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(一般論としての)ガット弦の特性
投稿日時:2007年08月24日 00:47
投稿者:椰子の実(ID:E3QUg0Q)
次々と発売されるナイロン弦、シンセティック弦の新製品には目もくれず、オリーヴ、オイドクサ、パッシオーネなどのガット弦を愛用する方々へ。
このたび、(一般論としての)ガット弦の特性について語り合うスレッドを立ち上げます。ガット弦を長年愛用している方々であれば、ガット弦についていろいろとご存知かと思いますので、いろいろとご教示いただけると幸いです。
では、まずは私から。
ガット弦の特性①
基準ピッチが高いと、例えばA=440HzよりもA=442Hzの方が、演奏中のピッチの狂いが少ない傾向がある。
最近ふと気付いたことですが、調弦のときに一番最初に合わせる基準ピッチが高いと、例えばA=440HzよりもA=442Hzの方が、演奏中のピッチの狂いが少ない傾向があるように思います。
自分は、普段はA=440Hzで練習するのが好きなのですが、たまにA=442Hzとか443Hzとかちょっと高めのピッチで練習すると、A=440Hzのときよりも調弦が狂いにくいように思います。
あくまでも例ですが、A=440Hzのときには30分に1回調弦し直す、とすると、A=442Hzのときは50分に1回調弦し直す、という具合です。
こうしたことが起きる理由・メカニズムは良くわかりませんが、ガット弦には、より高いピッチにした方が=より強いテンションで張った方が、緩みにくくなる=ピッチが下がりにくくなる、というような特性があるのではないかと考えています。
なお、ナイロン弦・シンセティック弦でも同様の傾向があるのかどうかはわかりません。
こうしたメカニズムについて、ご存知の方がいらしたら、解説していただけると幸いです。
このたび、(一般論としての)ガット弦の特性について語り合うスレッドを立ち上げます。ガット弦を長年愛用している方々であれば、ガット弦についていろいろとご存知かと思いますので、いろいろとご教示いただけると幸いです。
では、まずは私から。
ガット弦の特性①
基準ピッチが高いと、例えばA=440HzよりもA=442Hzの方が、演奏中のピッチの狂いが少ない傾向がある。
最近ふと気付いたことですが、調弦のときに一番最初に合わせる基準ピッチが高いと、例えばA=440HzよりもA=442Hzの方が、演奏中のピッチの狂いが少ない傾向があるように思います。
自分は、普段はA=440Hzで練習するのが好きなのですが、たまにA=442Hzとか443Hzとかちょっと高めのピッチで練習すると、A=440Hzのときよりも調弦が狂いにくいように思います。
あくまでも例ですが、A=440Hzのときには30分に1回調弦し直す、とすると、A=442Hzのときは50分に1回調弦し直す、という具合です。
こうしたことが起きる理由・メカニズムは良くわかりませんが、ガット弦には、より高いピッチにした方が=より強いテンションで張った方が、緩みにくくなる=ピッチが下がりにくくなる、というような特性があるのではないかと考えています。
なお、ナイロン弦・シンセティック弦でも同様の傾向があるのかどうかはわかりません。
こうしたメカニズムについて、ご存知の方がいらしたら、解説していただけると幸いです。
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[ 6コメント ]
【ご参考】
[34588]
Re: (一般論としての)ガット弦の特性
投稿日時:2007年08月24日 07:47
投稿者:hana(ID:EJFAY3E)
ピッチが高いと狂いにくいのかどうかは定かではありませんが
私の所属オケは基本が443Hzです。
入った時に(へーちょっと高いんだ)と思いましたが
この書き込みを読んで(なるほど)です。
コンミスはオリーブをご愛用してます。
私の所属オケは基本が443Hzです。
入った時に(へーちょっと高いんだ)と思いましたが
この書き込みを読んで(なるほど)です。
コンミスはオリーブをご愛用してます。
[34589]
Re: (一般論としての)ガット弦の特性
投稿日時:2007年08月24日 09:18
投稿者:椰子の実(ID:EwmIQIA)
hanaさん、お返事ありがとうございます。hanaさんのオケは基準ピッチがA=443Hzなんですね。入団された当初は「高いな~」と思われたと思いますが、今ではすっかり慣れて、本来の「標準ピッチ」のA=440Hzを採用した演奏を聞くと「低いな~(低くて何か変な感じ)」と感じるようになられているのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
普段A=440Hzで練習しておくと、ピッチを上げてA=442HzやA=443Hzにしても問題無く弾けますが、A=443Hzに慣れていると、ピッチを下げたA=440Hzがすごく低く感じられて弾きにくい、ということがあるかも知れません。耳の特性として、一般的に、ピッチを高くすることには抵抗が少なく、ピッチを低くすることには違和感を感じやすいようです。
日本のオーケストラは442Hzで弾いているところが多いようですが、ウィーンフィルやベルリンフィルは、A=445Hzぐらいで弾いているようです。ベルリンフィルは、A=450Hzに近いピッチで弾いていたこともあるようです。アメリカやイタリアのオケはA=440Hzを採用しているところが多いそうです。古楽では、人によって様々なピッチを採用していますが、現代よりも全音~半音ぐらい低いピッチを使用することが多いようです。
国際的な取り決めでは、「標準ピッチ」はA=440Hzとなっているのですが、日本国内でのコンサートや録音を聞く限りでは、A=442~443Hzを採用している例が多いように思います。
ピッチが高い方が、音量が増すとともに音が華やかに聞こえる、ということがあるので、標準ピッチA=440Hzよりも高いピッチを採用しているのだろうと思いますが、「経験則的に」高いピッチを採用することで、ヴァイオリンの弦(ガット弦)のピッチが狂いにくい(ピッチが下がりにくい)ことを考慮に入れている面も多少はあるのではないかと思います。
ただし、あまりピッチを上げると、弦のテンションが高くなりますので、ヴァイオリン本体にかかる負担が増えます。A=443Hzぐらいまでは問題無いと思いますが、それ以上にピッチを上げるのは控えた方が良いのではないかと思います。一時的に上げる分には問題無いと思いますが、常にA=445Hz以上の状態にしておくのは、負担が大き過ぎるような感じがします。
普段A=440Hzで練習しておくと、ピッチを上げてA=442HzやA=443Hzにしても問題無く弾けますが、A=443Hzに慣れていると、ピッチを下げたA=440Hzがすごく低く感じられて弾きにくい、ということがあるかも知れません。耳の特性として、一般的に、ピッチを高くすることには抵抗が少なく、ピッチを低くすることには違和感を感じやすいようです。
日本のオーケストラは442Hzで弾いているところが多いようですが、ウィーンフィルやベルリンフィルは、A=445Hzぐらいで弾いているようです。ベルリンフィルは、A=450Hzに近いピッチで弾いていたこともあるようです。アメリカやイタリアのオケはA=440Hzを採用しているところが多いそうです。古楽では、人によって様々なピッチを採用していますが、現代よりも全音~半音ぐらい低いピッチを使用することが多いようです。
国際的な取り決めでは、「標準ピッチ」はA=440Hzとなっているのですが、日本国内でのコンサートや録音を聞く限りでは、A=442~443Hzを採用している例が多いように思います。
ピッチが高い方が、音量が増すとともに音が華やかに聞こえる、ということがあるので、標準ピッチA=440Hzよりも高いピッチを採用しているのだろうと思いますが、「経験則的に」高いピッチを採用することで、ヴァイオリンの弦(ガット弦)のピッチが狂いにくい(ピッチが下がりにくい)ことを考慮に入れている面も多少はあるのではないかと思います。
ただし、あまりピッチを上げると、弦のテンションが高くなりますので、ヴァイオリン本体にかかる負担が増えます。A=443Hzぐらいまでは問題無いと思いますが、それ以上にピッチを上げるのは控えた方が良いのではないかと思います。一時的に上げる分には問題無いと思いますが、常にA=445Hz以上の状態にしておくのは、負担が大き過ぎるような感じがします。
[34599]
Re: (一般論としての)ガット弦の特性
投稿日時:2007年08月25日 06:16
投稿者:catgut(ID:iINSAUA)
パガニーニの演奏法の本を書いたカール・グールによると、
パガニーニは「非常に細い柔らかい弦」を使っていたそうです。
この目的はパガニーニが好んで非常に高いポジションで演奏
したことと、技巧的(人工)フラジオレットが容易に出るか
らだそうです。
また「演奏の最中」に一瞬にして「すべての弦を半音上げたり、
G線だけを1音半高くしたり」し、それを聴衆に悟られること
はなかったそうです。これもガット弦が比較的伸び
やすいので出来た芸当でしょう。
また、駒は右の端に向かってやや平らに削られており、最も
高いポジションでも同時に3弦を弾けたそうです。ガット弦
は柔軟なので3弦同時に弾きやすかったのでしょう。
いずれにしろパガニーニはガット弦の性質にかなり助けられて
いたようです。
パガニーニは「非常に細い柔らかい弦」を使っていたそうです。
この目的はパガニーニが好んで非常に高いポジションで演奏
したことと、技巧的(人工)フラジオレットが容易に出るか
らだそうです。
また「演奏の最中」に一瞬にして「すべての弦を半音上げたり、
G線だけを1音半高くしたり」し、それを聴衆に悟られること
はなかったそうです。これもガット弦が比較的伸び
やすいので出来た芸当でしょう。
また、駒は右の端に向かってやや平らに削られており、最も
高いポジションでも同時に3弦を弾けたそうです。ガット弦
は柔軟なので3弦同時に弾きやすかったのでしょう。
いずれにしろパガニーニはガット弦の性質にかなり助けられて
いたようです。
[34607]
Re: (一般論としての)ガット弦の特性
投稿日時:2007年08月25日 12:02
投稿者:椰子の実(ID:JXVHcFg)
catgutさん、お返事ありがとうございます。パガニーニが、グスタフ・ピラッツィ社(ピラストロ社の前身)の細い弦を愛用していた話は有名ですね。
バッハの無伴奏の例えば、フーガやシャコンヌを弾くと良くわかりますが、ナイロン弦よりもガット弦の方が和音が弾き易いように感じます。
ナイロン弦でも張力の強いタイプの弦だと、和音を弾いたときの弦の反発が強くて跳ね返されるようなところがあります。
日フィルのコンサートマスターの木野雅之さんは、パガニーニのように駒と指板を通常よりも若干平らにしているようです。パガニーニ、エルンスト、ヴィエニャフスキーなどの超絶技巧の曲を弾くのに都合が良いセッティングをしているのだと思います。ただ、駒を平らにすると、重音は弾き易いですが、単音は弾きにくくなりますので、注意が必要です。
バッハの無伴奏の例えば、フーガやシャコンヌを弾くと良くわかりますが、ナイロン弦よりもガット弦の方が和音が弾き易いように感じます。
ナイロン弦でも張力の強いタイプの弦だと、和音を弾いたときの弦の反発が強くて跳ね返されるようなところがあります。
日フィルのコンサートマスターの木野雅之さんは、パガニーニのように駒と指板を通常よりも若干平らにしているようです。パガニーニ、エルンスト、ヴィエニャフスキーなどの超絶技巧の曲を弾くのに都合が良いセッティングをしているのだと思います。ただ、駒を平らにすると、重音は弾き易いですが、単音は弾きにくくなりますので、注意が必要です。
[34619]
Re: (一般論としての)ガット弦の特性
投稿日時:2007年08月26日 17:18
投稿者:通りすがりX(ID:lEYDWRA)
> 基準ピッチが高いと、例えばA=440HzよりもA=442Hzの方が、
> 演奏中のピッチの狂いが少ない傾向がある。
仮説、つまり推測ですが。
ガット、張ってある駒からナットの部分だけでなく、糸巻きに巻いてある部分も伸びます。普段のピッチであれば、十分伸びている状態ですが、ピッチを落とし、糸巻きを少し緩める方向に回すと、普段伸びていない部分にまで張力が及ぶようになり、普段のピッチより伸びやすくなる可能性はあると思います。
経験上ですが、湿気と温度が高い状態で弾いた後には、A線などは終わってから糸巻きを元の位置まで戻すくらい緩めておかないと、切れやすくなります。
> 演奏中のピッチの狂いが少ない傾向がある。
仮説、つまり推測ですが。
ガット、張ってある駒からナットの部分だけでなく、糸巻きに巻いてある部分も伸びます。普段のピッチであれば、十分伸びている状態ですが、ピッチを落とし、糸巻きを少し緩める方向に回すと、普段伸びていない部分にまで張力が及ぶようになり、普段のピッチより伸びやすくなる可能性はあると思います。
経験上ですが、湿気と温度が高い状態で弾いた後には、A線などは終わってから糸巻きを元の位置まで戻すくらい緩めておかないと、切れやすくなります。
[34688]
Re: (一般論としての)ガット弦の特性
投稿日時:2007年09月06日 18:27
投稿者:椰子の実(ID:E1ZGdxU)
通りすがりXさん、お返事ありがとうございます。
>経験上ですが、湿気と温度が高い状態で弾いた後には、A線などは終わってから糸巻きを元の位置まで戻すくらい緩めておかないと、切れやすくなります。
とのことですが、たしかにオリーヴやオイドクサはそういう傾向がありましたが、パッシオーネは湿気や水分を吸い(含み)にくくなったので、ナイロン弦と同じような取り扱いでも大丈夫になりましたね。長時間練習して、手にいっぱい汗をかいた場合で、翌日、空気が乾燥しているようなシチュエーションでも、ピッチの上昇はわずかであり、これはナイロン弦と同様だと思います。
さて、ガット弦の一般的な特性に関して、次のお題に替えさせていただきます。
今回のお題は、「ガット弦のゲージ(太さ)と耐久性の相関関係について」です。
ここ数ヶ月、パッシオーネの標準ゲージと最細ゲージを弾き比べてみて気付いたことを書きます。
巻き線のほつれの少なさなど物理的な耐久性についても、音の持続性(良い音で弾ける期間の長さ)についても、最細ゲージよりも標準ゲージの方が優れているように思います。やはり、ガットのコア(芯)が細い分、最細ゲージは耐久性が多少犠牲になっているように思います。
最細ゲージは、テンションが弱めでレスポンスが俊敏、といったメリットもありますが、一方で、その細さゆえに若干耐久性の面で劣るところがあるようです。
従来のオリーヴやオイドクサに比べると、十分な耐久性がありますので、実用上は問題ありませんが、耐久性を重視する場合は、標準ゲージを選択した方が良さそうです。
パッシオーネの耐久性(心地良く弾ける限度)については、演奏時間にもよると思いますが、標準ゲージは3~4ヶ月、最細ゲージは2.5~3ヶ月程度だと思います。音が多少悪くなっても構わないという人や練習量が少なめの人であれば、+1~2ヶ月使えると思います。
ガット弦のゲージ(太さ)と耐久性について、みなさまの経験談をお話しいただけると幸いです。それでは、よろしくお願いいたします。
>経験上ですが、湿気と温度が高い状態で弾いた後には、A線などは終わってから糸巻きを元の位置まで戻すくらい緩めておかないと、切れやすくなります。
とのことですが、たしかにオリーヴやオイドクサはそういう傾向がありましたが、パッシオーネは湿気や水分を吸い(含み)にくくなったので、ナイロン弦と同じような取り扱いでも大丈夫になりましたね。長時間練習して、手にいっぱい汗をかいた場合で、翌日、空気が乾燥しているようなシチュエーションでも、ピッチの上昇はわずかであり、これはナイロン弦と同様だと思います。
さて、ガット弦の一般的な特性に関して、次のお題に替えさせていただきます。
今回のお題は、「ガット弦のゲージ(太さ)と耐久性の相関関係について」です。
ここ数ヶ月、パッシオーネの標準ゲージと最細ゲージを弾き比べてみて気付いたことを書きます。
巻き線のほつれの少なさなど物理的な耐久性についても、音の持続性(良い音で弾ける期間の長さ)についても、最細ゲージよりも標準ゲージの方が優れているように思います。やはり、ガットのコア(芯)が細い分、最細ゲージは耐久性が多少犠牲になっているように思います。
最細ゲージは、テンションが弱めでレスポンスが俊敏、といったメリットもありますが、一方で、その細さゆえに若干耐久性の面で劣るところがあるようです。
従来のオリーヴやオイドクサに比べると、十分な耐久性がありますので、実用上は問題ありませんが、耐久性を重視する場合は、標準ゲージを選択した方が良さそうです。
パッシオーネの耐久性(心地良く弾ける限度)については、演奏時間にもよると思いますが、標準ゲージは3~4ヶ月、最細ゲージは2.5~3ヶ月程度だと思います。音が多少悪くなっても構わないという人や練習量が少なめの人であれば、+1~2ヶ月使えると思います。
ガット弦のゲージ(太さ)と耐久性について、みなさまの経験談をお話しいただけると幸いです。それでは、よろしくお願いいたします。
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