[36739]
ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年02月27日 19:00
投稿者:catgut(ID:FjeUhFc)
前スレッドが長くなりましたので新しいスレッドを作成しました。
私はヴァイオリンの塗装は保存と美観のために存在し、基本的
に音を良くすることはないと考えています。20世紀後半以降の
欧米のアカデミックな文献の大半はこの立場を取り、欧米のプ
ロの製作者は音を良くするという立場と音を良くしないという
立場に分かれているのが現状です。
以下のコメントで私がニスが音を良くすることはないと考える理由
を説明します。
私はヴァイオリンの塗装は保存と美観のために存在し、基本的
に音を良くすることはないと考えています。20世紀後半以降の
欧米のアカデミックな文献の大半はこの立場を取り、欧米のプ
ロの製作者は音を良くするという立場と音を良くしないという
立場に分かれているのが現状です。
以下のコメントで私がニスが音を良くすることはないと考える理由
を説明します。
ヴァイオリン掲示板に戻る
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[36761]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年02月28日 19:44
投稿者:catgut(ID:d0BmIVA)
pochiさま、
確かにオイルニスの場合、乾性油が固まりきらない影響で「雑音」の
ようなものが入るのかもしれません。それが固まってくると白木の音
のキャラクタにもどって行くのでしょう。
何が「音のキャラクタ」を決めるかというのは難しいテーマですが、
ほとんどの体積を占める木の材質と削り方で決まるのだと思います。
一奏者さま、
そのアイディアならすでにハッチンスが「ヴァイオリンの音響学」に
以下のように書いています。
「私たちのテストでは、目止め剤とニスは楽器の音にとって、有害に
なり得ることを示している。しかし、組み立て前の板の時に予防策
を講じることはできる。たとえば、バイオリンやビオラの表板と裏板の
モード2番の振動数を合わせる時は、ニスを塗る前に、表板のモード
2番の振動数を5~10ヘルツ程度低く合わせればよいのである。
こうすると、ニスが楽器の音を助けて良くしてくれる。」
文脈から明らかだと思いますが、ここで「音を助けて良くしてくれる」
とハッチンスが書いているのは、白木でモード2の振動数を合わせる
とあとでニスを塗った分振動がおかしくなって音が悪くなるので、ニス
を塗る分を予め考慮してモード2の振動数をあわせておけば、ニスを塗
った状態でちょうど良くなるという意味です。
確かにオイルニスの場合、乾性油が固まりきらない影響で「雑音」の
ようなものが入るのかもしれません。それが固まってくると白木の音
のキャラクタにもどって行くのでしょう。
何が「音のキャラクタ」を決めるかというのは難しいテーマですが、
ほとんどの体積を占める木の材質と削り方で決まるのだと思います。
一奏者さま、
そのアイディアならすでにハッチンスが「ヴァイオリンの音響学」に
以下のように書いています。
「私たちのテストでは、目止め剤とニスは楽器の音にとって、有害に
なり得ることを示している。しかし、組み立て前の板の時に予防策
を講じることはできる。たとえば、バイオリンやビオラの表板と裏板の
モード2番の振動数を合わせる時は、ニスを塗る前に、表板のモード
2番の振動数を5~10ヘルツ程度低く合わせればよいのである。
こうすると、ニスが楽器の音を助けて良くしてくれる。」
文脈から明らかだと思いますが、ここで「音を助けて良くしてくれる」
とハッチンスが書いているのは、白木でモード2の振動数を合わせる
とあとでニスを塗った分振動がおかしくなって音が悪くなるので、ニス
を塗る分を予め考慮してモード2の振動数をあわせておけば、ニスを塗
った状態でちょうど良くなるという意味です。
[36765]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年02月28日 21:37
投稿者:pochi(ID:OVMFIBc)
>>それが固まってくると白木の音のキャラクタにもどって行くのでしょう。
***固まってくる課程で、楽器が非常に鳴り難くなります。白木の音のキャラクタとも違います。
ttp://akiravln.exblog.jp/
この掲示板にも幾度となく投稿している現代の名工である高橋明氏に御意見を伺いたいものです。
***固まってくる課程で、楽器が非常に鳴り難くなります。白木の音のキャラクタとも違います。
ttp://akiravln.exblog.jp/
この掲示板にも幾度となく投稿している現代の名工である高橋明氏に御意見を伺いたいものです。
[36776]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年02月29日 09:13
投稿者:一奏者(ID:OBSCWHQ)
catgutさま
白木の状態で最適に調整を済ませた後に、さらにニスを塗ったら鳴りがおかしくなるのは当然で、それはニスが悪影響を及ぼしているのではなく、調整法が正しくないからというように読めました。
ならば、ニスが悪いから白木か薄いものというよりは、ニスが厚くても、影響きちんと考慮して作られている楽器の方が良い音がするのではないかと思います。
もちろんそれを判断するのは極めて困難ですが。
白木の状態で最適に調整を済ませた後に、さらにニスを塗ったら鳴りがおかしくなるのは当然で、それはニスが悪影響を及ぼしているのではなく、調整法が正しくないからというように読めました。
ならば、ニスが悪いから白木か薄いものというよりは、ニスが厚くても、影響きちんと考慮して作られている楽器の方が良い音がするのではないかと思います。
もちろんそれを判断するのは極めて困難ですが。
[36783]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月01日 00:05
投稿者:catgut(ID:g2kJcWA)
ヴァイオリン固有の「音のキャラクタ」についてコメントします。
「楽器の音」を人間が判別する場合、大別して二つの要素があると言われています。ひとつは周波数スペクトル(フォルマント)で、普通「音色」と言われているものです。「ニスで音色が変わるか」という議論は普通この部分だけで行われています。
もうひとつは「音の立ち上がり方の変化」で、ヴァイオリンでは「弓のアタック時の音の変化」に当たります。アタック音のないヴァイオリンの音はオーボエやハーモニカの音と区別が難しいという話があります。
以上の2つを核として、音の減衰の仕方やヴィブラートをかけた時の音の変化などが、「ヴァイオリン固有の音のキャラクタ」を構成するのではないかと思います。
私の個人的印象では、「音の深み」や「音の瑞々しさ」はアタック音とその減衰の仕方に関係していると思います。しかし弓によるアタック音は特殊な機械がないと再現性のある実験ができないためか、どのようなアタック音が「良い音」か(またはオールド銘器に似ているか)という研究は私は見たことがありません。トヨタのヴァイオリンロボットなら出来るのかもしれません。
もし「ストラディヴァリの音」を再現しようとするなら「音色」だけではなく「アタック音の変化」や「ヴィブラート音」なども再現しなければならないと考えられます。
「楽器の音」を人間が判別する場合、大別して二つの要素があると言われています。ひとつは周波数スペクトル(フォルマント)で、普通「音色」と言われているものです。「ニスで音色が変わるか」という議論は普通この部分だけで行われています。
もうひとつは「音の立ち上がり方の変化」で、ヴァイオリンでは「弓のアタック時の音の変化」に当たります。アタック音のないヴァイオリンの音はオーボエやハーモニカの音と区別が難しいという話があります。
以上の2つを核として、音の減衰の仕方やヴィブラートをかけた時の音の変化などが、「ヴァイオリン固有の音のキャラクタ」を構成するのではないかと思います。
私の個人的印象では、「音の深み」や「音の瑞々しさ」はアタック音とその減衰の仕方に関係していると思います。しかし弓によるアタック音は特殊な機械がないと再現性のある実験ができないためか、どのようなアタック音が「良い音」か(またはオールド銘器に似ているか)という研究は私は見たことがありません。トヨタのヴァイオリンロボットなら出来るのかもしれません。
もし「ストラディヴァリの音」を再現しようとするなら「音色」だけではなく「アタック音の変化」や「ヴィブラート音」なども再現しなければならないと考えられます。
[36784]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月01日 00:58
投稿者:catgut(ID:g2kJcWA)
一奏者さま、
ネットで検索したら引用部のハッチンスの論文の原文がありました。
この論文を参考に製作されている製作家の方は少なくないと思います。
ttp://www.platetuning.org/Article_by_CMH_on_Violin_plates_c1982.pdf
Modern tests of the vibrational properties of the
unassembled top and back plates of a violin reveal
something of what violin makers do by "feel" and
lead to the making of consistently good violins.
邦訳:日経サイエンス 楽器の科学 バイオリンの音響学
ここでハッチンスは先に引用した手法を「ニスの悪い影響を補う方法」と
位置付けています。
ネットで検索したら引用部のハッチンスの論文の原文がありました。
この論文を参考に製作されている製作家の方は少なくないと思います。
ttp://www.platetuning.org/Article_by_CMH_on_Violin_plates_c1982.pdf
Modern tests of the vibrational properties of the
unassembled top and back plates of a violin reveal
something of what violin makers do by "feel" and
lead to the making of consistently good violins.
邦訳:日経サイエンス 楽器の科学 バイオリンの音響学
ここでハッチンスは先に引用した手法を「ニスの悪い影響を補う方法」と
位置付けています。
[36788]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月01日 13:05
投稿者:カルボナーレ(ID:GXI3FWA)
catgutさん
[36783]
でのコメント:
>「楽器の音」を人間が判別する場合、大別して二つの要素があると言われています。ひとつは周波数スペクトル(フォルマント)で、普通「音色」と言われているものです。
:
>もうひとつは「音の立ち上がり方の変化」で、ヴァイオリンでは「弓のアタック時の音の変化」に当たります。
まずその発言で、”一般的”とおっしゃる根拠を教えてください。(一般論なのか、私見なのかをはっきりさせたいので。)
いつものような回答にて、5冊ほどの書籍と10ほどの論文の紹介でも結構です。
また、過去の例を見ると2つ以上の質問には答えていただけないようですので、単に独り言として書き込むだけにしますが、私は「音の三要素は、音の大きさ、音の高さ、音色である」と、大学の音響専門の学科で習いました。
[36783]
[36783]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月01日 00:05
投稿者:catgut(ID:g2kJcWA)
ヴァイオリン固有の「音のキャラクタ」についてコメントします。
「楽器の音」を人間が判別する場合、大別して二つの要素があると言われています。ひとつは周波数スペクトル(フォルマント)で、普通「音色」と言われているものです。「ニスで音色が変わるか」という議論は普通この部分だけで行われています。
もうひとつは「音の立ち上がり方の変化」で、ヴァイオリンでは「弓のアタック時の音の変化」に当たります。アタック音のないヴァイオリンの音はオーボエやハーモニカの音と区別が難しいという話があります。
以上の2つを核として、音の減衰の仕方やヴィブラートをかけた時の音の変化などが、「ヴァイオリン固有の音のキャラクタ」を構成するのではないかと思います。
私の個人的印象では、「音の深み」や「音の瑞々しさ」はアタック音とその減衰の仕方に関係していると思います。しかし弓によるアタック音は特殊な機械がないと再現性のある実験ができないためか、どのようなアタック音が「良い音」か(またはオールド銘器に似ているか)という研究は私は見たことがありません。トヨタのヴァイオリンロボットなら出来るのかもしれません。
もし「ストラディヴァリの音」を再現しようとするなら「音色」だけではなく「アタック音の変化」や「ヴィブラート音」なども再現しなければならないと考えられます。
「楽器の音」を人間が判別する場合、大別して二つの要素があると言われています。ひとつは周波数スペクトル(フォルマント)で、普通「音色」と言われているものです。「ニスで音色が変わるか」という議論は普通この部分だけで行われています。
もうひとつは「音の立ち上がり方の変化」で、ヴァイオリンでは「弓のアタック時の音の変化」に当たります。アタック音のないヴァイオリンの音はオーボエやハーモニカの音と区別が難しいという話があります。
以上の2つを核として、音の減衰の仕方やヴィブラートをかけた時の音の変化などが、「ヴァイオリン固有の音のキャラクタ」を構成するのではないかと思います。
私の個人的印象では、「音の深み」や「音の瑞々しさ」はアタック音とその減衰の仕方に関係していると思います。しかし弓によるアタック音は特殊な機械がないと再現性のある実験ができないためか、どのようなアタック音が「良い音」か(またはオールド銘器に似ているか)という研究は私は見たことがありません。トヨタのヴァイオリンロボットなら出来るのかもしれません。
もし「ストラディヴァリの音」を再現しようとするなら「音色」だけではなく「アタック音の変化」や「ヴィブラート音」なども再現しなければならないと考えられます。
>「楽器の音」を人間が判別する場合、大別して二つの要素があると言われています。ひとつは周波数スペクトル(フォルマント)で、普通「音色」と言われているものです。
:
>もうひとつは「音の立ち上がり方の変化」で、ヴァイオリンでは「弓のアタック時の音の変化」に当たります。
まずその発言で、”一般的”とおっしゃる根拠を教えてください。(一般論なのか、私見なのかをはっきりさせたいので。)
いつものような回答にて、5冊ほどの書籍と10ほどの論文の紹介でも結構です。
また、過去の例を見ると2つ以上の質問には答えていただけないようですので、単に独り言として書き込むだけにしますが、私は「音の三要素は、音の大きさ、音の高さ、音色である」と、大学の音響専門の学科で習いました。
[36789]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月01日 13:14
投稿者:カルボナーレ(ID:GXI3FWA)
失礼しました。
下記の[36788]
で
>まずその発言で、”一般的”とおっしゃる根拠を教えてください。(一般論なのか、私見なのかをはっきりさせたいので。)
と書いたのは誤りです。該当の発言では、”一般的”とは書かれていませんので。
その箇所は、次の通り、訂正させていただきます。
>まずその発言で、一般的に言われている、と解釈できるような表現を行っている根拠を教えてください。(一般論なのか、私見なのかをはっきりさせたいので。)
下記の[36788]
[36788]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月01日 13:05
投稿者:カルボナーレ(ID:GXI3FWA)
catgutさん
[36783]でのコメント:
>「楽器の音」を人間が判別する場合、大別して二つの要素があると言われています。ひとつは周波数スペクトル(フォルマント)で、普通「音色」と言われているものです。
:
>もうひとつは「音の立ち上がり方の変化」で、ヴァイオリンでは「弓のアタック時の音の変化」に当たります。
まずその発言で、”一般的”とおっしゃる根拠を教えてください。(一般論なのか、私見なのかをはっきりさせたいので。)
いつものような回答にて、5冊ほどの書籍と10ほどの論文の紹介でも結構です。
また、過去の例を見ると2つ以上の質問には答えていただけないようですので、単に独り言として書き込むだけにしますが、私は「音の三要素は、音の大きさ、音の高さ、音色である」と、大学の音響専門の学科で習いました。
[36783]でのコメント:
>「楽器の音」を人間が判別する場合、大別して二つの要素があると言われています。ひとつは周波数スペクトル(フォルマント)で、普通「音色」と言われているものです。
:
>もうひとつは「音の立ち上がり方の変化」で、ヴァイオリンでは「弓のアタック時の音の変化」に当たります。
まずその発言で、”一般的”とおっしゃる根拠を教えてください。(一般論なのか、私見なのかをはっきりさせたいので。)
いつものような回答にて、5冊ほどの書籍と10ほどの論文の紹介でも結構です。
また、過去の例を見ると2つ以上の質問には答えていただけないようですので、単に独り言として書き込むだけにしますが、私は「音の三要素は、音の大きさ、音の高さ、音色である」と、大学の音響専門の学科で習いました。
>まずその発言で、”一般的”とおっしゃる根拠を教えてください。(一般論なのか、私見なのかをはっきりさせたいので。)
と書いたのは誤りです。該当の発言では、”一般的”とは書かれていませんので。
その箇所は、次の通り、訂正させていただきます。
>まずその発言で、一般的に言われている、と解釈できるような表現を行っている根拠を教えてください。(一般論なのか、私見なのかをはっきりさせたいので。)
[36790]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月01日 13:34
投稿者:catgut(ID:g2kJcWA)
カルボナーレさま、以下より引用します。
よくわかる音響の基本と仕組み: 音の科学、技術、文化を基礎から学ぶ
著者: 岩宮眞一郎
ttp://books.google.co.jp/で読めます。
P75より
音色と対応すると考えられる物理量を列挙すると、周波数スペクトル、
立ち上がり、減衰特性、定常部の変動、成分音の調派・非調派関係、
ノイズ成分の有無などがあげられます。
P191より
音の時間的変化が、楽器音の識別に大きな役割を果たすことはよく
知られています。音の時間的要因の影響は、立ち上がり部分や減衰
部分を切り取ったり、逆方向に再生したりして確かめられています。
実際に実験されて音源を公開されている方もいます。
ttp://homepage3.nifty.com/sawai/neiro/neiro.html
音色は波形で決まるか
よくわかる音響の基本と仕組み: 音の科学、技術、文化を基礎から学ぶ
著者: 岩宮眞一郎
ttp://books.google.co.jp/で読めます。
P75より
音色と対応すると考えられる物理量を列挙すると、周波数スペクトル、
立ち上がり、減衰特性、定常部の変動、成分音の調派・非調派関係、
ノイズ成分の有無などがあげられます。
P191より
音の時間的変化が、楽器音の識別に大きな役割を果たすことはよく
知られています。音の時間的要因の影響は、立ち上がり部分や減衰
部分を切り取ったり、逆方向に再生したりして確かめられています。
実際に実験されて音源を公開されている方もいます。
ttp://homepage3.nifty.com/sawai/neiro/neiro.html
音色は波形で決まるか
[36792]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月01日 14:41
投稿者:カルボナーレ(ID:GXI3FWA)
>音色と対応すると考えられる物理量を列挙すると、周波数スペクトル、立ち上がり、減衰特性、定常部の変動、成分音の調派・非調派関係、ノイズ成分の有無などがあげられます。
その通りです。そこに書かれている通り、決して、”周波数スペクトル”、”立ち上がり”だけではありません。大別して2つの要素があるのではなく、”周波数スペクトル”、”立ち上がり”は、音色を決める数多くの要素の中の2つにすぎません。
>音の時間的変化が、楽器音の識別に大きな役割を果たすことはよく知られています。音の時間的要因の影響は、立ち上がり部分や減衰部分を切り取ったり、逆方向に再生したりして確かめられています。
これもその通りです。ポイントは、音の場合、”時間的な変化”が重要ということです。
視覚の場合は、写真という時間的に固定したものを認識できますが、音の場合、ある瞬間を切り出したものを聞く事はできません。(聴覚に認識させるには、映像に比べはるかに長い、ある”区間”の音を切り出すことが必須となります。)
上記書籍が正しいと考えるのであれば、以前いったん私見として表明された「音色」の定義を取りさげられてはいかがでしょう。
また、[36783]
の最後でのご発言
>「音色」だけではなく「アタック音の変化」や「ヴィブラート音」なども再現しなければならないと考えられます。
には矛盾があり、私の認識では「アタック音の変化」や「ヴィブラート音」もすべて「音色」に含まれます。
「アタック音の変化」とは、周波数スペクトル、立ち上がり、ノイズ成分の有無、「ヴィブラート音」は主には周波数スペクトル、定常部の変動、成分音の調派・非調派関係、と密接に関係のあるもの(というかまさにそのもの)です。
その通りです。そこに書かれている通り、決して、”周波数スペクトル”、”立ち上がり”だけではありません。大別して2つの要素があるのではなく、”周波数スペクトル”、”立ち上がり”は、音色を決める数多くの要素の中の2つにすぎません。
>音の時間的変化が、楽器音の識別に大きな役割を果たすことはよく知られています。音の時間的要因の影響は、立ち上がり部分や減衰部分を切り取ったり、逆方向に再生したりして確かめられています。
これもその通りです。ポイントは、音の場合、”時間的な変化”が重要ということです。
視覚の場合は、写真という時間的に固定したものを認識できますが、音の場合、ある瞬間を切り出したものを聞く事はできません。(聴覚に認識させるには、映像に比べはるかに長い、ある”区間”の音を切り出すことが必須となります。)
上記書籍が正しいと考えるのであれば、以前いったん私見として表明された「音色」の定義を取りさげられてはいかがでしょう。
また、[36783]
[36783]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月01日 00:05
投稿者:catgut(ID:g2kJcWA)
ヴァイオリン固有の「音のキャラクタ」についてコメントします。
「楽器の音」を人間が判別する場合、大別して二つの要素があると言われています。ひとつは周波数スペクトル(フォルマント)で、普通「音色」と言われているものです。「ニスで音色が変わるか」という議論は普通この部分だけで行われています。
もうひとつは「音の立ち上がり方の変化」で、ヴァイオリンでは「弓のアタック時の音の変化」に当たります。アタック音のないヴァイオリンの音はオーボエやハーモニカの音と区別が難しいという話があります。
以上の2つを核として、音の減衰の仕方やヴィブラートをかけた時の音の変化などが、「ヴァイオリン固有の音のキャラクタ」を構成するのではないかと思います。
私の個人的印象では、「音の深み」や「音の瑞々しさ」はアタック音とその減衰の仕方に関係していると思います。しかし弓によるアタック音は特殊な機械がないと再現性のある実験ができないためか、どのようなアタック音が「良い音」か(またはオールド銘器に似ているか)という研究は私は見たことがありません。トヨタのヴァイオリンロボットなら出来るのかもしれません。
もし「ストラディヴァリの音」を再現しようとするなら「音色」だけではなく「アタック音の変化」や「ヴィブラート音」なども再現しなければならないと考えられます。
「楽器の音」を人間が判別する場合、大別して二つの要素があると言われています。ひとつは周波数スペクトル(フォルマント)で、普通「音色」と言われているものです。「ニスで音色が変わるか」という議論は普通この部分だけで行われています。
もうひとつは「音の立ち上がり方の変化」で、ヴァイオリンでは「弓のアタック時の音の変化」に当たります。アタック音のないヴァイオリンの音はオーボエやハーモニカの音と区別が難しいという話があります。
以上の2つを核として、音の減衰の仕方やヴィブラートをかけた時の音の変化などが、「ヴァイオリン固有の音のキャラクタ」を構成するのではないかと思います。
私の個人的印象では、「音の深み」や「音の瑞々しさ」はアタック音とその減衰の仕方に関係していると思います。しかし弓によるアタック音は特殊な機械がないと再現性のある実験ができないためか、どのようなアタック音が「良い音」か(またはオールド銘器に似ているか)という研究は私は見たことがありません。トヨタのヴァイオリンロボットなら出来るのかもしれません。
もし「ストラディヴァリの音」を再現しようとするなら「音色」だけではなく「アタック音の変化」や「ヴィブラート音」なども再現しなければならないと考えられます。
>「音色」だけではなく「アタック音の変化」や「ヴィブラート音」なども再現しなければならないと考えられます。
には矛盾があり、私の認識では「アタック音の変化」や「ヴィブラート音」もすべて「音色」に含まれます。
「アタック音の変化」とは、周波数スペクトル、立ち上がり、ノイズ成分の有無、「ヴィブラート音」は主には周波数スペクトル、定常部の変動、成分音の調派・非調派関係、と密接に関係のあるもの(というかまさにそのもの)です。
[36800]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月02日 01:28
投稿者:catgut(ID:g2kJcWA)
つまり白木の段階で
・周波数スペクトル
・音の立ち上がり方
・減衰特性
などの要素で「楽器固有」の「音のキャラクタ」=「音色」が基本的
に確立しており、その後0.1mm程度の樹脂層に過ぎないニスを塗った
ところで聴衆が判別できるほど有意に「音のキャラクタ」に影響を与える
ということはありそうにないことです。
ただ樹脂層は(ビニール樹脂でヴァイオリンの胴を強く包むかのように)
木を「縛る力」はありますから振動を阻害することはできます。
オリジナルの「音のキャラクタ」に対してニスはほとんど振動を抑制すると
いう影響のみを与えるわけです。オリジナルと比較して振動を抑制した
音が「良くなった」と感じる人はほとんどいないでしょう。
カルボナーレさま、
コメントの意味が理解できません。
本スレッドのテーマであるニスについては、上記の考え方に
同意されますか?
・周波数スペクトル
・音の立ち上がり方
・減衰特性
などの要素で「楽器固有」の「音のキャラクタ」=「音色」が基本的
に確立しており、その後0.1mm程度の樹脂層に過ぎないニスを塗った
ところで聴衆が判別できるほど有意に「音のキャラクタ」に影響を与える
ということはありそうにないことです。
ただ樹脂層は(ビニール樹脂でヴァイオリンの胴を強く包むかのように)
木を「縛る力」はありますから振動を阻害することはできます。
オリジナルの「音のキャラクタ」に対してニスはほとんど振動を抑制すると
いう影響のみを与えるわけです。オリジナルと比較して振動を抑制した
音が「良くなった」と感じる人はほとんどいないでしょう。
カルボナーレさま、
コメントの意味が理解できません。
本スレッドのテーマであるニスについては、上記の考え方に
同意されますか?
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