[35445]
弦楽器のイントネーションとアンサンブル
投稿日時:2007年11月10日 16:57
投稿者:スガラボット(ID:QkhEczA)
別スレッドの「重音3度のイントネーション」に関連する話題なのでそちらで発言すべきとも思いましたが、スレ主のcocoさんの元の質問から話題が乖離しすぎるのでこちらで議論させて頂くことにします。
元のスレッドの議論ではバイオリンや弦楽四重奏で重音または和音を弾くとき、へマン著の「弦楽器のイントネーション」の弦楽四重奏の例を引きながら、上の音をピタゴラス律などの旋律的音律で弾き下の音はそれに純正3度または6度で和音を付けるというのが大方のの合意であるように理解しました。
ピタゴラス音律は世界中で昔から琴のような弦楽器の音律として採用され、その旋律姓が良いことが認められています。ただこの音律はハーモニーの観点からは濁りが大きく単旋律の歌以外ではあまり用いられません。現在通常用いられる音律はオクターブを12の半音に均等に等比分割した平均律が主となっています。平均律の5度はピタゴラス5度に比べて1.96セント狭いもののかなり近い値であり、平均律はピタゴラス音律に準じた良好な旋律姓を有するとされています。とはいえ元々がLog2の1/12という無理数の等比列であるためどの和音も完全な響和が得られる筈はなく、特に長三度・単三度の和音を純正にとるには-13.69セント、+15.64セントもずらす必要があります。
重音やアンサンブルにおいてハーモニーを美しく響かせるには、旋律に随伴する3度なり6度なりの音を純正に近くとる必要があり、「重音3度の下の音や2ndVn/Va等の中声部の音はそのように弾くべし」というのが上記の結論ですが、一人で弾く重音の場合はまあそれで困らないとしても、アンサンブルで2ndVn/Vaなどの中声部を弾く立場としては非常に辛いものがあります。なぜならこれらのパートは主旋律があっての随伴音であり、この随伴音のみを旋律として弾くと随分調子外れな歌に聞こえるからです。即ち、主旋律と対旋律という旋律ラインとしての関係は成立し難くなります。
旋律を弾く人から見れば、「俺は美しく歌うからおまえら下々はそれに付けろ」でいいのかも知れませんが、中声部を弾く方もいつもその立場でいいというわけではなく、時には主旋律も廻ってくるのですから、その分析やら切替えが大変で、結局いつも音程に悩み続けることになります。ただ別スレッドの結論のように、今日の日本ではアンサンブルをする場合、プロもアマも関係なくこの考え方が主流となっているように思われます。(そう、僕らビオラ弾きの悩みの一つはここにあるのです。)
ところで先程のピタゴラス音律と平均律の話にも共通するのですが、バイオリンのチューニングをするとき、今時完全5度で4本とも合わせる人はいないと思います。それはA線からD線、G線と低くなるに従って5度が少しずつ広くなっていき平均律からもずれてしまうからです。それでチューニングするとき先生からも少し狭めに合わせるように指導されますが、普通一般的には、ほぼ平均律に合わせるようにチューニングしていることと思います。特にピアノと合わせるときは、殆どの場合ピアノが平均律で調律されているからです。ただ平均律のチューニングだとG線の開放弦に対してE線の開放弦が高すぎてハモらないばかりか、楽器の4本の弦が同時に共鳴する倍音関係にないため、楽器全体の響きが少し損しているように思います。
これを解決するため、ソロや弦楽アンサンブルの場合には調弦を完全5度より少し狭めに合わせることがあります。この手法は弦楽器のの響きを良くすると同時に、弦楽四重奏のレッスンでよく言われる「ビオラとチェロの低弦は少し高めにチューニングするように」という教えとも符合しています。少し高めに合わせた低弦のG音やC音がバイオリンのE線とハモりやすくなるのです。
このチューニングをもう少しシステマティックに行うと、話は古典音律のヴェルクマイスター1のIIIやキルンベルがーIIIといった音律につながっていくのです。こういう古典音律の話を持ち出すとチェンバロのチューニングか古楽お宅の範疇だと考えられがちですが、実はヨーロッパの名門オーケストラや四重奏団には夫々独自にこの様なチューニングシステム(音律)が備わっているのではないかと思われます。よく日本人の演奏家がヨーロッパのオーケストラ団員になると、演奏する音程がはじめの何年かそれまで自分が持っていた音程感と異なることに苦労するという話を聴きますが、それが一つの証だとは言えないでしょうか。
ハイドンがから、モーツアルト、ベートーベン、そしてロマン派に至る音楽の系譜の中では調性感に溢れる曲が創られてきました。この調性感というのは12の音名それぞれの長調・短調合わせて24の調性が独自に有する旋律とハーモニーの色彩感を言います。よく言われるニ長調は祭典的だとかハ短調が悲劇的だとかいうあれのことです。しかし、実は平均律で演奏すると長調と短調の差は勿論ありますが、調の差はピッチの差でしかなく、そこに調毎に異なる共通の色彩感といったものの存在を感じる人は少ない筈です。この調性感はハイドンやモーツアルトが愛好したミーントーン(中全音律)からロマン派に至る音楽に用いられたヴェルクマイスターやキルンベルガー等の古典音律で演奏するときに始めて明確になる概念だと言えます。音律の古典という言葉のイメージとは裏腹にしっかりロマン派の時代まで継承されていたのです。
一つの調で一曲が終わるなら純正律で調律して演奏できます。しかし、途中で転調があると純正律では対応できなくなってしまいます。そこで、一回の調律で各調に対応できるように考え出されたのがこれらの古典音律です。1オクターブに12の鍵盤を用いて、全ての調で和音を純正に響かせることは元々無理なので、不響和になってしまう各音のピッチを少しずつ調整して不快感の少ない美しい響きになるように工夫したのです。これらの音律は一般的に調号(♯や♭)が少ない調では和音が平明に響き、調号が増えるに従って和音に緊張感が加わって旋律性に勝った色彩感になるとされています。この様に演奏に用いる音律と調性感はと切っても切れない関係にあるのです。
A線に比べてD線、G線とC線を平均律より夫々3.5~3.9セントずつ狭めにチューニングすると、低弦は夫々前述のキルンベルがーIII(KB)及びヴェルクマイスター1のIII(VM)になります。またE線をA線に比べて3.5セント狭めにするとKM、完全5度でチューニングするとVMになります。現在はこれらの古典音律をセットできるチューナーがかなり安価に販売されているので、そのつもりになればすぐ試してみることが出来ます。
Vnではよく分からないかも知れませんが、一度このどちらかに調弦してVaなりVcなりをアルバン・ベルクSQやイタリアSQのCDと一緒に弾いてみてください。それぞれのSQがどの音律を採用しているのか正確なところは判りませんが、これと同じ傾向の音律を用いて演奏していることが実感できます。平均律でチューニングしたVaやVcでは決して彼らのハーモニーを共有できないことがお分かりになると思います。(僕がABQとVMで合わせると開放弦のC音のみ自分の方が高すぎる感じがしますから、VMより多分KBの方が近いのだろうと思います。)
弦楽四重奏を演る人は、是非一度こうした音律で各楽器をチューニングしてアンサンブルしてみることをお勧めします。必ずや新しいハーモニーの世界を発見することと思います。こうすれば、それぞれのパートの旋律性も明確で、ハーモニーも純正とは少し異なるかも知れませんが美しい響きを体感することが出来ます。ロマン派なまでの音楽に現れる調性感はこうした古典音律を用いて演奏することによってはじめて現代に蘇らせることが出来るのです。そしてこういう音律で演奏する何よりの歓びは、これまでいつも旋律ラインに従属しなければならなかった随伴音を弾くパートが対等な立場で活き活きとアンサンブル出来るようになることです。
元のスレッドの議論ではバイオリンや弦楽四重奏で重音または和音を弾くとき、へマン著の「弦楽器のイントネーション」の弦楽四重奏の例を引きながら、上の音をピタゴラス律などの旋律的音律で弾き下の音はそれに純正3度または6度で和音を付けるというのが大方のの合意であるように理解しました。
ピタゴラス音律は世界中で昔から琴のような弦楽器の音律として採用され、その旋律姓が良いことが認められています。ただこの音律はハーモニーの観点からは濁りが大きく単旋律の歌以外ではあまり用いられません。現在通常用いられる音律はオクターブを12の半音に均等に等比分割した平均律が主となっています。平均律の5度はピタゴラス5度に比べて1.96セント狭いもののかなり近い値であり、平均律はピタゴラス音律に準じた良好な旋律姓を有するとされています。とはいえ元々がLog2の1/12という無理数の等比列であるためどの和音も完全な響和が得られる筈はなく、特に長三度・単三度の和音を純正にとるには-13.69セント、+15.64セントもずらす必要があります。
重音やアンサンブルにおいてハーモニーを美しく響かせるには、旋律に随伴する3度なり6度なりの音を純正に近くとる必要があり、「重音3度の下の音や2ndVn/Va等の中声部の音はそのように弾くべし」というのが上記の結論ですが、一人で弾く重音の場合はまあそれで困らないとしても、アンサンブルで2ndVn/Vaなどの中声部を弾く立場としては非常に辛いものがあります。なぜならこれらのパートは主旋律があっての随伴音であり、この随伴音のみを旋律として弾くと随分調子外れな歌に聞こえるからです。即ち、主旋律と対旋律という旋律ラインとしての関係は成立し難くなります。
旋律を弾く人から見れば、「俺は美しく歌うからおまえら下々はそれに付けろ」でいいのかも知れませんが、中声部を弾く方もいつもその立場でいいというわけではなく、時には主旋律も廻ってくるのですから、その分析やら切替えが大変で、結局いつも音程に悩み続けることになります。ただ別スレッドの結論のように、今日の日本ではアンサンブルをする場合、プロもアマも関係なくこの考え方が主流となっているように思われます。(そう、僕らビオラ弾きの悩みの一つはここにあるのです。)
ところで先程のピタゴラス音律と平均律の話にも共通するのですが、バイオリンのチューニングをするとき、今時完全5度で4本とも合わせる人はいないと思います。それはA線からD線、G線と低くなるに従って5度が少しずつ広くなっていき平均律からもずれてしまうからです。それでチューニングするとき先生からも少し狭めに合わせるように指導されますが、普通一般的には、ほぼ平均律に合わせるようにチューニングしていることと思います。特にピアノと合わせるときは、殆どの場合ピアノが平均律で調律されているからです。ただ平均律のチューニングだとG線の開放弦に対してE線の開放弦が高すぎてハモらないばかりか、楽器の4本の弦が同時に共鳴する倍音関係にないため、楽器全体の響きが少し損しているように思います。
これを解決するため、ソロや弦楽アンサンブルの場合には調弦を完全5度より少し狭めに合わせることがあります。この手法は弦楽器のの響きを良くすると同時に、弦楽四重奏のレッスンでよく言われる「ビオラとチェロの低弦は少し高めにチューニングするように」という教えとも符合しています。少し高めに合わせた低弦のG音やC音がバイオリンのE線とハモりやすくなるのです。
このチューニングをもう少しシステマティックに行うと、話は古典音律のヴェルクマイスター1のIIIやキルンベルがーIIIといった音律につながっていくのです。こういう古典音律の話を持ち出すとチェンバロのチューニングか古楽お宅の範疇だと考えられがちですが、実はヨーロッパの名門オーケストラや四重奏団には夫々独自にこの様なチューニングシステム(音律)が備わっているのではないかと思われます。よく日本人の演奏家がヨーロッパのオーケストラ団員になると、演奏する音程がはじめの何年かそれまで自分が持っていた音程感と異なることに苦労するという話を聴きますが、それが一つの証だとは言えないでしょうか。
ハイドンがから、モーツアルト、ベートーベン、そしてロマン派に至る音楽の系譜の中では調性感に溢れる曲が創られてきました。この調性感というのは12の音名それぞれの長調・短調合わせて24の調性が独自に有する旋律とハーモニーの色彩感を言います。よく言われるニ長調は祭典的だとかハ短調が悲劇的だとかいうあれのことです。しかし、実は平均律で演奏すると長調と短調の差は勿論ありますが、調の差はピッチの差でしかなく、そこに調毎に異なる共通の色彩感といったものの存在を感じる人は少ない筈です。この調性感はハイドンやモーツアルトが愛好したミーントーン(中全音律)からロマン派に至る音楽に用いられたヴェルクマイスターやキルンベルガー等の古典音律で演奏するときに始めて明確になる概念だと言えます。音律の古典という言葉のイメージとは裏腹にしっかりロマン派の時代まで継承されていたのです。
一つの調で一曲が終わるなら純正律で調律して演奏できます。しかし、途中で転調があると純正律では対応できなくなってしまいます。そこで、一回の調律で各調に対応できるように考え出されたのがこれらの古典音律です。1オクターブに12の鍵盤を用いて、全ての調で和音を純正に響かせることは元々無理なので、不響和になってしまう各音のピッチを少しずつ調整して不快感の少ない美しい響きになるように工夫したのです。これらの音律は一般的に調号(♯や♭)が少ない調では和音が平明に響き、調号が増えるに従って和音に緊張感が加わって旋律性に勝った色彩感になるとされています。この様に演奏に用いる音律と調性感はと切っても切れない関係にあるのです。
A線に比べてD線、G線とC線を平均律より夫々3.5~3.9セントずつ狭めにチューニングすると、低弦は夫々前述のキルンベルがーIII(KB)及びヴェルクマイスター1のIII(VM)になります。またE線をA線に比べて3.5セント狭めにするとKM、完全5度でチューニングするとVMになります。現在はこれらの古典音律をセットできるチューナーがかなり安価に販売されているので、そのつもりになればすぐ試してみることが出来ます。
Vnではよく分からないかも知れませんが、一度このどちらかに調弦してVaなりVcなりをアルバン・ベルクSQやイタリアSQのCDと一緒に弾いてみてください。それぞれのSQがどの音律を採用しているのか正確なところは判りませんが、これと同じ傾向の音律を用いて演奏していることが実感できます。平均律でチューニングしたVaやVcでは決して彼らのハーモニーを共有できないことがお分かりになると思います。(僕がABQとVMで合わせると開放弦のC音のみ自分の方が高すぎる感じがしますから、VMより多分KBの方が近いのだろうと思います。)
弦楽四重奏を演る人は、是非一度こうした音律で各楽器をチューニングしてアンサンブルしてみることをお勧めします。必ずや新しいハーモニーの世界を発見することと思います。こうすれば、それぞれのパートの旋律性も明確で、ハーモニーも純正とは少し異なるかも知れませんが美しい響きを体感することが出来ます。ロマン派なまでの音楽に現れる調性感はこうした古典音律を用いて演奏することによってはじめて現代に蘇らせることが出来るのです。そしてこういう音律で演奏する何よりの歓びは、これまでいつも旋律ラインに従属しなければならなかった随伴音を弾くパートが対等な立場で活き活きとアンサンブル出来るようになることです。
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4 / 5 ページ [ 43コメント ]
【ご参考】
[35586]
Re: 弦楽器のイントネーションとアンサンブル
投稿日時:2007年11月20日 23:55
投稿者:pochi(ID:OVMFIBc)
理論を議論しているのに、ゴメンナサイ。
3日間試しましたが、700centよりも狭い(平均律よりも狭い)調弦にはどうしても馴染めません。不快です。
ポピュラー音楽での仕事をしていた人なら単音でほぼ正確に700centを取ることが出来るはずです。私が重音で調弦するのは5度調弦の時で、その場合でも若干狭めに取る習慣があります。バッハの無伴奏でも少し狭いかも知れません。高い音や他の楽器との調和を考えると狭いほうが良い様に思います。
曖昧な知識で申し訳ないのですが、ピアノの調律は、低音や高音で平均律よりも広かった筈です。ビオラの最低音C辺りから、ヴァイオリンの解放絃E辺りから拡がって行くと思います。専門家の方、解説をお願いします。
クラリネット五重奏等では、どの様に調弦するのでしょうか?現実には、楽器の特性上、VMとかKMとか云っていられないほど、音程が悪いと思います。
>>演奏する音程がはじめの何年かそれまで自分が持っていた音程感と異なることに苦労するという話を聴きますが、それが一つの証だとは言えないでしょうか。
***「作曲された時代によって音程感は変る」と教えられたはずです。同じ独逸物でも、ブラームスとモーツアルトを弾き分ける時には、音程感も違う筈です。日本では教えないのでしょうか?
3日間試しましたが、700centよりも狭い(平均律よりも狭い)調弦にはどうしても馴染めません。不快です。
ポピュラー音楽での仕事をしていた人なら単音でほぼ正確に700centを取ることが出来るはずです。私が重音で調弦するのは5度調弦の時で、その場合でも若干狭めに取る習慣があります。バッハの無伴奏でも少し狭いかも知れません。高い音や他の楽器との調和を考えると狭いほうが良い様に思います。
曖昧な知識で申し訳ないのですが、ピアノの調律は、低音や高音で平均律よりも広かった筈です。ビオラの最低音C辺りから、ヴァイオリンの解放絃E辺りから拡がって行くと思います。専門家の方、解説をお願いします。
クラリネット五重奏等では、どの様に調弦するのでしょうか?現実には、楽器の特性上、VMとかKMとか云っていられないほど、音程が悪いと思います。
>>演奏する音程がはじめの何年かそれまで自分が持っていた音程感と異なることに苦労するという話を聴きますが、それが一つの証だとは言えないでしょうか。
***「作曲された時代によって音程感は変る」と教えられたはずです。同じ独逸物でも、ブラームスとモーツアルトを弾き分ける時には、音程感も違う筈です。日本では教えないのでしょうか?
[35587]
Re: 弦楽器のイントネーションとアンサンブル
投稿日時:2007年11月21日 00:43
投稿者:catgut(ID:QWJUOZg)
ttp://www.kawai.co.jp/tp/tuning/business.asp
ピアノの場合は発生する倍音がずれることで調律を高音部では
高めに、低音部では低めにする必要があるそうです。
ピアノの場合は発生する倍音がずれることで調律を高音部では
高めに、低音部では低めにする必要があるそうです。
[35590]
Re: 弦楽器のイントネーションとアンサンブル
投稿日時:2007年11月21日 06:25
投稿者:?(ID:lEYDWRA)
南社さん
> 5度を2つ重ねた音は純正調だけど
厳密には違います。
正確に書きますね。
長調で言えば、主和音、属和音、下属和音の基本形(転回しない形)で、4:5:6の周波数比になるのが純正調です。この三つの和音から音階の七音が作られます。
2:3の五度を重ねて音階の七音を作るのはピタゴラス音階です。
両者は、音階の第三音と第六音が異なり、他の五音は同じピッチです。
以上、最初の講義、終わり。
> 5度を2つ重ねた音は純正調だけど
厳密には違います。
正確に書きますね。
長調で言えば、主和音、属和音、下属和音の基本形(転回しない形)で、4:5:6の周波数比になるのが純正調です。この三つの和音から音階の七音が作られます。
2:3の五度を重ねて音階の七音を作るのはピタゴラス音階です。
両者は、音階の第三音と第六音が異なり、他の五音は同じピッチです。
以上、最初の講義、終わり。
[35591]
Re: 弦楽器のイントネーションとアンサンブル
投稿日時:2007年11月21日 06:39
投稿者:?(ID:lEYDWRA)
宿題
「[35590]
の発言の間違いを指摘せよ。」
答え
導音になる第七音も純正調とピタゴラス音階では違っています。
大変、失礼いたしました。。。。(汗、汗)
「[35590]
[35590]
Re: 弦楽器のイントネーションとアンサンブル
投稿日時:2007年11月21日 06:25
投稿者:?(ID:lEYDWRA)
南社さん
> 5度を2つ重ねた音は純正調だけど
厳密には違います。
正確に書きますね。
長調で言えば、主和音、属和音、下属和音の基本形(転回しない形)で、4:5:6の周波数比になるのが純正調です。この三つの和音から音階の七音が作られます。
2:3の五度を重ねて音階の七音を作るのはピタゴラス音階です。
両者は、音階の第三音と第六音が異なり、他の五音は同じピッチです。
以上、最初の講義、終わり。
> 5度を2つ重ねた音は純正調だけど
厳密には違います。
正確に書きますね。
長調で言えば、主和音、属和音、下属和音の基本形(転回しない形)で、4:5:6の周波数比になるのが純正調です。この三つの和音から音階の七音が作られます。
2:3の五度を重ねて音階の七音を作るのはピタゴラス音階です。
両者は、音階の第三音と第六音が異なり、他の五音は同じピッチです。
以上、最初の講義、終わり。
答え
導音になる第七音も純正調とピタゴラス音階では違っています。
大変、失礼いたしました。。。。(汗、汗)
[35594]
Re: 弦楽器のイントネーションとアンサンブル
投稿日時:2007年11月21日 18:23
投稿者:スガラボット(ID:l1cQQwA)
<ポテチ>さん、
ピアノの和音は平均律で、みんな慣れていますから綺麗だとは思います。
「じゃあ弦楽四重奏は?」というのがスレッドのテーマなんですよね。僕等のSQで弦楽器(開放弦)のチューニングは古典音律でやってますが、他の音は音律云々と言える状況ではないのは確かでしょう。何しろKB3とミーントーンはC-G-D-A-Eに関しては同じですから…。 ただ僕等のSQでは各パートが開放弦を弾くことをあまり躊躇しなくなったことは確かです。 それもあって曲想がが明るく華やかに響くようになりました。 皆さんはアンサンブルで開放弦を弾くことに躊躇されているのではありませんか?
もう一つ、これは僕がビオラパートを弾いていて強く感じるのが、A-durなどの曲の音程に悩まなくなりました。 例えばモーツアルトだとハイドンセット第5番 K.464やフルートカルテット第4番 K.298などです。 バイオリンやフルートには何も言わず、VaとVcだけでも示し合わせてGとCを高めにあせわるだけで全く違った明るい響きになりますよ。
<?>さん、<南社>さん、
純正五度が二つ重なると、既に純正調にはならない筈なのでこの件へのレスは割愛します。 メンコンe-molのVnソロ、G線の開放弦は第2主題をG-durで木管が奏でるところだと思いますが、Aをオケのチューニングに合わせてその後、A線からD線、D線からG線を純正(ピタゴラス)五度でチューニングすると、G音が平均律より4セント低くなってソロだけ低めという状況になるので、今も昔も絶対にそんな調弦はしないと思います。 だから僕はVnソロ調弦のデフォールトはピタゴラス五度という話には元々懐疑的です。
<pochi>さん、
> … ゴメンナサイ…。…700centよりも狭い調弦にはどうしてもなじめません。不快です。
ここで謝っていただくなどとんでもない。 不快を感じるような提案をしてしまったようで、こちらこそどうぞお許し下さい。 僕はこの狭い五度調弦を「髪の毛三本ほど」と表現しましたが、調弦のとき五度を重音で弾いたら最初は不快に感じる人が多いように思います(僕もそうでした)。 ただ僕は絶対音感とは無縁なので、アンサンブルをやっていて違和感や不快感を感じたことはありませんでした。
あと、700centに合わせるとき、pochiさんは単音でと仰いましたが、僕は以前、この「髪の毛一本ほど」狭めに重音で合わせるのが習慣になっていました。 「髪の毛三本ほど」(695.5cent)に合わせる方も既に習慣になりつつあります。
ピアノの場合は、倍音のズレを調節するため低域を低めに、高域を高めに合わせることはcatgutさんがお書きになっている通りだと思いますが、前にご紹介したKorg MT-1200のチューナにはこの機能も搭載されています。
クラ五のイントネーションの件ですが、僕はクラリネットが音程の悪い楽器だという認識は無かったのでこの話はわかりません。 K.581はウラッハやサビーネ・マイヤーを聴いてもそんな感想はなかったです。これはA管で吹くのでそんなに不自然になるとは思えないのですけど…。 そしてこれに合わせる弦楽器は今回の第3パラグラフの話が当てはまると思っています。
ピアノの和音は平均律で、みんな慣れていますから綺麗だとは思います。
「じゃあ弦楽四重奏は?」というのがスレッドのテーマなんですよね。僕等のSQで弦楽器(開放弦)のチューニングは古典音律でやってますが、他の音は音律云々と言える状況ではないのは確かでしょう。何しろKB3とミーントーンはC-G-D-A-Eに関しては同じですから…。 ただ僕等のSQでは各パートが開放弦を弾くことをあまり躊躇しなくなったことは確かです。 それもあって曲想がが明るく華やかに響くようになりました。 皆さんはアンサンブルで開放弦を弾くことに躊躇されているのではありませんか?
もう一つ、これは僕がビオラパートを弾いていて強く感じるのが、A-durなどの曲の音程に悩まなくなりました。 例えばモーツアルトだとハイドンセット第5番 K.464やフルートカルテット第4番 K.298などです。 バイオリンやフルートには何も言わず、VaとVcだけでも示し合わせてGとCを高めにあせわるだけで全く違った明るい響きになりますよ。
<?>さん、<南社>さん、
純正五度が二つ重なると、既に純正調にはならない筈なのでこの件へのレスは割愛します。 メンコンe-molのVnソロ、G線の開放弦は第2主題をG-durで木管が奏でるところだと思いますが、Aをオケのチューニングに合わせてその後、A線からD線、D線からG線を純正(ピタゴラス)五度でチューニングすると、G音が平均律より4セント低くなってソロだけ低めという状況になるので、今も昔も絶対にそんな調弦はしないと思います。 だから僕はVnソロ調弦のデフォールトはピタゴラス五度という話には元々懐疑的です。
<pochi>さん、
> … ゴメンナサイ…。…700centよりも狭い調弦にはどうしてもなじめません。不快です。
ここで謝っていただくなどとんでもない。 不快を感じるような提案をしてしまったようで、こちらこそどうぞお許し下さい。 僕はこの狭い五度調弦を「髪の毛三本ほど」と表現しましたが、調弦のとき五度を重音で弾いたら最初は不快に感じる人が多いように思います(僕もそうでした)。 ただ僕は絶対音感とは無縁なので、アンサンブルをやっていて違和感や不快感を感じたことはありませんでした。
あと、700centに合わせるとき、pochiさんは単音でと仰いましたが、僕は以前、この「髪の毛一本ほど」狭めに重音で合わせるのが習慣になっていました。 「髪の毛三本ほど」(695.5cent)に合わせる方も既に習慣になりつつあります。
ピアノの場合は、倍音のズレを調節するため低域を低めに、高域を高めに合わせることはcatgutさんがお書きになっている通りだと思いますが、前にご紹介したKorg MT-1200のチューナにはこの機能も搭載されています。
クラ五のイントネーションの件ですが、僕はクラリネットが音程の悪い楽器だという認識は無かったのでこの話はわかりません。 K.581はウラッハやサビーネ・マイヤーを聴いてもそんな感想はなかったです。これはA管で吹くのでそんなに不自然になるとは思えないのですけど…。 そしてこれに合わせる弦楽器は今回の第3パラグラフの話が当てはまると思っています。
[35596]
Re: 弦楽器のイントネーションとアンサンブル
投稿日時:2007年11月21日 19:27
投稿者:スガラボット(ID:l1cQQwA)
済みません、先程の書き込みで 695.5cent ⇒ 696.5cent の誤りでした。
[35602]
Pythagorean Intonation
投稿日時:2007年11月22日 21:56
投稿者:匿名希望X(ID:J4cAQxU)
35476
>>ピタゴラス律で旋律を弾くバイオリニストはいますが、それはソリストとして自分の旋律ラインを浮かび上がらせるために行うのであって
........
ズガラボットさん、今日は!!
クヮルテットの音程位難しくてやっかいな課題はありません。いや本当に大変ですよ。
ヘマンさんの著作が話題になったので一言触れると、あれは私の駆け出し時代に出たのをむさぼるように読んだのが懐かしいですが、私の現在の感覚はヘマンとは違います。
私どもが現在ステージの上で実行していることはとてもWebでは書けませんが……
(1) 各自は正確なツボで絶対的に正確に弾いた段階から出発しないと四重奏は成立しない。したがってまず各人が自分の楽器がよく響く音程で弾けるようにしてから練習に臨む。個人練習では調弦は完全5度でも構わない。
(2) 4人で弾く場合には、調弦はヴィオラやチェロのC線をおおむね高くとる。その高さは曲によって違う。ついでにG線もたいていの場合全員高くする。その度合いは曲によって違う。
(3) 小さな部屋でハーモニーをうんぬんするのは非常に危険であり、ステージで演奏した場合客席で美しく聴こえる音程を発見しなくてはならない。
.......
(3)の段階がとても難しいのです。案外ピュタゴラス音程よりに取った方が成功する場合がわが国のホールでは多いかも知れません。ただし部屋の広さや残響で違ったりもします。
......
CDですが、聴いてショックを受けたのはフェルメール四重奏団です。第1ヴァイオリンの音程は中近東的というかものすごい個性的なものですが、実によくはまっている。ほんとにクヮルテットって一筋縄では行きません。最終的には弾く人間の好みと、作りたい音楽によって決まるのでは、と感じています。
>>ピタゴラス律で旋律を弾くバイオリニストはいますが、それはソリストとして自分の旋律ラインを浮かび上がらせるために行うのであって
........
ズガラボットさん、今日は!!
クヮルテットの音程位難しくてやっかいな課題はありません。いや本当に大変ですよ。
ヘマンさんの著作が話題になったので一言触れると、あれは私の駆け出し時代に出たのをむさぼるように読んだのが懐かしいですが、私の現在の感覚はヘマンとは違います。
私どもが現在ステージの上で実行していることはとてもWebでは書けませんが……
(1) 各自は正確なツボで絶対的に正確に弾いた段階から出発しないと四重奏は成立しない。したがってまず各人が自分の楽器がよく響く音程で弾けるようにしてから練習に臨む。個人練習では調弦は完全5度でも構わない。
(2) 4人で弾く場合には、調弦はヴィオラやチェロのC線をおおむね高くとる。その高さは曲によって違う。ついでにG線もたいていの場合全員高くする。その度合いは曲によって違う。
(3) 小さな部屋でハーモニーをうんぬんするのは非常に危険であり、ステージで演奏した場合客席で美しく聴こえる音程を発見しなくてはならない。
.......
(3)の段階がとても難しいのです。案外ピュタゴラス音程よりに取った方が成功する場合がわが国のホールでは多いかも知れません。ただし部屋の広さや残響で違ったりもします。
......
CDですが、聴いてショックを受けたのはフェルメール四重奏団です。第1ヴァイオリンの音程は中近東的というかものすごい個性的なものですが、実によくはまっている。ほんとにクヮルテットって一筋縄では行きません。最終的には弾く人間の好みと、作りたい音楽によって決まるのでは、と感じています。
[35605]
Re: 弦楽器のイントネーションとアンサンブル
投稿日時:2007年11月23日 08:32
投稿者:スガラボット(ID:lCJGcxA)
匿名希望X さん、こんにちは。 ステージで日々演奏活動されている現役プロからのアドバイス、本当に参考になります。
> (1) 個人練習は、各自の美意識で、… (2) 4人で弾くときは概ね(G)-Cを高く、… (3) …ステージでは客席で美しく聴こえる音程を発見する。
何と奥の深い、そして徹底した結果重視の手法であることか。 特に(3)については、我々アマチュアには想像のつかない世界です。 プロ演奏家の企業秘密だとは承知しておりますが、それがどんなものか、そのさわりだけでも少し明かしていただけると大変参考になるのですが…。 それと僕はフェルメールSQのCDというのを聴いたことがないので、研究してみようと思いますがどのようなものがあるか、これもご紹介いただけると嬉しいです。
(2) の段階については『曲により低弦を高くチューニングする程度も異なる』と理解しましたが、これは平均律の五度より狭いこともありですよね? あと(3)については素人考えですが、ホールが大きくなると残響が長くなるため、通常は横の線として捉えられる(旋律線の)流れに時間の重なりが出来て、それが客席でいかに美しく響くかを考慮する、と推察しましたが、いかがでしょうか。
プロの演奏というのは、万人に訴える芸術性と、その中で自分たちのオリジナリティーをどのように訴えるかとのせめぎ合いだと思いますが、我々が趣味の世界で楽しむ音楽との違いを目の当たりにさせて頂いた感じです。
> (1) 個人練習は、各自の美意識で、… (2) 4人で弾くときは概ね(G)-Cを高く、… (3) …ステージでは客席で美しく聴こえる音程を発見する。
何と奥の深い、そして徹底した結果重視の手法であることか。 特に(3)については、我々アマチュアには想像のつかない世界です。 プロ演奏家の企業秘密だとは承知しておりますが、それがどんなものか、そのさわりだけでも少し明かしていただけると大変参考になるのですが…。 それと僕はフェルメールSQのCDというのを聴いたことがないので、研究してみようと思いますがどのようなものがあるか、これもご紹介いただけると嬉しいです。
(2) の段階については『曲により低弦を高くチューニングする程度も異なる』と理解しましたが、これは平均律の五度より狭いこともありですよね? あと(3)については素人考えですが、ホールが大きくなると残響が長くなるため、通常は横の線として捉えられる(旋律線の)流れに時間の重なりが出来て、それが客席でいかに美しく響くかを考慮する、と推察しましたが、いかがでしょうか。
プロの演奏というのは、万人に訴える芸術性と、その中で自分たちのオリジナリティーをどのように訴えるかとのせめぎ合いだと思いますが、我々が趣味の世界で楽しむ音楽との違いを目の当たりにさせて頂いた感じです。
[35609]
Re: 弦楽器のイントネーションとアンサンブル
投稿日時:2007年11月24日 21:37
投稿者:ボテチ(ID:FzZQIgk)
> ホールが大きくなると残響が長くなるため、通常は横の線として捉えられる(旋律線の)流れに時間の重なりが出来て、
いやいや、そんな大ホールの長い残響時間を聴いて弾くのは、スタッカートなどの音の長さで、イントネーションや音色はそれで変えたりしないでしょう。遠鳴りする音は短い残響を聴いて作るのです。大ホールではステージの後ろや側壁などが反射する音です。それが結果的によく響く音になるのは、ホールを設計した音響的観点からも言えます。
いやいや、そんな大ホールの長い残響時間を聴いて弾くのは、スタッカートなどの音の長さで、イントネーションや音色はそれで変えたりしないでしょう。遠鳴りする音は短い残響を聴いて作るのです。大ホールではステージの後ろや側壁などが反射する音です。それが結果的によく響く音になるのは、ホールを設計した音響的観点からも言えます。
[35612]
Re: 弦楽器のイントネーションとアンサンブル
投稿日時:2007年11月25日 01:02
投稿者:父娘でVn始めました(ID:Jig1MZA)
ホールが大きくなると残響が長くなる????
なんて、そんな単純なものではありません。
それぞれのホールが持っている響きの長さ、深さ。響きの色合い、音域毎の響きやすさ。お客が入ったときにどのくらい音が変わるかの程度とか、一つ一つのホールはまるで楽器毎に音が違うように音が違います。音楽家は楽器を鳴らすだけでは半人前、ホール全体を響かせて初めて一丁前というものです。自ら弾いた音の、ホールの一番向こうの先の先まで行って、帰って来た音をちゃんと聴き分けられることが最低条件です。渋谷(原宿?代々木?)の某有名巨大ホールは、厳しいです。そこにレジデントのあの有名桶の皆さんは苦労が耐えないと思いマスです。余計な口を差し挟みまして、御詫び申し上げます。
なんて、そんな単純なものではありません。
それぞれのホールが持っている響きの長さ、深さ。響きの色合い、音域毎の響きやすさ。お客が入ったときにどのくらい音が変わるかの程度とか、一つ一つのホールはまるで楽器毎に音が違うように音が違います。音楽家は楽器を鳴らすだけでは半人前、ホール全体を響かせて初めて一丁前というものです。自ら弾いた音の、ホールの一番向こうの先の先まで行って、帰って来た音をちゃんと聴き分けられることが最低条件です。渋谷(原宿?代々木?)の某有名巨大ホールは、厳しいです。そこにレジデントのあの有名桶の皆さんは苦労が耐えないと思いマスです。余計な口を差し挟みまして、御詫び申し上げます。
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