[36739]
ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年02月27日 19:00
投稿者:catgut(ID:FjeUhFc)
前スレッドが長くなりましたので新しいスレッドを作成しました。
私はヴァイオリンの塗装は保存と美観のために存在し、基本的
に音を良くすることはないと考えています。20世紀後半以降の
欧米のアカデミックな文献の大半はこの立場を取り、欧米のプ
ロの製作者は音を良くするという立場と音を良くしないという
立場に分かれているのが現状です。
以下のコメントで私がニスが音を良くすることはないと考える理由
を説明します。
私はヴァイオリンの塗装は保存と美観のために存在し、基本的
に音を良くすることはないと考えています。20世紀後半以降の
欧米のアカデミックな文献の大半はこの立場を取り、欧米のプ
ロの製作者は音を良くするという立場と音を良くしないという
立場に分かれているのが現状です。
以下のコメントで私がニスが音を良くすることはないと考える理由
を説明します。
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12 / 16 ページ [ 151コメント ]
[37016]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月10日 21:31
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:GFgECRA)
⑤紫外線を当てる。
あ~、やっと主題に戻れた。
あ~、やっと主題に戻れた。
[37017]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月10日 22:09
投稿者:父娘でVn始めました(ID:NIVTCEY)
セロ弾きさま。超難解なパズルでしたが、見事にご解読戴きまして深く御禮を申し上げます。セロ弾きさま、私は、ヒル氏のご著書を読んだことがございませんので、ヒル氏御見解に対しましては存じませんという立場でして、賛成でも反対でもありません。
いにしえのクレモナのニスに秘密はないというご意見は、白木最上論以外にもたくさんあると存じております。白木最上論に賛成しない方で、古クレモナのニスに秘密はないという見解に賛成の方も、この世には多く居られることでしょう。違いますか。にもかかわらず、やはり、悪いニスよりは良いニスを塗りたいのが製作者の心というものですから、ポリウレタンでも何でも良いと言う訳には行かないでしょう。仮に、誰かが本物のストラディヴァリかデルジェズーの最高クラスのものを所有して居られて、既存の塗装を全て削り落としてあらたにウレタンラッカーを吹きつけ塗装し、その事実を世界に公表したとします。古クレモナのニスには秘密はないのですから、彼の名は教皇の謬った権力に負けないで真理を貫き通したガリレオとして後世にその名が語り継がれることでしょう。いや、いや、御生ですから、最上の出来のフォラーで勘弁してもらえませんでしょうか。え?フォラーでも、ダメ?スズキかヤマハにしろ?両社のバイクであれば、そう言った塗装も、良いかも、しれません(UVも良いかも)。
小生はヴァイオリンを製作した経験がなく、塗師として修業をしたこともございませんので、偉そうなことを言うべき立場にないのですが、良い塗りの楽器はいろんな意味で良い音がしますし、悪い塗りの音の楽器はいろんな意味で悪い音がすると感じることはあります。この場合の善し悪しはあくまで奏者としての主観ですが、音楽家たるもの、誰しも少しでも良い音を出そうと苦心賛嘆して一生かかって追究するものですし、木にもニスにも苦心して努力する製作者の労苦には良い音を求める同志ですから敬意を持つべきであり安易に小莫迦にしては失敬と言うものです。ま、どんな音が良い音かって聞かれたって、いいと思うから良い音なのよとしか究極的には言えないでしょう。にもかかわらず、良い音だったと多くの聴衆が感じてくれることがあるからそれが音楽家の、製作者の幸せなのです。違いますか。
>[36846]
Re: ヴァイオリンの塗装について
> まぁ演奏家ですよ。 [08/03/03 19:22:31]
>ついにお返事が絶えましたね。
>予想していた通りです。
>活字ソースやWebソースは無論貴重です。
>それは「入り口」に過ぎません。
>入り口でしか無いのです。
>最終的には、職人に接触したり、実際に話題になった楽器を自分で弾いてみることが「不可欠」ですね。それと、「音楽を演奏する」という観点を、絶対に忘れてはなりません。
>ご健闘を祈念します。
>さようなら。
難解なスレッドでしたが、混乱を極めた不毛な議論の中にも、「音楽を演奏する」と言う観点を大切になさった心あるコメントも、たくさん寄せられました。皆様に感謝を込めて。
いにしえのクレモナのニスに秘密はないというご意見は、白木最上論以外にもたくさんあると存じております。白木最上論に賛成しない方で、古クレモナのニスに秘密はないという見解に賛成の方も、この世には多く居られることでしょう。違いますか。にもかかわらず、やはり、悪いニスよりは良いニスを塗りたいのが製作者の心というものですから、ポリウレタンでも何でも良いと言う訳には行かないでしょう。仮に、誰かが本物のストラディヴァリかデルジェズーの最高クラスのものを所有して居られて、既存の塗装を全て削り落としてあらたにウレタンラッカーを吹きつけ塗装し、その事実を世界に公表したとします。古クレモナのニスには秘密はないのですから、彼の名は教皇の謬った権力に負けないで真理を貫き通したガリレオとして後世にその名が語り継がれることでしょう。いや、いや、御生ですから、最上の出来のフォラーで勘弁してもらえませんでしょうか。え?フォラーでも、ダメ?スズキかヤマハにしろ?両社のバイクであれば、そう言った塗装も、良いかも、しれません(UVも良いかも)。
小生はヴァイオリンを製作した経験がなく、塗師として修業をしたこともございませんので、偉そうなことを言うべき立場にないのですが、良い塗りの楽器はいろんな意味で良い音がしますし、悪い塗りの音の楽器はいろんな意味で悪い音がすると感じることはあります。この場合の善し悪しはあくまで奏者としての主観ですが、音楽家たるもの、誰しも少しでも良い音を出そうと苦心賛嘆して一生かかって追究するものですし、木にもニスにも苦心して努力する製作者の労苦には良い音を求める同志ですから敬意を持つべきであり安易に小莫迦にしては失敬と言うものです。ま、どんな音が良い音かって聞かれたって、いいと思うから良い音なのよとしか究極的には言えないでしょう。にもかかわらず、良い音だったと多くの聴衆が感じてくれることがあるからそれが音楽家の、製作者の幸せなのです。違いますか。
>[36846]
[36846]
Re: ヴァイオリンの塗装について
投稿日時:2008年03月03日 19:22
投稿者:まぁ演奏家ですよ。(ID:Q0kJYRA)
ついにお返事が絶えましたね。
予想していた通りです。
活字ソースやWebソースは無論貴重です。
それは「入り口」に過ぎません。
入り口でしか無いのです。
最終的には、職人に接触したり、実際に話題になった楽器を自分で弾いてみることが「不可欠」ですね。それと、「音楽を演奏する」という観点を、絶対に忘れてはなりません。
ご健闘を祈念します。
さようなら。
予想していた通りです。
活字ソースやWebソースは無論貴重です。
それは「入り口」に過ぎません。
入り口でしか無いのです。
最終的には、職人に接触したり、実際に話題になった楽器を自分で弾いてみることが「不可欠」ですね。それと、「音楽を演奏する」という観点を、絶対に忘れてはなりません。
ご健闘を祈念します。
さようなら。
> まぁ演奏家ですよ。 [08/03/03 19:22:31]
>ついにお返事が絶えましたね。
>予想していた通りです。
>活字ソースやWebソースは無論貴重です。
>それは「入り口」に過ぎません。
>入り口でしか無いのです。
>最終的には、職人に接触したり、実際に話題になった楽器を自分で弾いてみることが「不可欠」ですね。それと、「音楽を演奏する」という観点を、絶対に忘れてはなりません。
>ご健闘を祈念します。
>さようなら。
難解なスレッドでしたが、混乱を極めた不毛な議論の中にも、「音楽を演奏する」と言う観点を大切になさった心あるコメントも、たくさん寄せられました。皆様に感謝を込めて。
[37018]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月10日 22:21
投稿者:catgut(ID:M3dAN1M)
父娘でVn始めましたさま、
「ニスで音を改善する」という試みは、それが正しいにしろ誤りにしろ、
クレモナの名人は行わなかったことなのです。
私自身はクレモナの名人が行わなかったことでも音を改善する試みはぜひ
真面目にやるべきだと思います。木質自体の変質化・新素材への挑戦・
新しい塗装技術の採用などなど。こう考えるほうがずっと一貫していると
思いませんか?
「ニスで音を改善する」という試みは、それが正しいにしろ誤りにしろ、
クレモナの名人は行わなかったことなのです。
私自身はクレモナの名人が行わなかったことでも音を改善する試みはぜひ
真面目にやるべきだと思います。木質自体の変質化・新素材への挑戦・
新しい塗装技術の採用などなど。こう考えるほうがずっと一貫していると
思いませんか?
[37020]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月11日 19:39
投稿者:catgut(ID:M3dAN1M)
もし製作関係の方で、白木とニスを塗った後で音が変わると考えている
方がいらしたら以下について注意してみてください。
・駒足
ニスを塗るとニスの弾力性で駒足の密着度が変わります。
白木の場合は慎重に足合わせをするか、駒足にニスを塗ってください。
(駒足のニスはボディにニスを塗ったら剥がす)
・音量
厳密には同じ楽器でも音量によって音色が変わります。
できれば音量計などを使って同じ音量で聞き比べてください。
・乾き具合
オイルニスの場合には当然ながら「乾く」までにかなり時間がかかります。
乾いた後で比較する必要があります。
・調整
駒や弦、魂柱を同じものを使うのは当然として、特に魂柱の位置ときつさ
に留意してください。
・弾き込み
弾き込みの程度は白木とニスを塗った後で極力同じ程度になるようにして
ください。
方がいらしたら以下について注意してみてください。
・駒足
ニスを塗るとニスの弾力性で駒足の密着度が変わります。
白木の場合は慎重に足合わせをするか、駒足にニスを塗ってください。
(駒足のニスはボディにニスを塗ったら剥がす)
・音量
厳密には同じ楽器でも音量によって音色が変わります。
できれば音量計などを使って同じ音量で聞き比べてください。
・乾き具合
オイルニスの場合には当然ながら「乾く」までにかなり時間がかかります。
乾いた後で比較する必要があります。
・調整
駒や弦、魂柱を同じものを使うのは当然として、特に魂柱の位置ときつさ
に留意してください。
・弾き込み
弾き込みの程度は白木とニスを塗った後で極力同じ程度になるようにして
ください。
[37149]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月22日 21:02
投稿者:catgut(ID:OACJhhI)
アマチュアでヴァイオリンを製作されている方が白木で弾いた際の印象を
ブログで公開されていました。「白木だと音は大きいが音が粗い」と
いう話を見かけたことがありますが、この方は全く逆に感じたそうです。
人によって印象が全く異なるのは音の差はフィッティングと弾き込みの差であってニスの有無の差ではないということでしょう。
ttp://www.c-music.jp/index.php/blog/detail/i/2091173703/year/2007/month/06/day//blogid/4267/
白木だと、音は弱く柔らかい。フカフカして表面が毛羽立って柔らかい感じだ。調弦はすぐに狂う。手垢も付く。でも、結局楽器のキャラクタはこのときすでにあったのだな、と後から思う。
ブログで公開されていました。「白木だと音は大きいが音が粗い」と
いう話を見かけたことがありますが、この方は全く逆に感じたそうです。
人によって印象が全く異なるのは音の差はフィッティングと弾き込みの差であってニスの有無の差ではないということでしょう。
ttp://www.c-music.jp/index.php/blog/detail/i/2091173703/year/2007/month/06/day//blogid/4267/
白木だと、音は弱く柔らかい。フカフカして表面が毛羽立って柔らかい感じだ。調弦はすぐに狂う。手垢も付く。でも、結局楽器のキャラクタはこのときすでにあったのだな、と後から思う。
[37152]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月22日 22:38
投稿者:catgut(ID:OACJhhI)
ヴェクスバーク「ヴァイオリンの栄光」 野田彰訳からニスに関する
記述を引用します。(p162)
ーーーーー
最近になって、ニスと絃楽器の音色の関係がはっきりと解明された。
同じ製作者が作った一対の楽器の一方にはニスをかけ、もう一方
にはニスをかけないままで、カーテンの陰で奏いて較べてみるという
試みがなされたことがあったが、エクスパートにも音の違いは判らな
いほどであった。しかし、数年経ってみると「白い」ヴァイオリンは
ヴァイオリンらしい音を失ってしまっていたのに、ニスがかけられて
いる方のヴァイオリンはその音を保っていたのである。(中略)
以前エクスパートの中には、ニスの大切さを過少評価する人もいて、
この人達は音というものは楽器の造りと木の良否だけによって決まる
ものだと信じていた。(中略)
しかし兎も角もニスというものは出来の良いヴァイオリンに、個有の
音を与えるものなのである。ストラディヴァリのオーボエのような音質
は、フレンチ・ホルンのようなグァルネリ・デル・ジェズの響きとは全く
違うものである。
ーーーーー
ニスが音色を変えるかどうかプロの間でもずっと議論があったことに
触れられています。ヴェクスバークは引用部の前半では白木とニスを
塗装した後ではほとんど音が変わらないことを認めながら、なぜか
後半ではニスがヴァイオリンの固有の音を作るとしています。引用部分
の後でヴェクスバークはヒル兄弟が書いているヴィオームが作ったモデル
が違うヴァイオリンでもニスが同じなので音が似ているとか、ベルゴンツィ
はストラディヴァリのデザインでヴァイオリンを作ったがニスがグァルネリに
似ているのでグァルネリの音に似ているといった話を引用元を明らかにせ
ずに書いています。
記述を引用します。(p162)
ーーーーー
最近になって、ニスと絃楽器の音色の関係がはっきりと解明された。
同じ製作者が作った一対の楽器の一方にはニスをかけ、もう一方
にはニスをかけないままで、カーテンの陰で奏いて較べてみるという
試みがなされたことがあったが、エクスパートにも音の違いは判らな
いほどであった。しかし、数年経ってみると「白い」ヴァイオリンは
ヴァイオリンらしい音を失ってしまっていたのに、ニスがかけられて
いる方のヴァイオリンはその音を保っていたのである。(中略)
以前エクスパートの中には、ニスの大切さを過少評価する人もいて、
この人達は音というものは楽器の造りと木の良否だけによって決まる
ものだと信じていた。(中略)
しかし兎も角もニスというものは出来の良いヴァイオリンに、個有の
音を与えるものなのである。ストラディヴァリのオーボエのような音質
は、フレンチ・ホルンのようなグァルネリ・デル・ジェズの響きとは全く
違うものである。
ーーーーー
ニスが音色を変えるかどうかプロの間でもずっと議論があったことに
触れられています。ヴェクスバークは引用部の前半では白木とニスを
塗装した後ではほとんど音が変わらないことを認めながら、なぜか
後半ではニスがヴァイオリンの固有の音を作るとしています。引用部分
の後でヴェクスバークはヒル兄弟が書いているヴィオームが作ったモデル
が違うヴァイオリンでもニスが同じなので音が似ているとか、ベルゴンツィ
はストラディヴァリのデザインでヴァイオリンを作ったがニスがグァルネリに
似ているのでグァルネリの音に似ているといった話を引用元を明らかにせ
ずに書いています。
[37160]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月23日 18:50
投稿者:暇人(ID:M5hAFnM)
この議論はもう不毛の域に達してきたような…
そろそろやめませんか?
そろそろやめませんか?
[37163]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月24日 00:04
投稿者:catgut(ID:OACJhhI)
暇人さま、
小野晃明氏の研究によれば良質な楽器用スプルースを使用する
限り理論的にすらヴァイオリンの音色はニスによって変化しません。
それにもかかわらず一部の楽器製作者はニスで音色が変わるのは
「科学的事実」であると信じ込んでいるようです。ニスでストラディ
ヴァリの音色が出せるなどという主張はほとんどお笑いです。明白な
誤りを合理的な根拠で指摘するのは不毛なことでしょうか?
ニスで音色が良くなるという誤解を根絶しない限り、多くの無駄な
努力が「ニスによる音色の改善」に注がれる可能性があります。
これは製作者にとっても演奏者にとってもマイナスです。
「誰もストラディヴァリを越えることはできない」と歎く前に、最低限
歴史的にも科学的にも間違いであることがはっきりしている「ニスに
よる音色の改善」という神話を根絶する必要があると思いますが
いかがでしょうか。
小野晃明氏の研究によれば良質な楽器用スプルースを使用する
限り理論的にすらヴァイオリンの音色はニスによって変化しません。
それにもかかわらず一部の楽器製作者はニスで音色が変わるのは
「科学的事実」であると信じ込んでいるようです。ニスでストラディ
ヴァリの音色が出せるなどという主張はほとんどお笑いです。明白な
誤りを合理的な根拠で指摘するのは不毛なことでしょうか?
ニスで音色が良くなるという誤解を根絶しない限り、多くの無駄な
努力が「ニスによる音色の改善」に注がれる可能性があります。
これは製作者にとっても演奏者にとってもマイナスです。
「誰もストラディヴァリを越えることはできない」と歎く前に、最低限
歴史的にも科学的にも間違いであることがはっきりしている「ニスに
よる音色の改善」という神話を根絶する必要があると思いますが
いかがでしょうか。
[37167]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月24日 01:24
投稿者:カルボナーレ(ID:KGRRGRY)
catgutさん
[37152]
でcatgutさんが引用された文、
>しかし、数年経ってみると「白い」ヴァイオリンは
>ヴァイオリンらしい音を失ってしまっていたのに、
>ニスがかけられている方のヴァイオリンはその音を
>保っていたのである。
に対するcatgutさんの見解をお聞かせください。
[37152]
[37152]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月22日 22:38
投稿者:catgut(ID:OACJhhI)
ヴェクスバーク「ヴァイオリンの栄光」 野田彰訳からニスに関する
記述を引用します。(p162)
ーーーーー
最近になって、ニスと絃楽器の音色の関係がはっきりと解明された。
同じ製作者が作った一対の楽器の一方にはニスをかけ、もう一方
にはニスをかけないままで、カーテンの陰で奏いて較べてみるという
試みがなされたことがあったが、エクスパートにも音の違いは判らな
いほどであった。しかし、数年経ってみると「白い」ヴァイオリンは
ヴァイオリンらしい音を失ってしまっていたのに、ニスがかけられて
いる方のヴァイオリンはその音を保っていたのである。(中略)
以前エクスパートの中には、ニスの大切さを過少評価する人もいて、
この人達は音というものは楽器の造りと木の良否だけによって決まる
ものだと信じていた。(中略)
しかし兎も角もニスというものは出来の良いヴァイオリンに、個有の
音を与えるものなのである。ストラディヴァリのオーボエのような音質
は、フレンチ・ホルンのようなグァルネリ・デル・ジェズの響きとは全く
違うものである。
ーーーーー
ニスが音色を変えるかどうかプロの間でもずっと議論があったことに
触れられています。ヴェクスバークは引用部の前半では白木とニスを
塗装した後ではほとんど音が変わらないことを認めながら、なぜか
後半ではニスがヴァイオリンの固有の音を作るとしています。引用部分
の後でヴェクスバークはヒル兄弟が書いているヴィオームが作ったモデル
が違うヴァイオリンでもニスが同じなので音が似ているとか、ベルゴンツィ
はストラディヴァリのデザインでヴァイオリンを作ったがニスがグァルネリに
似ているのでグァルネリの音に似ているといった話を引用元を明らかにせ
ずに書いています。
記述を引用します。(p162)
ーーーーー
最近になって、ニスと絃楽器の音色の関係がはっきりと解明された。
同じ製作者が作った一対の楽器の一方にはニスをかけ、もう一方
にはニスをかけないままで、カーテンの陰で奏いて較べてみるという
試みがなされたことがあったが、エクスパートにも音の違いは判らな
いほどであった。しかし、数年経ってみると「白い」ヴァイオリンは
ヴァイオリンらしい音を失ってしまっていたのに、ニスがかけられて
いる方のヴァイオリンはその音を保っていたのである。(中略)
以前エクスパートの中には、ニスの大切さを過少評価する人もいて、
この人達は音というものは楽器の造りと木の良否だけによって決まる
ものだと信じていた。(中略)
しかし兎も角もニスというものは出来の良いヴァイオリンに、個有の
音を与えるものなのである。ストラディヴァリのオーボエのような音質
は、フレンチ・ホルンのようなグァルネリ・デル・ジェズの響きとは全く
違うものである。
ーーーーー
ニスが音色を変えるかどうかプロの間でもずっと議論があったことに
触れられています。ヴェクスバークは引用部の前半では白木とニスを
塗装した後ではほとんど音が変わらないことを認めながら、なぜか
後半ではニスがヴァイオリンの固有の音を作るとしています。引用部分
の後でヴェクスバークはヒル兄弟が書いているヴィオームが作ったモデル
が違うヴァイオリンでもニスが同じなので音が似ているとか、ベルゴンツィ
はストラディヴァリのデザインでヴァイオリンを作ったがニスがグァルネリに
似ているのでグァルネリの音に似ているといった話を引用元を明らかにせ
ずに書いています。
>しかし、数年経ってみると「白い」ヴァイオリンは
>ヴァイオリンらしい音を失ってしまっていたのに、
>ニスがかけられている方のヴァイオリンはその音を
>保っていたのである。
に対するcatgutさんの見解をお聞かせください。
[37170]
Re: ヴァイオリンの塗装について その2
投稿日時:2008年03月24日 07:51
投稿者:catgut(ID:OACJhhI)
カルボナーレさま、
塗装は楽器の状態保存が目的で行われるのですから、白木の楽器
の使用状態(または保存状態)によっては塗装がないことが音にマイ
ナスに働く場合もあるでしょう。
私も楽器の実使用においては(塗装でアレルギーが出るような特殊
な場合を除いて)最低限の塗装が必要だと考えていることは何度も
書いた通りです。
塗装は楽器の状態保存が目的で行われるのですから、白木の楽器
の使用状態(または保存状態)によっては塗装がないことが音にマイ
ナスに働く場合もあるでしょう。
私も楽器の実使用においては(塗装でアレルギーが出るような特殊
な場合を除いて)最低限の塗装が必要だと考えていることは何度も
書いた通りです。
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