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ヴァイオリンの塗装について その2 | ヴァイオリン掲示板

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楽器・付属品 151 Comments
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ヴァイオリンの塗装について その2

投稿日時:2008年02月27日 19:00
投稿者:catgut(ID:FjeUhFc)
前スレッドが長くなりましたので新しいスレッドを作成しました。

私はヴァイオリンの塗装は保存と美観のために存在し、基本的
に音を良くすることはないと考えています。20世紀後半以降の
欧米のアカデミックな文献の大半はこの立場を取り、欧米のプ
ロの製作者は音を良くするという立場と音を良くしないという
立場に分かれているのが現状です。

以下のコメントで私がニスが音を良くすることはないと考える理由
を説明します。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その2

投稿日時:2008年03月09日 13:09
投稿者:catgut(ID:M3dAN1M)
ヴァイオリーノさま、

「f孔からの音が真のヴァイオリンの音である」という前代未聞の主張について既存の研究文献がないことに何の意味があるのでしょうか?
ヴァイオリンの内部にスピーカーを入れて最大音量で鳴らしても小さな音しか外部からは聞こえないということで容易に間違いだと分かるでしょう。

日本人作家についてだけでも、ちょっと検索しただけでクラドニ法を参考にされているプロの製作家は何人か容易に見つかります。
「バイオリン 表板 モード」で検索すると3ページ目までに3,4人ヒット
します。
[36950]

Re: ヴァイオリンの塗装について その2

投稿日時:2008年03月09日 13:53
投稿者:catgut(ID:M3dAN1M)
yasさま、

「ニスの秘密」という疑似科学がどのように成立したかはだいたい分かって
います。

18世紀前半まではヴァイオリンの供給が需要より少なかったので良い製作者が時間をかけてヴァイオリンを製作し、比較的高額で販売することができました。

ところがヴァイオリンは頑丈で寿命が長いことから、18世紀後半には供給が需要を上回り、安いヴァイオリンしか売れなくなってしまいました。このため18世紀後半には生産性をあげるため速乾性のニスが使われたヴァイオリンが主に作られるようになりました。

ちなみにストラディヴァリ自身は現在の価値で約20-30万円程度から売っていたようです。19世紀後半ですら平均的なストラディヴァリは現在の価値で約300万円程度でした。それでもストラディヴァリは圧倒的に高かったのです。

このため、19世紀に入ると、18世紀前半に作られたオイルニスの楽器は
音が良く、18世紀後半に作られたアルコールニスの楽器は音が悪いと
考えられるようになりました。ヴァイオリンの中を見てどのくらい真面目に
手間をかけて作られているかなど普通は分かりませんから、ニスが音の違いになると思い込んだ人が多かったのも無理はないでしょう。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その2

投稿日時:2008年03月09日 14:39
投稿者:pochi(ID:OVMFIBc)
流石父娘でVn始めました氏、
でも完膚無き迄に叩き過ぎかな?

白木のヴァイオリンを弾いて居た者の経験則として、ニスを塗った当初は、音が小さく悪くなります。ヴァイオリンは、少なくとも10年単位、100年単位で音を含めたその良し悪しが計られますから、この経験則は楽器の評価には直結しないでしょうね。

音の良し悪しに関しては、100年以上経過したヴァイオリンのニスを全部剥がしてみて、比較する必要があるでしょう。この部分の論証があれば、catgut氏の御苦労も少しは報われると思うのですが、、、。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その2

投稿日時:2008年03月09日 14:54
投稿者:catgut(ID:M3dAN1M)
pochiさま、
弦楽器店のシャコンヌが実際にそれを行っているようです。

ttp://www.chaconne.info/51_aboutus/CSR_003.htm
特に、ニスはオリジナルが充分に残っていることは少なく、後世に塗られた
色ニスや透明ニスによってカバーされています。そのような楽器は、本来の名器が持つ繊細な音色、豊かな響きを出すことができません。
オリジナルでないカバーニスを取り除き、板の音程パターンを整えることに
よって、本来の名器によみがえります。
[36956]

Re: ヴァイオリンの塗装について その2

投稿日時:2008年03月09日 15:16
投稿者:pochi(ID:OVMFIBc)
カヴァーニスを掛けない限り、ニスが厚くなる事は有り得ませんから、最初は少し厚めに塗っておいて、磨かれて薄くなってゆく事を考慮していても不思議では有りません。その様にして生き残った楽器がよい楽器では無いでしょうか?

楽器磨きの薬剤の中にはニスを微妙に剥がす物も有るんだそうです。松脂がこびり付いた楽器を丹念に磨くと不思議と音が良く成るなんていう迷信もあります。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その2

投稿日時:2008年03月09日 16:03
投稿者:父娘でVn始めました(ID:NIVTCEY)
ええと。
やはり、白木最上論者はお一人だけのようですね(念のため)。

後世のカヴァーニスが、その楽器の発音を阻害する場合があり得るというご意見には、素直に賛成します。まあ、この掲示板に書き込みをしておられる方の大半が賛成でしょう。ちがいますか。

その楽器の、「本来の音」が、何であるかは、難しいところですね。数千万円クラスまたはそれ以上の音楽的価値のある楽器の場合、それに見合う程度のよほど腕の立つ弾き手か、よほど腕の立つ修復者でないと、この楽器の「本来の音」がどこにあるかを見いだすのは容易ではないでしょう。少なくとも、

あらゆる銘器において、白木の音がその楽器の本来の最上の音である、これは絶対に正しいおよそ間違いない見解である。

と言う見解には、そうかも知れないけど、そうでないかも知れないよね、と言うのが、ごく一般的なご意見ではありませんか?

教皇云々の話は、解り難い喩えですね。なんのことか、わかりません。ご免なさい。

ええと。pochi師に質問があります。
此処に世界最高クラスの銘器が一本あるとします。
コンディションは最高ランクにあるとします。
ミルシテインとかグリュミオとかのランクの最高の名人が二人いるとします。
このような名人であればその楽器の本来の音を見いだして素晴らしい音で弾くかも知れません。その二人の音が同一の楽器では全く同一となるでしょうか。違う二つの最高の音が得られるのかも知れないと思うのですが。ある楽器の、最高の本来の音というのは、実は弾き手によって違うのかもしれないと思ったのですが。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その2

投稿日時:2008年03月09日 16:11
投稿者:catgut(ID:M3dAN1M)
父娘でVn始めましたさま、
白木最上論者は下記のチャールズ・テーラーなど多数いますよ。
スレッドを読み直してください。

通りすがりさま、
すでに私の書き込みに全て回答が含まれていると思いますが、
念のため回答します。

①この至極当たり前の事実こそが有意義です。
ニスが音色を良くすると誤解している、本来有能な製作者がミミズだとか
魚の骨だとか怪しげな成分を探し回るのにかける無駄を省くことができます。

②もちろん”はい”です。
イギリス王立研究所のクリスマス講演でチャールズ・テーラーが
「全然二スを塗らないほうがいいのです!」 と語っている通りです。
        
[36963]

Re: ヴァイオリンの塗装について その2

投稿日時:2008年03月09日 16:34
投稿者:父娘でVn始めました(ID:NIVTCEY)
この掲示板上に展開されている白木最上論について、これをお読みになられた方で賛成の方がおられますか?居ませんね。と言う話をしています。文献学的に引用されておられる諸外国の方が、この独特の見解に賛成されるかどうかは、わたくしには、解りかねます。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その2

投稿日時:2008年03月09日 16:40
投稿者:pochi(ID:OVMFIBc)
「最高の本来の音」は弾き手によって違うという御意見に対して、全面的に同意します。使い方にも依りますね。

ヴァイオリンの音は主として弾き手が独自に持っているもので、道具である楽器は従になります。

使い方としては日本刀でもそうですね。斬首と戦場では使い分けますね。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その2

投稿日時:2008年03月09日 17:30
投稿者:yas(ID:QkUYECY)
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Re: ヴァイオリンの塗装について その2

投稿日時:2008年03月09日 13:53
投稿者:catgut(ID:M3dAN1M)
yasさま、

「ニスの秘密」という疑似科学がどのように成立したかはだいたい分かって
います。

18世紀前半まではヴァイオリンの供給が需要より少なかったので良い製作者が時間をかけてヴァイオリンを製作し、比較的高額で販売することができました。

ところがヴァイオリンは頑丈で寿命が長いことから、18世紀後半には供給が需要を上回り、安いヴァイオリンしか売れなくなってしまいました。このため18世紀後半には生産性をあげるため速乾性のニスが使われたヴァイオリンが主に作られるようになりました。

ちなみにストラディヴァリ自身は現在の価値で約20-30万円程度から売っていたようです。19世紀後半ですら平均的なストラディヴァリは現在の価値で約300万円程度でした。それでもストラディヴァリは圧倒的に高かったのです。

このため、19世紀に入ると、18世紀前半に作られたオイルニスの楽器は
音が良く、18世紀後半に作られたアルコールニスの楽器は音が悪いと
考えられるようになりました。ヴァイオリンの中を見てどのくらい真面目に
手間をかけて作られているかなど普通は分かりませんから、ニスが音の違いになると思い込んだ人が多かったのも無理はないでしょう。
catgut氏:
私の指す疑似科学とは、「白木の楽器が最上」との主張、白木最上論を指します。「ニスの秘密」は疑似科学ではありません。なぜなら「ニスに秘密はない」は現在ではほぼ共通の理解なのですから。かつての「ストラドの音はニスに秘密があった」という主張と、このスレでの「白木の楽器が最上」はほぼ同じレベルの主張です。更に悪いことに、白木最上論を主張する方には反証を受け入れる姿勢が見受けられない。まさにLakatosの方法論的反証主義です。
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