[31536]
ヴィブラートのかけ方について その2
投稿日時:2007年02月16日 19:52
投稿者:catgut(ID:EAlId0M)
「ヴィブラートのかけ方について」のスレッドが長くなってきましたので、
新しいスレッドを作成しました。
今後はこちらでお願い致します。
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[31539]
Re: ヴィブラートのかけ方について その2
投稿日時:2007年02月16日 22:55
投稿者:catgut(ID:EAlId0M)
以下、前のスレッドで私が主張したポイントです。
(1)「人間の耳は高い音程を感じやすいのでヴィブラートは基準音から下にかける」という説は間違い。人間の耳は実際はヴィブラート範囲の中間付近の音程を感じるため、ヴィブラートは基準音の上下にかける必要がある。実際の演奏を分析するとほとんど上下にかけられている。
(2)ヴィブラートを「下に向けてかけはじめる」こと自体は奏法の一つとして間違いというわけではないが、歴史は比較的浅いと考えられる。バロックヴァイオリンの時代から少なくとも1930年頃までは「上に向けてかけはじめる」奏法が一般的であったと考えられる。
(3)「開放弦のヴィブラート」の理由として「弦の共鳴」で説明されることがあるが、この説明は不適当。「開放弦のヴィブラート」はほとんど楽器の振動によって弦と弓毛の圧力が変化することで起きる音量の変化によると考えられる。
(1)「人間の耳は高い音程を感じやすいのでヴィブラートは基準音から下にかける」という説は間違い。人間の耳は実際はヴィブラート範囲の中間付近の音程を感じるため、ヴィブラートは基準音の上下にかける必要がある。実際の演奏を分析するとほとんど上下にかけられている。
(2)ヴィブラートを「下に向けてかけはじめる」こと自体は奏法の一つとして間違いというわけではないが、歴史は比較的浅いと考えられる。バロックヴァイオリンの時代から少なくとも1930年頃までは「上に向けてかけはじめる」奏法が一般的であったと考えられる。
(3)「開放弦のヴィブラート」の理由として「弦の共鳴」で説明されることがあるが、この説明は不適当。「開放弦のヴィブラート」はほとんど楽器の振動によって弦と弓毛の圧力が変化することで起きる音量の変化によると考えられる。
[31541]
Re: ヴィブラートのかけ方について その2
投稿日時:2007年02月16日 23:46
投稿者:アマチュアチェロ弾き(ID:MFdyYyU)
catgutさんの情報収集能力って凄いですね!
別のデータを考えていたのですが、折角ですのでメニューインとチョンキョンファのデータを載せておきました。ブルッフの1楽章冒頭です。ただ音質が良くないので波形が少し汚いですが、雰囲気はわかると思います。開放弦ヴィブラートは、微妙です。メニューインの調弦は何とA:450Hzです。
別のデータを考えていたのですが、折角ですのでメニューインとチョンキョンファのデータを載せておきました。ブルッフの1楽章冒頭です。ただ音質が良くないので波形が少し汚いですが、雰囲気はわかると思います。開放弦ヴィブラートは、微妙です。メニューインの調弦は何とA:450Hzです。
[31543]
Re: ヴィブラートのかけ方について その2
投稿日時:2007年02月17日 00:50
投稿者:pochi(ID:IzM5QwA)
[31539]
について、
(1)は普通です。
(2)下へ掛けるのは、初心者向けの指導法です。指が立ちすぎている人も下にしか掛けられませんね。
(3)「ほとんど」がポイントです。観客にはきこえなくても、弾いている本人には違いが感じられます。
[31539]
Re: ヴィブラートのかけ方について その2
投稿日時:2007年02月16日 22:55
投稿者:catgut(ID:EAlId0M)
以下、前のスレッドで私が主張したポイントです。
(1)「人間の耳は高い音程を感じやすいのでヴィブラートは基準音から下にかける」という説は間違い。人間の耳は実際はヴィブラート範囲の中間付近の音程を感じるため、ヴィブラートは基準音の上下にかける必要がある。実際の演奏を分析するとほとんど上下にかけられている。
(2)ヴィブラートを「下に向けてかけはじめる」こと自体は奏法の一つとして間違いというわけではないが、歴史は比較的浅いと考えられる。バロックヴァイオリンの時代から少なくとも1930年頃までは「上に向けてかけはじめる」奏法が一般的であったと考えられる。
(3)「開放弦のヴィブラート」の理由として「弦の共鳴」で説明されることがあるが、この説明は不適当。「開放弦のヴィブラート」はほとんど楽器の振動によって弦と弓毛の圧力が変化することで起きる音量の変化によると考えられる。
(1)「人間の耳は高い音程を感じやすいのでヴィブラートは基準音から下にかける」という説は間違い。人間の耳は実際はヴィブラート範囲の中間付近の音程を感じるため、ヴィブラートは基準音の上下にかける必要がある。実際の演奏を分析するとほとんど上下にかけられている。
(2)ヴィブラートを「下に向けてかけはじめる」こと自体は奏法の一つとして間違いというわけではないが、歴史は比較的浅いと考えられる。バロックヴァイオリンの時代から少なくとも1930年頃までは「上に向けてかけはじめる」奏法が一般的であったと考えられる。
(3)「開放弦のヴィブラート」の理由として「弦の共鳴」で説明されることがあるが、この説明は不適当。「開放弦のヴィブラート」はほとんど楽器の振動によって弦と弓毛の圧力が変化することで起きる音量の変化によると考えられる。
(1)は普通です。
(2)下へ掛けるのは、初心者向けの指導法です。指が立ちすぎている人も下にしか掛けられませんね。
(3)「ほとんど」がポイントです。観客にはきこえなくても、弾いている本人には違いが感じられます。
[31544]
Re: ヴィブラートのかけ方について その2
投稿日時:2007年02月17日 01:44
投稿者:catgut(ID:EAlId0M)
pochiさま、
コメントありがとうございます。
---------------------
(1)は普通です。
(2)下へ掛けるのは、初心者向けの指導法です。指が立ちすぎている人も下にしか掛けられませんね。
(3)「ほとんど」がポイントです。観客にはきこえなくても、弾いている本人には違いが感じられます。
---------------------
なるほど、このご指摘はほぼ納得できます。
以前も書きましたが、日本では欧米と違って「基準音の下にかける派」が圧倒的に多く見えた理由が、本当に「上下にかける派」がごく少なかったのか、それとも欧米と同じ程度の比率で存在しているのに「下にかける派」と衝突しないように沈黙していたのかよく分らないところがあります。
コメントありがとうございます。
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(1)は普通です。
(2)下へ掛けるのは、初心者向けの指導法です。指が立ちすぎている人も下にしか掛けられませんね。
(3)「ほとんど」がポイントです。観客にはきこえなくても、弾いている本人には違いが感じられます。
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なるほど、このご指摘はほぼ納得できます。
以前も書きましたが、日本では欧米と違って「基準音の下にかける派」が圧倒的に多く見えた理由が、本当に「上下にかける派」がごく少なかったのか、それとも欧米と同じ程度の比率で存在しているのに「下にかける派」と衝突しないように沈黙していたのかよく分らないところがあります。
[31545]
Re: ヴィブラートのかけ方について その2
投稿日時:2007年02月17日 03:12
投稿者:pochi(ID:IzM5QwA)
> 日本では欧米と違って「基準音の下にかける派」が圧倒的に多く見えた理由
ヴァイオリン弾きの基準ではそんなことはありません。江藤俊哉は上下に掛けます。海野義雄は基準音の上にも掛けます。そんなことは、音響分析器を使わないでも聴けば解ります。
日本のポピュラー音楽の歌手は、下に掛ける(下から基準音に掛ける)人が多いと思います。例外は細川たかし等、少数です。
カンツォーネやオペラを歌っている人は、基準音の上に掛ける人が多いと思います。ドロシー・ディレイは、基準音から上下に掛けていました。ガラミアンの教えは無視ですね。ルイ・アームストロングは、基準音の上に掛けます。
「嗄れ醤油染みたる音」を出すのには、下から基準音に掛けると雰囲気が出ます。指盤寄りを少し潰して音を出します。鋭意研究中です。
指揮台に立ったら、どの人がどれだけ狂った音程で弾いて居るのか、解らなかったら、指揮は出来ません。ヴィブラートが下に掛っていたら、私は音程が低いと注意しますよ。
ヴィブラートのあるオーボエとほとんど無いクラリネットの旋律の受け渡し等は、特に練習しているはずです。
正弦波なのか、余弦波なのかの、回答です。
私は、ヴィブラートの個数の指導を受けた事は有りますが、上から掛けるのか、下から掛けるのかは、指導を受けたことは有りません。従って、どちらでもよいのでしょう。意識したことがありません。
音程は、音楽の進行方向を決定する要素の1つなのだそうで、曲想によって多少違いますから、純正率がよいとか、ピタゴラスが良いとか、一概には云えません。その味付けにもヴィブラートは使われます。メニューインは、耄碌する以前、この技を多用していました。最近の人ではジョシュア・ベルが使います。
この掲示板に投稿してくれていた玉木宏樹先生に御登場願いたいものです。先生は意識をして純正律で音程をとる事もありますが、基本的には旋律をピタゴラスで取っています。音楽の方向性を音程やヴィブラートで表現することはほとんど有りません。ヴィブラートは基本的に真ん中ですが、時々下に掛ける事もあります。
catgut氏は、2オクターブの単音音階を長短全ての調で、ノン・ヴィブラートで練習して下さい。出来れば、楽器の響きに合わせて音程を取ることが望ましいのですが、調性によっては、不可能な調もあります。仕方がありません。ヴィブラートはこの響きを増幅するものだと理解すれば、自ずとヴィブラートの音程は定まります。D線のGでヴィブラートを掛ける意味も御理解戴けると思います。
ヴァイオリン弾きの基準ではそんなことはありません。江藤俊哉は上下に掛けます。海野義雄は基準音の上にも掛けます。そんなことは、音響分析器を使わないでも聴けば解ります。
日本のポピュラー音楽の歌手は、下に掛ける(下から基準音に掛ける)人が多いと思います。例外は細川たかし等、少数です。
カンツォーネやオペラを歌っている人は、基準音の上に掛ける人が多いと思います。ドロシー・ディレイは、基準音から上下に掛けていました。ガラミアンの教えは無視ですね。ルイ・アームストロングは、基準音の上に掛けます。
「嗄れ醤油染みたる音」を出すのには、下から基準音に掛けると雰囲気が出ます。指盤寄りを少し潰して音を出します。鋭意研究中です。
指揮台に立ったら、どの人がどれだけ狂った音程で弾いて居るのか、解らなかったら、指揮は出来ません。ヴィブラートが下に掛っていたら、私は音程が低いと注意しますよ。
ヴィブラートのあるオーボエとほとんど無いクラリネットの旋律の受け渡し等は、特に練習しているはずです。
正弦波なのか、余弦波なのかの、回答です。
私は、ヴィブラートの個数の指導を受けた事は有りますが、上から掛けるのか、下から掛けるのかは、指導を受けたことは有りません。従って、どちらでもよいのでしょう。意識したことがありません。
音程は、音楽の進行方向を決定する要素の1つなのだそうで、曲想によって多少違いますから、純正率がよいとか、ピタゴラスが良いとか、一概には云えません。その味付けにもヴィブラートは使われます。メニューインは、耄碌する以前、この技を多用していました。最近の人ではジョシュア・ベルが使います。
この掲示板に投稿してくれていた玉木宏樹先生に御登場願いたいものです。先生は意識をして純正律で音程をとる事もありますが、基本的には旋律をピタゴラスで取っています。音楽の方向性を音程やヴィブラートで表現することはほとんど有りません。ヴィブラートは基本的に真ん中ですが、時々下に掛ける事もあります。
catgut氏は、2オクターブの単音音階を長短全ての調で、ノン・ヴィブラートで練習して下さい。出来れば、楽器の響きに合わせて音程を取ることが望ましいのですが、調性によっては、不可能な調もあります。仕方がありません。ヴィブラートはこの響きを増幅するものだと理解すれば、自ずとヴィブラートの音程は定まります。D線のGでヴィブラートを掛ける意味も御理解戴けると思います。
[31549]
Re: ヴィブラートのかけ方について その2
投稿日時:2007年02月17日 14:11
投稿者:catgut(ID:EAlId0M)
pochiさま、
貴重なコメントをありがとうございます。大変参考になります。
この機会に従来から「ヴィブラートを基準音から下に向けてかける」と
いう説に疑問を持っていた方もご発言頂けたらと思います。
貴重なコメントをありがとうございます。大変参考になります。
この機会に従来から「ヴィブラートを基準音から下に向けてかける」と
いう説に疑問を持っていた方もご発言頂けたらと思います。
[31563]
Re: ヴィブラートのかけ方について その2
投稿日時:2007年02月18日 18:15
投稿者:catgut(ID:lkIXCZA)
新しいスレッドになったので「ヴィブラートを基準音の上下にかける理由」を
簡単にまとめました。
1.ヴィブラートの起源の観点から
多くの演奏家・指導者がヴィブラートの起源は人間の声の震えを真似たものだとと考えている。特別な効果を除き、声のヴィブラートは基準音の上下にかける(かかる)ものであるため、その模倣である弦楽器のヴィブラートも基準音の上下にかけるのが自然。弦楽器以外にはヴィブラートを「基準音の下にかける」という考え方はない。
2.音程認識の観点から
人間の耳はヴィブラート範囲の中間が音程として聞える。このため正しい音程に聞えるためには基準音の上下にかける必要がある。
3.実際の演奏の観点から
名ヴァイオリニストを輩出した時代の奏法を知悉しているカール・フレッシュはその著書「ヴァイオリン演奏の技法」で「ヴィブラートは基準音の上下にかける」と明記している。また現代も含めて有名ヴァイオリニストの録音を分析するとほとんどの場合基準音の上下にかけられている。
簡単にまとめました。
1.ヴィブラートの起源の観点から
多くの演奏家・指導者がヴィブラートの起源は人間の声の震えを真似たものだとと考えている。特別な効果を除き、声のヴィブラートは基準音の上下にかける(かかる)ものであるため、その模倣である弦楽器のヴィブラートも基準音の上下にかけるのが自然。弦楽器以外にはヴィブラートを「基準音の下にかける」という考え方はない。
2.音程認識の観点から
人間の耳はヴィブラート範囲の中間が音程として聞える。このため正しい音程に聞えるためには基準音の上下にかける必要がある。
3.実際の演奏の観点から
名ヴァイオリニストを輩出した時代の奏法を知悉しているカール・フレッシュはその著書「ヴァイオリン演奏の技法」で「ヴィブラートは基準音の上下にかける」と明記している。また現代も含めて有名ヴァイオリニストの録音を分析するとほとんどの場合基準音の上下にかけられている。
[31564]
Re: ヴィブラートのかけ方について その2
投稿日時:2007年02月18日 18:58
投稿者:catgut(ID:lkIXCZA)
「ヴィブラートを基準音の下にかける」という説がイヴァン・ガラミアンに由来すると推定される理由を以下に示します。
前掲の論文での調査によると、「ヴィブラートを基準音の下にかける」という主張はガラミアンが最も早く、1948年に主張したとされています。
ttp://etd.lib.fsu.edu/theses/available/etd-05082006-134732/unrestricted/RBM_manuscript.pdf
Galamian, I. (1948). Vibrato. In Principles of Violin Playing and Teaching (pp. 37-43).Englewood Cliffs, N.J.: Prentice-Hall.
"Principles of Violin Playing and Teaching"は一般には1962年に刊行されたようですが、記録(実際はガラミアンからの聞き書き)は1948年から開始されたそうです。このため上記論文の著者は1948年としたのではないかと思われます。
ttp://www.mcla.edu/Academics/Majors__Departments/EnglishCommunications/langston/re/r-gal.html
>began in 1948 to record the techniques
このためガラミアン門下の人以外が「ヴィブラートを下にかける」という考え方を知ったのは1962年以降である可能性が高いと思われます。
ガラミアンの著書"Principles of Violin Playing and Teaching"では、「人間の耳はヴィブラート範囲の上端の音程が聞えるので、基準音から下にかける」と書かれています。ところが、実際にはすでに1930年代にSeashoreやSmallが「ヴィブラート範囲の中間が音程として知覚される」という論文を発表しています。ヴァイオリン教育者であるRollandもこの研究を引用してヴィブラートの音程がヴィブラート範囲の中間にあることを認めています。
反対に「ヴィブラート範囲の上端の音程が聞える」とする調査結果はその逆の結果も出している1967年のFletcherの研究を除くと1件も存在しません。
つまりガラミアンは「人間の耳はヴィブラート範囲の上端が聞える」という特徴的な誤りをした上で、その結果として「ヴィブラートを基準音の下にかける」と主張しているわけです。
現在「ヴィブラートを下にかける」という説明を見ると、必ずといっていいほど「人間の耳はヴィブラート範囲の上端が聞える」という説明が入っています。これでほぼガラミアンの説を引用したものだと推定できます。
今後の調査でガラミアンが「ヴィブラートを下にかける」と考えるに至ったガラミアンに先立つ資料が出てくる可能性は十分あると思いますが、「ヴィブラートを下にかける」という説が普及した直接の原因はガラミアンの著書であると考えてまず間違いないと思います。
前掲の論文での調査によると、「ヴィブラートを基準音の下にかける」という主張はガラミアンが最も早く、1948年に主張したとされています。
ttp://etd.lib.fsu.edu/theses/available/etd-05082006-134732/unrestricted/RBM_manuscript.pdf
Galamian, I. (1948). Vibrato. In Principles of Violin Playing and Teaching (pp. 37-43).Englewood Cliffs, N.J.: Prentice-Hall.
"Principles of Violin Playing and Teaching"は一般には1962年に刊行されたようですが、記録(実際はガラミアンからの聞き書き)は1948年から開始されたそうです。このため上記論文の著者は1948年としたのではないかと思われます。
ttp://www.mcla.edu/Academics/Majors__Departments/EnglishCommunications/langston/re/r-gal.html
>began in 1948 to record the techniques
このためガラミアン門下の人以外が「ヴィブラートを下にかける」という考え方を知ったのは1962年以降である可能性が高いと思われます。
ガラミアンの著書"Principles of Violin Playing and Teaching"では、「人間の耳はヴィブラート範囲の上端の音程が聞えるので、基準音から下にかける」と書かれています。ところが、実際にはすでに1930年代にSeashoreやSmallが「ヴィブラート範囲の中間が音程として知覚される」という論文を発表しています。ヴァイオリン教育者であるRollandもこの研究を引用してヴィブラートの音程がヴィブラート範囲の中間にあることを認めています。
反対に「ヴィブラート範囲の上端の音程が聞える」とする調査結果はその逆の結果も出している1967年のFletcherの研究を除くと1件も存在しません。
つまりガラミアンは「人間の耳はヴィブラート範囲の上端が聞える」という特徴的な誤りをした上で、その結果として「ヴィブラートを基準音の下にかける」と主張しているわけです。
現在「ヴィブラートを下にかける」という説明を見ると、必ずといっていいほど「人間の耳はヴィブラート範囲の上端が聞える」という説明が入っています。これでほぼガラミアンの説を引用したものだと推定できます。
今後の調査でガラミアンが「ヴィブラートを下にかける」と考えるに至ったガラミアンに先立つ資料が出てくる可能性は十分あると思いますが、「ヴィブラートを下にかける」という説が普及した直接の原因はガラミアンの著書であると考えてまず間違いないと思います。
[31576]
Re: ヴィブラートのかけ方について その2
投稿日時:2007年02月19日 19:03
投稿者:catgut(ID:lkIXCZA)
[31564]
の補足です。
以前も紹介しましたが、violinist.comの掲示板でヴィブラートを「上下にかけるか」「下にかけるか」の議論があり、以下の情報が書き込まれていました。
ttp://www.violinist.com/discussion/response.cfm?ID=5802
john birchallさまの書き込み
I recently read a little book by Werner Hauk, Vibrato on the Violin, which appeared in German and English in the early seventies. It is worth looking at if only because he lists and summarises a huge amount of writing on the subject. He thought that Galamian had gone out on a limb with the idea of two-note vibrato, and it was simply wrong.
大意:
私はWerner Hauk著"Vibrato on the Violin"(ドイツ語と英語で1970年代初頭に出版された)を最近読みました。この本にはヴィブラートに関する資料の膨大なリストと概要が記載されています。彼はガラミアンが「ヴィブラートを下にかける」という間違ったアイディアで危険を冒していると考えていました。
[31564]
Re: ヴィブラートのかけ方について その2
投稿日時:2007年02月18日 18:58
投稿者:catgut(ID:lkIXCZA)
「ヴィブラートを基準音の下にかける」という説がイヴァン・ガラミアンに由来すると推定される理由を以下に示します。
前掲の論文での調査によると、「ヴィブラートを基準音の下にかける」という主張はガラミアンが最も早く、1948年に主張したとされています。
ttp://etd.lib.fsu.edu/theses/available/etd-05082006-134732/unrestricted/RBM_manuscript.pdf
Galamian, I. (1948). Vibrato. In Principles of Violin Playing and Teaching (pp. 37-43).Englewood Cliffs, N.J.: Prentice-Hall.
"Principles of Violin Playing and Teaching"は一般には1962年に刊行されたようですが、記録(実際はガラミアンからの聞き書き)は1948年から開始されたそうです。このため上記論文の著者は1948年としたのではないかと思われます。
ttp://www.mcla.edu/Academics/Majors__Departments/EnglishCommunications/langston/re/r-gal.html
>began in 1948 to record the techniques
このためガラミアン門下の人以外が「ヴィブラートを下にかける」という考え方を知ったのは1962年以降である可能性が高いと思われます。
ガラミアンの著書"Principles of Violin Playing and Teaching"では、「人間の耳はヴィブラート範囲の上端の音程が聞えるので、基準音から下にかける」と書かれています。ところが、実際にはすでに1930年代にSeashoreやSmallが「ヴィブラート範囲の中間が音程として知覚される」という論文を発表しています。ヴァイオリン教育者であるRollandもこの研究を引用してヴィブラートの音程がヴィブラート範囲の中間にあることを認めています。
反対に「ヴィブラート範囲の上端の音程が聞える」とする調査結果はその逆の結果も出している1967年のFletcherの研究を除くと1件も存在しません。
つまりガラミアンは「人間の耳はヴィブラート範囲の上端が聞える」という特徴的な誤りをした上で、その結果として「ヴィブラートを基準音の下にかける」と主張しているわけです。
現在「ヴィブラートを下にかける」という説明を見ると、必ずといっていいほど「人間の耳はヴィブラート範囲の上端が聞える」という説明が入っています。これでほぼガラミアンの説を引用したものだと推定できます。
今後の調査でガラミアンが「ヴィブラートを下にかける」と考えるに至ったガラミアンに先立つ資料が出てくる可能性は十分あると思いますが、「ヴィブラートを下にかける」という説が普及した直接の原因はガラミアンの著書であると考えてまず間違いないと思います。
前掲の論文での調査によると、「ヴィブラートを基準音の下にかける」という主張はガラミアンが最も早く、1948年に主張したとされています。
ttp://etd.lib.fsu.edu/theses/available/etd-05082006-134732/unrestricted/RBM_manuscript.pdf
Galamian, I. (1948). Vibrato. In Principles of Violin Playing and Teaching (pp. 37-43).Englewood Cliffs, N.J.: Prentice-Hall.
"Principles of Violin Playing and Teaching"は一般には1962年に刊行されたようですが、記録(実際はガラミアンからの聞き書き)は1948年から開始されたそうです。このため上記論文の著者は1948年としたのではないかと思われます。
ttp://www.mcla.edu/Academics/Majors__Departments/EnglishCommunications/langston/re/r-gal.html
>began in 1948 to record the techniques
このためガラミアン門下の人以外が「ヴィブラートを下にかける」という考え方を知ったのは1962年以降である可能性が高いと思われます。
ガラミアンの著書"Principles of Violin Playing and Teaching"では、「人間の耳はヴィブラート範囲の上端の音程が聞えるので、基準音から下にかける」と書かれています。ところが、実際にはすでに1930年代にSeashoreやSmallが「ヴィブラート範囲の中間が音程として知覚される」という論文を発表しています。ヴァイオリン教育者であるRollandもこの研究を引用してヴィブラートの音程がヴィブラート範囲の中間にあることを認めています。
反対に「ヴィブラート範囲の上端の音程が聞える」とする調査結果はその逆の結果も出している1967年のFletcherの研究を除くと1件も存在しません。
つまりガラミアンは「人間の耳はヴィブラート範囲の上端が聞える」という特徴的な誤りをした上で、その結果として「ヴィブラートを基準音の下にかける」と主張しているわけです。
現在「ヴィブラートを下にかける」という説明を見ると、必ずといっていいほど「人間の耳はヴィブラート範囲の上端が聞える」という説明が入っています。これでほぼガラミアンの説を引用したものだと推定できます。
今後の調査でガラミアンが「ヴィブラートを下にかける」と考えるに至ったガラミアンに先立つ資料が出てくる可能性は十分あると思いますが、「ヴィブラートを下にかける」という説が普及した直接の原因はガラミアンの著書であると考えてまず間違いないと思います。
以前も紹介しましたが、violinist.comの掲示板でヴィブラートを「上下にかけるか」「下にかけるか」の議論があり、以下の情報が書き込まれていました。
ttp://www.violinist.com/discussion/response.cfm?ID=5802
john birchallさまの書き込み
I recently read a little book by Werner Hauk, Vibrato on the Violin, which appeared in German and English in the early seventies. It is worth looking at if only because he lists and summarises a huge amount of writing on the subject. He thought that Galamian had gone out on a limb with the idea of two-note vibrato, and it was simply wrong.
大意:
私はWerner Hauk著"Vibrato on the Violin"(ドイツ語と英語で1970年代初頭に出版された)を最近読みました。この本にはヴィブラートに関する資料の膨大なリストと概要が記載されています。彼はガラミアンが「ヴィブラートを下にかける」という間違ったアイディアで危険を冒していると考えていました。
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