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★超人的名手 イリヤ・グリンゴルツ☆ | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 6 Comments
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★超人的名手 イリヤ・グリンゴルツ☆

投稿日時:2008年03月03日 21:27
投稿者:ブルーベリー(ID:IBCGGYI)
ttp://www.hmv.co.jp/product/detail/2689131
超人的名手のイリヤ・グリンゴルツが、19世紀の名ヴァイオリニスト・作曲家のハイリヒ・ヴィルヘルム・エルンストのヴァイオリンのための作品を録音しました。
6つの多声的練習曲は、パガニーニの難曲「カプリス(全24曲)にさらに輪をかけたような超絶技巧練習曲です。あまりに難しいため、これまでほとんど録音されておらず、全6曲を録音しているのは、ルジェーロ・リッチ、インゴルフ・トゥルバンなどごく一部に限られます。
6つの多声的練習曲については、トゥルバンのCDが、技術的にも音楽的にも理想的な演奏だと思いますが、イリヤ・グリンゴルツの新譜は、さらに切れ味鋭いテクニックで、この超難曲の凄みを、まざまざと見せつけてくれます。あまりの壮絶さに、(どうやって反応して良いかわからなくて)思わず、笑いが漏れてしまうほどの凄さです。実際にヴァイオリンを弾く人であれば、全6曲の中のどれか1曲だけでも弾けるようになるには、いったい何十年練習すれば良いのやら・・・、と途方に暮れるのではないかと思います。
シューベルトの『魔王』による大奇想曲 Op.26は、シューベルトの有名な歌曲「魔王」の歌のパートとピアノ伴奏のパートを、ヴァイオリン1台で弾くという、まさに奇想天外な超難曲ですが、グリンゴルツは、背筋が凍るようなデモーニッシュな雰囲気を醸し出しながら、空気を切り裂くような激しい演奏で迫ってきます。
グリンゴルツは、たいていは分けて演奏されることが多い3重音や4重音を同時に鳴らすテクニックを持っているため、重音の多いエルンストの難曲でも、けしてもたついたりしません。基本的なビート(テンポ、ペース)を崩すことなく、一気に弾き切っていて爽快です。また、和音の中から大事なメロディーラインだけをハッキリ・クッキリと浮き立たせてくれるので、曲の構造がクリアに聞こえて(見えて)きます。
こうやって書くと、グリンゴルツは単なる超絶技巧家のように聞こえるかも知れませんが、けして、そんなことはなく、ゆったりと歌うところでは、透明感のある甘美な音で惹きつけてくれます。
グリンゴルツは、フランチェスコ・ルジェーリ(ただしスクロールはオットー・カール・シュネックが製作)を使用しています。E線は不明、A線は裸のガット、D・G線はオリーヴを張っているようです。
【ご参考】
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Re: ★超人的名手 イリヤ・グリンゴルツ☆

投稿日時:2008年03月05日 07:22
投稿者:父娘でVn始めました(ID:NIVTCEY)
テレビに出てましたね。録画して、視てます。当たり前のようにエルンストを弾いてますね。悪くないと思いました。
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Re: ★超人的名手 イリヤ・グリンゴルツ☆

投稿日時:2008年03月05日 08:45
投稿者:jack(ID:IRhTIHg)
the Stradの08年カレンダーのトップ1月にはグリンゴルツの楽器Ruggeriが写真付きで紹介されています。

16歳で国際パガニーニを制覇した後のザルツブルク音楽祭デビューで無伴奏のリサイタルを聴きましたが、求道者、武芸者といった雰囲気でその正確なテクニックにも驚きました。その後米国のFMに出演しているのを聞いたときはまだジュリアードの学生と言ってました。パールマンについているのですね、もう卒業したのかな?バッハ無伴奏の使用楽譜の版を尋ねられて、ガラミアンと答えると思いきやバッハ自筆のファクシミリ譜と答えていました。ラジヲでは軽い小品をピアノ伴奏で弾いていましたが、やはり彼には超絶技巧曲がお似合いです。

↓の掲示板では実名で度々登場してます。専門的見地からいろいろ真面目なコメントしています。日本の掲示板もプロの奏者や楽器製作者が責任あるコメントで交通整理していただけると有り難いのですが。
ttp://www.violinist.com/directory/bio.cfm?member=ilya
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Re: ★超人的名手 イリヤ・グリンゴルツ☆

投稿日時:2008年03月05日 19:25
投稿者:みな(ID:MVN3NQY)
テレビで見ました。ラジオでも聴きました。バッハの無伴奏ソナタ(これはCD録音)はピリオドアプローチのようでした。楽譜の件で納得です。今年も来日してほしいな。
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Re: ★超人的名手 イリヤ・グリンゴルツ☆

投稿日時:2008年03月07日 00:32
投稿者:jack(ID:IRhTIHg)
イリヤのバッハは古楽の奏法です。04年ザルツブルク音楽祭では超絶技巧曲に加えてパルティータ2番も弾きました。ヴィブラートを抑制し、開放弦を多用、ハイポジは使わず、弓の圧力や緩急で表情づけする、古楽アプローチだと思いました。フィンガリングはフレッシュでもガラミアンでも無く、独自のものとの印象を受けました。重音やアルペジョの弾き方は古楽奏者のそれではなかったです(モダンボウを使っているからでしょうか)。

バッハ無伴奏のCD持ってますが、リピートでは装飾法を大きく変え即興風に弾いています。因みに彼は作曲法も勉強しておりコンチェルトのカデンツァは自作が多いようです。将来楽しみなアーティストの一人です。
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Re: ★超人的名手 イリヤ・グリンゴルツ☆

投稿日時:2008年03月07日 08:09
投稿者:ブルーベリー(ID:IBCGGYI)
jackさん。グリンゴルツに関する情報提供ありがとうございます。グリンゴルツの生演奏を聴かれたことがあるとのことで、羨ましい限りです。
自分はグリンゴルツの演奏が好きで、彼のCDは全部持っています。今回のエルンストの作品集のCDも気に入りましたが、バッハの無伴奏のCDもとても気に入っています。自分もバッハの無伴奏を弾くときには、自筆譜の写し(ガラミアン版に附属しているもの)を使用しています。ボウイングやフィンガリングがほとんど書かれていない自筆譜は、解釈の自由度を拡げてくれるので、自分はこれがベストだと思っています。もちろん、自分がそうしているのは、グリンゴルツの影響があるのは確かです。
グリンゴルツはリピートの際に自由に装飾を加えたりしてますが、これは当時の演奏マナーに沿ったものですし、グリンゴルツならではのオリジナリティが感じられるのでとても面白いと思います。
協奏曲のカデンツァを自作しているという話は初めて聞きましたが、それはとても良いアイデアだと思います。誰にも似ていない独自の演奏をするグリンゴルツには、オリジナルの(自作の)カデンツァが良く似合うと思います。
今年26歳になるグリンゴルツが、今後益々進化(深化)していってくれることを期待しています。
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Re: ★超人的名手 イリヤ・グリンゴルツ☆

投稿日時:2008年03月09日 22:06
投稿者:jack(ID:IRhTIHg)
グリンゴルツは04年にそれまで借りていたStradを返却してRuggeriに変えました。彼が何故Ruggeriに惚れこんだのか?彼自身のコメントはくだんの雑誌the Strad08年カレンダーに載っています。

"I immediately fell for the penetrating tone of this violin. When I play with an orchestra, it cuts through even the thickest texture. It's like a calm-voiced person that forces you to listen."

楽器の音の物理的な大きさではなくて「物静かな語り口で耳を傾けさせるような」「分厚いオケの響きをも通り抜ける良く通る」音に惚れ込んだと表現していますね。

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