のことです。
『平均律』クラビア曲集は、誤訳です。
『純正調より進化した、汎用性のある調律法』程度の筈です。
とすると、少なくとも古典派のバイオリン曲は
Aを基準とする純正調で調弦する事を
前提に作られていたのではないだろうか。
(逆に鍵盤楽器が平均律であるとは想定されてないでしょうけど)
モーツアルトのコンチェルトは明らかに
華やかな楽器の響きを念頭に作曲されている。
バッハの無伴奏は開放弦を使うことを前提に作曲されている。
そういう場合pochiさんはどうしていらっしゃるのでしょう。
[1616]

Re: 調弦と音律

投稿日時:2002年08月28日 18:22
投稿者:あすぱら(ID:KJEzdUU)
>takashi さん

こんにちは。

>>ここの議論で一つ混乱していると思うのは
>>調弦を平均律でとる事
>>楽曲の音程を平均律的にとる事
>>の区別である。

>>pochiさんの議論は、
>>開放弦を平均律でとっておいた方が
>>演奏時に(平均律を離れた)正しい音程をとるのに都合がよい。
>>と主張されているように思うのだが、間違ってますか。

混乱しているといいますか、#1613にも書いたのですが、pochiさんがどのような「楽曲の音程」をめざされているのかが、今ひとつはっきりわからないのです。 
 
 1)まず、pochiさんは、楽曲の音程を平均律でとろうと思っていらっしゃる わけではないように読めるのですが、そうであれば、tamaさんのように、 旋律ピタゴラス、和声純正を「楽曲の音程」の基本とされいてるのか?

 2)目指す「楽曲の音程」が、もしpochiさんとtamaさんの間で同じなので 
 あれば、なぜその音程をとるのに都合がよい調弦が、異なってくるのか。
 「楽曲の音程」と調律の関係においてどのようなポイントを重視されてい 
 るのか?

というような感じです。
[1618]

Re: 調弦と音律

投稿日時:2002年08月28日 19:50
投稿者:tama(ID:hjZhRoA)
>いなあしゃさん

私がどう調弦しているかは、簡単ではありますが1588に書きました。それから、pochiさんへのレスの中でも、「特に学習者が純正に合わせることの重要性」を何回か書いていると思います。

少しだけ、補足します。

真剣に「ヴァイオリンらしい」音楽を創りたいと考えているのであれば、まず純正に調弦することを「訓練」することをお勧めします。もちろん、初めから上手くはいかないでしょう。しかし、「うなり」「響きによる音色の変化」をつかめるようになれば、かなり精度の高い調弦ができるようになります。しかし、こういうことは「先生の耳」があって初めて可能ですので、ご自分の先生とよく相談なさる必要があるでしょう。こればかりは紙上ではできません。

これでよろしいかしら?
[1651]

Re: 調弦と音律

投稿日時:2002年08月30日 15:16
投稿者:いなあしゃ(ID:khJUWTA)
>tamaさん

すみません、1588読み落としていました。純正に合わせるべきという主張はわかっていましたけど、辻褄合わせをどうやっているかを知りたかったのです。私も純正派なのでほぼ同じ考えでした。

私はtamaさんと調弦法についてはほぼ同じ意見ですし、主張も音感の部分以外はほぼ賛成です。ただ、tamaさんのPochiさんに対するレスは、主張や指摘といったものを超えているように感じました。議論は大いに結構だと思いますが、これを読む多くの方々がどう感じるかということも少しお考えいただければと思います。
[1653]

Re: 調弦と音律

投稿日時:2002年08月30日 16:28
投稿者:某ピアノ愛好者(ID:Ewg1VAE)
>tamaさん

質問が二つあります
ヴァイオリンのレパートリーは圧倒的にピアノとのデュオが多いですが
ピアノを否定されているように感じられる発言も多いので
ピアノと合わせる場合、つまり、曲の演奏中に、当然ズレが生じてくるわけですが、どう対処されているのか?・・ということと
普段の生徒さんへのレッスンでは、一切ピアノ伴奏というものは付けないのでしょうか?


[1654]

Re: 調弦と音律

投稿日時:2002年08月30日 17:15
投稿者:じゅん(ID:EHVml5I)
久々の登場です。
私はまるっきり平均率というわけではないのですけれど、純正よりもかなりせまく合わせている派です。

実は、昔私も純正で合わせていました。そしてピアノの音程を否定している時期もありました。というよりピアノとデュオをする機会が少なかったので。。。オケや室内楽、しかも弦ばかりという状態が多かったので、あまり深く考えていませんでした。

多分私達の世代はレッスンで「高い!低い!」と言われ続けられた世代(というより先生にもよる?)かとも思います。家では親がピアノをたたきながら高いだの低いだのいわれ、ぴったりと合うまで泣かされたものです。(親は素人で何もわからない)今思えば、解放弦になったときなんだか少し違和感があったように思ったりします。

そんな中育ち、きちんとした先生につき、(その先生は絶対音感ばりばりでした)「C線を高めに合わせる」という調弦方法を教わり、昔の違和感の解決法がちょっとみいいだせました。それから仕事となるのはやはり、ソロよりはアンサンブルが多かったため、とりあえず、C線だけは高めにとって合わせていました。みんなと弾いていれば、自分の音もよく聞こえないし、やっつけの仕事が多かったので誰も何も文句は言いません。もちろんレッスンもおそまつになっていきました。

そんな中その先生に再びついていて、ソロにも興味を持ち、仕事ではなく、きちんと弾きたいという欲がでて、自分でリサイタルなどを開いてみたいという野望も生まれました。少しづつピアノと合わせるようになると、どうしてもピアノの音程に合わせなければ、とか音程ばかり気にして、肝心の音楽がなくなっていきました。人はよく「音程が悪い」とかそのような表現をするので、自分もそれがプレッシャーだったんですね。また昔のように、ピアノでひとつづつ合わせるつらい日々がはじまりました。
そこでまた先生のところに行くと「和声を聞くその倍音に合わさる音程がとれればそんなに音程に気をとられなくても聞いている方は気持ち悪くない。あなたの音程は悪いわけではないけれど、弦楽器奏者から聞くと、違和感がある」と言われました。いままで、ピアノに合わせて、でもピアノの音程と弦の音程と違うと頭で計算をしながら、弾くことがすごくつらかったことがうそのように楽になりました。
そこで、ピアノの和声は確かにうねりがあります。ただし、そのうねりを聞かない耳を作り、必ず、和声に合わせてとやっていくうちに、自然と平均率でもない純正率でもない中間の5度と言う結果にいたったわけです。

楽器によっては倍音が少ない楽器があったりします。最初Aをピアノの和声に合わせてとると、そういう楽器はすごく高くとれちゃったりして、「あれっ」と思うこともしばしばあります。でもそんな時先生の「和声の倍音に合わせる」という言葉を思い出し、「まあいっか」と思えるようになりました。倍音が解け合っていれば、実音が多少づれていても変じゃないのかもと考え方を変えるようになりました。ただし倍音を聞くためには倍音がなる奏法を身につけなければなりません。幸い私の先生は倍音にとてもうるさい先生でしたので、そのような奏法が身につけられたのかとおもいます。

なんだか話がぐしゃぐしゃになりましたが、要は、合わせる楽器によって、随分とかわってくるということですね。私は話題になっている本は多分読まないでしょう。それは、私の頭の中は理論がはいると理論にしばられるからです。確かに理論は助けになります。そういったこともしばしばありました。
でも私の場合どちらかというと「だからそうなんだ」とあとから理論をつけた方がうまくいくのです。もう少し、自分に音程の自信を持ってから、読むことにします。

最後に(多分これが私の最後のレスになると思います)日本、アメリカは倍音より実音を気にしている国のような気がします。やはり伝統的に音楽のある国のアンサンブルなどを聞いていると、必ずしも、音程をぴったり合わせているようには思わないんですね。それよりも倍音が解け合うようにそれぞれが自由に弾いているように思います。好き好きだと思いますけれど、音程を美しくとるためにはまず、ボーイングで倍音を体で感じとる。ピタゴラス音程だか平均率だかはよく知りませんが、倍音をならせるボーイングが出来ている人はそんなこと気にしなくても、自然と結果美しいといわれるピタゴラス音程になっているのかもしれません。逆に倍音をならせなくてはピタゴラス音程をいくら気にして、チューナーで合わせていても美しくはないということでしょう。
偉そうでしたが、ここのところこのレスを読んで、自分なりにそのように結論を出した始末です。
[1656]

Re: 調弦と音律

投稿日時:2002年08月30日 20:57
投稿者:tama(ID:IFiCVTM)
>某ピアノ愛好家さん

>>ヴァイオリンのレパートリーは圧倒的にピアノとのデュオが多いですが、ピアノを否定されているように感じられる発言も多いのでピアノと合わせる場合、つまり、曲の演奏中に、当然ズレが生じてくるわけですが、どう対処されているのか?

長くなりすぎたので、読み落としも当然でるでしょうね。私は、ピアノと合わせるときに、純正には合わせません。「まだ迷っている」という書き方をしましたが、「実際にGをピアノとあわせてしまうこともある」と書いています。

弦楽器は、単体で、または弦楽器どうして、「ピタゴラス」と「純正な和音」を全て演奏することが出来ます。問題は、「和音と旋律の組み合わせによる求める音の違い」と、「転調の時の跳躍」に絞られるわけです。ですから、ピアノと合わせるときには、弦楽器だけのときとは全く違った考え方が必要になる場合があります。ですから、私も「Gをピアノとあわせちゃう」ことがあるのです。

ピアノの和音は、純粋ではありません。ですから、和声と旋律が対立したときとは違う問題が生じます。和声と旋律が対立したときには、多くの場合「どちらかを犠牲にします。」演奏速度、音の高さ、会場の響きなどの色々な条件で、よりよく聞こえるように考えるわけです。ピアノの場合は、「純粋でない和声に乗っているときにどうするか」と考えるわけです。

一概に「すぱっと」解決できる解法はもちろんありませんが、基本的には、旋律はピタゴラスで演奏します。ピアノが伴奏形の場合、その不合理さは、純正な和音よりは「減り」ます。問題は、ピアノと交互に、ないし同時に旋律を演奏するときにより大きくなります。こういった場合、「同音なら合わせ、ヴァイオリンが上で旋律の主である場合は原則ピタゴラス」と考えてください。また、和音を同時に構成するときには、「ほとんどの場合平均律に合わせて」しまいます。ただし、ここに書いたことはあくまで「指針」であり、現実には実際の楽譜を前にしていろいろと考えを巡らせています。

弦楽器奏者の中には、ピアノと合わせることを極端に嫌う人もいます。ただ、私はそれほど嫌ではありません。いろいろな工夫をするのも楽しいですし。

もう一つ問題を複雑にする事があります。それは、「ピアニストの音程」なんです。ピアニストにも音程のよい人と悪い人がいます。上に書いた「工夫」は、あくまで「音程のよいピアニスト」と演奏する場合にしか意味がないかもしれません。そういう意味では、おっしゃるように「ある部分のピアニストに対して否定的」かもしれませんね。

>>・・ということと普段の生徒さんへのレッスンでは、一切ピアノ伴奏というものは付けないのでしょうか?

もちろん、必要なときはつけます。私自身が弾くことも多いです。
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