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裸のガット弦(プレーンガット弦)を試す! | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 107 Comments
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裸のガット弦(プレーンガット弦)を試す!

投稿日時:2007年12月08日 11:01
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
ピッチの低い古楽器(バロックヴァイオリン)ではなく、A=440~443Hzの現代の普通のヴァイオリンに「裸のガット弦(プレーンガット弦)を試す!」ということでスレッドを立ち上げます。
最近、一部のヴァイオリン奏者の間で、裸のガット弦を使うという現象が見られるので、自分も試してみることにしました。
ttp://fstrings.com/board/index.asp?id=35733&page=1&sort=&t=
今回買ったのは、イタリアのTORO社のシープガット弦です。㈲コースタルトレーディングさんから通販で買うことができます。
ttp://coastaltrading.biz/viole.html
裸のガット弦には、ニスがかけられていないナチュラル仕上げのものと、ニスがかけられているニス仕上げのものがありますが、自分は手に汗をかくのでニス仕上げのものを買いました。
ゲージは下記のとおり、各弦数種類用意されていますが、とりあえず、一番細いゲージから試してみることにしました。
ttp://coastaltrading.biz/HPData/TORO%20PriceList%202007.pdf
自分は、E線はスチール(オリーヴなどなど)、A・D線は裸のガット、G線は銀巻きのガット、という組み合わせを試します。(弦の銘柄は違いますが)ハイフェッツはそういう組み合わせを好んでいたようです。ほんの30年前くらい前までは、そういう組み合わせで弾いている奏者がいたわけですから、それほど昔の話というわけでもありませんね。
自分は今までピラストロのオリーヴを使っていたので、ガット弦の特性はある程度理解しているつもりですが、裸のガットは初体験なので、どんな音が出るのか全く予想がつきません。
それでは、これから張ってみようと思います。
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【ご参考】
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Re: 裸のガット弦(プレーンガット弦)を試す!

投稿日時:2007年12月23日 15:03
投稿者:父娘でVn始めました(ID:Jig1MZA)
第二次大戦でガットの供給が困難になり、スチールやナイロンに取って代わられるようになったと聞きます。
それ以前の時代はドイツでもイタリアでもフランスでも、ガット弦はそれぞれ国内で手造りで生産されていたそうです。気候の違う外国に輸出することを想定した製造法が必ずしも一般的ではなかったとしても不思議ではありません。戦火を避けてアメリカに渡った音楽家の多くがガットの入手に非常に難儀したと聞いたことがあります。
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Re: 裸のガット弦(プレーンガット弦)を試す!

投稿日時:2007年12月23日 23:00
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
catgut様。時々、「斜め弾き」を取り入れることで、表情豊かな音が得られるようになりました。自分は腕が短めなので、「斜め弾き」は弾き易くて楽で良いという事情もあります。意外なほど違和感無く、斜め弾き、を取り入れることができました。
実はオリーヴを張っていたときから、斜め弾きをする傾向が若干あったのですが、裸のガット弦を張るようになってから、そういう弾き方をすると、凄く良い音が出るので、ついつい斜め弾きを多用したくなってしまいます。
自分は調弦するときは、弓先~弓先1/3ぐらいでアップボウでコンパクトに調弦するのが好きなのですが、そのときは、必ず、斜め弾きしています。弦に弓毛を当てた瞬間に既に弓が斜めに当たっています。
ハイフェッツもそういう弾き方をしてますし、イヴリー・ギトリスも時々そういう弾き方をしてますね。

昨晩は3連休初日ということで時間に余裕があったので、久々にシベコンを弾いたり、バッハの無伴奏を弾いたりしてました。久々に、指板が汗で濡れ光るぐらい練習したのですが、張ってからちょうど1週間が経過したTORO社の1×ヴァーニッシュのシープガット弦は、ほとんどピッチが狂いませんでした。
そして、最大の驚きは、今日練習するときに、起こりました。前日に汗だくになるほど猛練習すると、練習後に調弦し直してヴァイオリンケースにしまっても、弦が汗を吸っているために、翌日ケースを開けると、調弦が多少狂っていることがあります。
ドミナントのようなナイロン弦だと比較的狂いが少ないですが、ガット弦のオリーヴだとある程度狂っていることが多いです。特にオリーヴの場合、弦を張って2週間以内だと調弦せずにはとてもじゃないけど弾けない、というぐらい、汗の影響を受ける度合いが大きいです。
TORO社のヴァーニッシュ1層コーティングのシープガット弦は、調弦せずにそのまま弾けるぐらい、正しい調弦が保たれていました。これは、弦が昨日の練習中の汗を吸い込んでいないことを意味します。
昨晩は練習後に指板を拭いたハンカチが少々濡れるぐらい汗をかいたのですが、1層のニスのコーティングのお陰で、「巻き線の無い」裸のガット弦にもかかわらず、汗の影響を受けなかったわけです。
昨晩最後にA=442Hzピッタリで合わせて、今朝A線のピッチを電子チューナー計測したら、1セントも狂っていませんでした。ちなみに昨晩の湿度は(部屋の端の方で)47%で今朝は42%でした。練習中の自分の周囲の湿度は50%を越えていたと思います。
裸のガット弦はピッチが不安定で使いにくいのではないか、と懸念されている方には、ニスでコーティングされているタイプのものをお薦めします。
あと、ニスコーティングの副次的効果(2次的効果)としては、表面が平滑で(なめらかで)ツルツルしているので、巻き線の弦よりも調弦がスムースにできるという点です。オリーヴも調弦のし易い弦ですが、TORO社の1×ヴァーニッシュの裸のガット弦は、さらに調弦がスムースです。上述のピッチの安定性(耐水性)ほど特筆すべき特徴ではありませんが、調弦のスムースさも実用上重要なポイントですので、触れておきました。
駒の角度は弦を張り替えた直後と翌々日に1回ずつ(合計2回)調整してますが、その後1週間は、ピッタリと垂直な状態を保っています。これは弦の伸びが少ないことと、弦の表面が滑らかであること、の2つの要因によるものです。
オリーヴだと1週間経過すると、ほんの少しだけ駒が指板側におじぎしてきますが(オリーヴ用に入念に調整してあっても、駒の上部だけが少しだけ指板側におじぎしてきたりしますが)、TORO社の1×ヴァーニッシュの弦では、そういうことは起きません。
なお、TORO社のG線は、銀巻きですが、金銀巻きのオリーヴよりもピッチの安定性や耐水性に優れており、滅多にピッチが狂いません。TORO社の弦のコア(芯)に使われているシープガットの質が高い(品質が良い)のだと思います。
本番が近くない時期に、裸のガット弦を一度試されることをお薦めします。きっと新しい発見・驚きがあると思います。
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Re: 裸のガット弦(プレーンガット弦)を試す!

投稿日時:2007年12月24日 03:15
投稿者:catgut(ID:IRNXGDg)
「斜め弾き」に関して参考として以下を引用します。

ヴァイオリン奏法と指導の原理 イヴァン・ガラミアン 
日本語版p61-p62より

斜線運弓

(原則は弦に直交して弾くことだが)
あまり速くない速度で奏する場合、もっともよくひびく音は、弓が
駒に対してきわめてわずかに平行でないとき、すなわち弓の先が
いつも少し指板の方に近づき、弓元がわずかに演奏者の方に
近づいているときに出され、弓はこのようにして時計回りの方向
にほんのわずか回る。この角度はいつも同じで、下げ弓、上げ弓
によって変わることはない。(略)
逆の方向に曲がること、すなわち弓の先が駒に近く、弓元が遠ざ
かる場合は、一般に音色が劣る結果となる。このような事実は、
音のひびきや色合いのわずかな差異に対しても敏感な耳をもって
いる人なら誰でも気が付くものである。こうした弓の傾きをいつ
どのくらい用いるかを判断するのは耳である。
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Re: 裸のガット弦(プレーンガット弦)を試す!

投稿日時:2007年12月24日 09:23
投稿者:うどんこ(ID:VDl4NgA)
横槍レスですが、
私もTORO社のガット弦を試していますが、GDAEともに湿度、温度によって調弦が安定するまで結構時間がかかります。楽器はバロックヴァイオリンなので、モダン楽器とは張力の差があるからかもしれませんが、TORO社の弦が特段安定性がいいとは限らないと思います。
音色で言うと個人的な感想はTORO=GAMUT>Damian>Chorda
です。
またDamianはツルツルでまったく”ささくれ立ち”が起きない不思議な弦です。
TOROやGAMUTのE線は結構すぐなります。
[36052]

Re: 裸のガット弦(プレーンガット弦)を試す!

投稿日時:2007年12月24日 10:26
投稿者:catgut(ID:SZdEFmA)
うどんこさま、大変参考になる情報ありがとうございます。

コルダは日本で入手性が良い分、流通在庫期間が長くて
多少劣化している傾向があるかもしれませんね。ガット弦は生モノですね。

また、ヴァーニッシュありのものは多少丈夫かもしれませんが、
ガット弦は湿度が急に高くなると弦の外周が湿度で伸び、コアの
部分は伸びないためにコアの部分だけに強い張力がかかって
切れることがあります。これはナイロン弦にはない現象なので
注意するに越したことはありません。
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Re: 裸のガット弦(プレーンガット弦)を試す!

投稿日時:2007年12月24日 14:56
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
うどんこ様。自分は現代の普通のヴァイオリン(モダンヴァイオリン)にA=440~442HzでTORO社の1×ヴァーニッシュのシープガット弦を張っています。ゲージは一番太いもので、AはΦ84、DはΦ108、Gは銀巻きのΦ78です。(A・Dともに裸のガット弦)E線だけはスチールを張っており、ヤーガー(ミディアム)です。
現代のピッチで弾いているからかも知れませんが、弦を張り替えた後にピッチが安定するまでの時間も短いですし、一旦安定した後のピッチの安定性も高いです。自分は手にたくさん汗をかくのですが、それでもピッチの安定性は高いと感じています。また、今のところ、弦にオイルを塗ったりはしていません。
テニスをやっている人の話では、テニスラケットにナチュラルガット(天然ガット)を張るときは、標準よりもちょっと高めのテンションで張った方がテンションが安定するので良い、とのことです。標準よりも高めのテンションでも、ナイロンストリングよりも柔らかくて微妙なタッチが得られ、それでいて高い反発力が得られる、というのが、ナチュラルガットの利点とのことです。
このことから、天然ガットは高めのテンションでピンと張ったときに、高い安定性が得られるという傾向があるのかも知れません。
少なくとも、自分がTORO社のシープガット弦を張った限りでは、そういう傾向が感じられます。

catgut様。ガラミアンによる斜行運弓の説明を引用していただきまして、ありがとうございます。自分の場合、ダウンボウのときに斜行するのにコツが入りますが、アップボウは比較的たやすくできます。たしかに速い運弓のときは、直行させた方が弓の動きが安定するように思います。
あと、裸のガット弦を使うようになって、斜行運弓以外に自分のボウイングが変化した点としては、弓の反りに沿って運弓することを以前よりもずっと心がけるようになったことです。弓の反りを意識した運弓を心がけるようにしていましたが、TORO社のシープガット弦だとそういう弾き方をすると特に音が良くなるので、自然とそういう弾き方が強調されてきたように思います。結果的に、弓の吸い付きが良くなり、オリーヴを張っていたときよりも、音量が増加し、音質も良くなったように感じます。
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Re: 裸のガット弦(プレーンガット弦)を試す!

投稿日時:2007年12月27日 00:06
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
自分は、A線は、コースタルトレーディングさんのカタログ上で一番太いΦ84を張ってますが、さらにもう1ランク太いΦ86を特注してみようと考えているところです。D線もΦ110、銀巻きG線もΦ86という太いゲージを特注してみようと思います。
裸のガット弦の場合、太いゲージの方が表現の幅が広く、また、パワフルさや強烈さがありながらも音色がマイルドで温かみがあるように感じます。そして、TORO社のシープガット弦は、裸ガットでも銀巻きでも、ゲージが太くなってもレスポンスがほとんど低下しないので、とても弾き易いように感じます。
A・D・Gに太いものを張ることで、ヤーガー(ミディアム)のE線との相対的なテンションの差が少なくなって、イコールテンションという昔の原則に近づけるのではないかと思います。
[36102]

Re: 裸のガット弦(プレーンガット弦)を試す!

投稿日時:2007年12月30日 13:49
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
オリーヴの標準ゲージから裸ガット弦の太いゲージに替える際に、上駒と駒のミゾは一切調整していませんでしたが、今後さらに1~2ランク太い特注ゲージを張る予定なので、ほんの少しだけミゾの幅を広げてやろうと思います。具体的な作業方法についてですが、紙やすりの1200~1500番手に相当するマイクロスポンジ(スリーエム製)を使って、ほんの少しずつ作業を進めます。時々強い光を当ててミゾのなめらかさをチェックし、ルーペを使って弦の太さとミゾの形状がピッタリと合っているかどうか入念にチェックしながら、ちょっとずつ削っていきます。このように入念にミゾを調整すると、弦の動きがウルトラスムースになり、調弦時に1セント単位(セントに馴染みの無い方であれば0.1Hz単位)での超微妙なピッチの調整が可能になります。440.0Hzにも440.1Hzにもピッタリと合わせられるということです。もちろん、糸巻き(ペグ)の調子が良いことが大前提ですが。それでは、そろそろ作業の準備を始めたいと思います。
[36103]

Re: 裸のガット弦(プレーンガット弦)を試す!

投稿日時:2007年12月30日 13:58
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
補足です。数年前になりますが、友人のヴァイオリンの上駒のミゾの調子が悪く、エヴァ・ピラッツィのA線の巻き線がほつれてきました。友人はプロ職人(経験年数15年以上の中堅どころの日本弦楽器製作者協会正会員)に調整してもらって帰ってきたのですが、残念ながらあまり改善されませんでした。そのプロの職人は5分程度の簡単な作業をして約1,000円を受け取りました。次に自分が1時間近くかけてほんの少しずつミゾの幅を調整して、ミゾを滑らかに調整したところ(巻き線が弱い)エヴァA線の巻き線が、ほつれなくなりました。その友人はその後他の銘柄の弦に張り替えてますが、巻き線のホツレは全く生じていません。ミゾを調整するときは、使い古しの弦を当ててルーペでミゾと弦のフィット具合を何度もチェックしながら、ほんの少しずつ調整していきますので、とても時間がかかりますが、絶対に多く削り過ぎることはありません。それ以来、ヴァイオリンやヴィオラをやっている友人から時々ミゾの調整を頼まれるようになりました。先日、自分のサブ楽器のミゾを自分で調整して、それを工房のプロ職人にチェックしてもらったところ、良い状態なので全く調整の必要無し、とのお墨付きをもらいましたので、満を持して最愛の自分のメイン楽器のミゾの微調整をすることにした次第です。こういう時間と手間のかかる作業は冬休みのように時間がたっぷりとあるときにやるのがベストですね。
[36133]

Re: 裸のガット弦(プレーンガット弦)を試す!

投稿日時:2008年01月05日 00:05
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
冬休み中に、ゆっくりと丁寧に上ナット(上駒)の弦が通るミゾを調整しました。ルーペで弦とミゾのフィッティングをチェックしながら、ちょっとずつ削りました。ほんの少しだけ幅を拡げ、ミゾの表面がより滑らかになるように調整しました。
最後に、スイートアーモンドオイルを綿棒に染み込ませて、上駒とミゾを丁寧にクリーニングしました。アーモンドオイルが残らないように入念に拭き取りましたが、ミゾがテカテカした感じになったので、黒檀が多少アーモンドオイルを吸収したのではないかと思います。オイルの効果で上駒での弦の滑りがさらに良くなったような気がします。
今回の調整によって、弦の滑りがより一層滑らかになったので、さらに高精度な調弦が可能になりました。
黒檀の指板をクリーニングするのには、指板クリーナーという専用のオイルも発売されてますが、アーモンドオイルを使っている職人さんもいるようなので、自分はアーモンドオイルを使用しました。今後は弦を交換するたびに、アーモンドオイルでミゾを磨いてやろうと思っています。
なお、今回は上駒のミゾだけを調整しましたので、駒のミゾは一切いじっていません。駒の方もほんのちょっと拡げてやっても良いかなと思いますが、弦に引きづられて指板側におじぎする現象が全然起きてないので、弦と駒のミゾのフィット具合は、このままでも十分に良い状態のように思います。
楽器の調整については準備万端で整ったので、オーダーメイド中の最も太いタイプの裸のガット弦が届くのがとても楽しみです。
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