[31272]
ヴィブラートのかけ方について
投稿日時:2007年01月26日 10:44
投稿者:catgut(ID:NhFlA3Q)
ヴィブラート解析ソフト"tartini"などで確認し、ヴィブラートに関して従来広く信じられていた以下の2つの説に誤りがあることが明らかになりました。
(1)ヴィブラートを基準音の下にかける
事実:ほとんどのプロの演奏でヴィブラートは基準音を中心に上下に均等にかけている。
(2)G線開放弦のヴィブラートは1オクターブ上のD線のG音との共鳴による
事実:楽器を振動させるだけで同等の効果が出る。弓毛と弦の接触の強さの変化によって音量が変化しヴィブラートらしく聞こえる。
つまりヴィブラートは音程の変化だけでなく音量の変化も重要である。
これらの事実により「美しいヴィブラート」をかけるために以下の試みが可能ではないかと考えられます。
(1)「最初に基準音を押えて下にかける」という意識をせずにより自由なヴィブラートのかけ方を試す。
20世紀半ばに活躍した名ヴァイオリニストの映像を見ると、指の腹の近くで
弦を押えてヴィブラートをかけている場合があります。また下方向ではなく
上方向からかけはじめる場合もあります。
(2)音程の変化だけではなく音量の変化も意識する
「開放弦のヴィブラート」が美しく聞こえるようにできれば通常のヴィブラート(音程の変化を伴う)も美しくなるのではないかと思います。このためには楽器がほとんど振動しないヴィブラートのかけ方が良いとは限りません。楽器がある程度揺れないと音量の変化が起きません。
(1)ヴィブラートを基準音の下にかける
事実:ほとんどのプロの演奏でヴィブラートは基準音を中心に上下に均等にかけている。
(2)G線開放弦のヴィブラートは1オクターブ上のD線のG音との共鳴による
事実:楽器を振動させるだけで同等の効果が出る。弓毛と弦の接触の強さの変化によって音量が変化しヴィブラートらしく聞こえる。
つまりヴィブラートは音程の変化だけでなく音量の変化も重要である。
これらの事実により「美しいヴィブラート」をかけるために以下の試みが可能ではないかと考えられます。
(1)「最初に基準音を押えて下にかける」という意識をせずにより自由なヴィブラートのかけ方を試す。
20世紀半ばに活躍した名ヴァイオリニストの映像を見ると、指の腹の近くで
弦を押えてヴィブラートをかけている場合があります。また下方向ではなく
上方向からかけはじめる場合もあります。
(2)音程の変化だけではなく音量の変化も意識する
「開放弦のヴィブラート」が美しく聞こえるようにできれば通常のヴィブラート(音程の変化を伴う)も美しくなるのではないかと思います。このためには楽器がほとんど振動しないヴィブラートのかけ方が良いとは限りません。楽器がある程度揺れないと音量の変化が起きません。
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Re: ヴィブラートのかけ方について
投稿日時:2007年02月04日 00:29
投稿者:通りすがり(ID:IBIIcHY)
バイオリンとチェロで開放弦ビブラートをやってみました。
1.普通に構えてD線のGの位置でビブラートをかけ、開放のG線を弾く
→これまで多くの方が言われているようにビブラートがかかります。
2.普通に構えてD線のG以外の位置を押さえてビブラートをかける
→1.と判別できませんでした。
3.前のスレでpochi様が指摘されていることから、ヘッドを柱に押し付けて D線のGの位置を押さえ、開放Gを弾く
→ビブラートはかかりませんでした。
4.チェロのG線Cの位置を押さえ開放C線を弾く
→殆どビブラートは掛かりません。私のビブラートが下手なせいでしょうか?
5.チェロのエンドピンを抜いて同じことをする
→バイオリンのように開放弦ビブラートがかかりました。
結論
1.開放弦ビブラートはpochi様はじめ多くの方が言われているように、楽器本体の揺れに起因すると推測される。音量変化も音程変化もあると思われるますが、波形解析していません(できません)ので詳しいことは分かりません。
2.チェロはエンドピンで支えているので楽器は左手の揺れによる楽器の揺れは抑制されます。
以上私の実験結果でした。
1.普通に構えてD線のGの位置でビブラートをかけ、開放のG線を弾く
→これまで多くの方が言われているようにビブラートがかかります。
2.普通に構えてD線のG以外の位置を押さえてビブラートをかける
→1.と判別できませんでした。
3.前のスレでpochi様が指摘されていることから、ヘッドを柱に押し付けて D線のGの位置を押さえ、開放Gを弾く
→ビブラートはかかりませんでした。
4.チェロのG線Cの位置を押さえ開放C線を弾く
→殆どビブラートは掛かりません。私のビブラートが下手なせいでしょうか?
5.チェロのエンドピンを抜いて同じことをする
→バイオリンのように開放弦ビブラートがかかりました。
結論
1.開放弦ビブラートはpochi様はじめ多くの方が言われているように、楽器本体の揺れに起因すると推測される。音量変化も音程変化もあると思われるますが、波形解析していません(できません)ので詳しいことは分かりません。
2.チェロはエンドピンで支えているので楽器は左手の揺れによる楽器の揺れは抑制されます。
以上私の実験結果でした。
[31374]
Re: ヴィブラートのかけ方について
投稿日時:2007年02月04日 01:46
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
通りすがりさま、検証ありがとうございます。
なお、tartiniはWindows版とMac OSX版、Linux版がありますから、ここにアクセスできる方はほどんどが利用できます。tartiniは楽器を弾く人にとっては、電子チューナー以上に便利なものだと思います。これを使わない手はありません。
作成したwavファイルをtartiniにかけるだけで、自分の演奏の音程がどうなっているか、ヴィブラートをどのようにかけているか、音量はどのように変化しているかなど、演奏音を聞きながら目で見て確認することができます。
また、巨匠の演奏がどうなっているかチェックすることも容易です。
tartiniのページ
ttp://miracle.otago.ac.nz/postgrads/tartini/
使用上の注意は私のWebにも書いていますが、以下の通りです。
・wavファイルのファイル名、フォルダ名に日本語は使えません。またテンポラリファイルにも日本語は使用できません。(Options-Preference-Temporary Filesで変更可能)
・音程(G,D,A,Eなど)の線が表示されますが、A=440Hz固定で表示されます。このため基準ピッチが不明な演奏をチェックする場合は、G線開放弦など開放弦を使う音で基準ピッチを確認する必要があります。
なお、tartiniはWindows版とMac OSX版、Linux版がありますから、ここにアクセスできる方はほどんどが利用できます。tartiniは楽器を弾く人にとっては、電子チューナー以上に便利なものだと思います。これを使わない手はありません。
作成したwavファイルをtartiniにかけるだけで、自分の演奏の音程がどうなっているか、ヴィブラートをどのようにかけているか、音量はどのように変化しているかなど、演奏音を聞きながら目で見て確認することができます。
また、巨匠の演奏がどうなっているかチェックすることも容易です。
tartiniのページ
ttp://miracle.otago.ac.nz/postgrads/tartini/
使用上の注意は私のWebにも書いていますが、以下の通りです。
・wavファイルのファイル名、フォルダ名に日本語は使えません。またテンポラリファイルにも日本語は使用できません。(Options-Preference-Temporary Filesで変更可能)
・音程(G,D,A,Eなど)の線が表示されますが、A=440Hz固定で表示されます。このため基準ピッチが不明な演奏をチェックする場合は、G線開放弦など開放弦を使う音で基準ピッチを確認する必要があります。
[31376]
Re: ヴィブラートのかけ方について
投稿日時:2007年02月04日 12:21
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:ECgVaCg)
Catgut様、アマチュアチェロ弾き様、通りすがり様、
早速のデータ提供ありがとうございます。 チェロの開放弦については結果が割れてしまいましたね。 小生も追試できたらご報告します。 隣の弦にビブラートかけることで間接的に駒を揺すっているのかと漠然と思っていましたが、これはどうも違うっぽいですね。
Catgut様、
興味深い話題を提供頂いて感謝しています。 ただ一つだけ、
> tartiniは楽器を弾く人にとっては、電子チューナー以上に便利
は頂けません。 そもそも楽器を弾く人にとってチューナは大して役立つとは思ってません。 むしろ害も多いと感じています。 音律や波形分析を云々するのはそれはそれで楽しいのですが、結局のところ音楽は耳と心で聴いてどう感じるか/気持ちよいand/or説得力のある音を出すにはどうすればよいか、でしょう。
Tartiniで名人のビブラートの波形分析をいくらやっても、それでビブラートが上手くなるとは思えません。 名人本人は下に向かってかけている(つもり)かも知れませんしね。
確かに世の中にはピアノのビブラートみたいに物理的に意味の無い思い込みもありますから、それを指摘するのは有益なんでしょう。 チェロのC線のビブラートなんか、その類かも知れませんね。
早速のデータ提供ありがとうございます。 チェロの開放弦については結果が割れてしまいましたね。 小生も追試できたらご報告します。 隣の弦にビブラートかけることで間接的に駒を揺すっているのかと漠然と思っていましたが、これはどうも違うっぽいですね。
Catgut様、
興味深い話題を提供頂いて感謝しています。 ただ一つだけ、
> tartiniは楽器を弾く人にとっては、電子チューナー以上に便利
は頂けません。 そもそも楽器を弾く人にとってチューナは大して役立つとは思ってません。 むしろ害も多いと感じています。 音律や波形分析を云々するのはそれはそれで楽しいのですが、結局のところ音楽は耳と心で聴いてどう感じるか/気持ちよいand/or説得力のある音を出すにはどうすればよいか、でしょう。
Tartiniで名人のビブラートの波形分析をいくらやっても、それでビブラートが上手くなるとは思えません。 名人本人は下に向かってかけている(つもり)かも知れませんしね。
確かに世の中にはピアノのビブラートみたいに物理的に意味の無い思い込みもありますから、それを指摘するのは有益なんでしょう。 チェロのC線のビブラートなんか、その類かも知れませんね。
[31377]
Re: ヴィブラートのかけ方について
投稿日時:2007年02月04日 14:23
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
セロ轢きのGoshさま、
ここで電子チューナー使用の是非を議論するつもりはありませんが、
録音機器も19世紀末までは存在しなかったのです。セロ轢きのGoshさまが練習に録音機器も一切使用しないということであれば一貫していると思いますが、そうでないのであれば、利用できる装置は各人の能力や嗜好に合わせて活用すべきでしょう。それで明らかに役立たない・有害だとわかれば、使用しなければよいだけのことです。
私は電子チューナーは「便利」であり「役に立つ」と考えています。
ここで電子チューナー使用の是非を議論するつもりはありませんが、
録音機器も19世紀末までは存在しなかったのです。セロ轢きのGoshさまが練習に録音機器も一切使用しないということであれば一貫していると思いますが、そうでないのであれば、利用できる装置は各人の能力や嗜好に合わせて活用すべきでしょう。それで明らかに役立たない・有害だとわかれば、使用しなければよいだけのことです。
私は電子チューナーは「便利」であり「役に立つ」と考えています。
[31378]
Re: ヴィブラートのかけ方について
投稿日時:2007年02月04日 14:38
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
セロ轢きのGoshさま、
「Tartiniで名人のビブラートの波形分析をいくらやっても、それでビブラートが上手くなるとは思えません。 名人本人は下に向かってかけている(つもり)かも知れませんしね。」
そうでしょうか。なにかに書いてありましたが、かつての日本のヴァイオリニストはSPレコードの回転数を落として名人のヴィブラートのかけ方を聞き取り、真似ををしたそうです。tartiniでも同様のことが行えるわけです。
また、繰り返しになりますが、第二次大戦以前には「ヴィブラートを基準音の下にかける」という考え方自体が存在していないと考えられます。当時の名人が「下に向かってかける」と考えていた可能性はほとんどありません。
「Tartiniで名人のビブラートの波形分析をいくらやっても、それでビブラートが上手くなるとは思えません。 名人本人は下に向かってかけている(つもり)かも知れませんしね。」
そうでしょうか。なにかに書いてありましたが、かつての日本のヴァイオリニストはSPレコードの回転数を落として名人のヴィブラートのかけ方を聞き取り、真似ををしたそうです。tartiniでも同様のことが行えるわけです。
また、繰り返しになりますが、第二次大戦以前には「ヴィブラートを基準音の下にかける」という考え方自体が存在していないと考えられます。当時の名人が「下に向かってかける」と考えていた可能性はほとんどありません。
[31379]
Re: ヴィブラートのかけ方について
投稿日時:2007年02月04日 14:47
投稿者:アマチュアチェロ弾き(ID:hZJZR4A)
皆さん
まず、開放弦ビブラートをかけて、どの程度音程が変化するのか、実験しました。
チェロのC線開放弦を弾き、G線のどこか(例えば、H、C、Cis等)に2の指でビブラートをかけ、それらを自作のソフトで確認してまました。結果として、ノイズに埋もれて見にくいですが、数cent幅の音程の変動が認められます。数cent幅の変化が人間に感知できるのかは、微妙なところですね。G線のビブラートのかける位置による違いは、特に認められませんでした。
次に、通りすがりさんが話題提供されたチェロのC線の開放弦ビブラートですが、私の場合は明らかに耳で感知できますし、ソフトでも確認できます。おそらく弾き方の違い、例えばビブラートの大きさ(私の場合はD線にかけたビブラートの幅は25cent程度です。もし出来ればTartiniで確認してみてください。半音の1/4の大きさです)とか、ビブラートの方向が異なるのかもしれませんね。また、私の場合、チェロを両足で強くはさんではいないので、ビブラートをかけたときの横方向のゆれが大きいのかもしれませんね。
それから、エンドピンなしの場合(両足ではさんで保持する)も確かめてみました。私も予期していなかったのですが、意外なことにエンドピンありの場合よりも、ビブラートの感じ方が少なくなりました。ソフトでも確認できました。楽器をよく観察してみると、確かに大きくゆれているようですが、指板側とエンドピン側が逆位相の動きになっていて、そのために駒付近のゆれが小さくなるという現象がおきているようです。そのためにビブラート感が少なくなったものと思われます。奏者により、違うのかもしれませんね。
因みに楽器のゆれは、1)長手方向、2)表裏方向、3)左右方向の3種類に分類され、ビブラートにより2)と3)が誘発され、その結果、音量の変化が生じるように思います。
何だかスレッドが複雑になってきましたが(というか、私が余計に複雑にしてしまったかもしれませんが)、私がここで皆様と確認したいのは、もし開放弦ビブラートをかける場合、かけるのはオクターブ上の音でなくてもちっともかまわない、ということです。catgutさんもそうですよね!?
因みに私は実際の演奏においてチェロで開放弦ビブラートをかけることはありません。(^^;
まず、開放弦ビブラートをかけて、どの程度音程が変化するのか、実験しました。
チェロのC線開放弦を弾き、G線のどこか(例えば、H、C、Cis等)に2の指でビブラートをかけ、それらを自作のソフトで確認してまました。結果として、ノイズに埋もれて見にくいですが、数cent幅の音程の変動が認められます。数cent幅の変化が人間に感知できるのかは、微妙なところですね。G線のビブラートのかける位置による違いは、特に認められませんでした。
次に、通りすがりさんが話題提供されたチェロのC線の開放弦ビブラートですが、私の場合は明らかに耳で感知できますし、ソフトでも確認できます。おそらく弾き方の違い、例えばビブラートの大きさ(私の場合はD線にかけたビブラートの幅は25cent程度です。もし出来ればTartiniで確認してみてください。半音の1/4の大きさです)とか、ビブラートの方向が異なるのかもしれませんね。また、私の場合、チェロを両足で強くはさんではいないので、ビブラートをかけたときの横方向のゆれが大きいのかもしれませんね。
それから、エンドピンなしの場合(両足ではさんで保持する)も確かめてみました。私も予期していなかったのですが、意外なことにエンドピンありの場合よりも、ビブラートの感じ方が少なくなりました。ソフトでも確認できました。楽器をよく観察してみると、確かに大きくゆれているようですが、指板側とエンドピン側が逆位相の動きになっていて、そのために駒付近のゆれが小さくなるという現象がおきているようです。そのためにビブラート感が少なくなったものと思われます。奏者により、違うのかもしれませんね。
因みに楽器のゆれは、1)長手方向、2)表裏方向、3)左右方向の3種類に分類され、ビブラートにより2)と3)が誘発され、その結果、音量の変化が生じるように思います。
何だかスレッドが複雑になってきましたが(というか、私が余計に複雑にしてしまったかもしれませんが)、私がここで皆様と確認したいのは、もし開放弦ビブラートをかける場合、かけるのはオクターブ上の音でなくてもちっともかまわない、ということです。catgutさんもそうですよね!?
因みに私は実際の演奏においてチェロで開放弦ビブラートをかけることはありません。(^^;
[31381]
Re: ヴィブラートのかけ方について
投稿日時:2007年02月04日 16:51
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
アマチュアチェロ弾きさま、
「catgutさんもそうですよね!?」
まったくその通りです。D線の共鳴音がすること自体は確かですが、ほとんど「開放弦のヴィブラート」には関係ないと思います。
以下は[31378]
で触れたSPレコードの回転数を落として奏法を研究した件のソースです。
江藤俊哉 ヴァイオリンと共に(音楽之友社)
江藤氏と門下生の座談会の模様です。江藤氏の発言です。
p224-p225 より引用
SPのほうが、LPよりもはっきりわかるんですね。ヴィブラートの付け方とかね。(回転数を遅くするため)ターンテーブルのレコードを手で押さえて、ゆっくりさせて勉強したんです。自分勝手なスピードでね。(略)
30回転位にすると、どこでシフトするとか、完璧にわかるんですよね。(略)
だから、たとえばハイフェッツがどこでシフトして、どのようにやってるなんて
よく分かって、それをまねしてやったら本当にうまくできたんですよ。
「catgutさんもそうですよね!?」
まったくその通りです。D線の共鳴音がすること自体は確かですが、ほとんど「開放弦のヴィブラート」には関係ないと思います。
以下は[31378]
[31378]
Re: ヴィブラートのかけ方について
投稿日時:2007年02月04日 14:38
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
セロ轢きのGoshさま、
「Tartiniで名人のビブラートの波形分析をいくらやっても、それでビブラートが上手くなるとは思えません。 名人本人は下に向かってかけている(つもり)かも知れませんしね。」
そうでしょうか。なにかに書いてありましたが、かつての日本のヴァイオリニストはSPレコードの回転数を落として名人のヴィブラートのかけ方を聞き取り、真似ををしたそうです。tartiniでも同様のことが行えるわけです。
また、繰り返しになりますが、第二次大戦以前には「ヴィブラートを基準音の下にかける」という考え方自体が存在していないと考えられます。当時の名人が「下に向かってかける」と考えていた可能性はほとんどありません。
「Tartiniで名人のビブラートの波形分析をいくらやっても、それでビブラートが上手くなるとは思えません。 名人本人は下に向かってかけている(つもり)かも知れませんしね。」
そうでしょうか。なにかに書いてありましたが、かつての日本のヴァイオリニストはSPレコードの回転数を落として名人のヴィブラートのかけ方を聞き取り、真似ををしたそうです。tartiniでも同様のことが行えるわけです。
また、繰り返しになりますが、第二次大戦以前には「ヴィブラートを基準音の下にかける」という考え方自体が存在していないと考えられます。当時の名人が「下に向かってかける」と考えていた可能性はほとんどありません。
江藤俊哉 ヴァイオリンと共に(音楽之友社)
江藤氏と門下生の座談会の模様です。江藤氏の発言です。
p224-p225 より引用
SPのほうが、LPよりもはっきりわかるんですね。ヴィブラートの付け方とかね。(回転数を遅くするため)ターンテーブルのレコードを手で押さえて、ゆっくりさせて勉強したんです。自分勝手なスピードでね。(略)
30回転位にすると、どこでシフトするとか、完璧にわかるんですよね。(略)
だから、たとえばハイフェッツがどこでシフトして、どのようにやってるなんて
よく分かって、それをまねしてやったら本当にうまくできたんですよ。
[31383]
Re: ヴィブラートのかけ方について
投稿日時:2007年02月04日 19:23
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
言うまでもありませんが「上手な人の真似をする」ことは大事です。
このため名人の演奏を何度も聞いたり、映像を見たりするわけです。
江藤氏が行ったようにレコードをゆっくり再生したり、映像を
スローモーションで再生することでも多くの情報が得ることができます。
これを一歩進めたのがtartiniのような音響解析ソフトによる解析です。
例えば、ヴィブラートに関して自分が模範としたい名人の特定の
演奏の特定部分について、
・どの程度の幅でかけているか
・どの程度音量の変化があるか
・1秒間に何回かけているか
などを容易に確認でき、それを目標に練習できるわけです。
練習結果を客観的に比較することも可能です。
tartiniのような音響解析ソフトを演奏者個人が使うことは従来ほとんどなかったのですから抵抗がある人もいるでしょうが、これを活用しない手はないと私は思います。
このため名人の演奏を何度も聞いたり、映像を見たりするわけです。
江藤氏が行ったようにレコードをゆっくり再生したり、映像を
スローモーションで再生することでも多くの情報が得ることができます。
これを一歩進めたのがtartiniのような音響解析ソフトによる解析です。
例えば、ヴィブラートに関して自分が模範としたい名人の特定の
演奏の特定部分について、
・どの程度の幅でかけているか
・どの程度音量の変化があるか
・1秒間に何回かけているか
などを容易に確認でき、それを目標に練習できるわけです。
練習結果を客観的に比較することも可能です。
tartiniのような音響解析ソフトを演奏者個人が使うことは従来ほとんどなかったのですから抵抗がある人もいるでしょうが、これを活用しない手はないと私は思います。
[31384]
Re: ヴィブラートのかけ方について
投稿日時:2007年02月05日 09:28
投稿者:市井のアマ1(ID:FUUXInk)
31357は私です。
catgut氏のサイトをつぶさに拝見しました。博覧強記ですね。ずいぶん丹念に広範な参考文献をお読みだと思います。情報収集能力としては驚異的です。フレットつきヴァイオリンやラッカー塗装のヴァイオリンなど全く知りませんでした。勉強になりました。
31357で感情を害されたのは申し訳ありませんが、私の言いたいのは、何を根拠として引用し、何を参考に止めるべきか、ということです。
-----
(1) 開放弦のヴィブラート。私はバナナボウのくだりで書きましたが右手のヴィブラートはよく理解していますので開放弦はその親類のように楽器の震動でヴィブラートをかけることは理解しています。ただし実際の演奏ではあまり(いやほとんど)かけません。たいして重要ではないと思います。
ですから「反論」したのではありません。ようするにご指摘のサイトのオーナー氏の発言を根拠としない方がよい(根拠になるはずがない)ということを申し上げただけです。ヴァイオリンを弾かない方の発言ですし…。
(2) ヴィブラートの上下うんぬんですが、チェロとはかなり違ったかけ方をヴァイオリンではやりますし、教師がレッスンでやる「下にかけるイメージ」(ドアをノックするようなイメージ)という教え方には手の解剖学的構造から来る相応な理由があります。これに反してチェロは手首を回転させますから音程の上下という感覚になるのが自然でしょう。
しかし教育上、あるいは手の解剖学的理由はさておき、「下に向かうように」、「ドアをノックするように」かけても{筋肉のバネの反発で}下にひっぱられた指は本に帰ってきて更に音程の上の方にあがることは事実でしょう。ですからそんなに不思議なことではない。
「波の上端を音として認識」云々は事実誤認なのかも知れないとは思います。作者名を失念しましたが日本人の昔の書物でも同じことがかかれていました。ただし実害があるかというと演奏する上で淘汰されていきますから現役演奏家に「上端音程説」の弊害があるとは、あまり考えられないので大騒ぎするのも可笑しいでしょう。演奏とは所詮、実地のもので、レッスンの場やコンクールできびしく淘汰されます。アマチュア桶でも音程の悪い人は居心地が悪い筈です。
-------------
ガラミアン師について
ここがきわめて重要なのでご理解いただきたい。
catgut氏のサイトの「ガラミアンが著書に書いた影響」で誤解が広まった云々ですが。これは所詮推測でしかなく、証拠が与えられていません。世界のヴァイオリニストはガラミアン門下だけではないですし、ガラミアン以外にどんな先生がどんなヴィブラートを教えたかの立証はとうてい無理でしょう。
せいぜい:
「物理的なデーターとは矛盾しますが、ガラミアンのように偉い先生がこういうことを言った(彼自身の著作でなく他人が彼の教えを書き留めたものであったと思います)のは興味深い」
程度にしておけば公平であったのでは。
ガラミアンは現場の人であり、理論・文筆の人ではありません。先生に理論の苦手な人は多いのですよ。そういう先生に限って偉大だったりします。
----------
カールフレッシュ師について
彼の奏法の自著(ガラミアンとちがって自ら著した)が入手しにくいので困りましたね。私はうんと昔(高校生時代)学校の図書館でむさぼるように読みましたがあの時代大きな影響を残した偉大な教育者の本であり、とくにフィンガリング(ポジションの選択のシステム化)など、大変示唆に富む本です。ただ、今通用しない部分もあるはずです。記述が包括的なだけに今となっては危険もある書物でしょう。取捨選択が不可欠です。
書物で楽器奏法を研究することは有益ですが万能ではありません。ヴァイオリンにバイブルはありません。すぐれた先生に直接教えを受けることにも大きな利益があります。いちばん大切なことは大概、本には書かれていません。これは本当です!!
大切なことを言い忘れるところでした…
ヴィブラートのくだりで「だいたい近いところを押さえてヴィブラートで修正する」(フレッシュの説でしたか?)ですが、今の時代の正式な奏法としては間違いだと「私は」理解しています。シンセティック弦で勉強した(ガット弦を知らない)プロ演奏家も最近は多くなりました。彼らは最初からピンポイントの音程を妥協なしに掴み、楽器が響いてからヴィブラートを開始する(ヴィブラートなしの時間は0コンマ何秒かもしれませんが)ようにしているのは冷静に観察すると明らかです。
==================
常連が必ずしも積極的に書きこまない背後には、上記のようなことを皆さんご存じで、「いまさらねー」という部分もあるでしょう。catgutさんの情報は情報として有意義だと「私は」思っていますよ。
catgut氏のサイトをつぶさに拝見しました。博覧強記ですね。ずいぶん丹念に広範な参考文献をお読みだと思います。情報収集能力としては驚異的です。フレットつきヴァイオリンやラッカー塗装のヴァイオリンなど全く知りませんでした。勉強になりました。
31357で感情を害されたのは申し訳ありませんが、私の言いたいのは、何を根拠として引用し、何を参考に止めるべきか、ということです。
-----
(1) 開放弦のヴィブラート。私はバナナボウのくだりで書きましたが右手のヴィブラートはよく理解していますので開放弦はその親類のように楽器の震動でヴィブラートをかけることは理解しています。ただし実際の演奏ではあまり(いやほとんど)かけません。たいして重要ではないと思います。
ですから「反論」したのではありません。ようするにご指摘のサイトのオーナー氏の発言を根拠としない方がよい(根拠になるはずがない)ということを申し上げただけです。ヴァイオリンを弾かない方の発言ですし…。
(2) ヴィブラートの上下うんぬんですが、チェロとはかなり違ったかけ方をヴァイオリンではやりますし、教師がレッスンでやる「下にかけるイメージ」(ドアをノックするようなイメージ)という教え方には手の解剖学的構造から来る相応な理由があります。これに反してチェロは手首を回転させますから音程の上下という感覚になるのが自然でしょう。
しかし教育上、あるいは手の解剖学的理由はさておき、「下に向かうように」、「ドアをノックするように」かけても{筋肉のバネの反発で}下にひっぱられた指は本に帰ってきて更に音程の上の方にあがることは事実でしょう。ですからそんなに不思議なことではない。
「波の上端を音として認識」云々は事実誤認なのかも知れないとは思います。作者名を失念しましたが日本人の昔の書物でも同じことがかかれていました。ただし実害があるかというと演奏する上で淘汰されていきますから現役演奏家に「上端音程説」の弊害があるとは、あまり考えられないので大騒ぎするのも可笑しいでしょう。演奏とは所詮、実地のもので、レッスンの場やコンクールできびしく淘汰されます。アマチュア桶でも音程の悪い人は居心地が悪い筈です。
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ガラミアン師について
ここがきわめて重要なのでご理解いただきたい。
catgut氏のサイトの「ガラミアンが著書に書いた影響」で誤解が広まった云々ですが。これは所詮推測でしかなく、証拠が与えられていません。世界のヴァイオリニストはガラミアン門下だけではないですし、ガラミアン以外にどんな先生がどんなヴィブラートを教えたかの立証はとうてい無理でしょう。
せいぜい:
「物理的なデーターとは矛盾しますが、ガラミアンのように偉い先生がこういうことを言った(彼自身の著作でなく他人が彼の教えを書き留めたものであったと思います)のは興味深い」
程度にしておけば公平であったのでは。
ガラミアンは現場の人であり、理論・文筆の人ではありません。先生に理論の苦手な人は多いのですよ。そういう先生に限って偉大だったりします。
----------
カールフレッシュ師について
彼の奏法の自著(ガラミアンとちがって自ら著した)が入手しにくいので困りましたね。私はうんと昔(高校生時代)学校の図書館でむさぼるように読みましたがあの時代大きな影響を残した偉大な教育者の本であり、とくにフィンガリング(ポジションの選択のシステム化)など、大変示唆に富む本です。ただ、今通用しない部分もあるはずです。記述が包括的なだけに今となっては危険もある書物でしょう。取捨選択が不可欠です。
書物で楽器奏法を研究することは有益ですが万能ではありません。ヴァイオリンにバイブルはありません。すぐれた先生に直接教えを受けることにも大きな利益があります。いちばん大切なことは大概、本には書かれていません。これは本当です!!
大切なことを言い忘れるところでした…
ヴィブラートのくだりで「だいたい近いところを押さえてヴィブラートで修正する」(フレッシュの説でしたか?)ですが、今の時代の正式な奏法としては間違いだと「私は」理解しています。シンセティック弦で勉強した(ガット弦を知らない)プロ演奏家も最近は多くなりました。彼らは最初からピンポイントの音程を妥協なしに掴み、楽器が響いてからヴィブラートを開始する(ヴィブラートなしの時間は0コンマ何秒かもしれませんが)ようにしているのは冷静に観察すると明らかです。
==================
常連が必ずしも積極的に書きこまない背後には、上記のようなことを皆さんご存じで、「いまさらねー」という部分もあるでしょう。catgutさんの情報は情報として有意義だと「私は」思っていますよ。
[31386]
Re: ヴィブラートのかけ方について
投稿日時:2007年02月05日 11:00
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:ECgVaCg)
アマチュアチェロ弾き様、通りすがり様、
ビブラート時の楽器の揺れ、注意して見ました。 意外と揺れているものですね。
小生の場合、左手親指に力が入ると楽器の揺れが大きいです。 但し、親指に力が入る(棹を掴むような)押弦は自分では「悪いクセ」の一つと認識しています。 親指が脱力できているときは膝に当たる感触が揺れていますが、見て判るほどではありません。 ビブラートの幅が小さいと言うことかも知れません。
Catgut様、
> 「上手な人の真似をする」ことは大事です。
そうですね。 ただ、どこに主眼を置いて真似るか、は人それぞれかも知れません。 ビブラートの波形まで気にして真似られるくらいの腕があれば嬉しいのですが。
ビブラート時の楽器の揺れ、注意して見ました。 意外と揺れているものですね。
小生の場合、左手親指に力が入ると楽器の揺れが大きいです。 但し、親指に力が入る(棹を掴むような)押弦は自分では「悪いクセ」の一つと認識しています。 親指が脱力できているときは膝に当たる感触が揺れていますが、見て判るほどではありません。 ビブラートの幅が小さいと言うことかも知れません。
Catgut様、
> 「上手な人の真似をする」ことは大事です。
そうですね。 ただ、どこに主眼を置いて真似るか、は人それぞれかも知れません。 ビブラートの波形まで気にして真似られるくらいの腕があれば嬉しいのですが。
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