[36154]
ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年01月08日 07:30
投稿者:catgut(ID:FDRkUlM)
ヤマハの現状未請求の特許で大変面白いものがありました。
ヴァイオリンの「塗装」に紫外線を当てると音が良くなるというものです。
つまり経年変化で音が良くなるのは「塗装」が経年変化したことが
一因だというわけです。特許の中にいろいろな実験結果が書かれています。それによるとオイルニス、アルコールニスだけでなく、ラッカー塗装やウレタン塗装でもやはり紫外線を当てると音が良くなるそうです。
ttp://www2.ipdl.inpit.go.jp/begin/BE_DETAIL_MAIN.cgi?sType=0&sMenu=1&sBpos=1&sPos=2&sFile=TimeDir_7/mainstr1199744457343.mst&sTime=0
またはここから「楽器用部材または楽器とその製造方」で検索
ttp://www2.ipdl.inpit.go.jp/begin/be_search.cgi
発明の名称 : 楽器用部材または楽器とその製造方法
ヴァイオリンの「塗装」に紫外線を当てると音が良くなるというものです。
つまり経年変化で音が良くなるのは「塗装」が経年変化したことが
一因だというわけです。特許の中にいろいろな実験結果が書かれています。それによるとオイルニス、アルコールニスだけでなく、ラッカー塗装やウレタン塗装でもやはり紫外線を当てると音が良くなるそうです。
ttp://www2.ipdl.inpit.go.jp/begin/BE_DETAIL_MAIN.cgi?sType=0&sMenu=1&sBpos=1&sPos=2&sFile=TimeDir_7/mainstr1199744457343.mst&sTime=0
またはここから「楽器用部材または楽器とその製造方」で検索
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発明の名称 : 楽器用部材または楽器とその製造方法
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[36656]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年02月21日 18:20
投稿者:とおりすがり(ID:FINJlSk)
catgut様
白木のバイオリンについてわれわれは通常触れることがありません。無知な状態ですので、是非今後とも、調整に出したり、何か変化があったり、何でも結構ですので、お気づきのことをお知らせいただければ幸です。
白木のバイオリンについてわれわれは通常触れることがありません。無知な状態ですので、是非今後とも、調整に出したり、何か変化があったり、何でも結構ですので、お気づきのことをお知らせいただければ幸です。
[36657]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年02月21日 19:24
投稿者:catgut(ID:FjeUhFc)
とおりすがりさま、
白木のヴァイオリンは、
www.ebay.comで"white violin"で検索するか、
ttp://www.autumnvalley.net/product-list/57
などで入手可能です。
ものによっては多少の加工が必要な場合があります(エンドピン
ホールを広げるなど)。何か気付いた点がありましたら報告します。
白木のヴァイオリンは、
www.ebay.comで"white violin"で検索するか、
ttp://www.autumnvalley.net/product-list/57
などで入手可能です。
ものによっては多少の加工が必要な場合があります(エンドピン
ホールを広げるなど)。何か気付いた点がありましたら報告します。
[36662]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年02月22日 22:23
投稿者:catgut(ID:FjeUhFc)
実際の下地処理について詳細な説明をされているサイトがありました
のでご紹介します。
ttp://www.ousyu-soboroya.com/nisu.htm
このプレパレーションがストラディヴァリの秘密と公言する楽器製作者を、
私は何人も知っておりますが、中にはストラデイはブドウの木を焼き、そこから灰という形でカリウムを取り出し、釉薬としてそれを楽器内部に塗った、と主張する者もおりますが、クレモナはお隣のピアチェンツァと違い、ワイン酒造にあったブドウは栽培されておりませんし、また来年も実を付ける植物の木を、もったいなくも、いちいち切断して利用していたとは思えません。ものすごく伝説じみていて、いかにも素人が好みそうな話ですね。
因みに、現在クレモナでストラディヴァリの秘密はニスにある、という狂言を
信じている楽器製作者は皆無であり、それを日本のとあるテレビ局あたりに伝えても、正反対の内容が放映されていたりしますが。
のでご紹介します。
ttp://www.ousyu-soboroya.com/nisu.htm
このプレパレーションがストラディヴァリの秘密と公言する楽器製作者を、
私は何人も知っておりますが、中にはストラデイはブドウの木を焼き、そこから灰という形でカリウムを取り出し、釉薬としてそれを楽器内部に塗った、と主張する者もおりますが、クレモナはお隣のピアチェンツァと違い、ワイン酒造にあったブドウは栽培されておりませんし、また来年も実を付ける植物の木を、もったいなくも、いちいち切断して利用していたとは思えません。ものすごく伝説じみていて、いかにも素人が好みそうな話ですね。
因みに、現在クレモナでストラディヴァリの秘密はニスにある、という狂言を
信じている楽器製作者は皆無であり、それを日本のとあるテレビ局あたりに伝えても、正反対の内容が放映されていたりしますが。
[36663]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年02月22日 23:02
投稿者:catgut(ID:FjeUhFc)
下地が「音の改善」に貢献すると誤解された原因として以下の二つが
考えられます。
・Sacconi著 The Secrets of Stradivari
・BarlowとWoodhouseによる電子走査顕微鏡によるニスの研究
これらによると、ストラディヴァリの下地として水ガラスや金属など
意外なものが使われていたとしたことから、ストラディヴァリの「音の秘密」
はこれらの下地の特別な物質だと考える人が出てきたようです。
ただし、maestronetの掲示板によると、The Secrets of Stradivariは
実際はSacconiが直接書いたものではなく、彼が推測で語ったことを
断定的に書いているという指摘があります。またBarlowらが撮影した
オールド楽器は上層がオリジナルニス・下層が下地としていますが、
上層がカバーニス・下層がオリジナルニスではないかとの指摘もあり
ました。
ちなみにストラディヴァリの時代は指板を接着してから塗装していた
ケースがあるそうで、ストラディヴァリには指板の下がしっかり塗装さ
れていないものがあるそうです。これもストラディヴァリがニスの音へ
の影響を気にしていなかった証拠だ考えられます。
考えられます。
・Sacconi著 The Secrets of Stradivari
・BarlowとWoodhouseによる電子走査顕微鏡によるニスの研究
これらによると、ストラディヴァリの下地として水ガラスや金属など
意外なものが使われていたとしたことから、ストラディヴァリの「音の秘密」
はこれらの下地の特別な物質だと考える人が出てきたようです。
ただし、maestronetの掲示板によると、The Secrets of Stradivariは
実際はSacconiが直接書いたものではなく、彼が推測で語ったことを
断定的に書いているという指摘があります。またBarlowらが撮影した
オールド楽器は上層がオリジナルニス・下層が下地としていますが、
上層がカバーニス・下層がオリジナルニスではないかとの指摘もあり
ました。
ちなみにストラディヴァリの時代は指板を接着してから塗装していた
ケースがあるそうで、ストラディヴァリには指板の下がしっかり塗装さ
れていないものがあるそうです。これもストラディヴァリがニスの音へ
の影響を気にしていなかった証拠だ考えられます。
[36664]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年02月23日 10:15
投稿者:弦堂(ID:SZAxmTA)
そろそろ「音のよい」ヴァイオリンの定義を明確にしないと、塗装の効果
の議論は、平行線に終わるよ。
プロの演奏家は、立ち上がりが良く、直ぐ反応するヴァイオリンを好むが
アマの演奏家は、耳元での響きの良いヴィオリンを一般に好みます。
プロ用、アマ用の違いでも、塗装の効用は違ってきます。
ヴァイオリンを製作する際、表板は、ヤング率の高いトウヒを平均厚2.6
mmに仕上げ、表面の下地処理をしっかり行った上で、塗膜は薄めに仕上
げています。そうするとプロの演奏家に好まれる立ち上がりが良いヴァイオリンになる場合が多いです。
塗膜を薄めに仕上げるためには、下地処理をしっかり行なわないと「まだ
ら」な美しくないヴァイオリンに仕上がります。
また、白木のバイオリンは、塗装品と比較して余韻の響きが、大きいで
すが、響きすぎると次の音の立ち上がりを邪魔するので、プロの演奏家
には、一般に好まれないそうです。
の議論は、平行線に終わるよ。
プロの演奏家は、立ち上がりが良く、直ぐ反応するヴァイオリンを好むが
アマの演奏家は、耳元での響きの良いヴィオリンを一般に好みます。
プロ用、アマ用の違いでも、塗装の効用は違ってきます。
ヴァイオリンを製作する際、表板は、ヤング率の高いトウヒを平均厚2.6
mmに仕上げ、表面の下地処理をしっかり行った上で、塗膜は薄めに仕上
げています。そうするとプロの演奏家に好まれる立ち上がりが良いヴァイオリンになる場合が多いです。
塗膜を薄めに仕上げるためには、下地処理をしっかり行なわないと「まだ
ら」な美しくないヴァイオリンに仕上がります。
また、白木のバイオリンは、塗装品と比較して余韻の響きが、大きいで
すが、響きすぎると次の音の立ち上がりを邪魔するので、プロの演奏家
には、一般に好まれないそうです。
[36665]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年02月23日 14:26
投稿者:グリーンランド(ID:IBCGGYI)
弦堂さんがおっしゃっている
>プロの演奏家は、立ち上がりが良く、直ぐ反応するヴァイオリンを好むが
アマの演奏家は、耳元での響きの良いヴィオリンを一般に好みます。
>白木のバイオリンは、塗装品と比較して余韻の響きが、大きいで
すが、響きすぎると次の音の立ち上がりを邪魔するので、プロの演奏家
には、一般に好まれないそうです
全くその通りだと思います。具体的に書かれていて、大変説得力のあるご意見だと思います。
自分はアマチュアですが、音の立ち上がり、レスポンス、(ボウイング等の変化に対する)順応性、を重視してヴァイオリンを選んでいます。あと、自分は(アマチュアですが)、(プロと同様)音量も重視しています。
ヴァイオリンそのものに、フルコンサートグランドピアノの伴奏に負けないだけの音量と遠達性があれば、美しい音色を出したり、音色を変化させたりするのは自分自身の役目だと思っています。
>プロの演奏家は、立ち上がりが良く、直ぐ反応するヴァイオリンを好むが
アマの演奏家は、耳元での響きの良いヴィオリンを一般に好みます。
>白木のバイオリンは、塗装品と比較して余韻の響きが、大きいで
すが、響きすぎると次の音の立ち上がりを邪魔するので、プロの演奏家
には、一般に好まれないそうです
全くその通りだと思います。具体的に書かれていて、大変説得力のあるご意見だと思います。
自分はアマチュアですが、音の立ち上がり、レスポンス、(ボウイング等の変化に対する)順応性、を重視してヴァイオリンを選んでいます。あと、自分は(アマチュアですが)、(プロと同様)音量も重視しています。
ヴァイオリンそのものに、フルコンサートグランドピアノの伴奏に負けないだけの音量と遠達性があれば、美しい音色を出したり、音色を変化させたりするのは自分自身の役目だと思っています。
[36666]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年02月23日 17:53
投稿者:catgut(ID:FjeUhFc)
アンドレア・アマティの時代の1550年頃を起点としたとしても、もしニスに
レスポンスの向上を含めた音響的効果があるならクレモナの名手はそれを
見抜いていたはずで、それから150年も後のストラディヴァリは指板裏の表
板の塗装の手を抜いたりしなかったと思います。
「ニス神話」の発生についてよく見る説明は、1750年頃を境としてそれまで
クレモナで使われていたオイルニスが使われなくなり、生産性の良いアルコールニスが使われるようになったことに由来するというものです。
つまり、1750年頃まではヴァイオリンが比較的高価に売れたので、名工
と呼ばれる人々は良いヴァイオリンを作って手間をかけてオイルニスで塗
っていたのに、1750年頃以降は良いヴァイオリンが市場に過剰になって
安いヴァイオリンでないと売れなくなり、当時の新技術である生産性の良
いアルコールニスの楽器ばかりがもっぱら製作されるようになったという
ことです。
このため19世紀に入ると、オイルニスのヴァイオリンには良いものが多く、
アルコールニスのヴァイオリンは大したことがない、つまりオイルニスは音を良くする、と信じられるようになり、結局この誤解が「ニスそのものに音を良くする力がある」という誤解となったようです。
レスポンスの向上を含めた音響的効果があるならクレモナの名手はそれを
見抜いていたはずで、それから150年も後のストラディヴァリは指板裏の表
板の塗装の手を抜いたりしなかったと思います。
「ニス神話」の発生についてよく見る説明は、1750年頃を境としてそれまで
クレモナで使われていたオイルニスが使われなくなり、生産性の良いアルコールニスが使われるようになったことに由来するというものです。
つまり、1750年頃まではヴァイオリンが比較的高価に売れたので、名工
と呼ばれる人々は良いヴァイオリンを作って手間をかけてオイルニスで塗
っていたのに、1750年頃以降は良いヴァイオリンが市場に過剰になって
安いヴァイオリンでないと売れなくなり、当時の新技術である生産性の良
いアルコールニスの楽器ばかりがもっぱら製作されるようになったという
ことです。
このため19世紀に入ると、オイルニスのヴァイオリンには良いものが多く、
アルコールニスのヴァイオリンは大したことがない、つまりオイルニスは音を良くする、と信じられるようになり、結局この誤解が「ニスそのものに音を良くする力がある」という誤解となったようです。
[36668]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年02月23日 21:37
投稿者:・・・(ID:IBIIcHY)
>「ニスそのものに音を良くする力がある」という誤解となったようです。
>そろそろ「音のよい」ヴァイオリンの定義を明確にしないと、塗装の効果
の議論は、平行線に終わるよ。
>そろそろ「音のよい」ヴァイオリンの定義を明確にしないと、塗装の効果
の議論は、平行線に終わるよ。
[36669]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年02月23日 22:07
投稿者:catgut(ID:FjeUhFc)
>「音のよい」ヴァイオリンの定義
現時点で最も多くの方の合意が取れる定義は「ストラディヴァリの良い作品の音」以外ないと思っていましたが、他に定義があるであればぜひご教示ください。
現時点で最も多くの方の合意が取れる定義は「ストラディヴァリの良い作品の音」以外ないと思っていましたが、他に定義があるであればぜひご教示ください。
[36670]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年02月23日 22:24
投稿者:catgut(ID:FjeUhFc)
「ヴァイオリンの塗装は保存の美観のためであり、ヴァイオリンの塗装は
ヴァイオリンの音を改善しない」ということを物理的・歴史的に説明して
きたわけですが、いまだに「ヴァイオリンの音」と塗装を関係づけようとす
る方が出て来るというのは興味深いですね。
美しいものは音も良くあってほしいという願望がそのように思い込ませる
のでしょうか。
「ストラディヴァリの音の秘密はニスにある!」
「でもストラディヴァリのニスはほとんど剥げてるよ?」
「・・・いや、下地はかなり残っているから、きっと下地が音の秘密だ。
ストラディヴァリが特別な下地を使ったから音がいいに違いない」
「サッコーニが検出したという金属はその後の調査で間違いだと
分かったそうだよ。そもそもあの本はサッコーニが推測で言ったことを
断言的に書いていて、サッコーニ自身は下地についてしばしば見解を
変えていたそうだ。また電子顕微鏡写真では多くのオールドを撮影して
いるけど、どれも上層をすべてオリジナルニスで下層を下地と仮定して
いるのはおかしいね」
「ストラディヴァリが気付かなかった塗装による音の改善だってありうる
じゃないか」
「その割にはニスに拘って新しい塗装技術には否定的だよね・・」
ヴァイオリンの音を改善しない」ということを物理的・歴史的に説明して
きたわけですが、いまだに「ヴァイオリンの音」と塗装を関係づけようとす
る方が出て来るというのは興味深いですね。
美しいものは音も良くあってほしいという願望がそのように思い込ませる
のでしょうか。
「ストラディヴァリの音の秘密はニスにある!」
「でもストラディヴァリのニスはほとんど剥げてるよ?」
「・・・いや、下地はかなり残っているから、きっと下地が音の秘密だ。
ストラディヴァリが特別な下地を使ったから音がいいに違いない」
「サッコーニが検出したという金属はその後の調査で間違いだと
分かったそうだよ。そもそもあの本はサッコーニが推測で言ったことを
断言的に書いていて、サッコーニ自身は下地についてしばしば見解を
変えていたそうだ。また電子顕微鏡写真では多くのオールドを撮影して
いるけど、どれも上層をすべてオリジナルニスで下層を下地と仮定して
いるのはおかしいね」
「ストラディヴァリが気付かなかった塗装による音の改善だってありうる
じゃないか」
「その割にはニスに拘って新しい塗装技術には否定的だよね・・」
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