[36154]
ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月08日 07:30
投稿者:catgut(ID:FDRkUlM)
ヤマハの現状未請求の特許で大変面白いものがありました。
ヴァイオリンの「塗装」に紫外線を当てると音が良くなるというものです。
つまり経年変化で音が良くなるのは「塗装」が経年変化したことが
一因だというわけです。特許の中にいろいろな実験結果が書かれています。それによるとオイルニス、アルコールニスだけでなく、ラッカー塗装やウレタン塗装でもやはり紫外線を当てると音が良くなるそうです。
ttp://www2.ipdl.inpit.go.jp/begin/BE_DETAIL_MAIN.cgi?sType=0&sMenu=1&sBpos=1&sPos=2&sFile=TimeDir_7/mainstr1199744457343.mst&sTime=0
またはここから「楽器用部材または楽器とその製造方」で検索
ttp://www2.ipdl.inpit.go.jp/begin/be_search.cgi
発明の名称 : 楽器用部材または楽器とその製造方法
ヴァイオリンの「塗装」に紫外線を当てると音が良くなるというものです。
つまり経年変化で音が良くなるのは「塗装」が経年変化したことが
一因だというわけです。特許の中にいろいろな実験結果が書かれています。それによるとオイルニス、アルコールニスだけでなく、ラッカー塗装やウレタン塗装でもやはり紫外線を当てると音が良くなるそうです。
ttp://www2.ipdl.inpit.go.jp/begin/BE_DETAIL_MAIN.cgi?sType=0&sMenu=1&sBpos=1&sPos=2&sFile=TimeDir_7/mainstr1199744457343.mst&sTime=0
またはここから「楽器用部材または楽器とその製造方」で検索
ttp://www2.ipdl.inpit.go.jp/begin/be_search.cgi
発明の名称 : 楽器用部材または楽器とその製造方法
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[36270]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月19日 08:09
投稿者:pochi(ID:OVMFIBc)
京都工芸繊維大学が蟹の甲羅のキチン質をヴァイオリンの塗装に使うと音が良くなるなんていう研究をしていました。どうなったのでしょうか?
薄くて硬い塗装がよいのなら漆があります。知り合いの製作者は硬すぎて音が悪くなると言っていました。
薄くて硬い塗装がよいのなら漆があります。知り合いの製作者は硬すぎて音が悪くなると言っていました。
[36274]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月19日 12:58
投稿者:通りすがり(ID:FINJlSk)
catgutさま
支離滅裂ですね。
>音を悪くしないようにとは考えたでしょう
が、音を良くできるとは考えなかったでしょう。
⇒この表現だと、「しかし、(研究の結果)音を良くすることができる」という句が続きます。
その一方で、
>音響学者のほとんどが「塗装が音質にプラスに
なる」という考え方を否定しています
と書いておられます。
支離滅裂ですね。
>音を悪くしないようにとは考えたでしょう
が、音を良くできるとは考えなかったでしょう。
⇒この表現だと、「しかし、(研究の結果)音を良くすることができる」という句が続きます。
その一方で、
>音響学者のほとんどが「塗装が音質にプラスに
なる」という考え方を否定しています
と書いておられます。
[36275]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月19日 16:20
投稿者:catgut(ID:M2QVMiY)
通りすがりさま、コメント内容が支離滅裂ですよ。
なぜ「ニスを塗ると音が良くなる」という説があるのか考察してみました。
・音質の判断の観点から
ニスを塗ることで音量が減り、わずかに音がこもるので、実際に「柔らかく」
聞こえる場合がある。もちろん音質は主観的なものなんので「音が良くなっ
た」と考えても間違いとはいえない。しかし実際は目的の音質を得るためにヴァイオリンにとって貴重な音量を失っており、材質や削り方の工夫で目的とする音質が得られるはずなのだから、ニスで音質の調整を行おうとするのは良いやり方ではない。
・調整の観点から
製作時の白木の時点で弾いても、セットアップは完成品時と比べて
十分ではないケースが多いと思われ、また乾燥も不十分で部品の接触も
十分こなれていない。このためニスを塗って十分乾燥した状態と
比較して「音が悪い」と感じられる可能性がある。
ニスを塗って長く経った楽器で、その状態とそれからニスを完全に剥離した
状態で比較した場合、剥離した時のほうが音が良かったという経験談もいくつか見たことがあります。このやり方の場合は同じ人が調整するのであれば、比較的調整に影響を受けないで比較しやすいでしょう。もっとも滅多なことではニスをはがしたりはできませんが。
なぜ「ニスを塗ると音が良くなる」という説があるのか考察してみました。
・音質の判断の観点から
ニスを塗ることで音量が減り、わずかに音がこもるので、実際に「柔らかく」
聞こえる場合がある。もちろん音質は主観的なものなんので「音が良くなっ
た」と考えても間違いとはいえない。しかし実際は目的の音質を得るためにヴァイオリンにとって貴重な音量を失っており、材質や削り方の工夫で目的とする音質が得られるはずなのだから、ニスで音質の調整を行おうとするのは良いやり方ではない。
・調整の観点から
製作時の白木の時点で弾いても、セットアップは完成品時と比べて
十分ではないケースが多いと思われ、また乾燥も不十分で部品の接触も
十分こなれていない。このためニスを塗って十分乾燥した状態と
比較して「音が悪い」と感じられる可能性がある。
ニスを塗って長く経った楽器で、その状態とそれからニスを完全に剥離した
状態で比較した場合、剥離した時のほうが音が良かったという経験談もいくつか見たことがあります。このやり方の場合は同じ人が調整するのであれば、比較的調整に影響を受けないで比較しやすいでしょう。もっとも滅多なことではニスをはがしたりはできませんが。
[36277]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月19日 17:14
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:GFgECRA)
J-Tokkyoに掲載の申請文書(?)をざっと読んだ印象では、みっちさんの要約(意訳?)[36208]
が的を射ているように思えます。(内容が正しいかどうかではありません、念のため)
これによると、
(1)いい塗膜は「楽器表面の部分的な(ばらばらな)固有振動を押さえてバランス良く響くため音色が良い」。つまり、白木の楽器よりも音質がよくなる、
(2)でも、一般論として「塗膜の硬さが楽器表面の大きな振幅を抑制するため鳴りも悪い」、
(1)の効果を最大に、(2)を最小にするのが良い塗膜、という主張に読めます(要するに High-cut Filterってこと?)。 勿論、保護被覆としての役割は当然果たす前提で。
これをもっと定量的に捉えた結果が、catgutさんが「中核的なテーマ」として引用する[36207]
後段だと思われますが、この引用された箇所、図表が見えないこともあって小生には全くと言ってよいほど理解不能です。 皆さんは(勿論、言い出しっぺのcatgutさんも)解って議論なさっているのですか?
[36208]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月12日 14:18
投稿者:みっち(ID:NUWDKQE)
特許申請書は慣れないと読みにくいし説明がわかりにくいと思います。
意訳すると下記のようになると思います。
1.弦楽器は製作直後よりも経年変化後の方が音が良いことが知られている。経年変化の中で楽器表面の塗膜に注目すると、楽器表面の部分的な(ばらばらな)固有振動を押さえてバランス良く響くため音色が良いと同時に楽器表面の大きな振幅を妨げないため鳴りも良い。
2.乾燥の完了していない(軟らかい)塗膜はその粘りにより楽器表面の部分的な固有振動を抑えかつ大きな振幅を妨げない良好な特性を持つが、楽器の材料保護という塗膜の本来の役割を果たさない。
4.乾燥した塗膜は粘りが少なくなりばらばらな固有振動を抑える能力が減少するため音色が悪く、かつ塗膜の硬さが楽器表面の大きな振幅を抑制するため鳴りも悪い。
5.乾燥した塗膜に遠紫外線を短時間照射すると、同じ工程で製作し同じ程度の音色と音量を持つ楽器と比べて音色と音量が経年変化後の楽器の持つ好ましい方向に改善された。即ち十分乾燥しているにも関わらず内部損失が発生して音色が改善され、且つ塗膜の強度が弱くなり音量が増した。その実態は「分子鎖の切断等、物理的な作用」と思われる。
6.この発明は弦楽器に特に有効であるが、他の楽器へも応用できる。また塗料の種類も限定されない。
以上。もし審査するとしても同類の特許があるか無いか、申請範囲などの弁理的な内容で行われると思います。
それにしてもさすが現代の量産楽器メーカー。買ってすぐに鳴る楽器が欲しいという「消費者」ニーズには沿ってますね。意地の悪い見方をすれば経年変化によって成長する見込みの無い楽器を作る事にもなるのですが。
意訳すると下記のようになると思います。
1.弦楽器は製作直後よりも経年変化後の方が音が良いことが知られている。経年変化の中で楽器表面の塗膜に注目すると、楽器表面の部分的な(ばらばらな)固有振動を押さえてバランス良く響くため音色が良いと同時に楽器表面の大きな振幅を妨げないため鳴りも良い。
2.乾燥の完了していない(軟らかい)塗膜はその粘りにより楽器表面の部分的な固有振動を抑えかつ大きな振幅を妨げない良好な特性を持つが、楽器の材料保護という塗膜の本来の役割を果たさない。
4.乾燥した塗膜は粘りが少なくなりばらばらな固有振動を抑える能力が減少するため音色が悪く、かつ塗膜の硬さが楽器表面の大きな振幅を抑制するため鳴りも悪い。
5.乾燥した塗膜に遠紫外線を短時間照射すると、同じ工程で製作し同じ程度の音色と音量を持つ楽器と比べて音色と音量が経年変化後の楽器の持つ好ましい方向に改善された。即ち十分乾燥しているにも関わらず内部損失が発生して音色が改善され、且つ塗膜の強度が弱くなり音量が増した。その実態は「分子鎖の切断等、物理的な作用」と思われる。
6.この発明は弦楽器に特に有効であるが、他の楽器へも応用できる。また塗料の種類も限定されない。
以上。もし審査するとしても同類の特許があるか無いか、申請範囲などの弁理的な内容で行われると思います。
それにしてもさすが現代の量産楽器メーカー。買ってすぐに鳴る楽器が欲しいという「消費者」ニーズには沿ってますね。意地の悪い見方をすれば経年変化によって成長する見込みの無い楽器を作る事にもなるのですが。
これによると、
(1)いい塗膜は「楽器表面の部分的な(ばらばらな)固有振動を押さえてバランス良く響くため音色が良い」。つまり、白木の楽器よりも音質がよくなる、
(2)でも、一般論として「塗膜の硬さが楽器表面の大きな振幅を抑制するため鳴りも悪い」、
(1)の効果を最大に、(2)を最小にするのが良い塗膜、という主張に読めます(要するに High-cut Filterってこと?)。 勿論、保護被覆としての役割は当然果たす前提で。
これをもっと定量的に捉えた結果が、catgutさんが「中核的なテーマ」として引用する[36207]
[36207]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月12日 08:30
投稿者:catgut(ID:FDRkUlM)
みっちさま、コメントありがとうございます。本特許が妥当ならばオイルニスとアルコールニスでは使用される樹脂に多少違いがありますから、樹脂の違いによって塗装の経年変化の程度に違いが出る可能性はありますね。
また、この特許は出願から3年以内なので、今後審査請求される可能性
があります。従来のヴァイオリン塗装に対する紫外線照射は基本的に
リンシードオイルの乾燥(固化)を目的としたものですから、UVC照射
で塗装の状態を変化させて音質変化を得るという技術には新規性が
あると思います。
中核的なテーマである「音質改善の仕組み」については本特許
では以下のように解釈されています。
(塗装の)弾性は、振動振幅を低減する原因となり、楽器の鳴りを悪く
してしまう。この状態で、本発明にしたがいUVCを照射すると、右に示
すように、乾性損失係数f2が生じる。これは、弾性的特性k1をミクロ
に破壊することにより進行するので、k1>k2という結果が得られる。
すなわち、塗装膜が乾燥しているにもかかわらず、楽器の鳴りが悪くな
ることを軽減できる。また、f2は損失要素であるが、粘性損失要素Cn
より音色的には良好な乾性損失で、楽器のイメージとしては、文字通り
「音の乾き」に繋がる特性である。(中略)
UVC照射による塗装膜の「ミクロな破壊」により、塗装膜の乾燥で発生
増大したkを抑制し、減少したCをfで補うこと、すなわち、kのある程度
の部分をfに変換することにより、乾燥しているにもかかわらず音響的
に良好な塗装膜が得られる訳である。
また、この特許は出願から3年以内なので、今後審査請求される可能性
があります。従来のヴァイオリン塗装に対する紫外線照射は基本的に
リンシードオイルの乾燥(固化)を目的としたものですから、UVC照射
で塗装の状態を変化させて音質変化を得るという技術には新規性が
あると思います。
中核的なテーマである「音質改善の仕組み」については本特許
では以下のように解釈されています。
(塗装の)弾性は、振動振幅を低減する原因となり、楽器の鳴りを悪く
してしまう。この状態で、本発明にしたがいUVCを照射すると、右に示
すように、乾性損失係数f2が生じる。これは、弾性的特性k1をミクロ
に破壊することにより進行するので、k1>k2という結果が得られる。
すなわち、塗装膜が乾燥しているにもかかわらず、楽器の鳴りが悪くな
ることを軽減できる。また、f2は損失要素であるが、粘性損失要素Cn
より音色的には良好な乾性損失で、楽器のイメージとしては、文字通り
「音の乾き」に繋がる特性である。(中略)
UVC照射による塗装膜の「ミクロな破壊」により、塗装膜の乾燥で発生
増大したkを抑制し、減少したCをfで補うこと、すなわち、kのある程度
の部分をfに変換することにより、乾燥しているにもかかわらず音響的
に良好な塗装膜が得られる訳である。
[36279]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月19日 18:50
投稿者:catgut(ID:M2QVMiY)
セロ轢きのGoshさま、
現在特許検索システムがメンテ中ですので、2点のみ指摘しておきます。
まず、ヤマハはこの特許とは別にヴァイオリンの塗装が薄いほうが良い
という考え方を表明しています。
ttp://www.yamaha.co.jp/product/strings/prd/concept/acoustic/cont06.html
アルティーダはバイオリンに塗布する第一層(目止め)をヤマハ独自の新技術により、通常のバイオリンより薄膜化しています。(一般的に、ニスが薄いほど「よく鳴る楽器」といわれています。)
また、特許ではラッカー塗装やポリウレタン塗装を含めてほとんどの塗装で紫外線照射により音が良くなるとしています。これは塗装をミクロ
レベルで破壊し木に対する塗装の影響を最小化していることが
音が変化する主要因と考えられます。
現在特許検索システムがメンテ中ですので、2点のみ指摘しておきます。
まず、ヤマハはこの特許とは別にヴァイオリンの塗装が薄いほうが良い
という考え方を表明しています。
ttp://www.yamaha.co.jp/product/strings/prd/concept/acoustic/cont06.html
アルティーダはバイオリンに塗布する第一層(目止め)をヤマハ独自の新技術により、通常のバイオリンより薄膜化しています。(一般的に、ニスが薄いほど「よく鳴る楽器」といわれています。)
また、特許ではラッカー塗装やポリウレタン塗装を含めてほとんどの塗装で紫外線照射により音が良くなるとしています。これは塗装をミクロ
レベルで破壊し木に対する塗装の影響を最小化していることが
音が変化する主要因と考えられます。
[36281]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月19日 20:32
投稿者:ナッスビー(ID:FDg2RVI)
ヤマハの新作ヴァイオリン「アルティーダ(消費税込みの定価945,000円)」には、ストラドとガルネリ・デル・ジェスの2つのモデルがあります。私は2種類とも試奏したことがあります。
たしかにcatgutさんがおっしゃるように、アルティーダのニスは、クレモナの新作ヴァイオリンに比べるとニスの厚みが薄いように思います。アルティーダは、ニスの厚みが薄いこともあって、色合いも薄めです。
定価945,000円というこもあって、材料はそれなりに良いものが使われており、細工もそれなりに良くできています。完璧に左右対照で精度良く作られていることもあって、これがかえって(皮肉にも)人工的な(冷たい)感じがするように思います。
さて肝心の音についてですが、アルティーダのストラドモデルもガルネリモデルも、私が持っているヴァイオリン(アルティーダのニスよりもニスの厚みが2倍くらい厚いです)の半分くらいの音量しか出ませんでした。音色はまあまあ良い(少なくとも嫌いな音ではない)と思いましたが、音量が小さくてビックリしました。たまたま私が試奏した2台のアルティーダの駒や魂柱のセットアップが良くなかった可能性がありますが、それにしても音が小さくて驚かされました。少し離れたところで聞いていた友人も同じことを言ってましたので、演奏者だけでなく、聞き手の側の感想も同じだったということです。
試奏の際に、アルティーダよりも明らかにニスが厚めに塗られているイタリアやドイツの新作楽器と弾き比べてみましたが、それらと比べても、明らかに20~30%は音量が小さいように思いました。弦はどの展示楽器もドミナント+ゴールドブロカットが張られていました。弓は、展示されていた100万円程度の新作の高級弓を使用しました。
ニスも大事ですが、それ以前に、ハコ、つまり楽器本体の作りや材料の良し悪しが、音に決定的な影響を与えるように思います。ニスの役割は、まず第1に木の保護(長寿命化)、第2に美観の向上、第3に音響的なこと、だと思います。
擬似オールド処理がされたレプリカのヴァイオリンが、新作でもなんとなく「こなれた音」がするのは、もちろん見た目に惑わされている面があるにしても、ニスを剥いでニスの厚みを薄くしていることや強い紫外線を当てる処理等をしていることが、ある程度影響していると思います。
擬似オールド処理を施された新作とピカピカの新作が売られていて、音量、音質、値段の全てが「同等(同レベル)」だった場合、私ならピカピカの新作の方を買います。なぜなら、擬似オールド処理をされた楽器は、弾き込む(使いこむ)ことによる音の面での経年変化(熟成)が少ないからです。擬似オールド処理によって、最初から(買う前から)強制的に経年変化が与えられているので、買ってからの経年変化は、ピカピカの新作よりも少ないのです。
擬似オールド処理が施されているレプリカのヴァイオリンを買う場合には、そうした点に留意する必要があるでしょう。
たしかにcatgutさんがおっしゃるように、アルティーダのニスは、クレモナの新作ヴァイオリンに比べるとニスの厚みが薄いように思います。アルティーダは、ニスの厚みが薄いこともあって、色合いも薄めです。
定価945,000円というこもあって、材料はそれなりに良いものが使われており、細工もそれなりに良くできています。完璧に左右対照で精度良く作られていることもあって、これがかえって(皮肉にも)人工的な(冷たい)感じがするように思います。
さて肝心の音についてですが、アルティーダのストラドモデルもガルネリモデルも、私が持っているヴァイオリン(アルティーダのニスよりもニスの厚みが2倍くらい厚いです)の半分くらいの音量しか出ませんでした。音色はまあまあ良い(少なくとも嫌いな音ではない)と思いましたが、音量が小さくてビックリしました。たまたま私が試奏した2台のアルティーダの駒や魂柱のセットアップが良くなかった可能性がありますが、それにしても音が小さくて驚かされました。少し離れたところで聞いていた友人も同じことを言ってましたので、演奏者だけでなく、聞き手の側の感想も同じだったということです。
試奏の際に、アルティーダよりも明らかにニスが厚めに塗られているイタリアやドイツの新作楽器と弾き比べてみましたが、それらと比べても、明らかに20~30%は音量が小さいように思いました。弦はどの展示楽器もドミナント+ゴールドブロカットが張られていました。弓は、展示されていた100万円程度の新作の高級弓を使用しました。
ニスも大事ですが、それ以前に、ハコ、つまり楽器本体の作りや材料の良し悪しが、音に決定的な影響を与えるように思います。ニスの役割は、まず第1に木の保護(長寿命化)、第2に美観の向上、第3に音響的なこと、だと思います。
擬似オールド処理がされたレプリカのヴァイオリンが、新作でもなんとなく「こなれた音」がするのは、もちろん見た目に惑わされている面があるにしても、ニスを剥いでニスの厚みを薄くしていることや強い紫外線を当てる処理等をしていることが、ある程度影響していると思います。
擬似オールド処理を施された新作とピカピカの新作が売られていて、音量、音質、値段の全てが「同等(同レベル)」だった場合、私ならピカピカの新作の方を買います。なぜなら、擬似オールド処理をされた楽器は、弾き込む(使いこむ)ことによる音の面での経年変化(熟成)が少ないからです。擬似オールド処理によって、最初から(買う前から)強制的に経年変化が与えられているので、買ってからの経年変化は、ピカピカの新作よりも少ないのです。
擬似オールド処理が施されているレプリカのヴァイオリンを買う場合には、そうした点に留意する必要があるでしょう。
[36282]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月19日 21:03
投稿者:通りすがり(ID:IBIIcHY)
catgut様
このスレッドが長くなって、色々な説が出てきていますので、
ニスが音響にとって、有益か無益かという観点で、まとめていただけないでしょうか。
>通りすがりさま、コメント内容が支離滅裂ですよ。
という風に、感情的に人の意見を切り捨てないでください。
私は貴方の矛盾点を例示した上で、指摘したまでです。
ほかの板でも同じです、貴方は他人の説を例示するだけで、
それをまとめる力がないので、議論が発散してしまうのです。
どうか感情的にならずに、他人の意見に真摯に対応してください。
貴方はみっち様の
>[36231]
[36211]
は別の結論も導かれますので、catgut氏の非常に個人的な見解と理解します。
>別スレで以前にも指摘されていると思いますが、「昔からよく言われている」、「オールドの銘器のほとんどが」、「音響学者のほとんどが」など根拠の無い表現は使わないでいただきたい。
というご意見や、私の意見を見事無視されております。
さらに通行人様の意見に対し
>オールド楽器について「魔のヴァイオリン」や「ヴァイオリンの魅力と謎」であれだけ深い見識で書かれている佐々木庸一氏が近視眼ですか。
と返答するなど、物事を曲解しているかあるいは読解能力がないかのどちらかです。
貴方のさまざま特許や文献検索能力は高く評価しますが、
感情と学術研究結果とがない交ぜになっており、事実と推測の見分けがつかなくなっているので、あえて”支離滅裂”と書かせていただいたのですが。他のスレでも同じです。
繰り返しになりますが、事実(感想や推測ではなく)をまとめていただきたい。
恐らく、事実としては
① ヤマハがニスにUVCを照射することで、変質させ、音響特性を変化させる技術を開発し、特許を申請した。
② ニスや漆などの塗装は音響に影響を与える。
の2点で、
推測として
① 楽器の音色の経年変化の一部がニスの変質によっている。
② ニスは薄い方が良い(賛否両論ありそうなので推測とさせていただきました)。
ということなのではないでしょうか。
このスレッドが長くなって、色々な説が出てきていますので、
ニスが音響にとって、有益か無益かという観点で、まとめていただけないでしょうか。
>通りすがりさま、コメント内容が支離滅裂ですよ。
という風に、感情的に人の意見を切り捨てないでください。
私は貴方の矛盾点を例示した上で、指摘したまでです。
ほかの板でも同じです、貴方は他人の説を例示するだけで、
それをまとめる力がないので、議論が発散してしまうのです。
どうか感情的にならずに、他人の意見に真摯に対応してください。
貴方はみっち様の
>[36231]
[36231]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月17日 00:13
投稿者:catgut(ID:FDRkUlM)
ヴァイオリンの塗装については、塗装が音量・音質に影響を与えることは
誰しも認めていますが、音響学者のほとんどが「塗装が音質にプラスに
なる」という考え方を否定しています(音量は明らかにマイナスになります)。
より具体的に言うと、塗装でいくらか音質がよくなるケースはありうるが、
その代償としてかなりの音量を失うため、木の材質の選択や削り方で理想
の音質を得るべきで、塗装は保存と美観上必要最低限に留めるべきという
ことです。
ヴァイオリンの塗装は0.05ミリから0.1ミリ程度が一般的なようですが、
これでもヴァイオリンの音のエネルギーの1/4から1/2程度を吸収して
しまうそうです(人間の耳で音量が半分に聞こえるわけではありません)。
塗装でこれだけの影響があるわけですから、塗膜を紫外線によって変質
させるだけで、音量・音質が変わって聞こえるというのは十分ありそうな
ことです。
誰しも認めていますが、音響学者のほとんどが「塗装が音質にプラスに
なる」という考え方を否定しています(音量は明らかにマイナスになります)。
より具体的に言うと、塗装でいくらか音質がよくなるケースはありうるが、
その代償としてかなりの音量を失うため、木の材質の選択や削り方で理想
の音質を得るべきで、塗装は保存と美観上必要最低限に留めるべきという
ことです。
ヴァイオリンの塗装は0.05ミリから0.1ミリ程度が一般的なようですが、
これでもヴァイオリンの音のエネルギーの1/4から1/2程度を吸収して
しまうそうです(人間の耳で音量が半分に聞こえるわけではありません)。
塗装でこれだけの影響があるわけですから、塗膜を紫外線によって変質
させるだけで、音量・音質が変わって聞こえるというのは十分ありそうな
ことです。
[36211]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月13日 10:41
投稿者:catgut(ID:FDRkUlM)
この特許の内容が正しいとすると、昔からよく言われている「固いニスや
厚いニスは音に良くない」という考え方は正しいということになります。
弾性の観点では固い塗装を薄く塗ることと、柔らかい塗装を厚く塗ることは
同じですから、塗装を薄くすることが重要となります。
これはオールドの銘器のほとんどがオリジナルニスが剥げており、ごく薄いカバーニスがかけられた状態で使用されていることからも妥当と考えられます。
また安価な楽器に使われるポリウレタン塗装は、標準的な技術では
厚めの塗装になります。しかし薄めに塗装することも可能で、この場合は
一般的なニス塗装と比較して音質的に劣らないと考えられます。
「経年変化」については特許には以下の記述もありますね。現実の経年変化のすべてを人間が把握していない以上、現実の経年変化の一要素という意味で使うしかないのでしょう。現実のオールド銘器のニスの経年変化の最大の特徴は「ニスが剥げて失われている」ということですから。
「経年変化を短時間で実現する方法としては、例えば、楽器をオゾン中に晒して酸化反応を起こさせる方法(特許文献1参照)、あるいは、楽器に紫外線を照射する方法(特許文献2)がある。」
厚いニスは音に良くない」という考え方は正しいということになります。
弾性の観点では固い塗装を薄く塗ることと、柔らかい塗装を厚く塗ることは
同じですから、塗装を薄くすることが重要となります。
これはオールドの銘器のほとんどがオリジナルニスが剥げており、ごく薄いカバーニスがかけられた状態で使用されていることからも妥当と考えられます。
また安価な楽器に使われるポリウレタン塗装は、標準的な技術では
厚めの塗装になります。しかし薄めに塗装することも可能で、この場合は
一般的なニス塗装と比較して音質的に劣らないと考えられます。
「経年変化」については特許には以下の記述もありますね。現実の経年変化のすべてを人間が把握していない以上、現実の経年変化の一要素という意味で使うしかないのでしょう。現実のオールド銘器のニスの経年変化の最大の特徴は「ニスが剥げて失われている」ということですから。
「経年変化を短時間で実現する方法としては、例えば、楽器をオゾン中に晒して酸化反応を起こさせる方法(特許文献1参照)、あるいは、楽器に紫外線を照射する方法(特許文献2)がある。」
>別スレで以前にも指摘されていると思いますが、「昔からよく言われている」、「オールドの銘器のほとんどが」、「音響学者のほとんどが」など根拠の無い表現は使わないでいただきたい。
というご意見や、私の意見を見事無視されております。
さらに通行人様の意見に対し
>オールド楽器について「魔のヴァイオリン」や「ヴァイオリンの魅力と謎」であれだけ深い見識で書かれている佐々木庸一氏が近視眼ですか。
と返答するなど、物事を曲解しているかあるいは読解能力がないかのどちらかです。
貴方のさまざま特許や文献検索能力は高く評価しますが、
感情と学術研究結果とがない交ぜになっており、事実と推測の見分けがつかなくなっているので、あえて”支離滅裂”と書かせていただいたのですが。他のスレでも同じです。
繰り返しになりますが、事実(感想や推測ではなく)をまとめていただきたい。
恐らく、事実としては
① ヤマハがニスにUVCを照射することで、変質させ、音響特性を変化させる技術を開発し、特許を申請した。
② ニスや漆などの塗装は音響に影響を与える。
の2点で、
推測として
① 楽器の音色の経年変化の一部がニスの変質によっている。
② ニスは薄い方が良い(賛否両論ありそうなので推測とさせていただきました)。
ということなのではないでしょうか。
[36283]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月19日 21:06
投稿者:catgut(ID:M2QVMiY)
ナッスビーさま、
確かに私が試奏したいくつかのヤマハのヴァイオリンでは
下位モデルのほうが好印象でした。これは十分大きな音でした。
個体差かもしれません。
ヤマハのヴァイオリンには少なくとも二人の「設計者」がいて、
設計者の名前がラベルに書かれているそうです。
ヤマハのニスについての考えは適当だと思いますが、木がしっかり
していないと意味がないのはもちろんですね。
確かに私が試奏したいくつかのヤマハのヴァイオリンでは
下位モデルのほうが好印象でした。これは十分大きな音でした。
個体差かもしれません。
ヤマハのヴァイオリンには少なくとも二人の「設計者」がいて、
設計者の名前がラベルに書かれているそうです。
ヤマハのニスについての考えは適当だと思いますが、木がしっかり
していないと意味がないのはもちろんですね。
[36284]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月19日 21:39
投稿者:catgut(ID:M2QVMiY)
通りすがりさま、
「ヴァイオリンの銘器」渡辺恭三著には以下のように書かれています(p65-66)。
「二、三百年のうちには大部分の表面がオリジナルでなくなってしまうのは
容易に考えられます。現在オリジナルのニスが多く残っているストラディヴァリは、おそらくオックスフォードにある一七一六年製の「メサイア」だけと思われます。」
通りすがりさまは渡辺氏に反論する論拠をお持ちですか?
また音響学者が自説を主張する場合は必ず先例を調べますから、
ニスが積極的に音質を改善するとする音響学上の論文が存在するなら
言及するはずです。ニスについてはSchelleng説が有名ですから、
これに反対する論文があるなら容易に見つけられるはずですが、
まったく見当たりません。
事実については通りすがりさまがまとめて頂いた内容で概ね認識が
あっていると思います。
「ヴァイオリンの銘器」渡辺恭三著には以下のように書かれています(p65-66)。
「二、三百年のうちには大部分の表面がオリジナルでなくなってしまうのは
容易に考えられます。現在オリジナルのニスが多く残っているストラディヴァリは、おそらくオックスフォードにある一七一六年製の「メサイア」だけと思われます。」
通りすがりさまは渡辺氏に反論する論拠をお持ちですか?
また音響学者が自説を主張する場合は必ず先例を調べますから、
ニスが積極的に音質を改善するとする音響学上の論文が存在するなら
言及するはずです。ニスについてはSchelleng説が有名ですから、
これに反対する論文があるなら容易に見つけられるはずですが、
まったく見当たりません。
事実については通りすがりさまがまとめて頂いた内容で概ね認識が
あっていると思います。
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Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月19日 21:52
投稿者:通りすがり(ID:IBIIcHY)
catgut様
反論のした覚えはありません。そのつもりもありません。
まったくそのとおりだと思います。
これまでの私の書き込みのどこに、ニスを塗ったほうが音が良くなるという主張がありましたでしょうか?
どことどう捕らえたらこのような質問が出てくるのでしょう。
第3者の皆様、いかがですか。
反論のした覚えはありません。そのつもりもありません。
まったくそのとおりだと思います。
これまでの私の書き込みのどこに、ニスを塗ったほうが音が良くなるという主張がありましたでしょうか?
どことどう捕らえたらこのような質問が出てくるのでしょう。
第3者の皆様、いかがですか。
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