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ピタゴラス音律は何故美しいか? | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 115 Comments
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ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年04月10日 20:24
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:EBU3FIA)
  純正律(自然倍音列)の和音が美しくハモることは物理的に理解できます。 ピタゴラス音律の数学的な美しさもそれなりに解るような気がしますし、弦楽器(ヴァイオリン族)と相性のいい音律であるらしいことも見当が付きます。 平均律の数学的な意味も一応解っているつもりです。

  解らないのは、ピタゴラス音律に乗った旋律が美しく聞こえるのは何故か。 そこに、物理的あるいは生理学的な根拠はあるのでしょうか?

  自然の摂理そのままみたいな純正率と違って、ピタゴラス律はある意味平均律に負けないくらい人工的な・数学的な理論の遊びの産物のように思えます。
 「だって、現にピタゴラスで弾いた方が気持ちいいでしょ?」
という方は多いと思いますが、では民族音楽なんかにでてくる(非ピタゴラス)音律は「間違って」いるのでしょうか?

  つまり、小生の疑問は、
「ピタゴラス音律というのは結局のところ西洋音楽、特に弦楽器分野の方言みたいなもので、それで育った人にとっては故郷訛りを聞くように心地よく響く、というだけのことではないのか?」
ということです。

  「ピタゴラスの全音は約204セントです」みたいな平均律を中心の物言いには不満を感じますが、かといって、「ピタゴラスが正しくて平均律は平均的に狂っている」というのも違うのかなぁ、と。

  素人の音律論はウンザリだ、という声が聞こえてきそうですが、(それに、音楽というよりも物理・数学・大脳生理学・文化論的な好奇心による質問なので益々恐縮ですが)、そこを曲げて識者諸兄からご教示頂けるとありがたく思います。
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Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月22日 15:48
投稿者:市井のアマチュア(ID:FUUXInk)
関連ですが、下記のJAOでの安永先生の指導
http://www2.jao.or.jp/report/jao_article_view.php?iid=8
お受けになられた方はいらっしゃいませんか。
安永先生が
「近くで綺麗な純正3度は、遠くでは狭すぎる」
とお教えになっている筈ですよ。ずばりこの問題じゃありませんか。
ベルリンフィルコンマスで、ミシェル・シュヴァルベ門下ですから、まさにヨーロッパ正統派でしょう。
[27492]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月22日 20:21
投稿者:匿名希望X(ID:MBlGOGI)
ちょっと手直しして再投稿:

MHOさま、少しも誤解はしていない積りでおります(爆笑)。
平均律云々とは関係ありませんよ、と申し上げているので、既にお答えしております。
SP録音などを聴くと、20世紀前半の演奏家は非常に高い煽情的な導音を取っている例があります。カール・フレッシュなども典型的です。
ユダヤ系の一部の演奏家は現在でも、ピュタゴラス以上に高い長3度、主音に滑り込むような訴えかける導音、これに魅惑的なヴィブラートを使って情緒に富む演奏をしていると感じます。
シュミュエル・アシュケナージなんて凄いですよ。
ユダヤ人の先祖がが中央ヨーロッパでジプシーと近接して居住していた為である、という説があります。
証拠はありませんが、一考に価しますよ。何故ならジプシーは移住の途上中近東に滞在してアラブの独特な音階の影響を受けたかもしれない。
主要なヴァイオリニストの大半がユダヤ系中央ヨーロッパ系だった訳で、彼等の演奏が説得力を持ったことが、ヴァイオリンといえば広い長3度、滑り込むような高い導音、という美意識を普及させたのではないか、と私は理解しています。戦後の日本の平均律普及などとは無関係でしょう。

なお、和音をピュタゴラス的に取ったほうが舞台で綺麗という安永先生の講義は、よく存じませんが、なるほどと思います。
結合音は近くで聴くとよく解りますが、遠く離れると全くといってよいほど聴こえないでしょう。同門の先輩がヨーロッパに長期留学しましたが、彼女の先生は「和音でもピュタゴラス」派でした。
ただし、ルネサンスの多声宗教音楽などの演奏は、洞窟のように残響の豊かな教会の中で歌われました。こういう響く場所で、しかも音符価値の長い、アクセントの乏しく減衰しない和音をやるときは、3度が純正な方が美しい可能性が高いかも知れません。
またパイプオルガンのような音の持続性の強い、倍音ストップなどを多用する楽器はやはり和音の純正さは大きな意味をもったでしょう。
[27496]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月23日 02:24
投稿者:MHO(ID:IRhTIHg)
[27492]
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Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月22日 20:21
投稿者:匿名希望X(ID:MBlGOGI)
ちょっと手直しして再投稿:

MHOさま、少しも誤解はしていない積りでおります(爆笑)。
平均律云々とは関係ありませんよ、と申し上げているので、既にお答えしております。
SP録音などを聴くと、20世紀前半の演奏家は非常に高い煽情的な導音を取っている例があります。カール・フレッシュなども典型的です。
ユダヤ系の一部の演奏家は現在でも、ピュタゴラス以上に高い長3度、主音に滑り込むような訴えかける導音、これに魅惑的なヴィブラートを使って情緒に富む演奏をしていると感じます。
シュミュエル・アシュケナージなんて凄いですよ。
ユダヤ人の先祖がが中央ヨーロッパでジプシーと近接して居住していた為である、という説があります。
証拠はありませんが、一考に価しますよ。何故ならジプシーは移住の途上中近東に滞在してアラブの独特な音階の影響を受けたかもしれない。
主要なヴァイオリニストの大半がユダヤ系中央ヨーロッパ系だった訳で、彼等の演奏が説得力を持ったことが、ヴァイオリンといえば広い長3度、滑り込むような高い導音、という美意識を普及させたのではないか、と私は理解しています。戦後の日本の平均律普及などとは無関係でしょう。

なお、和音をピュタゴラス的に取ったほうが舞台で綺麗という安永先生の講義は、よく存じませんが、なるほどと思います。
結合音は近くで聴くとよく解りますが、遠く離れると全くといってよいほど聴こえないでしょう。同門の先輩がヨーロッパに長期留学しましたが、彼女の先生は「和音でもピュタゴラス」派でした。
ただし、ルネサンスの多声宗教音楽などの演奏は、洞窟のように残響の豊かな教会の中で歌われました。こういう響く場所で、しかも音符価値の長い、アクセントの乏しく減衰しない和音をやるときは、3度が純正な方が美しい可能性が高いかも知れません。
またパイプオルガンのような音の持続性の強い、倍音ストップなどを多用する楽器はやはり和音の純正さは大きな意味をもったでしょう。
 匿名希望Xさん、ありがとうございます。
詳しくご説明頂いたので良く分かりました。私はまだ 1 pos. のScale や重音 scale で四苦八苦している段階なのでとてもついていけません。低レベルの話で失礼しました。 lol

シゲティも導音高かった。カザルスは導音の高さはテンポに依存する(速い旋律的では高く、スローテンポでは和声的に)と言ったとか。
[27604]

ちょっと訂正します

投稿日時:2006年05月27日 17:17
投稿者:匿名希望X(ID:ZGQIURA)
不十分な情報を晒しては責任問題なので、追記します。
フランチェスコ・ジェミニアーニ
(Francesco Geminiani, 1687-1762)
バルトロメオ・カンパニョーリ
(Bartolomeo Campagnoli , 1751-1827)
という有名なヴァイオリン教本著者がいました。
ジェミニアーニは中全音派でカンパニョーリはピュタゴラス音程派
なんですね。
そういう音程の図が掲載されていたので解るそうです。

ユダヤ演奏家が原因というのは一面的過ぎたと反省します。
或る友人から指摘を受けました。
ユダヤ演奏家に高い3度が多い、程度に申し上げるべきでした。

またフルーティストの友人に聞いたのですがフルートでは19世紀フランスに換え指でピュタゴラス音程を出すことが流行った(アルテの教本にあるとか)らしいです。ですからフランス人はピュタゴラス好きだったんでしょうね。
[27617]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月28日 00:39
投稿者:auxo(ID:JyiVJkY)
うろ覚えですが中全音律だと五度は確か狭くなりますよね?

中全音派の場合チューニングの五度はどうしていたのでしょうか?
[27618]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月28日 01:29
投稿者:匿名希望X(ID:NVI0V5g)
auxoさん、東川清一先生の「古楽の音律」という本にあります。
「5度を狭目に調弦すべし」という発言が18世紀の一部にあるそうです。しかしこの方法は必ずしも普及しなかったようで、開放弦をなるべく回避する(中全音5度だとツボが2ミリくらい違うので)演奏家が多かったそうです。
[27619]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月28日 01:49
投稿者:auxo(ID:JyiVJkY)
なるほど、開放弦が使えなくなるというのは辛いですね(笑)
弦楽器にはあまりそぐわないチューニングの方法と判断されたのかな?

有り難う御座いました。
[27636]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月29日 01:57
投稿者:MHO(ID:IRhTIHg)
[27617]
[27617]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月28日 00:39
投稿者:auxo(ID:JyiVJkY)
うろ覚えですが中全音律だと五度は確か狭くなりますよね?

中全音派の場合チューニングの五度はどうしていたのでしょうか?
auxoさん、
>中全音派の場合チューニングの五度はどうしていたのでしょうか?
---------------------
古楽器のアンサンブルを聴きに行った時のことですが、チューニングでバロックチェロのマイロン・リュツケが 自分の楽器で A, D, G, C と1本づつオルガンから音をとり、ヴァイオリン、ヴィオラがそれに合わせていました。ヴァイオリンのE線はチェロのC線にあわせていました。これが一般的かどうかは知りません。演奏では開放弦は頻繁に使われていました。

[27604]
[27604]

ちょっと訂正します

投稿日時:2006年05月27日 17:17
投稿者:匿名希望X(ID:ZGQIURA)
不十分な情報を晒しては責任問題なので、追記します。
フランチェスコ・ジェミニアーニ
(Francesco Geminiani, 1687-1762)
バルトロメオ・カンパニョーリ
(Bartolomeo Campagnoli , 1751-1827)
という有名なヴァイオリン教本著者がいました。
ジェミニアーニは中全音派でカンパニョーリはピュタゴラス音程派
なんですね。
そういう音程の図が掲載されていたので解るそうです。

ユダヤ演奏家が原因というのは一面的過ぎたと反省します。
或る友人から指摘を受けました。
ユダヤ演奏家に高い3度が多い、程度に申し上げるべきでした。

またフルーティストの友人に聞いたのですがフルートでは19世紀フランスに換え指でピュタゴラス音程を出すことが流行った(アルテの教本にあるとか)らしいです。ですからフランス人はピュタゴラス好きだったんでしょうね。
匿名希望Xさん、
>ジェミニアーニは中全音派でカンパニョーリはピュタゴラス音程派
なんですね。
そういう音程の図が掲載されていたので解るそうです。
---------------
貴重な情報ありがとう御座います。カンパニョーリの教本は持っていないのですが、「そういう音程の図」とは和音をピュタゴラスで取ることを示唆しているのでしょうか?出来ればそれを読みたいですが、大学の図書館あたりに行かないと無いでしょうね。

因みにレオポルド・モーツアルトやタルティー二 は教本や論文の中で3度等の重音の差音を五線譜に示しています。18世紀の3人の巨匠達(タルティー二、レオポルド、ジェミニアーニ)がほぼ同時期にイタリア、ドイツ/オーストリア、英国でそれぞれ重音を純正にとるように教えていたことになります。その後、彼らの弟子たちがピュタゴラス律の適用など様々なスタイルを生み出したのでしょう。
[27648]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月29日 19:35
投稿者:匿名希望X(ID:NVI0V5g)
[27636]
[27636]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月29日 01:57
投稿者:MHO(ID:IRhTIHg)
[27617] auxoさん、
>中全音派の場合チューニングの五度はどうしていたのでしょうか?
---------------------
古楽器のアンサンブルを聴きに行った時のことですが、チューニングでバロックチェロのマイロン・リュツケが 自分の楽器で A, D, G, C と1本づつオルガンから音をとり、ヴァイオリン、ヴィオラがそれに合わせていました。ヴァイオリンのE線はチェロのC線にあわせていました。これが一般的かどうかは知りません。演奏では開放弦は頻繁に使われていました。

[27604] 匿名希望Xさん、
>ジェミニアーニは中全音派でカンパニョーリはピュタゴラス音程派
なんですね。
そういう音程の図が掲載されていたので解るそうです。
---------------
貴重な情報ありがとう御座います。カンパニョーリの教本は持っていないのですが、「そういう音程の図」とは和音をピュタゴラスで取ることを示唆しているのでしょうか?出来ればそれを読みたいですが、大学の図書館あたりに行かないと無いでしょうね。

因みにレオポルド・モーツアルトやタルティー二 は教本や論文の中で3度等の重音の差音を五線譜に示しています。18世紀の3人の巨匠達(タルティー二、レオポルド、ジェミニアーニ)がほぼ同時期にイタリア、ドイツ/オーストリア、英国でそれぞれ重音を純正にとるように教えていたことになります。その後、彼らの弟子たちがピュタゴラス律の適用など様々なスタイルを生み出したのでしょう。
MHOさま。
なるほどヴァイオリンのE線とチェロのC線の問題は大変です。コンサート楽器ですら、C線というのは高めに修正します。プロのオケやらクヮルテットが行なっている例は多いです。
ただし「18世紀にも、開放弦は頻繁に使われた」とは言い切れません。
ズルツァー(1720-79)の「芸術総論」でキルンベルガー(バッハの弟子)が執筆した部分で
「ドドレミファソラー」という旋律の最後のラーの音を決して開放弦では取るな、開放弦で弾くとヴァイオリンは完全5度で調弦されているので高すぎる結果となる」
と書いています。キルンベルガーはヴァイオリンを完全5度で合わせたことが判明します。
無論両端の弦を多少修正することは行なわれた(今日同様)こともあったでしょう。しかしすべての5度をオルガンに合わせることが「一般的」だった証拠は寧ろ少ないように思います。
尚、カンパニョーリの図はヴァイオリンの4本の弦の図柄があって、その上にツボの位置が印刷されているものです(春秋社、東川清一編:「古楽の音律」=絶版?より、パトリツィオ・バルビエーリ著作部分193ページ)。
gフラットより高い場所いfシャープ、cフラットより高い場所にhが印刷されているのでジェミニアーニなどとは反対であることが明瞭です。
ではヴァイオリン演奏において、いつ頃、中全音からピュタゴラスへの転換があったかですが、イタリアで1775年、フランスで1776年に証言がある(前掲諸191-2ページ)とのことでした。
[27656]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月29日 22:51
投稿者:南社(ID:mQZnRBA)
匿名希望X さん

また訳が分らなくなったので質問です。

> 「ドドレミファソラー」という旋律の最後のラーの音を
> 決して開放弦では取るな、開放弦で弾くとヴァイオリンは
> 完全5度で調弦されているので高すぎる結果となる」
> と書いています。

これって、純正律(長調)のレとラは完全5度じゃないという話し?
この前の説明も良く分からなかったけど、最初に音を合わせるのは開放のA(ラ)でしょ。
だったら、 「ドドレミファソラー」という旋律の最後のラーは開放弦のラだから、基準の音で高すぎるはずじゃない。
「ドドレミファソラー」のレを開放で取るからこうなっちゃたんじゃない。
「レを開放で取るな」が正解なんじゃない?
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