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ヴァイオリン弦「ヘリコア」について
投稿日時:2001年08月06日 20:39
投稿者:克彦(ID:EVFVkyQ)
こんばんは,札幌の克彦です。
このたび,アメリカのダダリオ社のヴァイオリン弦「ヘリコア」を試してみたのでレポートいたします。
ヘリコアは,スチール弦に分類されていますが,ヘリコアのコア(芯材)は,毛髪のように細いスチールフィラメントを束ねたもので,従来のスチール弦(スチールの単線)とは異なります。
僕は,ヘリコアを購入する前に,ネット上でヘリコアの情報を集めました。使用されている方々にお聞きした限りでは,ヘリコアの性能を高く評価していて満足されている方が多かったのですが,中には,ヘリコアは若干音量が小さく感じられるとおっしゃる方がいました。
アメリカのダダリオ社のホームページのヘリコアの説明を読むと,「耳元では音量が小さく感じられるが,コンサートホールいっぱいに鳴り響かせることができる。」(原文を多少意訳しております)と書かれていました。ヘリコアは,耳元でのザラザラという雑音感が少ないという特性があるようですが,それがかえって耳元での音量が物足りないという印象につながっているようです。ホームページを見る限り,これはメーカー側でも予想しているようです。
アメリカの会社のホームページなので,僕達日本人が読むと大げさすぎて思わず笑ってしまうような表現もあります。「極めて素早い反応,前例がないくらいに容易なボウイング」,「あらゆる演奏状態においても極めて安定しており,大変寿命が長い」などという表現は,いかにもアメリカ人らしい(ちょっとオーバーな)表現だと思います。
ただ,弦のテンションが(ポンド表示で)明記されており,こうした詳細な情報開示は,さすが情報先進国アメリカです。これによると,ヘリコアはスチール弦としては,テンション(張りの強さ)があまり高くないようです。最も一般的なナイロン弦であるドミナントと同じくらいのテンションだと思われます。
一般的には,弦のテンション(張り)が強い方が大きな音が出ますが,強過ぎると楽器が負けて音がつぶれる可能性があります。200年以上経過した古い楽器の場合,弦のテンションが高すぎると楽器を痛める可能性があります。新作楽器や,多少古くても健康状態が良い楽器の場合は,弦の張りの強さはそれほど気にしなくても大丈夫だと思います。
ヘリコアを使用している方々が特に高く評価している点は,音色のクリアさ(雑音感の少なさ)と音程の安定感で,1度調弦をしたら,その日の練習中には,ほとんど音程が狂わないようです。また,部屋の気温や湿度が多少変わっても,ほとんど影響を受けないとのことです。
このように,使っている人の評判は非常に良いのですが,ヴァイオリンの世界では,ヘリコアの知名度・人気度はいまひとつのようです。(ヴィオラやチェロの世界では,ヘリコアは結構人気があるようです。)
前置きが長くなりましたが,僕が実際に使用してみた感想を書きます。
パッケージを開けて弦を取り出すと,その異常なまでの柔らかさに驚かされます。最も太いG線でもフニャフニャとしていてヒモのようです。弦の太さは,最も多く使用されているナイロン弦「ドミナント」と比べると,A・D線がやや細いですが,E・G線は標準的な太さだと思います。
E線は,スチールの単線とアルミ巻きのものが選べますが,僕は他社の弦でもE線はアルミ巻を愛用しているので,そちらを購入しました。ボールエンドとループエンドが共用なので,ループエンドにするには,ボールを取り外して使います。「つまようじ」をボールの穴に入れて軽くひねってやると簡単に外れます。
弦が非常に柔らかいので,ペグ(糸巻き)に弦を巻くときの感触(手応え)も柔らかく感じます。(もちろん,最終的に張り上がるところまで巻いていくと差はなくなります)弦が柔らかいので,1度弦をはずして巻き直すときにも,弦に「くせ」がつかず巻き直しやすいです。調弦しやすいようにペグの止まる位置を調整するために,何度か巻き直すことがあると思いますが,ヘリコアはそのあたりの微調整がしやすくてとても扱いやすいと思います。
僕は,ヘリコアの「ミディアム・テンション」を買いましたが,弦のテンション(張力)は,ドミナントやインフェルト・レッドとほぼ同じくらいか,少し弱めだと思います。弦を押さえたときの感触は,ドミナントやインフェルト・レッドよりも柔らかく感じられ,例えば,速いテンポの音階を弾いたり,3・4重音を押さえるときや,超ハイポジションを押さえるときなどに,楽に弦が押さえられるように感じます。
弦を張ってから弦の伸びが収まるまでの時間(馴染むまでの時間)は,非常に短いです。張った直後にありがちな弦の伸びによる音程の低下が少なく,数時間で演奏可能な状態なレベルになります。ほぼ1日たつと伸びが収まって安定し,以後はその安定した状態がキープされます。安定した後は,練習中に気温や湿度が多少変化しても,音程の狂いはほとんどありません。練習中の調弦の回数は,半分くらいに減りました。また,ドミナントのように,張ってから2~3日は感じられるガサガサとした音のツブが荒い感じは,ヘリコアの場合はほとんど感じられません。短時間で馴染む点や音程の安定感では,ドミナントやインフェルト・レッドといったナイロン弦よりも,だいぶ優れているように感じます。
調弦については,ドミナントやインフェルト・レッドとはだいぶ違った感触があります。弦の伸びが少ないので,調弦のときにペグ(糸巻き)をごくわずかに回しただけでもダイレクトに音程が変わります。最初はシビアな感じがしますが,すぐに慣れますし,慣れてしまうと反応がダイレクトなので微調整も容易です。
音色は,ザラザラとした雑音感がほとんどなく,透明感のあるクリアな音色だと思います。明るい音色という点では,ドミナントも明るい音色ですが,ドミナントのような「からっとした」「ドライな」感じではなく,もう少しおとなしい感じです。E線やA線のような高音域の弦では,(鈴を振ったような心地良い)キラキラ(シャリシャリ)とした音が出ます。D線やG線のような低音域の弦では,ドミナントの方が若干太くて力強い音色のように感じますが,ヘリコアは,芯のあるしっかりとした音で実用上は問題ありません。どの弦も発音が明瞭でもやもやとした感じがなく,倍音も豊かで音程感も良いと思います。
レスポンスはドミナントやインフェルト・レッドよりも鋭敏に感じます。特に,軽いスピカートなどでの弦の反応(応答性)は,ドミナントやインフェルト・レッドよりも優れていると思います。
フラジオレット(ハーモニクス)は非常に出し易く,より透明度の高い「笛の音」が出るように思います。フラジオレットを弾くときは,ちょっとした力加減でかすれることがありますが,ヘリコアの場合はかすれずらいので,フラジオレットの音階が,以前よりだいぶ弾き易くなりました。
ピチカートは豊かに響きます。3和音・4和音をはじいたときの音量のバランスも良いです。長く使っても切れることはないと聞いていたので,(指が痛くなるくらい)思いきり強くはじいてみましたが,かなりの音量が出ます。また,はじいた後の余韻が自然な感じで心地良いです。
音量は,耳元での音量はドミナントに比べると少しだけ小さく感じますが,インフェルト・レッドよりは大きく感じます。聴いている人が感じる音量は,広い場所に持っていって比べる必要がありますが,それほど変わらないのではないかと思います。音量については,必要十分な音が出ていると思います。音の芯がしっかりしているので,遠達性は優れている(遠鳴りする)と思います。
4弦のバランスについては,チタン巻きのD線がわずかに強く感じられます。正確に言うと,D線がわずかに強いというよりは,G線がわずかに弱いのです。そう感じられる原因は,ヘリコアのG線が音量的にも音色的にも少しおとなしいためだと思います。ヘリコアのG線は,強く弾いても荒々しさがなく,透明感のある柔らかい音なので,音に太さや力強さが感じられない傾向があります。ヘリコアのG線は,チェロやビオラを思わせるような太くて力強い音を出すのには向いていませんが,実用上の音量は十分で,柔らかさと適度な透明感があり,なかなか魅力的な音だと思います。3和音・4和音を弾いたときの4弦のバランスは良好で満足できるレベルだと思います。
アルミ巻きのE線は,明るい音色で必要十分な音量があり,キンキンとした(金属的な)感じがなくてとても良いと思います。僕のヴァイオリンは,4弦ともドミナントを張ったときに,ちょうど4弦のバランスが良くなるように調整してもらっていますが,そのままの状態でヘリコアに替えてもバランスは良好で全く問題ありません。
その他の特徴としては,あまり強い力を出さなくても大きな音が出せるので,右手が楽になったように思います。どの弦もそうですが,特にG線は,ドミナントやインフェルト・レッドに比べると,軽い圧力でも無理なくスーッと音が出てくるように思います。ヘリコアだと,少し弱めの圧力で弾いても十分な音量が出るので,弓の毛を少し弱めに張って弾くことができます。これは,弦のテンションが弱めに設定されているからだと思います。
また,3和音や4和音を弾いたときにも,弦のテンションが弱めに設定されていることを感じます。弓の毛を弱めに張っても,3和音を弾くときの弓の毛のつぶれ具合が少なくて,より少ない力で和音を弾くことが可能です。
定価は4本セットで5,400円で,ドミナントより少々高いですが,インフェルト・レッドとほぼ同じ価格で,オブリガートやエヴァ・ピラッツィに比べるとだいぶ安いです。
以前から使用されている方のご意見では,ヘリコアはドミナントよりも長く使えるということですが,耐久性(音色の持続性)については,これから3ヶ月くらい使ってみて判断したいと思います。
価格を含めて総合的に評価すると,ヘリコアは非常に性能の良いバランスのとれた弦だと思います。一般的に,スチール弦というと,「安物=初心者用=音が悪い」というイメージがありますが,ヘリコアは従来のスチール弦とは全く異なっており,かなり高性能な弦だと思います。ドミナントやインフェルト・レッドなどのナイロン弦から張り替えた場合にも違和感はありませんし,価格が比較的安いので,まだお使いになったことのない方には,(他社の弦と混ぜて使うと違和感があると思われるので4本セットで)お試しいただきたいと思います。
以前から長くヘリコアをご愛用されている方がいらっしゃったら,僕の説明では足りないところを補足していただけると助かります。また,この文章を読んで,ヘリコアをお試しになられる方がいたら,ご感想など寄せていただけるとうれしく思います。
それでは,また。
このたび,アメリカのダダリオ社のヴァイオリン弦「ヘリコア」を試してみたのでレポートいたします。
ヘリコアは,スチール弦に分類されていますが,ヘリコアのコア(芯材)は,毛髪のように細いスチールフィラメントを束ねたもので,従来のスチール弦(スチールの単線)とは異なります。
僕は,ヘリコアを購入する前に,ネット上でヘリコアの情報を集めました。使用されている方々にお聞きした限りでは,ヘリコアの性能を高く評価していて満足されている方が多かったのですが,中には,ヘリコアは若干音量が小さく感じられるとおっしゃる方がいました。
アメリカのダダリオ社のホームページのヘリコアの説明を読むと,「耳元では音量が小さく感じられるが,コンサートホールいっぱいに鳴り響かせることができる。」(原文を多少意訳しております)と書かれていました。ヘリコアは,耳元でのザラザラという雑音感が少ないという特性があるようですが,それがかえって耳元での音量が物足りないという印象につながっているようです。ホームページを見る限り,これはメーカー側でも予想しているようです。
アメリカの会社のホームページなので,僕達日本人が読むと大げさすぎて思わず笑ってしまうような表現もあります。「極めて素早い反応,前例がないくらいに容易なボウイング」,「あらゆる演奏状態においても極めて安定しており,大変寿命が長い」などという表現は,いかにもアメリカ人らしい(ちょっとオーバーな)表現だと思います。
ただ,弦のテンションが(ポンド表示で)明記されており,こうした詳細な情報開示は,さすが情報先進国アメリカです。これによると,ヘリコアはスチール弦としては,テンション(張りの強さ)があまり高くないようです。最も一般的なナイロン弦であるドミナントと同じくらいのテンションだと思われます。
一般的には,弦のテンション(張り)が強い方が大きな音が出ますが,強過ぎると楽器が負けて音がつぶれる可能性があります。200年以上経過した古い楽器の場合,弦のテンションが高すぎると楽器を痛める可能性があります。新作楽器や,多少古くても健康状態が良い楽器の場合は,弦の張りの強さはそれほど気にしなくても大丈夫だと思います。
ヘリコアを使用している方々が特に高く評価している点は,音色のクリアさ(雑音感の少なさ)と音程の安定感で,1度調弦をしたら,その日の練習中には,ほとんど音程が狂わないようです。また,部屋の気温や湿度が多少変わっても,ほとんど影響を受けないとのことです。
このように,使っている人の評判は非常に良いのですが,ヴァイオリンの世界では,ヘリコアの知名度・人気度はいまひとつのようです。(ヴィオラやチェロの世界では,ヘリコアは結構人気があるようです。)
前置きが長くなりましたが,僕が実際に使用してみた感想を書きます。
パッケージを開けて弦を取り出すと,その異常なまでの柔らかさに驚かされます。最も太いG線でもフニャフニャとしていてヒモのようです。弦の太さは,最も多く使用されているナイロン弦「ドミナント」と比べると,A・D線がやや細いですが,E・G線は標準的な太さだと思います。
E線は,スチールの単線とアルミ巻きのものが選べますが,僕は他社の弦でもE線はアルミ巻を愛用しているので,そちらを購入しました。ボールエンドとループエンドが共用なので,ループエンドにするには,ボールを取り外して使います。「つまようじ」をボールの穴に入れて軽くひねってやると簡単に外れます。
弦が非常に柔らかいので,ペグ(糸巻き)に弦を巻くときの感触(手応え)も柔らかく感じます。(もちろん,最終的に張り上がるところまで巻いていくと差はなくなります)弦が柔らかいので,1度弦をはずして巻き直すときにも,弦に「くせ」がつかず巻き直しやすいです。調弦しやすいようにペグの止まる位置を調整するために,何度か巻き直すことがあると思いますが,ヘリコアはそのあたりの微調整がしやすくてとても扱いやすいと思います。
僕は,ヘリコアの「ミディアム・テンション」を買いましたが,弦のテンション(張力)は,ドミナントやインフェルト・レッドとほぼ同じくらいか,少し弱めだと思います。弦を押さえたときの感触は,ドミナントやインフェルト・レッドよりも柔らかく感じられ,例えば,速いテンポの音階を弾いたり,3・4重音を押さえるときや,超ハイポジションを押さえるときなどに,楽に弦が押さえられるように感じます。
弦を張ってから弦の伸びが収まるまでの時間(馴染むまでの時間)は,非常に短いです。張った直後にありがちな弦の伸びによる音程の低下が少なく,数時間で演奏可能な状態なレベルになります。ほぼ1日たつと伸びが収まって安定し,以後はその安定した状態がキープされます。安定した後は,練習中に気温や湿度が多少変化しても,音程の狂いはほとんどありません。練習中の調弦の回数は,半分くらいに減りました。また,ドミナントのように,張ってから2~3日は感じられるガサガサとした音のツブが荒い感じは,ヘリコアの場合はほとんど感じられません。短時間で馴染む点や音程の安定感では,ドミナントやインフェルト・レッドといったナイロン弦よりも,だいぶ優れているように感じます。
調弦については,ドミナントやインフェルト・レッドとはだいぶ違った感触があります。弦の伸びが少ないので,調弦のときにペグ(糸巻き)をごくわずかに回しただけでもダイレクトに音程が変わります。最初はシビアな感じがしますが,すぐに慣れますし,慣れてしまうと反応がダイレクトなので微調整も容易です。
音色は,ザラザラとした雑音感がほとんどなく,透明感のあるクリアな音色だと思います。明るい音色という点では,ドミナントも明るい音色ですが,ドミナントのような「からっとした」「ドライな」感じではなく,もう少しおとなしい感じです。E線やA線のような高音域の弦では,(鈴を振ったような心地良い)キラキラ(シャリシャリ)とした音が出ます。D線やG線のような低音域の弦では,ドミナントの方が若干太くて力強い音色のように感じますが,ヘリコアは,芯のあるしっかりとした音で実用上は問題ありません。どの弦も発音が明瞭でもやもやとした感じがなく,倍音も豊かで音程感も良いと思います。
レスポンスはドミナントやインフェルト・レッドよりも鋭敏に感じます。特に,軽いスピカートなどでの弦の反応(応答性)は,ドミナントやインフェルト・レッドよりも優れていると思います。
フラジオレット(ハーモニクス)は非常に出し易く,より透明度の高い「笛の音」が出るように思います。フラジオレットを弾くときは,ちょっとした力加減でかすれることがありますが,ヘリコアの場合はかすれずらいので,フラジオレットの音階が,以前よりだいぶ弾き易くなりました。
ピチカートは豊かに響きます。3和音・4和音をはじいたときの音量のバランスも良いです。長く使っても切れることはないと聞いていたので,(指が痛くなるくらい)思いきり強くはじいてみましたが,かなりの音量が出ます。また,はじいた後の余韻が自然な感じで心地良いです。
音量は,耳元での音量はドミナントに比べると少しだけ小さく感じますが,インフェルト・レッドよりは大きく感じます。聴いている人が感じる音量は,広い場所に持っていって比べる必要がありますが,それほど変わらないのではないかと思います。音量については,必要十分な音が出ていると思います。音の芯がしっかりしているので,遠達性は優れている(遠鳴りする)と思います。
4弦のバランスについては,チタン巻きのD線がわずかに強く感じられます。正確に言うと,D線がわずかに強いというよりは,G線がわずかに弱いのです。そう感じられる原因は,ヘリコアのG線が音量的にも音色的にも少しおとなしいためだと思います。ヘリコアのG線は,強く弾いても荒々しさがなく,透明感のある柔らかい音なので,音に太さや力強さが感じられない傾向があります。ヘリコアのG線は,チェロやビオラを思わせるような太くて力強い音を出すのには向いていませんが,実用上の音量は十分で,柔らかさと適度な透明感があり,なかなか魅力的な音だと思います。3和音・4和音を弾いたときの4弦のバランスは良好で満足できるレベルだと思います。
アルミ巻きのE線は,明るい音色で必要十分な音量があり,キンキンとした(金属的な)感じがなくてとても良いと思います。僕のヴァイオリンは,4弦ともドミナントを張ったときに,ちょうど4弦のバランスが良くなるように調整してもらっていますが,そのままの状態でヘリコアに替えてもバランスは良好で全く問題ありません。
その他の特徴としては,あまり強い力を出さなくても大きな音が出せるので,右手が楽になったように思います。どの弦もそうですが,特にG線は,ドミナントやインフェルト・レッドに比べると,軽い圧力でも無理なくスーッと音が出てくるように思います。ヘリコアだと,少し弱めの圧力で弾いても十分な音量が出るので,弓の毛を少し弱めに張って弾くことができます。これは,弦のテンションが弱めに設定されているからだと思います。
また,3和音や4和音を弾いたときにも,弦のテンションが弱めに設定されていることを感じます。弓の毛を弱めに張っても,3和音を弾くときの弓の毛のつぶれ具合が少なくて,より少ない力で和音を弾くことが可能です。
定価は4本セットで5,400円で,ドミナントより少々高いですが,インフェルト・レッドとほぼ同じ価格で,オブリガートやエヴァ・ピラッツィに比べるとだいぶ安いです。
以前から使用されている方のご意見では,ヘリコアはドミナントよりも長く使えるということですが,耐久性(音色の持続性)については,これから3ヶ月くらい使ってみて判断したいと思います。
価格を含めて総合的に評価すると,ヘリコアは非常に性能の良いバランスのとれた弦だと思います。一般的に,スチール弦というと,「安物=初心者用=音が悪い」というイメージがありますが,ヘリコアは従来のスチール弦とは全く異なっており,かなり高性能な弦だと思います。ドミナントやインフェルト・レッドなどのナイロン弦から張り替えた場合にも違和感はありませんし,価格が比較的安いので,まだお使いになったことのない方には,(他社の弦と混ぜて使うと違和感があると思われるので4本セットで)お試しいただきたいと思います。
以前から長くヘリコアをご愛用されている方がいらっしゃったら,僕の説明では足りないところを補足していただけると助かります。また,この文章を読んで,ヘリコアをお試しになられる方がいたら,ご感想など寄せていただけるとうれしく思います。
それでは,また。
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【ご参考】
[220]
ヘリコアについて(補足)
投稿日時:2001年08月09日 01:29
投稿者:克彦(ID:NGVycjI)
こんばんは,札幌の克彦です。ヘリコアについて若干補足いたします。
ヘリコアは,ライト,ミディアム,ヘヴィーの3段階のテンション(張りの強さ)が選べます。僕は「ミディアム・テンション」を買いましたが,弦のテンション(張力)は,ドミナントやインフェルト・レッドよりも少し弱めだと思います。弦を押さえたときの感触は,ドミナントやインフェルト・レッドよりも柔らかく感じられます。特に,速いテンポの音階を弾くとき,重音を押さえるとき,超ハイポジションを押さえるときなどに,楽に弦が押さえられるように感じます。
また,3和音や4和音を弾いたときにも,弦のテンションが弱めに設定されていることを感じます。弓の毛を弱めに張っても,3和音・4和音を弾いたときの弓の毛のつぶれ具合が少ないです。より少ない力で(楽に)和音を弾くことが可能です。
楽に弦が押さえられことにより,左手がよりリラックスするため,ヴィブラートがかかりやすいように思います。
その他の長所としては,自分が弾いている音程が正しいかどうかがとてもわかり易い弦だと思います。これはザラザラとした雑音成分が少ないことと,倍音の響きが豊かなことによるものだと思います。G線上のアリアのように,1弦上で頻繁にシフティング(ポジション移動)する曲を弾くときなどに,正しい音程を感じ易くて(取り易くて),以前よりもだいぶ弾きやすくなりました。
E線は,スチールの単線とアルミ巻きのものが選べますが,ボールエンドとループエンドが共用なので,ループエンドにするには,ボールを取り外して使います。「つまようじ」をボールの穴に入れて軽くひねってやると簡単にボールが外せます。
僕は,ドミナントやインフェルト・レッドを長く愛用してきましたが,今のところ,ヘリコアがそれらの弦と比べて劣る点(欠点)が見つかりません。音色には人それぞれ好みがあるので評価が難しい面がありますが,ヘリコアの雑音感の少ない透明な響きと音色の柔らかさは,多くの人に好まれると思います。また,音程の安定感は抜群で,演奏中の調弦の回数(頻度)は,ドミナントの半分くらいに減りました。あえて難をつけるとしたら,全体的に音量がもう少しあれば(力強かったら),とか,G線のパワー(音量,力強さ,太さ)がもう少しあれば,と言う程度です。こうした点も,良く透る音がスーッと素直に出てくる特性を考慮すると,実用上は全く問題ないと思います。
あとは,耐久性(音色の持続性)がどの程度あるか,ということですが,一般的には,ナイロン弦よりもスチール弦(従来のスチールの単線も新型のスチールフィラメントも)の方が,音色の持続性(寿命)が長いとのことです。これについては,音が悪くなって耐えがたくなるまで長~く使って試してみます。
僕は,弦については保守的で,1度気に入った弦を使い続けるタイプで,「この弦はすごくいいよ。」と,違うブランドの弦や新製品を人から薦められても,なかなか気乗りしないタイプです。
弦楽器商や製作家の方々に聞いた限りでは,積極的にいろんな弦を試す方はあまり多くはないようで,現在張っている弦をそのまま使い続けている人が大多数なのだそうです。
いろんな弦を試す方でも,1度気に入った弦が見つかったら,その後は,新製品が出てもなかなか手を出さないという傾向があると思います。
音の好みというのは人によって千差万別で,それに対応すべく多くのメーカーがいろんな種類の弦を発売しているわけですが,実際によく売れている弦というのは,ドミナントをはじめとした数種類に限られているようです。この数年は,新素材を使った高性能な弦がいくつか出てきており,それらを使用している方々の間では,ドミナントを越える弦として高く評判されているようですが,実際の売れ行きの傾向は,それほど変わっていないようです。
僕は,今回ヘリコアを試す「決断」をするまでに,使用されている方々に使用感(評価)をお聞きしたり,ネット上でヘリコアに関する情報を収集したりして,2ヶ月を要しました。長年ヘリコアを愛用されている方から,つい最近ヘリコアを使用し始めた方まで,10人くらいの方々の,ヘリコアに対する高い評価や高い満足度を聞いているうちに,「これは,かなり良い弦なのではないか。」と思い,1度試してみることにしたのです。
僕がこれまでに自分の楽器に張ったことのある弦は,すべてナイロン弦(ナイロンコアまたはペルロンコアの弦)で,ピラストロ社のトニカ,トマスティーク社のドミナント,インフェルト(ブルー及びレッド),ダダリオ社のプロ・アルテです。また,オリーブやオイドクサといったガット弦は,弦楽器展示会では何度も弾いています。
そうした経験からすると,(楽器との相性や演奏者との相性という問題は別にありますが)ヘリコアは,音色や音量については,(人によって好みがあるので)必ずしも他のブランドの弦よりも優れているとは断言できませんが,弾き易さ(弦の押さえ易さやボウイングのし易さ)や安定感(音程の狂いにくさ)を加えた総合的な性能では最上位に位置する弦だと思います。
違うブランドの弦に替えるのは,確かにちょっとした冒険ではありますが,ヘリコアは大変良い弦だと思うので,ぜひ,1度お試し下さい。なお,ヘリコアには,分数楽器用の弦も各種用意されています。音色が柔らかく,(スチールフィラメントを使用しているので)切れないという点では耐久性が抜群で,音程が非常に安定している(それでいて値段が高くない)ことから分数楽器を弾かれるお子様にもお薦めできます。
音色の耐久性(音色の持続性)については,しばらく使ってからレポートいたします。
それでは,また。
ヘリコアは,ライト,ミディアム,ヘヴィーの3段階のテンション(張りの強さ)が選べます。僕は「ミディアム・テンション」を買いましたが,弦のテンション(張力)は,ドミナントやインフェルト・レッドよりも少し弱めだと思います。弦を押さえたときの感触は,ドミナントやインフェルト・レッドよりも柔らかく感じられます。特に,速いテンポの音階を弾くとき,重音を押さえるとき,超ハイポジションを押さえるときなどに,楽に弦が押さえられるように感じます。
また,3和音や4和音を弾いたときにも,弦のテンションが弱めに設定されていることを感じます。弓の毛を弱めに張っても,3和音・4和音を弾いたときの弓の毛のつぶれ具合が少ないです。より少ない力で(楽に)和音を弾くことが可能です。
楽に弦が押さえられことにより,左手がよりリラックスするため,ヴィブラートがかかりやすいように思います。
その他の長所としては,自分が弾いている音程が正しいかどうかがとてもわかり易い弦だと思います。これはザラザラとした雑音成分が少ないことと,倍音の響きが豊かなことによるものだと思います。G線上のアリアのように,1弦上で頻繁にシフティング(ポジション移動)する曲を弾くときなどに,正しい音程を感じ易くて(取り易くて),以前よりもだいぶ弾きやすくなりました。
E線は,スチールの単線とアルミ巻きのものが選べますが,ボールエンドとループエンドが共用なので,ループエンドにするには,ボールを取り外して使います。「つまようじ」をボールの穴に入れて軽くひねってやると簡単にボールが外せます。
僕は,ドミナントやインフェルト・レッドを長く愛用してきましたが,今のところ,ヘリコアがそれらの弦と比べて劣る点(欠点)が見つかりません。音色には人それぞれ好みがあるので評価が難しい面がありますが,ヘリコアの雑音感の少ない透明な響きと音色の柔らかさは,多くの人に好まれると思います。また,音程の安定感は抜群で,演奏中の調弦の回数(頻度)は,ドミナントの半分くらいに減りました。あえて難をつけるとしたら,全体的に音量がもう少しあれば(力強かったら),とか,G線のパワー(音量,力強さ,太さ)がもう少しあれば,と言う程度です。こうした点も,良く透る音がスーッと素直に出てくる特性を考慮すると,実用上は全く問題ないと思います。
あとは,耐久性(音色の持続性)がどの程度あるか,ということですが,一般的には,ナイロン弦よりもスチール弦(従来のスチールの単線も新型のスチールフィラメントも)の方が,音色の持続性(寿命)が長いとのことです。これについては,音が悪くなって耐えがたくなるまで長~く使って試してみます。
僕は,弦については保守的で,1度気に入った弦を使い続けるタイプで,「この弦はすごくいいよ。」と,違うブランドの弦や新製品を人から薦められても,なかなか気乗りしないタイプです。
弦楽器商や製作家の方々に聞いた限りでは,積極的にいろんな弦を試す方はあまり多くはないようで,現在張っている弦をそのまま使い続けている人が大多数なのだそうです。
いろんな弦を試す方でも,1度気に入った弦が見つかったら,その後は,新製品が出てもなかなか手を出さないという傾向があると思います。
音の好みというのは人によって千差万別で,それに対応すべく多くのメーカーがいろんな種類の弦を発売しているわけですが,実際によく売れている弦というのは,ドミナントをはじめとした数種類に限られているようです。この数年は,新素材を使った高性能な弦がいくつか出てきており,それらを使用している方々の間では,ドミナントを越える弦として高く評判されているようですが,実際の売れ行きの傾向は,それほど変わっていないようです。
僕は,今回ヘリコアを試す「決断」をするまでに,使用されている方々に使用感(評価)をお聞きしたり,ネット上でヘリコアに関する情報を収集したりして,2ヶ月を要しました。長年ヘリコアを愛用されている方から,つい最近ヘリコアを使用し始めた方まで,10人くらいの方々の,ヘリコアに対する高い評価や高い満足度を聞いているうちに,「これは,かなり良い弦なのではないか。」と思い,1度試してみることにしたのです。
僕がこれまでに自分の楽器に張ったことのある弦は,すべてナイロン弦(ナイロンコアまたはペルロンコアの弦)で,ピラストロ社のトニカ,トマスティーク社のドミナント,インフェルト(ブルー及びレッド),ダダリオ社のプロ・アルテです。また,オリーブやオイドクサといったガット弦は,弦楽器展示会では何度も弾いています。
そうした経験からすると,(楽器との相性や演奏者との相性という問題は別にありますが)ヘリコアは,音色や音量については,(人によって好みがあるので)必ずしも他のブランドの弦よりも優れているとは断言できませんが,弾き易さ(弦の押さえ易さやボウイングのし易さ)や安定感(音程の狂いにくさ)を加えた総合的な性能では最上位に位置する弦だと思います。
違うブランドの弦に替えるのは,確かにちょっとした冒険ではありますが,ヘリコアは大変良い弦だと思うので,ぜひ,1度お試し下さい。なお,ヘリコアには,分数楽器用の弦も各種用意されています。音色が柔らかく,(スチールフィラメントを使用しているので)切れないという点では耐久性が抜群で,音程が非常に安定している(それでいて値段が高くない)ことから分数楽器を弾かれるお子様にもお薦めできます。
音色の耐久性(音色の持続性)については,しばらく使ってからレポートいたします。
それでは,また。
[222]
ヘリコアを鳴らすコツ
投稿日時:2001年08月09日 23:10
投稿者:克彦(ID:KZGAZZA)
こんばんは,札幌の克彦です。以前も書きましたが,ヘリコアの音量は,耳元ではドミナントよりも若干小さく感じられます。特にG線はそういう感じがします。厳密にはホールのような広いところに持って行って比べる必要がありますが,部屋の壁からの反射音を聞く限り,聴いている人には,ヘリコアの音は十分なパワーで伝わるだろうと思います。
さて,僕がヘリコアをより「鳴らす」ために考えた方法は,弓の毛を少し弱めに張るという方法です。弾く曲によって微妙に違いますが,僕は,ドミナントやインフェルト・レッドでは,弓の中心部でスティックと毛が7~8ミリ離れる状態に毛を張って演奏していましたが,ヘリコアに替えてから,それを6ミリくらいにしました。パッと見た感じは,だいぶ緩く張っているように見えると思います。
ここで誤解のないように書いておきますと,弱めに毛を張るというのは毛替えで弱めに毛を張ってもらうという意味ではなく,単に,弓のアジャスター(ネジ)を締める回数を減らして弱めに張るという意味です。
このように毛の張りの強さを替えたのは,ヘリコアは,弓の毛を弱めに張った方が,良く鳴る(音量が大きくなる)ように思うからです。一般的には,(ある程度までは)毛を強めに張った方が音量も大きくなるのですが,ヘリコアの場合は,弦のテンションが低いようなので,毛もそれに合わせて少し弱く張った方が相性が良いようです。
どの程度弱く張るかは,弓の性能や弓とヴァイオリンとの相性,そして演奏者のボウイングの圧力が関係してくるので,一概には言えませんが,少なくとも,ドミナントを弾くときよりは,毛を少し弱く張って弾いた方が,ヘリコアの場合は良い結果が出ると思います。
目安としては,3和音や4和音をフォルテで弾いたときに,毛がつぶれてスティックについてしまわない程度に強く,その範囲で,可能な限り弱く張ると,ちょうど良い毛の張り具合になると思います。
和音(重音)のない曲であれば,もう少し弱めに張ることができます。
このように毛を弱めに張ると,毛が弦によく吸いついて,より少ない力で弦(ヘリコア)を大きく振動させられるように感じます。ドミナントのような力強くて太い音量というよりは,柔らかめの豊かな音量という感じになります。
このように毛を弱めに張ってヘリコアを弾くと,ヘリコアのG線のパワー不足はあまり気にならなくなります。G線上のアリアを弾いてみて,それを実感しました。G線のやや高めのポジションでも,ドミナントよりも楽に,スーッと音が出てくるように感じます。ドミナントのときは,もう少しグッと力を入れて弾いていたような気がします。そういう意味では,右手(ボウイング)は,だいぶ楽になった感じがします。
一般論として参考になるかどうかはわかりませんが,ヘリコアのときは弓の毛を弱く張るという方法を,ぜひお試し下さい。
最後に少し質問をさせて下さい。みなさんは,ヴァイオリンの弦(A・D・G線)は,どのくらいの周期で交換されていますか?また,その弦が「音色的に満足して使える」期間はどれくらいでしょうか?(E線はどんな弦でも1ヶ月以上使うのは音色的には厳しいと思いますので,割愛しております。)
プロかアマチュアかといった演奏のレベル,演奏時間(練習時間)や演奏頻度,楽器の性能,演奏者の性格や耳などいろんな要素がからむので,「音色的に満足して使える」期間(音色の賞味期限)というのは,かなりバラツキがありますが,僕が多くの方々からお聞きしたデータや自分自身の経験から平均を割り出すと,「音色的に満足して使える」期間(賞味期限)は,ドミナントが約1ヶ月,インフェルトが約1.5ヶ月,エヴァ・ピラッツィが約2ヶ月です。
(僕も含めた)多くのアマチュアの方々は,これよりももう少し長く使っておられることと思います。これらの弦は,長く使ってもあまり切れることはないので,音色が多少悪くなっても我慢して弾く人(あるいは劣化に気づかずに弾いている人)だと,3~6ヶ月ぐらい使用しているようです。
より多くの方々にご協力いただいて,いろんなブランドの弦の「音色の持続性」(音色の賞味期限)の目安を割り出してみたいと思っております。こうして得られる情報(データ)は,多くの方々にとってひとつの「目安として」有益だと思うので,積極的に公開してみなさんと共有したいと思っております。
情報を提供して下さる方がいらっしゃいましたら,こちらの掲示板上で,あるいは直接Eメールでお知らせいただけると大変うれしく思います。
この場をお借りして,ヴァイオリンの弦に関する情報交換などできたらと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
それでは,また。
さて,僕がヘリコアをより「鳴らす」ために考えた方法は,弓の毛を少し弱めに張るという方法です。弾く曲によって微妙に違いますが,僕は,ドミナントやインフェルト・レッドでは,弓の中心部でスティックと毛が7~8ミリ離れる状態に毛を張って演奏していましたが,ヘリコアに替えてから,それを6ミリくらいにしました。パッと見た感じは,だいぶ緩く張っているように見えると思います。
ここで誤解のないように書いておきますと,弱めに毛を張るというのは毛替えで弱めに毛を張ってもらうという意味ではなく,単に,弓のアジャスター(ネジ)を締める回数を減らして弱めに張るという意味です。
このように毛の張りの強さを替えたのは,ヘリコアは,弓の毛を弱めに張った方が,良く鳴る(音量が大きくなる)ように思うからです。一般的には,(ある程度までは)毛を強めに張った方が音量も大きくなるのですが,ヘリコアの場合は,弦のテンションが低いようなので,毛もそれに合わせて少し弱く張った方が相性が良いようです。
どの程度弱く張るかは,弓の性能や弓とヴァイオリンとの相性,そして演奏者のボウイングの圧力が関係してくるので,一概には言えませんが,少なくとも,ドミナントを弾くときよりは,毛を少し弱く張って弾いた方が,ヘリコアの場合は良い結果が出ると思います。
目安としては,3和音や4和音をフォルテで弾いたときに,毛がつぶれてスティックについてしまわない程度に強く,その範囲で,可能な限り弱く張ると,ちょうど良い毛の張り具合になると思います。
和音(重音)のない曲であれば,もう少し弱めに張ることができます。
このように毛を弱めに張ると,毛が弦によく吸いついて,より少ない力で弦(ヘリコア)を大きく振動させられるように感じます。ドミナントのような力強くて太い音量というよりは,柔らかめの豊かな音量という感じになります。
このように毛を弱めに張ってヘリコアを弾くと,ヘリコアのG線のパワー不足はあまり気にならなくなります。G線上のアリアを弾いてみて,それを実感しました。G線のやや高めのポジションでも,ドミナントよりも楽に,スーッと音が出てくるように感じます。ドミナントのときは,もう少しグッと力を入れて弾いていたような気がします。そういう意味では,右手(ボウイング)は,だいぶ楽になった感じがします。
一般論として参考になるかどうかはわかりませんが,ヘリコアのときは弓の毛を弱く張るという方法を,ぜひお試し下さい。
最後に少し質問をさせて下さい。みなさんは,ヴァイオリンの弦(A・D・G線)は,どのくらいの周期で交換されていますか?また,その弦が「音色的に満足して使える」期間はどれくらいでしょうか?(E線はどんな弦でも1ヶ月以上使うのは音色的には厳しいと思いますので,割愛しております。)
プロかアマチュアかといった演奏のレベル,演奏時間(練習時間)や演奏頻度,楽器の性能,演奏者の性格や耳などいろんな要素がからむので,「音色的に満足して使える」期間(音色の賞味期限)というのは,かなりバラツキがありますが,僕が多くの方々からお聞きしたデータや自分自身の経験から平均を割り出すと,「音色的に満足して使える」期間(賞味期限)は,ドミナントが約1ヶ月,インフェルトが約1.5ヶ月,エヴァ・ピラッツィが約2ヶ月です。
(僕も含めた)多くのアマチュアの方々は,これよりももう少し長く使っておられることと思います。これらの弦は,長く使ってもあまり切れることはないので,音色が多少悪くなっても我慢して弾く人(あるいは劣化に気づかずに弾いている人)だと,3~6ヶ月ぐらい使用しているようです。
より多くの方々にご協力いただいて,いろんなブランドの弦の「音色の持続性」(音色の賞味期限)の目安を割り出してみたいと思っております。こうして得られる情報(データ)は,多くの方々にとってひとつの「目安として」有益だと思うので,積極的に公開してみなさんと共有したいと思っております。
情報を提供して下さる方がいらっしゃいましたら,こちらの掲示板上で,あるいは直接Eメールでお知らせいただけると大変うれしく思います。
この場をお借りして,ヴァイオリンの弦に関する情報交換などできたらと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
それでは,また。
[225]
Re: ヴァイオリン弦「ヘリコア」について
投稿日時:2001年08月10日 11:35
投稿者:yc(ID:FBZ4lFE)
スチール弦に分類されるけど、なかなか良いとのお話、僕も次に買う弦は
ヘリコアにしてみようかなぁ…。なんだか興味をひきます。
交換周期ですが、私の場合不精ですので、半年に一回くらいですかね。
それ以上つけていると、どうやっても音程が合わなくなったりしてきます。
当然弦は伸びきっていて楽器が鳴りません。私はここ数年はほとんど
楽器を弾かないのでそんなものですが(いや実際は1年以上張り替えてない^^;)
継続的にきちんと練習される方なら2~3ヶ月に一度は取り替えた方が
良いと思います。ちなみにドミナントです。
その他の弦ですと、ごくたまにオリーブを使ったことがありますが、
これは例え劣化しても音色では一日の長があります。半年もすれば
切れてしまうので、大きな投資を回収するため切れるまで使っていました。
だいたいそんなところです。
ヘリコアにしてみようかなぁ…。なんだか興味をひきます。
交換周期ですが、私の場合不精ですので、半年に一回くらいですかね。
それ以上つけていると、どうやっても音程が合わなくなったりしてきます。
当然弦は伸びきっていて楽器が鳴りません。私はここ数年はほとんど
楽器を弾かないのでそんなものですが(いや実際は1年以上張り替えてない^^;)
継続的にきちんと練習される方なら2~3ヶ月に一度は取り替えた方が
良いと思います。ちなみにドミナントです。
その他の弦ですと、ごくたまにオリーブを使ったことがありますが、
これは例え劣化しても音色では一日の長があります。半年もすれば
切れてしまうので、大きな投資を回収するため切れるまで使っていました。
だいたいそんなところです。
[226]
弦の種類とその特性
投稿日時:2001年08月11日 16:36
投稿者:克彦(ID:IGAmaBg)
こんにちは,札幌の克彦です。ycさんへ,お久しぶりです。お返事ありがとうございます。
実は,以前,僕もドミナントを半年近く張ってみたことがあります。(E線は1ヶ月ごとに張り替えました)当時の僕は,ドミナン党(ドミナント愛好者)だったので,ドミナントがどれくらいの期間使えるのか,耐久性を実験してみたのです。
仕事が忙しく演奏頻度があまり多くない時期(週に2~3回軽く弾く程度)だったこともありますが,3ヶ月くらいは,音色・音量ともにまずます使えるレベルでした。ただ,4ヶ月目に入ると調弦のときの5度が今一つすっきりと(ぴったりと)合わなくなりました。5ヶ月目になると音に冴えがなくなり発音がぼやけてこもり気味になり,弾くのに(音を出すのに)より大きな力が必要になり,演奏(練習)が修行(苦役)と化していました。そして,6ヶ月目に突入すると,調弦のときに5度が合わなくなり,弾いていて気持ちが悪く,耳が悪くなってしまいそうなので,まだ切れなさそうでしたが,新しいドミナントに張り替えました。張り替えたら,本当に楽に音が出せて音色が良くなり,すごく上手になった気がしたものです。もちろんこれは錯覚で,本来あるべき状態にただ「戻っただけ」だったのですが。
ドミナントはなかなか丈夫な弦で,約6ヶ月間切れないだけでなく,見た目的にも巻線(アルミやシルバー)がほつれたりしませんでした。
オリーヴは天然ガット弦ということで音色は良いですが,(最近はユーロ安などで数年前より少し安くなりましたがそれでも)価格がドミナントの約3倍と高いことに加えて,湿気に弱いなど耐久性が低くて切れやすいので,僕は1度も買ったことがありません。
僕は,長くテニスをプレイしてきましたが,テニスの世界では,いまだに天然ガットを超える合成ストリング(ナイロンなどを原料とするストリング)は出てきていません。僕も,試合に出ていた頃は,世界のトッププロの多くが愛用するバボラ(BABORAT)の天然ガット(定価8,500円,ナイロンストリングの約3倍の価格)を使用していました。打球感(打ち心地)が大変良くて,スピン(回転)が良くかかり,ボールの飛びも良いので,さらに,ボールを打ったときの音も良いので,値段が高くても十分に満足できました。
ただ,天然ガットは,湿気や水分に弱く,ナイロンストリングよりも若干切れやすいのが難点ですが,テニスの試合では,(特にプロの場合は)勝つために,多少切れ易いとわかっていても性能の良さを最優先して天然ガットを張るプレイヤーが多いです。テニスでは,試合にはラケットを数本持って行くのが通例(プロは1試合に5~10本くらい持ちこみます)で,試合中にいつでも何度でもラケットを替えることができるので,プレイ中にガットが切れてもあまり問題はありません。
テニス愛好家の間では,常にラケットは話題の中心ですが,上級者になるにつれて,ストリング(ガット)の話題が増えてきます。
ヴァイオリンの場合は,弦が切れるということは,すなわち,演奏の中止=音楽の中止(ご存知のように音楽では途中で止まることが非常に嫌われます)を意味するので,試合中にラケットをいつでも何度でも取り替えられるテニスよりも,切れることによるデメリット(ダメージ)がかなり大きいように思います。
そうしたことから,実際,現代のソリストのほぼ100%が,演奏会では,めったに切れなくて耐久性のあるナイロン弦やスチール弦を使用していますね。
ガット弦しかなかった時代の演奏家は,弦が切れ易くて,また,音程が狂い易くて本当に大変だっただろうと思います。そういう意味では,現代のヴァイオリン奏者はすごく恵まれていると思います。
テニスを長くやっていたからかどうかわかりませんが,僕は,ヴァイオリンの弦(ストリング)にとても興味があり,専門書で弦の構造や製造方法を調べたり,専門家(弦楽器商や製作家)の方々,あるいは,弦楽器愛好家の方々にいろいろとお聞きしてきました。
僕が調べた限りでは,一般論として,弦の種類別に優劣をつけると,音色の持続性(音色の寿命)が優れている順は,スチール弦>ナイロン弦>ガット弦の順です。音量については,ナイロン弦>スチール弦>ガット弦の順です。レスポンス(応答性)については,ガット弦が最も鋭敏で,ナイロン弦とスチール弦はガットにはやや劣るもののほぼ同等レベルのようです。これらについては,僕が実際に弾いたときの感覚や世間での評判とほぼ一致しています。
ただ,これは非常に意外だったのですが,音質の柔らかい順は,スチール弦>ナイロン弦>ガット弦とのことです。音質の硬さ・柔らかさは,コア(芯)の材質に大きく影響されるとのことで,その柔らかさが,スチール弦>ナイロン弦>ガット弦の順だというのです。一般的なイメージだと,スチール弦が1番硬いように思いますよね。
今回,スチールフィラメント(毛髪のように細いスチールをより合わせたもの)をコア(芯)に持つスチール弦であるヘリコアを購入するまでは,これが理解できませんでした。ところが,パッケージを開けて,その頼りないくらいにフニャフニャの,まるでヒモのようなヘリコアを見て触って,さらに,実際に張って弾いてみると,良~く理解できました。
実際,ヘリコアの音色は,そのヒモのような驚異的な柔らかさほどではないにしても,ナイロン弦やガット弦よりも柔らかいのです。
物理学的に,理論的に考えれば,弦のコア(芯)が柔らかければ,音が柔らかくなるというのは当然なのです。例えば,同じ厚さの鉄の板と木の板をたたいたとき,鉄の板は(硬いので)硬い音がして,木の板は(鉄よりは柔らかいので)柔らかい(にぶい)音がすることからも明かです。
ここで,みなんさんに1つ質問をいたします。10kgの鉄の塊と10kgの綿(わた)ではどちらが軽いでしょうか?
(仕事中などに)不意に質問されたら,一瞬何のことかと思われるかもしれませんね。そこで,もう1度お尋ねしますが,どちらが軽いでしょうか?
急にこうした質問をされると,一瞬,どちらだろうか?と迷ってしまう人が多いようです。迷うことなく(多少は迷っていただいた方が本当は良いのですが)「そんなの綿(わた)に決まってるじゃないかー!」と自信を持って即座にお答えになる方もいます。
たしかに,鉄の塊と聞くとすごく重そうなイメージ,綿(わた)と聞くとフワフワと軽いイメージを持ちますよね。
ちなみに答えは,「どちらも同じ重さ」です。なぜなら,どちらも同じ10kgだからです。
( ̄ー ̄)ニヤリ
くだらないと思われるかも知れませんが,「言葉の持つイメージによって,人間は正確な(あるいは冷静な)判断を誤ることが(時々)ある。つまり,人間は,誤解したり錯覚したりすることがある。」ということを検証してみたかったのです。
どなたでも,スチール(鉄)と聞くと金属的で硬そうだな~というイメージを,天然ガットと聞くと牛や羊の腸から作られているから柔らかそうだな~というイメージを持たれると思います。
ただ,実際には,ヘリコアはスチール弦であるにもかかわらず,ガット弦やナイロン弦よりもはるかに柔らかいのです。その結果として音色も適度に柔らかいのです。これはイメージとか弦の好みとか性能の優劣には全く関係のない絶対的な「事実」です。
これを読んでヘリコアに興味を持っていただけたら幸いです。楽器や演奏者と弦との相性の問題があるので,どんなヴァイオリンにもどんな演奏者にも合う弦,つまりパーフェクトな弦というのは残念ながら存在しませんが,ヘリコアはあらゆる項目でバランス良く高得点をつけることができるので,大変良い弦だと思います。
最後になりましたが,弦に関する情報を僕に提供して下さった方々に,また,これまでの長~い記述を読んで下さった100名を越える方々に,お礼を申し上げます。
今後も,弦に限らず、ヴァイオリンに関する有益な(有益だと思われる)情報を公開してまいりたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
それでは,また。
P.S.ヘリコアの耐久性・音色の持続性(音色の寿命)については,しばらく弾いてみて,レポートいたします。
実は,以前,僕もドミナントを半年近く張ってみたことがあります。(E線は1ヶ月ごとに張り替えました)当時の僕は,ドミナン党(ドミナント愛好者)だったので,ドミナントがどれくらいの期間使えるのか,耐久性を実験してみたのです。
仕事が忙しく演奏頻度があまり多くない時期(週に2~3回軽く弾く程度)だったこともありますが,3ヶ月くらいは,音色・音量ともにまずます使えるレベルでした。ただ,4ヶ月目に入ると調弦のときの5度が今一つすっきりと(ぴったりと)合わなくなりました。5ヶ月目になると音に冴えがなくなり発音がぼやけてこもり気味になり,弾くのに(音を出すのに)より大きな力が必要になり,演奏(練習)が修行(苦役)と化していました。そして,6ヶ月目に突入すると,調弦のときに5度が合わなくなり,弾いていて気持ちが悪く,耳が悪くなってしまいそうなので,まだ切れなさそうでしたが,新しいドミナントに張り替えました。張り替えたら,本当に楽に音が出せて音色が良くなり,すごく上手になった気がしたものです。もちろんこれは錯覚で,本来あるべき状態にただ「戻っただけ」だったのですが。
ドミナントはなかなか丈夫な弦で,約6ヶ月間切れないだけでなく,見た目的にも巻線(アルミやシルバー)がほつれたりしませんでした。
オリーヴは天然ガット弦ということで音色は良いですが,(最近はユーロ安などで数年前より少し安くなりましたがそれでも)価格がドミナントの約3倍と高いことに加えて,湿気に弱いなど耐久性が低くて切れやすいので,僕は1度も買ったことがありません。
僕は,長くテニスをプレイしてきましたが,テニスの世界では,いまだに天然ガットを超える合成ストリング(ナイロンなどを原料とするストリング)は出てきていません。僕も,試合に出ていた頃は,世界のトッププロの多くが愛用するバボラ(BABORAT)の天然ガット(定価8,500円,ナイロンストリングの約3倍の価格)を使用していました。打球感(打ち心地)が大変良くて,スピン(回転)が良くかかり,ボールの飛びも良いので,さらに,ボールを打ったときの音も良いので,値段が高くても十分に満足できました。
ただ,天然ガットは,湿気や水分に弱く,ナイロンストリングよりも若干切れやすいのが難点ですが,テニスの試合では,(特にプロの場合は)勝つために,多少切れ易いとわかっていても性能の良さを最優先して天然ガットを張るプレイヤーが多いです。テニスでは,試合にはラケットを数本持って行くのが通例(プロは1試合に5~10本くらい持ちこみます)で,試合中にいつでも何度でもラケットを替えることができるので,プレイ中にガットが切れてもあまり問題はありません。
テニス愛好家の間では,常にラケットは話題の中心ですが,上級者になるにつれて,ストリング(ガット)の話題が増えてきます。
ヴァイオリンの場合は,弦が切れるということは,すなわち,演奏の中止=音楽の中止(ご存知のように音楽では途中で止まることが非常に嫌われます)を意味するので,試合中にラケットをいつでも何度でも取り替えられるテニスよりも,切れることによるデメリット(ダメージ)がかなり大きいように思います。
そうしたことから,実際,現代のソリストのほぼ100%が,演奏会では,めったに切れなくて耐久性のあるナイロン弦やスチール弦を使用していますね。
ガット弦しかなかった時代の演奏家は,弦が切れ易くて,また,音程が狂い易くて本当に大変だっただろうと思います。そういう意味では,現代のヴァイオリン奏者はすごく恵まれていると思います。
テニスを長くやっていたからかどうかわかりませんが,僕は,ヴァイオリンの弦(ストリング)にとても興味があり,専門書で弦の構造や製造方法を調べたり,専門家(弦楽器商や製作家)の方々,あるいは,弦楽器愛好家の方々にいろいろとお聞きしてきました。
僕が調べた限りでは,一般論として,弦の種類別に優劣をつけると,音色の持続性(音色の寿命)が優れている順は,スチール弦>ナイロン弦>ガット弦の順です。音量については,ナイロン弦>スチール弦>ガット弦の順です。レスポンス(応答性)については,ガット弦が最も鋭敏で,ナイロン弦とスチール弦はガットにはやや劣るもののほぼ同等レベルのようです。これらについては,僕が実際に弾いたときの感覚や世間での評判とほぼ一致しています。
ただ,これは非常に意外だったのですが,音質の柔らかい順は,スチール弦>ナイロン弦>ガット弦とのことです。音質の硬さ・柔らかさは,コア(芯)の材質に大きく影響されるとのことで,その柔らかさが,スチール弦>ナイロン弦>ガット弦の順だというのです。一般的なイメージだと,スチール弦が1番硬いように思いますよね。
今回,スチールフィラメント(毛髪のように細いスチールをより合わせたもの)をコア(芯)に持つスチール弦であるヘリコアを購入するまでは,これが理解できませんでした。ところが,パッケージを開けて,その頼りないくらいにフニャフニャの,まるでヒモのようなヘリコアを見て触って,さらに,実際に張って弾いてみると,良~く理解できました。
実際,ヘリコアの音色は,そのヒモのような驚異的な柔らかさほどではないにしても,ナイロン弦やガット弦よりも柔らかいのです。
物理学的に,理論的に考えれば,弦のコア(芯)が柔らかければ,音が柔らかくなるというのは当然なのです。例えば,同じ厚さの鉄の板と木の板をたたいたとき,鉄の板は(硬いので)硬い音がして,木の板は(鉄よりは柔らかいので)柔らかい(にぶい)音がすることからも明かです。
ここで,みなんさんに1つ質問をいたします。10kgの鉄の塊と10kgの綿(わた)ではどちらが軽いでしょうか?
(仕事中などに)不意に質問されたら,一瞬何のことかと思われるかもしれませんね。そこで,もう1度お尋ねしますが,どちらが軽いでしょうか?
急にこうした質問をされると,一瞬,どちらだろうか?と迷ってしまう人が多いようです。迷うことなく(多少は迷っていただいた方が本当は良いのですが)「そんなの綿(わた)に決まってるじゃないかー!」と自信を持って即座にお答えになる方もいます。
たしかに,鉄の塊と聞くとすごく重そうなイメージ,綿(わた)と聞くとフワフワと軽いイメージを持ちますよね。
ちなみに答えは,「どちらも同じ重さ」です。なぜなら,どちらも同じ10kgだからです。
( ̄ー ̄)ニヤリ
くだらないと思われるかも知れませんが,「言葉の持つイメージによって,人間は正確な(あるいは冷静な)判断を誤ることが(時々)ある。つまり,人間は,誤解したり錯覚したりすることがある。」ということを検証してみたかったのです。
どなたでも,スチール(鉄)と聞くと金属的で硬そうだな~というイメージを,天然ガットと聞くと牛や羊の腸から作られているから柔らかそうだな~というイメージを持たれると思います。
ただ,実際には,ヘリコアはスチール弦であるにもかかわらず,ガット弦やナイロン弦よりもはるかに柔らかいのです。その結果として音色も適度に柔らかいのです。これはイメージとか弦の好みとか性能の優劣には全く関係のない絶対的な「事実」です。
これを読んでヘリコアに興味を持っていただけたら幸いです。楽器や演奏者と弦との相性の問題があるので,どんなヴァイオリンにもどんな演奏者にも合う弦,つまりパーフェクトな弦というのは残念ながら存在しませんが,ヘリコアはあらゆる項目でバランス良く高得点をつけることができるので,大変良い弦だと思います。
最後になりましたが,弦に関する情報を僕に提供して下さった方々に,また,これまでの長~い記述を読んで下さった100名を越える方々に,お礼を申し上げます。
今後も,弦に限らず、ヴァイオリンに関する有益な(有益だと思われる)情報を公開してまいりたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
それでは,また。
P.S.ヘリコアの耐久性・音色の持続性(音色の寿命)については,しばらく弾いてみて,レポートいたします。
[230]
Re: ヴァイオリン弦「ヘリコア」について
投稿日時:2001年08月13日 12:34
投稿者:yc(ID:NiMFlyI)
いろいろ興味深いお話ありがとうございます。各分析にほぼ全面的に
同感です。確かにドミナントは新しいうちはオリーブに勝る音量、パワーが
ありますね。ただ劣化すると音色の色彩感のなさが際立ってしまうので、
一時期そこが嫌でした。オリーブは値段と耐久性を度外視すれば、
少なくとも新しいうちは音量・音色・レスポンスともに最高です。
しかし、左右の手で音色を作れるようになれば、むしろドミナントの
パワーを味方につけて良い効果を出せると思うようになり、
ドミナント派になりました。
またお話をお聞かせ頂けるのを楽しみにしております。
同感です。確かにドミナントは新しいうちはオリーブに勝る音量、パワーが
ありますね。ただ劣化すると音色の色彩感のなさが際立ってしまうので、
一時期そこが嫌でした。オリーブは値段と耐久性を度外視すれば、
少なくとも新しいうちは音量・音色・レスポンスともに最高です。
しかし、左右の手で音色を作れるようになれば、むしろドミナントの
パワーを味方につけて良い効果を出せると思うようになり、
ドミナント派になりました。
またお話をお聞かせ頂けるのを楽しみにしております。
[234]
弦を替えたときの音量・音色の変化
投稿日時:2001年08月15日 12:53
投稿者:克彦(ID:YxYAZDA)
こんにちは,札幌の克彦です。
ycさんへ。レスありがとうございます。オリーヴは非常に高価なので,僕は1度も買ったことはないのですが,弦楽器の展示会では何度も弾かせてもらっています。ycさんがおっしゃるとおり非常に音色が美しく,特にレスポンスの俊敏さは,さすが天然ガットだと思わされます。
ただ,ガット弦は,湿気に弱いとか,運が悪いと(売れ残りで古いものだったりすると)買って数日で切れてしまう「悲劇」もあるという話を聞いていたため,丈夫で長持ちするドミナントをしばらく愛用してきました。
前回の書き込みで,テニスでは(特にプロレベルでは)現在も天然ガットが多く使用されていることをお話しましたが,その件について少し補足いたします。
最近は高性能なナイロンストリング(合成ストリング)が発売されていますが,ナイロンストリングが天然ガットになかなかかなわないのが,テンション(張りの強さ)の維持性能です。
ナイロンストリングは,天然ガットよりも磨耗しづらくて切れずづらいので,そうした点での耐久性はあるのですが,時間の経過とともにテンションがどんどん下がって行く,つまり,どんどん伸びて行ってしまう傾向があります。
テニスのストリングを手でポンポンと叩くと,テンションの強さに応じてある高さの音が鳴ります。
例えば,張りたてのときソ(G)の音が出ていたとすると,ナイロンストリングは1週間もするとファ(F)に音程が下がり,1ヶ月もするとミ(E)という具合に,3ヶ月もたつとレ(D)という風に,はっきりと音程が低下して,音がボソボソとこもった感じになります。これは,ナイロンストリングが時間の経過とともに伸びて,テンション(張り)が弱くなっている証拠です。
それが天然ガットだと,張りたてのときの音程が,かなり長い期間キープされるのです。僕の手元には,1年前に天然ガットを張ったラケットがありますが,ガットを叩いたときの音程は,張りたての頃より少しだけ下がった程度です。しかも,カラッとした抜けの良い音が響きます。
テニスでは,ストリングやガットが伸びるということは,ボールの飛びが落ちる(球速が落ちる)こととボールをコントロールする能力の低下を意味するので,競技レベルでは,ストリングやガットの「テンションの維持性能」が非常に重視されます。
ヴァイオリンの弦でも,一般的にガット弦はナイロン弦よりも「音色の持続性」が長いと言われていますが,僕はテニスでは天然ガットを使用していたので,実感として理解できます。
ヴァイオリン弦と同様にテニスでも,天然ガットはナイロンストリングよりも切れやすい傾向がありますが,ヴァイオリンの弦に比べるとかなり丈夫で,湿気にもだいぶ強いです。これは,テニスのガットの太さがヴァイオリン弦に比べてだいぶ太いことと,特殊な防水加工が施されていることによります。
ヴァイオリンのガット弦は,弾きやすさや音色を重視していて,あまり太くできないので,結果的に,耐久性はあまり高くない(切れやすい)のだと思います。
ドミナントは,全体的なバランスが良くて,誰にでも薦められる定番ですが,劣化すると本当に音色に冴えがなくなり,モコモコとした音になります。音色の寿命(賞味期限)が短いのはナイロン弦の構造に起因する「宿命」なので仕方ありませんが,弦の製造メーカーの方々にはいろいろと研究してただいて,「良い音色が長~く持続する理想的な弦」をなるべく安い値段で提供していただきたものですね。
今日は弦を替えたときの音量・音色の変化についてお話いたします。
物理学的には,(ある程度までは)弓の毛の張り具合や弦のテンションが強い方が音量が増すはずですが,ヴァイオリンの音量や音色は,ヴァイオリン+弓+弦+演奏者の総合結果に左右されるので,単純に理論化できず,なかなか難しいです。
ヴァイオリン,弓,弦,演奏者のそれぞれが相互補完関係にあるので,つまり1つを変えることが他に影響を及ぼすので,理想的な状態に近づくには,いろいろと試行錯誤する必要があります。
僕は,ドミナントからインフェルト(ブルー・レッド)に替えたときには,あまり違和感がなく,弓の毛の張り具合や演奏方法(主にボウイング)はほとんど変わりませんでしたが,ヘリコアに替えてからは,弓の毛の張り具合も弱くなり,ボウイングもより軽やかになって演奏が楽になりました。
このように,ヘリコアと相性が良いように感じる原因が,僕のボウイングが,どちらかというと弦にかける圧力が弱めで,弓圧よりは弓幅(弓のスピード)で音量を変化させるタイプだからなのか,あるいは,僕のヴァイオリンとヘリコアの相性が良いからなのか,どちらの要因が大きいのかはわかりません。
ピチカートの音色・音量は,ドミナント,インフェルト,ヘリコアを比べたとき,それほど違わないと思いますが,響きの豊かさや音の減衰の仕方がより自然な点を考慮すると,ヘリコアのピチカートの音が,僕の楽器では1番良いように思います。ピチカートは,弦をはじくという単純な動作なので,演奏者による違いが比較的少ないので(音楽の中でのピチカートのレベルは演奏者によってかなり違いますが),音色・音量が比べ易いと思います。
ヴァイオリン製作家のお話では,ヴァイオリンの調整がある程度うまく行っている場合には,ヴァイオリンと弦の相性よりも,演奏者と弦の相性(および好み)の方が,より影響度が大きいと思う,とのことでした。
その製作家によると,例えば,最もポピュラーな弦である(しかもその特性が十分に知りつくされている)ドミナントで,そのヴァイオリンが十分に鳴るように調整されていれば,他の弦に替えても,微妙に音量・音色が変わる程度で,急に鳴りが良くなったり悪くなったりするということは,ほとんどあり得ないとのことでした。
弦を替えたときに,演奏者本人には,音色や音量が大きく変わったように思う場合が多いが,少し離れたところで聴いている人には,その差はそれほど感じられないものである,ともおっしゃっていました。
この点については,僕は何度も経験済みです。ドミナントを3ヶ月ぶりに張り替えて行ったときに,ヴァイオリン教室の先生に,「今日は,先週よりもだいぶ音が出ていますね(あるいは音色がいいですね)。」と言われたことは1度もありませんでした。演奏している本人には,張り替えた後の弦の方が音色が良く,音量も大きいように感じらるのですが(特に3ヶ月も使った場合には,古い弦と新しい弦の差はだいぶ大きく感じられるのですが),少し離れたところで聴いている先生には,その差はわからないようでした。(なお,先生のレッスン室は,12畳くらいの木造の洋間で結構広いです)
ところが,ヴァイオリンを買い替えて持って行ったときには,(先生はあまり視力がよくないのか)見た目の違いはレッスンが終わってから近くで見ていただくまでお気づきになりませんでしたが,音量や音色の違いは,レッスンが始まってすぐにわかったようで,音量や音色の違いを指摘されました。
このように,演奏者本人の耳元では,弦を張り替えたときの音色や音量の違いは(特にドミナントを3ヶ月も使って張り替えた場合には),楽器を替えるのと同じ位違うように感じられますが,聴いている人には,弦の違いよりも楽器の違いの方がはるかに大きく感じられるようです。
あと,その製作家のお話では,オールド楽器の場合は,楽器の健康状態によっては弦のテンションが高すぎると問題が起きる可能性があるので多少気をつかうこともあるが,新しい楽器の場合は,良質な楽器であれば,弦の種類によって鳴り方が大きく変わるということはないとおっしゃってました。よって,弦の選択は,弦と楽器との相性の要素は少ないので,演奏者の音色の好みや弾き易さを優先して良いとのことでした。
ただ,E線のテンション(張りの強さ)は,G線の鳴りに多少影響を与えるので,その辺のバランスは考慮する必要があるとのことです。
こうしたことから,今回ヘリコアに替えてうまくいったのは,ヘリコアと僕の弾き方との相性が良かったのだろうと考えているところです。
聴いている人には,ドミナントとヘリコアの音色や音量の差があまりわからないとしても,弾いている本人がヘリコアの方が音色が良くて楽に音が出せるように感じられるとすれば,長い目で見ると,音楽表現の幅に違いが出たり,練習の効率に差が出てくると思われるます。そういう意味では,聴いている人にとって音が悪く,あるいは,小さく感じられる弦でない限りは,自分にとって良い音だと思える弾き易い弦であれば良いということが言えると思います。
ある有名な弦楽器商(弦楽器鑑定家)の方が,雑誌の記事の中で,ガット弦,ナイロン弦,スチール弦の中で,新型スチール弦であるヘリコアを最高位に推していることから,僕はヘリコアに興味を持つようになりました。そこで,ネット上でヘリコアの情報を集めたのですが,その評判が意外なほどに良かったことから,今回はじめてヘリコアを使ってみたのですが,僕にとってもヘリコアは大変良い弦のようです。
また,その弦楽器商の方は,近いうちに,ガットはほとんどすたれて,高性能(新素材)ナイロン弦や高性能スチール弦の時代が来て,最終的には,高性能スチール弦が首位にたつだろう,と予想されています。
それにしても,スチール弦であるヘリコアが,ナイロン(ポリマー)弦であるドミナントやインフェルトよりも,音色が「金属的でなくてマイルド」というのは,弾いていて不思議な感じがします。
ヘリコアは雑音感(ザラザラ感)が非常に少なく,また,楽にスーっと音が出せるので,練習中の耳や体の疲労が減って,以前よりも集中した(充実した)練習ができるようになったように思います。これで上達が早まればとてもラッキーなのですが。
音色の持続性(音の賞味期限:良い音色・音量・良い音程がどのくらいの期間持続するか)や耐久性(切れる切れないだけでなく,巻き線のほつれがないかどうか)は,引き続き調べていきたいと思っています。まだ,ヘリコアは2週間くらいしか使っていませんが,かなり長く使えそうな期待感は,僕の中には既にあります。
それでは,また。
ycさんへ。レスありがとうございます。オリーヴは非常に高価なので,僕は1度も買ったことはないのですが,弦楽器の展示会では何度も弾かせてもらっています。ycさんがおっしゃるとおり非常に音色が美しく,特にレスポンスの俊敏さは,さすが天然ガットだと思わされます。
ただ,ガット弦は,湿気に弱いとか,運が悪いと(売れ残りで古いものだったりすると)買って数日で切れてしまう「悲劇」もあるという話を聞いていたため,丈夫で長持ちするドミナントをしばらく愛用してきました。
前回の書き込みで,テニスでは(特にプロレベルでは)現在も天然ガットが多く使用されていることをお話しましたが,その件について少し補足いたします。
最近は高性能なナイロンストリング(合成ストリング)が発売されていますが,ナイロンストリングが天然ガットになかなかかなわないのが,テンション(張りの強さ)の維持性能です。
ナイロンストリングは,天然ガットよりも磨耗しづらくて切れずづらいので,そうした点での耐久性はあるのですが,時間の経過とともにテンションがどんどん下がって行く,つまり,どんどん伸びて行ってしまう傾向があります。
テニスのストリングを手でポンポンと叩くと,テンションの強さに応じてある高さの音が鳴ります。
例えば,張りたてのときソ(G)の音が出ていたとすると,ナイロンストリングは1週間もするとファ(F)に音程が下がり,1ヶ月もするとミ(E)という具合に,3ヶ月もたつとレ(D)という風に,はっきりと音程が低下して,音がボソボソとこもった感じになります。これは,ナイロンストリングが時間の経過とともに伸びて,テンション(張り)が弱くなっている証拠です。
それが天然ガットだと,張りたてのときの音程が,かなり長い期間キープされるのです。僕の手元には,1年前に天然ガットを張ったラケットがありますが,ガットを叩いたときの音程は,張りたての頃より少しだけ下がった程度です。しかも,カラッとした抜けの良い音が響きます。
テニスでは,ストリングやガットが伸びるということは,ボールの飛びが落ちる(球速が落ちる)こととボールをコントロールする能力の低下を意味するので,競技レベルでは,ストリングやガットの「テンションの維持性能」が非常に重視されます。
ヴァイオリンの弦でも,一般的にガット弦はナイロン弦よりも「音色の持続性」が長いと言われていますが,僕はテニスでは天然ガットを使用していたので,実感として理解できます。
ヴァイオリン弦と同様にテニスでも,天然ガットはナイロンストリングよりも切れやすい傾向がありますが,ヴァイオリンの弦に比べるとかなり丈夫で,湿気にもだいぶ強いです。これは,テニスのガットの太さがヴァイオリン弦に比べてだいぶ太いことと,特殊な防水加工が施されていることによります。
ヴァイオリンのガット弦は,弾きやすさや音色を重視していて,あまり太くできないので,結果的に,耐久性はあまり高くない(切れやすい)のだと思います。
ドミナントは,全体的なバランスが良くて,誰にでも薦められる定番ですが,劣化すると本当に音色に冴えがなくなり,モコモコとした音になります。音色の寿命(賞味期限)が短いのはナイロン弦の構造に起因する「宿命」なので仕方ありませんが,弦の製造メーカーの方々にはいろいろと研究してただいて,「良い音色が長~く持続する理想的な弦」をなるべく安い値段で提供していただきたものですね。
今日は弦を替えたときの音量・音色の変化についてお話いたします。
物理学的には,(ある程度までは)弓の毛の張り具合や弦のテンションが強い方が音量が増すはずですが,ヴァイオリンの音量や音色は,ヴァイオリン+弓+弦+演奏者の総合結果に左右されるので,単純に理論化できず,なかなか難しいです。
ヴァイオリン,弓,弦,演奏者のそれぞれが相互補完関係にあるので,つまり1つを変えることが他に影響を及ぼすので,理想的な状態に近づくには,いろいろと試行錯誤する必要があります。
僕は,ドミナントからインフェルト(ブルー・レッド)に替えたときには,あまり違和感がなく,弓の毛の張り具合や演奏方法(主にボウイング)はほとんど変わりませんでしたが,ヘリコアに替えてからは,弓の毛の張り具合も弱くなり,ボウイングもより軽やかになって演奏が楽になりました。
このように,ヘリコアと相性が良いように感じる原因が,僕のボウイングが,どちらかというと弦にかける圧力が弱めで,弓圧よりは弓幅(弓のスピード)で音量を変化させるタイプだからなのか,あるいは,僕のヴァイオリンとヘリコアの相性が良いからなのか,どちらの要因が大きいのかはわかりません。
ピチカートの音色・音量は,ドミナント,インフェルト,ヘリコアを比べたとき,それほど違わないと思いますが,響きの豊かさや音の減衰の仕方がより自然な点を考慮すると,ヘリコアのピチカートの音が,僕の楽器では1番良いように思います。ピチカートは,弦をはじくという単純な動作なので,演奏者による違いが比較的少ないので(音楽の中でのピチカートのレベルは演奏者によってかなり違いますが),音色・音量が比べ易いと思います。
ヴァイオリン製作家のお話では,ヴァイオリンの調整がある程度うまく行っている場合には,ヴァイオリンと弦の相性よりも,演奏者と弦の相性(および好み)の方が,より影響度が大きいと思う,とのことでした。
その製作家によると,例えば,最もポピュラーな弦である(しかもその特性が十分に知りつくされている)ドミナントで,そのヴァイオリンが十分に鳴るように調整されていれば,他の弦に替えても,微妙に音量・音色が変わる程度で,急に鳴りが良くなったり悪くなったりするということは,ほとんどあり得ないとのことでした。
弦を替えたときに,演奏者本人には,音色や音量が大きく変わったように思う場合が多いが,少し離れたところで聴いている人には,その差はそれほど感じられないものである,ともおっしゃっていました。
この点については,僕は何度も経験済みです。ドミナントを3ヶ月ぶりに張り替えて行ったときに,ヴァイオリン教室の先生に,「今日は,先週よりもだいぶ音が出ていますね(あるいは音色がいいですね)。」と言われたことは1度もありませんでした。演奏している本人には,張り替えた後の弦の方が音色が良く,音量も大きいように感じらるのですが(特に3ヶ月も使った場合には,古い弦と新しい弦の差はだいぶ大きく感じられるのですが),少し離れたところで聴いている先生には,その差はわからないようでした。(なお,先生のレッスン室は,12畳くらいの木造の洋間で結構広いです)
ところが,ヴァイオリンを買い替えて持って行ったときには,(先生はあまり視力がよくないのか)見た目の違いはレッスンが終わってから近くで見ていただくまでお気づきになりませんでしたが,音量や音色の違いは,レッスンが始まってすぐにわかったようで,音量や音色の違いを指摘されました。
このように,演奏者本人の耳元では,弦を張り替えたときの音色や音量の違いは(特にドミナントを3ヶ月も使って張り替えた場合には),楽器を替えるのと同じ位違うように感じられますが,聴いている人には,弦の違いよりも楽器の違いの方がはるかに大きく感じられるようです。
あと,その製作家のお話では,オールド楽器の場合は,楽器の健康状態によっては弦のテンションが高すぎると問題が起きる可能性があるので多少気をつかうこともあるが,新しい楽器の場合は,良質な楽器であれば,弦の種類によって鳴り方が大きく変わるということはないとおっしゃってました。よって,弦の選択は,弦と楽器との相性の要素は少ないので,演奏者の音色の好みや弾き易さを優先して良いとのことでした。
ただ,E線のテンション(張りの強さ)は,G線の鳴りに多少影響を与えるので,その辺のバランスは考慮する必要があるとのことです。
こうしたことから,今回ヘリコアに替えてうまくいったのは,ヘリコアと僕の弾き方との相性が良かったのだろうと考えているところです。
聴いている人には,ドミナントとヘリコアの音色や音量の差があまりわからないとしても,弾いている本人がヘリコアの方が音色が良くて楽に音が出せるように感じられるとすれば,長い目で見ると,音楽表現の幅に違いが出たり,練習の効率に差が出てくると思われるます。そういう意味では,聴いている人にとって音が悪く,あるいは,小さく感じられる弦でない限りは,自分にとって良い音だと思える弾き易い弦であれば良いということが言えると思います。
ある有名な弦楽器商(弦楽器鑑定家)の方が,雑誌の記事の中で,ガット弦,ナイロン弦,スチール弦の中で,新型スチール弦であるヘリコアを最高位に推していることから,僕はヘリコアに興味を持つようになりました。そこで,ネット上でヘリコアの情報を集めたのですが,その評判が意外なほどに良かったことから,今回はじめてヘリコアを使ってみたのですが,僕にとってもヘリコアは大変良い弦のようです。
また,その弦楽器商の方は,近いうちに,ガットはほとんどすたれて,高性能(新素材)ナイロン弦や高性能スチール弦の時代が来て,最終的には,高性能スチール弦が首位にたつだろう,と予想されています。
それにしても,スチール弦であるヘリコアが,ナイロン(ポリマー)弦であるドミナントやインフェルトよりも,音色が「金属的でなくてマイルド」というのは,弾いていて不思議な感じがします。
ヘリコアは雑音感(ザラザラ感)が非常に少なく,また,楽にスーっと音が出せるので,練習中の耳や体の疲労が減って,以前よりも集中した(充実した)練習ができるようになったように思います。これで上達が早まればとてもラッキーなのですが。
音色の持続性(音の賞味期限:良い音色・音量・良い音程がどのくらいの期間持続するか)や耐久性(切れる切れないだけでなく,巻き線のほつれがないかどうか)は,引き続き調べていきたいと思っています。まだ,ヘリコアは2週間くらいしか使っていませんが,かなり長く使えそうな期待感は,僕の中には既にあります。
それでは,また。
[247]
弦を長持ちさせるコツ
投稿日時:2001年08月20日 12:48
投稿者:克彦(ID:FBd3lkQ)
こんにちは,札幌の克彦です。今日は,弦を長持ちさせるコツについてお話いたします。
弦にかかる負担を減らしを劣化を防ぐために,また,スムーズに調弦できるようにするために,非常に効果的な方法がありますのでお知らせいたします。(すでに実行されている方もいらっしゃるかも知れませんが)
駒(楓でできています)やナット(上駒=指板上部の黒檀パーツ)の弦が通る溝に,4~6Bの濃い鉛筆を塗り込みます(濃い=柔らかいということです)。単に塗るだけでなく,塗り込む(塗りつける)というのがポイントです。何度も何度も鉛筆を塗り込んでいくうちに,駒の溝がまるで黒檀のようにツルツルになり,弦の滑りが極めてなめらかになります。ナット(上駒)は硬い黒檀なので,塗り込みの効果はやや小さいですが,それでも十分な効果が期待できます。
最初のうちは,なかなか鉛筆の粉が駒の溝に定着しないので,ときどき弦を緩めて塗り込んでやると早く効果が出てきます。鉛筆の粉が溝に定着してツルツルになってきたら,弦を交換するたびに鉛筆を軽く塗りこんでやるだけでOKです。こうしたことを続けていると,弦の圧力によって鉛筆の粉が駒の溝に練りこまれて,まるで黒檀のように真っ黒になってツルツルになります。
弦を1本ずつ緩めながら(完全に外さなくてもできます),駒やナット(上駒)の溝に鉛筆を「徹底的に」塗りつけて弦を張り,また緩めてもう一度塗りつける,という作業を溝が真っ黒になるまで繰り返しますが,かけた手間以上の効果は間違いなく得られます。
このようにすると,弦が極めて滑らかに駒やナット(上駒)の溝の上を動くようになるので,弦が(特に弦の巻き線が)痛みにくくなるだけでなく,駒やナット(上駒)の溝も同様に痛みにくく(磨り減りにくく)なり寿命が延びます。これにより,調弦がスムーズになって時間が短縮されるだけでなく,調弦の微調整も容易になり5度がすっきりと完璧に合うようになります。
ただ,鉛筆を塗る前の時点で駒やナット(上駒)の溝が可能な限り完全に調整されていること(各弦に対する適正な溝の深さ・幅,なめらかさ)が前提となります。鉛筆を塗るのは,既にほぼ完璧なものをさらに完璧にするための作業で,あくまで2次的なものだからです。
なお,作業をする際には,溝以外には,鉛筆の粉が付かないように注意して下さい。例えば,表板の上に鉛筆の粉が落ちたときには,軽くフッと吹いてやるときれいに取り除けます。布などで取ろうとすると,かえって塗りつける感じになってしまうことがあります。
溝は細いのでどうしても余計なところにまで鉛筆を塗ってしまうことがあります。これを防ぐには,とにかくゆっくりと慎重に作業するしかないです。
あと,大切な楽器を少しも汚したくない方には,駒の前後にティッシュや布を当てて作業をすることをお薦めします。
鉛筆の代わりに,ロウやドライソープを使う方もいますが,濃い鉛筆は簡単に入手できますし,鉛筆削りで簡単に尖らせることができるので,やはり,鉛筆が最適だと思います。
それでは,また。
弦にかかる負担を減らしを劣化を防ぐために,また,スムーズに調弦できるようにするために,非常に効果的な方法がありますのでお知らせいたします。(すでに実行されている方もいらっしゃるかも知れませんが)
駒(楓でできています)やナット(上駒=指板上部の黒檀パーツ)の弦が通る溝に,4~6Bの濃い鉛筆を塗り込みます(濃い=柔らかいということです)。単に塗るだけでなく,塗り込む(塗りつける)というのがポイントです。何度も何度も鉛筆を塗り込んでいくうちに,駒の溝がまるで黒檀のようにツルツルになり,弦の滑りが極めてなめらかになります。ナット(上駒)は硬い黒檀なので,塗り込みの効果はやや小さいですが,それでも十分な効果が期待できます。
最初のうちは,なかなか鉛筆の粉が駒の溝に定着しないので,ときどき弦を緩めて塗り込んでやると早く効果が出てきます。鉛筆の粉が溝に定着してツルツルになってきたら,弦を交換するたびに鉛筆を軽く塗りこんでやるだけでOKです。こうしたことを続けていると,弦の圧力によって鉛筆の粉が駒の溝に練りこまれて,まるで黒檀のように真っ黒になってツルツルになります。
弦を1本ずつ緩めながら(完全に外さなくてもできます),駒やナット(上駒)の溝に鉛筆を「徹底的に」塗りつけて弦を張り,また緩めてもう一度塗りつける,という作業を溝が真っ黒になるまで繰り返しますが,かけた手間以上の効果は間違いなく得られます。
このようにすると,弦が極めて滑らかに駒やナット(上駒)の溝の上を動くようになるので,弦が(特に弦の巻き線が)痛みにくくなるだけでなく,駒やナット(上駒)の溝も同様に痛みにくく(磨り減りにくく)なり寿命が延びます。これにより,調弦がスムーズになって時間が短縮されるだけでなく,調弦の微調整も容易になり5度がすっきりと完璧に合うようになります。
ただ,鉛筆を塗る前の時点で駒やナット(上駒)の溝が可能な限り完全に調整されていること(各弦に対する適正な溝の深さ・幅,なめらかさ)が前提となります。鉛筆を塗るのは,既にほぼ完璧なものをさらに完璧にするための作業で,あくまで2次的なものだからです。
なお,作業をする際には,溝以外には,鉛筆の粉が付かないように注意して下さい。例えば,表板の上に鉛筆の粉が落ちたときには,軽くフッと吹いてやるときれいに取り除けます。布などで取ろうとすると,かえって塗りつける感じになってしまうことがあります。
溝は細いのでどうしても余計なところにまで鉛筆を塗ってしまうことがあります。これを防ぐには,とにかくゆっくりと慎重に作業するしかないです。
あと,大切な楽器を少しも汚したくない方には,駒の前後にティッシュや布を当てて作業をすることをお薦めします。
鉛筆の代わりに,ロウやドライソープを使う方もいますが,濃い鉛筆は簡単に入手できますし,鉛筆削りで簡単に尖らせることができるので,やはり,鉛筆が最適だと思います。
それでは,また。
[261]
ヘリコアの音色の持続性や耐久性について
投稿日時:2001年08月25日 18:08
投稿者:克彦(ID:FQNlI0c)
こんばんは,札幌の克彦です。僕がヘリコアを使用し始めてから,約1ヵ月が経過しました。そこで,今日は,ヘリコアの音色の持続性や耐久性についてレポートします。
音色の持続性とは,張りたてのときの音色の良さをどれくらい持続できるか,ということで,音色の賞味期限と言い換えることもできます。
耐久性は,単に切れないという点だけでなく,長期間の使用後も巻き線のほつれがないかどうか,という点での丈夫さも重要です。巻き線がほつれてくると,音色が悪くなったり,音程が悪くなって調弦のときの5度がぴったりと合わなくなります。
一般的には,音色の持続性については,スチール弦>ガット弦>ナイロン弦となっており,スチール弦が最も音色の賞味期限が長いと言われています。
ヘリコアの芯(コア)は,毛髪のように細いスチールフィラメントをより合わせたもので作られており,スチール弦に分類されます。
ヘリコアは,非常に伸びの少ない弦で,張ってから数時間で弦の伸びが収まり,実用に耐えるレベルになります。その後約2日で弦の伸びはほぼ完全に収まります。張ってから約1ヶ月経過しましたが,ドミナントやインフェルトだと1ヵ月も経過すると目で見てわかるくらいにペグ(糸巻き)の止まる位置がだいぶ変わりますが,ヘリコアではペグ(糸巻き)の止まる位置は,張ってすぐの頃とほとんど変わりません。こうしたことから,ヘリコアは極めて伸びの少ない弦であることがわかります。
弦が伸びるということは,弦の張りがなくなって「へたってくる」ことを意味します。輪ゴムを長い時間伸ばしておくと,伸び切って弾力性がなくなってしまいますが,弦も同様に長期間強い圧力で引っ張られていると,少しずつ伸びて張りがなくなってしまうのです。そうなると,音色に冴えがなくなってこもり気味になり,音量も小さくなります。
参考までに書きますと,弦1本には,5~10kgの圧力が常にかかっています。演奏しているときには,もっと強い圧力がかかっていることになります。演奏時間や弾き方も多少影響しますが,基本的には時間の経過とともに,弦は伸びて劣化してしまうのです。
ドミナントは,張ってすぐのときはややキンキンとした感じがしますが,1週間もたつと適度に落ち着いてきます。そして,約1ヵ月経過すると,多少音色がこもり気味になってきます。演奏時間によりますが,ドミナントの場合,音色的に満足して使えるのは,2ヶ月ぐらいが限界だと思います。演奏時間の多い方だと,ドミナントは音色的に1ヶ月でダメになるという方もいらっしゃいます。
ヘリコアは,極めて伸びが少ないこともあって,約1ヵ月経過しても,音量や音色の劣化はあまり感じられません。ヘリコアの場合は,張ってすぐに弦が馴染んで落ち着きますが,その後はドミナントのような時間の経過に伴う変化(劣化)はほとんど感じられず,初期の状態がずっとキープされているように感じます。
次に弦の耐久性ですが,ドミナントはとても丈夫な弦で,長期間使用してもめったに切れたりしませんし,巻き線(アルミ・シルバー)がほつれるということもありません。ヘリコアも同様で,巻き線(アルミ・チタン・シルバー)のほつれは,今のところ全くありません。弦の全体にわたってなめらかな状態が保たれています。また,色のくすみや錆もありません。
弦のナット(上駒)や駒に当たっている部分は,常に非常に強い圧力がかかっているので,調弦で弦が動くときや駒の角度を調整するときに,ナットや駒の溝の付近の巻き線に負担がかかりやすく,1ヶ月も使用すると,「ほつれ」まではいかなくても,多少「乱れ」が出てくるものですが,ヘリコアの巻き線の状態は,張ってすぐのころと全然変わっていません。(普段はあまりご覧にならないかも知れませんが,目を近づけて良~く見ると,ある程度長く使用している弦だと,溝の付近の巻き線が多少ほつれているのがおわかりになると思いますので,1度その部分の弦をじっくりとご覧になってみて下さい。)
これは,単に巻き線が丈夫でしなやかだというよりは,ヘリコアの特徴である弦自体の伸びが少ないことや調弦の回数が非常に少なくて済むことが,巻き線にかかる負担を減らしているのだと思います。
こうしたことから,1ヶ月経過しても,調弦のときの5度もすっきりと合っており(しかも,短時間ですぐに合います),音程感(正しい音程の感じやすさ)も大変良好です。また,フラジョレット(ハーモニクス)もきれいに出ますし,音量も十分に出ています。
レスポンスについては,張ってすぐの頃と比べるとわずかに鈍くなったとは思いますが,十分に良好な状態ですし,右手に力を入れなくても楽にスーッと大きな音が出せます。
1ヶ月経過した現時点でのヘリコアの音色の持続性や耐久性は大変良好で,高く評価できると思います。一般的にへたりやすいと言われるナイロン弦(例えば,ドミナント・インフェルトなど)に比べると,時間の経過に伴う音色の劣化は非常に少ないと思います。
E線は,1ヶ月で張り替えましたが,このペースでいくと,A・D・G線はまだまだ当分の間は使えると思います。
E線については,僕は,ヘリコアのアルミ巻きのE線を使用していますが,以前使用していたドミナントのアルミ巻きのE線よりも,音色の持続性や耐久性が良いように思います。ドミナントのE線だと1ヶ月もするとだいぶ音が硬くなってきて耳障りな感じがしましたが,ヘリコアのE線は,張りたての頃よりは多少音量が弱くなったり音色が若干劣化するのは確かですが,1ヶ月を少し越えて使用することが可能なくらいの余裕は感じられます。
僕は,ヘリコアの柔らかくてクリアな音色や弾き易さが気に入っていますが,音色の持続性や耐久性も十分で,今後も長い期間使用できることが十分期待できそうです。そこで,次もヘリコアを張ろうと思い,張り替え用のヘリコアを1セット買ってきました。
それでは,また。
P.S.僕のヘリコアに関するレポートを読んで下さった方の中で,実際にヘリコアを購入された方が何人かいらっしゃるので(非常にうれしいです!),今後はその方々のご感想も参考にさせていただきながら,ヘリコアのレポートを進めていきたいと思っています。
音色の持続性とは,張りたてのときの音色の良さをどれくらい持続できるか,ということで,音色の賞味期限と言い換えることもできます。
耐久性は,単に切れないという点だけでなく,長期間の使用後も巻き線のほつれがないかどうか,という点での丈夫さも重要です。巻き線がほつれてくると,音色が悪くなったり,音程が悪くなって調弦のときの5度がぴったりと合わなくなります。
一般的には,音色の持続性については,スチール弦>ガット弦>ナイロン弦となっており,スチール弦が最も音色の賞味期限が長いと言われています。
ヘリコアの芯(コア)は,毛髪のように細いスチールフィラメントをより合わせたもので作られており,スチール弦に分類されます。
ヘリコアは,非常に伸びの少ない弦で,張ってから数時間で弦の伸びが収まり,実用に耐えるレベルになります。その後約2日で弦の伸びはほぼ完全に収まります。張ってから約1ヶ月経過しましたが,ドミナントやインフェルトだと1ヵ月も経過すると目で見てわかるくらいにペグ(糸巻き)の止まる位置がだいぶ変わりますが,ヘリコアではペグ(糸巻き)の止まる位置は,張ってすぐの頃とほとんど変わりません。こうしたことから,ヘリコアは極めて伸びの少ない弦であることがわかります。
弦が伸びるということは,弦の張りがなくなって「へたってくる」ことを意味します。輪ゴムを長い時間伸ばしておくと,伸び切って弾力性がなくなってしまいますが,弦も同様に長期間強い圧力で引っ張られていると,少しずつ伸びて張りがなくなってしまうのです。そうなると,音色に冴えがなくなってこもり気味になり,音量も小さくなります。
参考までに書きますと,弦1本には,5~10kgの圧力が常にかかっています。演奏しているときには,もっと強い圧力がかかっていることになります。演奏時間や弾き方も多少影響しますが,基本的には時間の経過とともに,弦は伸びて劣化してしまうのです。
ドミナントは,張ってすぐのときはややキンキンとした感じがしますが,1週間もたつと適度に落ち着いてきます。そして,約1ヵ月経過すると,多少音色がこもり気味になってきます。演奏時間によりますが,ドミナントの場合,音色的に満足して使えるのは,2ヶ月ぐらいが限界だと思います。演奏時間の多い方だと,ドミナントは音色的に1ヶ月でダメになるという方もいらっしゃいます。
ヘリコアは,極めて伸びが少ないこともあって,約1ヵ月経過しても,音量や音色の劣化はあまり感じられません。ヘリコアの場合は,張ってすぐに弦が馴染んで落ち着きますが,その後はドミナントのような時間の経過に伴う変化(劣化)はほとんど感じられず,初期の状態がずっとキープされているように感じます。
次に弦の耐久性ですが,ドミナントはとても丈夫な弦で,長期間使用してもめったに切れたりしませんし,巻き線(アルミ・シルバー)がほつれるということもありません。ヘリコアも同様で,巻き線(アルミ・チタン・シルバー)のほつれは,今のところ全くありません。弦の全体にわたってなめらかな状態が保たれています。また,色のくすみや錆もありません。
弦のナット(上駒)や駒に当たっている部分は,常に非常に強い圧力がかかっているので,調弦で弦が動くときや駒の角度を調整するときに,ナットや駒の溝の付近の巻き線に負担がかかりやすく,1ヶ月も使用すると,「ほつれ」まではいかなくても,多少「乱れ」が出てくるものですが,ヘリコアの巻き線の状態は,張ってすぐのころと全然変わっていません。(普段はあまりご覧にならないかも知れませんが,目を近づけて良~く見ると,ある程度長く使用している弦だと,溝の付近の巻き線が多少ほつれているのがおわかりになると思いますので,1度その部分の弦をじっくりとご覧になってみて下さい。)
これは,単に巻き線が丈夫でしなやかだというよりは,ヘリコアの特徴である弦自体の伸びが少ないことや調弦の回数が非常に少なくて済むことが,巻き線にかかる負担を減らしているのだと思います。
こうしたことから,1ヶ月経過しても,調弦のときの5度もすっきりと合っており(しかも,短時間ですぐに合います),音程感(正しい音程の感じやすさ)も大変良好です。また,フラジョレット(ハーモニクス)もきれいに出ますし,音量も十分に出ています。
レスポンスについては,張ってすぐの頃と比べるとわずかに鈍くなったとは思いますが,十分に良好な状態ですし,右手に力を入れなくても楽にスーッと大きな音が出せます。
1ヶ月経過した現時点でのヘリコアの音色の持続性や耐久性は大変良好で,高く評価できると思います。一般的にへたりやすいと言われるナイロン弦(例えば,ドミナント・インフェルトなど)に比べると,時間の経過に伴う音色の劣化は非常に少ないと思います。
E線は,1ヶ月で張り替えましたが,このペースでいくと,A・D・G線はまだまだ当分の間は使えると思います。
E線については,僕は,ヘリコアのアルミ巻きのE線を使用していますが,以前使用していたドミナントのアルミ巻きのE線よりも,音色の持続性や耐久性が良いように思います。ドミナントのE線だと1ヶ月もするとだいぶ音が硬くなってきて耳障りな感じがしましたが,ヘリコアのE線は,張りたての頃よりは多少音量が弱くなったり音色が若干劣化するのは確かですが,1ヶ月を少し越えて使用することが可能なくらいの余裕は感じられます。
僕は,ヘリコアの柔らかくてクリアな音色や弾き易さが気に入っていますが,音色の持続性や耐久性も十分で,今後も長い期間使用できることが十分期待できそうです。そこで,次もヘリコアを張ろうと思い,張り替え用のヘリコアを1セット買ってきました。
それでは,また。
P.S.僕のヘリコアに関するレポートを読んで下さった方の中で,実際にヘリコアを購入された方が何人かいらっしゃるので(非常にうれしいです!),今後はその方々のご感想も参考にさせていただきながら,ヘリコアのレポートを進めていきたいと思っています。
[265]
ヘリコアの食べ頃は?
投稿日時:2001年08月27日 20:22
投稿者:かんすけ(ID:JmdpKIY)
克彦さん今晩は、かんすけです。
私も克彦さんの言葉に導かれ、ついヘリコアを購入してしまいました(笑)
とはいっても今日届いたので、まだ張っていません。
そこで克彦さんにお伺いしたいのですが、ヘリコアって張って何日くらい目が一番良い音が出ました?
実は来月の8日に演奏したいので、今から張るべきか前日にするか迷ってます。
前にもお話したように、私はフォークギターを弾いています。
たまにダダリオの弦も張るのですが、ギターの弦ですと2日くらい前に張ると丁度いいんです。
ギターの場合、張ってから1週間くらいが旬なんですよ。それ以上だと、だんだん音がこもっていきます。
ギター弦は材質がブロンズなんで、湿気にも弱くすぐにさび付きますし。。。
というわけで、ヘリコアの食べ頃を教えてください。
私も克彦さんの言葉に導かれ、ついヘリコアを購入してしまいました(笑)
とはいっても今日届いたので、まだ張っていません。
そこで克彦さんにお伺いしたいのですが、ヘリコアって張って何日くらい目が一番良い音が出ました?
実は来月の8日に演奏したいので、今から張るべきか前日にするか迷ってます。
前にもお話したように、私はフォークギターを弾いています。
たまにダダリオの弦も張るのですが、ギターの弦ですと2日くらい前に張ると丁度いいんです。
ギターの場合、張ってから1週間くらいが旬なんですよ。それ以上だと、だんだん音がこもっていきます。
ギター弦は材質がブロンズなんで、湿気にも弱くすぐにさび付きますし。。。
というわけで、ヘリコアの食べ頃を教えてください。
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