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catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇 | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 63 Comments
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catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年03月25日 18:03
投稿者:pochi(ID:SBdYcmA)
ヱブ頁上フィールドワーク

ガラミアン受け売り諸頁。
ttp://tcslab.csce.kyushu-u.ac.jp/old-users/t_ito/violin/Vntec/tec11.html
ttp://homepage2.nifty.com/m-nyan/music/violin/016.html

オーボエですが上に掛ける事を推奨している人もいます。
ttp://www.josef-oboe.com/japanese/article/r_s_memo.html
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【ご参考】
[32799]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月07日 21:58
投稿者:カルボナーレ(ID:J5KDMXE)
catgutさん、七沢氏の文献の説明ありがとうございました。感じがつかめました。

加えて、catgutさんの意訳に対して、コメントさせてください。

>It is important that the vibrato always goes to the flatted side of the pitch.
>ヴィブラートは必ず「正しい音程」より低い方にかける。
=>"goes to"の意味が、”The vibrato should slightly lower the pitch by swinging first backward, ”と同じで掛け始める方向を言っているのか、範囲として基準音より下だけといっているのかはAboutであり、どちらでもとれます。

>The ear catches far more readily the highest pitch sounded,
>人間の耳は「最も高い音程」をはるかに容易に捉える。
>and a vibrato that goes as much above the pitch as below makes the general intonation sound too sharp.
>「正しい音程」の上にヴィブラートをかけると「正しい音程」より高く聞える
==>”and”がついているので、前の説明とこの説明は関連あるととらえるべきでしょう。”and”は”そして”くらいに訳せばよいのではないでしょうか。また、”goes as much above the pitch as below”は、”Pitchの上に、下と同じ量だけ行く”ということだと思いますので、上下均等と私は訳しました。

>The finger should fall in tune on the string.
>指で弦上の正しい旋律を押える
==>チューニングという言葉があるように、この"Tune"は”正しい音程”と訳してよいのではないでしょうか。

>and then should re-establish the correct pitch by its >forward swing.
>そして手前に戻して「正しい音程」に戻す
==> ”手前に振ることで、正しい音程を再構築すべき”、と書かれており、これも、正しい音程に聴こえるように手前に振る(オーバーシュートあるいは上向きのビブラートも別に禁止せず、結果オーライ)と言う事を述べているのか、最初に押さえたPitchまでしか戻っては行けないことを言っているのか、曖昧であり解釈次第でどうにでも言えます。手前に振るとは書いてありますが、”戻す”という表現はされていないように思います。
[32817]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月08日 16:50
投稿者:アマチュアチェロ弾き(ID:MFdyYyU)
みっちさん、catgutさん

私の波形の話が出ていましたので、コメントさせていただきます。
まず初めに、みっちさん、catgutさん、及び私の波形をご覧になった他の方々に謝罪しなければなりません。

そのデータに現れるフラットな部分(7~9秒のヴィブラート上端のフラット部分かな?)は、恐らく強めの伴奏(弦楽とハープ)により解析ソフトが誤動作(基本周波数の誤認識)したものと考えられます。以前よりその現象は把握しておりましたが、原因を特定するには至っておりません。耳で聞いた限りにおいては、波形の先端が尖っていようがフラットであろうが、特に違いは感じられませんので、伴奏が悪さをしているものと推定しています。私のソフトの現時点における限界です。他の類似ソフト数点で、その箇所を解析してみましたが、ソロヴァイオリンのピッチを全く認識していないようです。
今回の10名のタイスの瞑想曲は波形の汚さはありましたが、各奏者の演奏にどのような違いがあるのか、また共通点は何かについて大まかに知っていただくためにUPしたものです。ということで、本件に関しましては、ご容赦願います。

でもそこまで細かく見てくださった方がおられたことは、怖いと同時に少し嬉しくもあります。
[32818]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月08日 17:18
投稿者:みっち(ID:ESUHaUc)
アマチュアチェロ弾きさん

了解です。
私の方も断り無く引用して申し訳なく思ってました。
[32822]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月08日 21:23
投稿者:みっち(ID:ESUHaUc)
アマチュアチェロ弾き さん

ひとつ思い出しました。
録音形式によりますが大きな音に隠れる部分の波形は消去してデータ数を減らすと思います。
大きな伴奏音より小さな音は消去されているのではないでしょうか?
[32832]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月09日 20:58
投稿者:catgut(ID:QIMVgUY)
私が「ヴィブラートを基準音の下にかける」という説にはもとより自分の音感
として疑問を持っていましたが、カール・フレッシュの「ヴァイオリン演奏の
技法」に「上下にかける」という記述があったので、tartiniの分析結果を見るまでもなく「上下にかける」のがごく一般的な奏法であることを確信しました。

ご存知の方も多いと思いますが「ヴァイオリン演奏の技法」は絶大な権威を持っていました。ヴァイオリニストの黄金期とも言える19世紀末から20世紀初頭のヴァイオリン教育の集大成的側面があり、非常に細かい部分にまで言及されています。

ただし、本書は全然オーソドックスな本ではありません。カール・フレッシュは自分の幼少期に単純な訓練しか行わない先生についたせいで上達が遅れたと信じており、徹底的に現実的で合理的な練習を行うことで天才でない人でも高いレベルに到達させることを目標として書かれています。ある意味、非常に過激な本です。

カール・フレッシュというと「真面目」という印象がありますが、「ヴァイオリン
演奏の技法」はむしろハイレベルなユーモアにに満ちており「ヴァイオリンの巨匠たち」の著者のエッゲブレヒトがフレッシュを「ヴァイオリン界のカール・クラウス」と評しているのを見て見事な例えだと思いました。フレッシュとクラウスは1歳違いでどちらもウィーン世紀末文化を知るユダヤ人という点で共通しています。なお、本書の協力者として序文にマックス・デスワール(Max Dessoir)の名前が出ており、フレッシュはかなりデスワールから示唆を受けたのではないかと思われます。デスワールはフレッシュと同世代の有名なドイツのユダヤ人哲学者・美学者です。

非常に幸運なことに、この世紀末ウィーンの雰囲気をよく理解している佐々木庸一が原書から翻訳したことで、奇跡的に素晴らしい翻訳となっています。なぜ本書が現在絶版状態になっているのか不思議です。アメリカでは最近、新訳が発売され、高い評価となっています。

ちなみに日本では戦前に鷲見三郎が個人的に佐々木庸一に訳してもらって熟読していたそうで、1954-1955頃に最初に4分冊として創元社から発売され、後に上下2巻となって音楽之友社から発売されていました。
[33057]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月18日 14:23
投稿者:catgut(ID:MXOEJhA)
「ヴァイオリン奏法と指導の原理」日本語版を入手しましたので、ヴィブラートに関するポイントを紹介します。

ヴァイオリン奏法と指導の原理 イヴァン・ガラミアン アカンサス弦楽研究会訳音楽之友社 1965年12月30日発行

AMAZONのデータでは1974年刊となっていましたが、これは新装版の発行日のようで、最初に日本語版が出版されたのは1965年でした。原書の出版が1962年ですから比較的短期間で日本語版が出版されています。

また、ガラミアンの口述をまとめたエリザベス・グリーンは「この書はガラミアン氏の教授法を記録にとどめ、その練習法を現代の学生に(その現代がいつであれ)伝えたいと願う弟子の要請により1948年に書き始められたものである。」と書いています。

P39
ヴィブラートの練習
手のヴィブラート

指は、手が渦巻きの方向、つまり後方へ弾かれるにつれてのび、
その手がもとの地点にもどる動きに従ってもとのカーブをとる
位置にかえる(図13,14参照)。
(略)
第二指をA弦のEナチュラルの場所に置き、手を手首から渦巻きの
方向に倒すようにする。そしてもとの位置にもどす。指はその動
きにしたがってのばす。その際、手で後方へ引っぱられて、弦を
押えた場所から離れてはならない。指自体が弦の上で、接触点を
爪に近い部分から指先の腹側へと変えながら揺れる運動をする。
この動きによって音程が最初のE音よりわずかに低くなる。手が
もとの位置にもどった時、指はもとの形となりEナチュラルの音
の接触点にもどる。それでヴィブラートの一周期が完了する。

P42-P43
ヴィブラートにおける特殊問題
ヴィブラートの音程

ヴィブラートがいつも低い方向にかかるということは大切な点で
ある。耳は高いピッチの方をはるかに敏感にとらえ、下にかかる
のと同程度に上にもかかるヴィブラートは、一般に音程を高すぎ
るように感じさせる。指は弦の上の正しい音の位置に置かなくて
はならない。ヴィブラートは、最初後方への揺れでわずかにピッチ
が下がり、次に前方への揺れで正しいピッチにもどる。ヴィブラート
によって音程が不安定になるのは、多分次のいずれかの理由による
ものである。すなわちヴィブラートが広すぎるかおそすぎるかの
せいか、または指の押え方が弱すぎるからか、それともヴィブラー
トの運動自体のせいで、ピッチが高い方にかかりすぎるかである。
[33058]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月18日 14:38
投稿者:catgut(ID:MXOEJhA)
私が調べた範囲でのヴァイオリン指導書の調査結果の更新版です。

■「基準音の上下にかける」ないし「上に向けてかける」とする指導書
(※印はWerner Hauckの調査による)
1750年頃「ヴァイオリン奏法」レオポルド・モーツァルト
1910年 Violin-Vibrato Siegfried Eberhardt ドイツ語版1910年刊 英語版1911年刊※
1922年 Das Vibrato auf der Violine und die Grundlagen einer
natuerlichen Entwicklung der Technik fuer die linke Hand Fritz Rau※
1925年 Violin Method Part V Maia Bang(アウアーの指導に準拠)
1950年 Das Vibrato Bela Szigeti※
1950年 Basic Vibrato Studies Lewis L. Stoelzing※
1951年 Vibrato Method" Gilbert R. Waller※
1953年 The Rational Technique of Vibrato for the Use of Violinists Roger Leviste※
1971年  Vibrato on the Violin Werner Hauck

1954年 「篠崎バイオリン教本 第3巻」
1954年 「ヴァイオリン奏法」カール・フレッシュ(原書は1930年頃)
     のちに「ヴァイオリン演奏の技法」と改題されて音楽之友社が販売
1964年 「新しいバイオリン教本 第3巻」 
1980年 「ヴァイオリンのおけいこ」鷲見三郎他
1990年代前半 「ストリング」誌掲載 菅原英洋氏の記事

■「基準音の下にかける」ないし「下に向けてかける」とする指導書
1962年 「ヴァイオリン奏法と指導の原理」英語版 イヴァン・ガラミアン(日本語版は1965年) 
1963年 「バイオリニストのためのビブラート奏法」 七沢八郎
1999年  指導書A(基準音から下、ただし下から上に向けてかけるとする)
2005年  指導書B
2007年 ストリング誌3月号掲載の2種の記事

■「併記」
1997年 VIVA!Vibrato Gerald Fischbach, Robert S. Frost

■「無記載」
1921年 Violin Playing as I teach it レオポルド・アウアー

鈴木指導書(3巻)は「前後に動かす」とのみ記載。
[33083]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月19日 02:40
投稿者:catgut(ID:MXOEJhA)
以下の通り、少なくとも「ヴァイオリン奏法と指導の原理」日本語版の翻訳内容では、「正しい音=聞かせたい音」を押えて、後方に指を揺らした後「正しいピッチ=聞かせたい音」にもどると以外解釈するのは無理です。

原文:
The finger should fall in tune on the string. The vibrato should slightly lower the pitch by swinging first backward, and then should re-establish the correct pitch by its forward swing.

日本語版翻訳:
指は弦の上の正しい音の位置に置かなくてはならない。
ヴィブラートは、最初後方への揺れでわずかにピッチ
が下がり、次に前方への揺れで正しいピッチにもどる。
[33112]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月20日 01:50
投稿者:catgut(ID:MXOEJhA)
これまで見てきた通り「基準音の下にかける」「下に向けてかけ始める」
ヴィブラートが実質的にガラミアン起源であることはほぼ確実ですが、
ガラミアンがなぜそう考えたかについてははっきりしません。

現状では「人間の耳が高い音を捉えやすい」とガラミアン本人が勘違いして「下にかける」という発想を得たというのが最も妥当なところでしょう。
もしガラミアン本人が「初級者に対する便宜的な指導」と考えていた
のであれば「ヴァイオリン奏法と指導の原理」に明記していたはずです。

ガラミアンはカペー(Lucien Capet)に師事しています。しかしWerner Hauckがカペーの著作(The higher technic of the bow 仏語原書は1916年刊) をチェックしていますが「下にかける」ヴィブラートに関する記述はないようです。もちろんボーイングに関する本ですから、カペーが「下にかける」ヴィブラートをガラミアンに示唆しなかったとは言い切れませんが証拠はありません。

ある奏法が一人の人間の勘違いによって広まったというのは、すべての楽器を通じて空前絶後なのではないでしょうか。
[33114]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月20日 02:54
投稿者:あい(ID:FleIgVI)
>現状では「人間の耳が高い音を捉えやすい」とガラミアン本人が
>勘違いして「下にかける」という発想を得たというのが最も妥当な
>ところでしょう。


まず、既に議論されていたらすみません。
(あまりに膨大で、正直読みきれません)
初めビブラートを下にかけるか上にかけるかという論点でなく、
仮にどちらにかけたとしても、ビブラートの指の動かし方に関し、
ビブラートの始まりを早くするかビブラートの戻しを早くするかの
論点が抜けていると思います。
ビブラートの得意な奏者はかける時と、戻すときの速度まで
考えています。
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