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ヴァイオリンの塗装について その3 | ヴァイオリン掲示板

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楽器・付属品 216 Comments
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ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年06月13日 20:49
投稿者:catgut(ID:MxCCaDI)
私は前スレッド、前々スレッドで、
「ヴァイオリンの音色は材質と形状、および調整によって決まり、
ヴァイオリンの塗装で音色が良くなることは基本的にない」と
客観的な証拠を多数提示して書いています。

どなたも塗装でヴァイオリンの音が良くなるという証拠を提示されて
いません。そして見当違いのコメントがしばしば付けられています。
これはいったいなぜなのでしょうか。ちょっと分析してみたいと思います。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年06月19日 00:13
投稿者:catgut(ID:MxCCaDI)
父娘Vnさま、
何か誤解されているようですが、私は最初のスレッドですでに
コルネーダーの本を紹介し以下のように書いていますよ。

→白木の振動をできるだけ妨げない弾力性のあるニスが良い
→ストラディヴァリは白木の振動をあまり妨げない良いニスを使った
→Louis Guersanは白木の振動を妨げるニスを使ったので音が悪かった
[37642]

Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年06月19日 00:37
投稿者:catgut(ID:MxCCaDI)
念のため「柔らかい良いニス」の意味についてコメントしておきます。
「柔らかい良いニス」とは板を振動させやすいニスのことであり、
「指で触って柔らかい」ようなニスのことではありません。

オイルニスの一部の新作楽器は指で触ると柔らかく感じるものがあります
が、これは乾性油である亜麻仁油が完全に固化していないためで「柔らか
い良いニス」とは全く関係ありません。

指で触って柔らかいニスが「良いニス」であるという誤解に対しては、ストラ
ディヴァリのニスが(指で触って)柔らかいというのは事実ではなくヴァイオリン商人の営業政索であり伝説に過ぎないと無量塔蔵六氏は岩波新書「ヴァイオリン」の中で書いています。

以前も紹介しましたがシャコンヌの申請特許「擦弦楽器用塗料組成物」の中の説明が分かりやすいと思います。
ttp://www.j-tokkyo.com/2006/C09D/JP2006-316161.shtml
柔らかい塗膜を形成することによって楽器本来の美しい音色を最大限に
引き出すことができる。ただし、この場合の「柔らかい」とは、塗膜の軽さ、
好ましい脆さ、基材との結合力の弱さ等が総合的に組み合わされること
によって現れた特性を意味し、むしろ塗膜を形成する微粒子自体は硬い
ことが予想される。
[37644]

Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年06月19日 01:10
投稿者:通りすがり(ID:IBIIcHY)
>見当違いのコメントがしばしば付けられています。
これはいったいなぜなのでしょうか。ちょっと分析してみたいと思います。

分析が途中で止まっていますので、是非続けてください。
(以前のスレッドの域を超えておらず繰り返しになってきたようです)
[37645]

Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年06月19日 01:36
投稿者:catgut(ID:MxCCaDI)
ニスが音を積極的に良くする(白木より良くする)という説は、これまで
紹介したように実証実験をした音響学者だけではなく、プロの製作者や
プロの製作者と交流のあるヴァイオリンの専門家によってずっと否定され
ています。それでもこの説が根絶されないとすればある意味不思議です。
あくまで想像ですが、音色を良くすると主張する人には以下のような理由があるのでしょうか。

1.製作者・楽器商の立場で
a.本人がニスが音を良くすると信じていない場合
・オイルニスが音がいいと一般に信じられているなら、同じ白木にアルコールニスよりオイルニスを塗ればずっと高く売れるのだから否定しないほうが得
・悪意がなくてもニスが音を良くすると信じている顧客の気を損ねないように話をあわせてしまう
b.本人がニスが音を良くすると信じている場合
・自分の先生がニスが音を良くすると言っていたので信じている。
・実際に自分で同等に製作したつもりの白木の楽器とニスを塗った楽器を弾き比べると確かに音が違って聞こえる。
・ニスで音を良くしようという努力をしてきたのでいまさら考え方を変えられない。
・オールド楽器と同等の音は木の「経年変化」がない分新作では困難だが、ニスの力でなんとかできないかと思っている。

2.購入者の立場で
・有名な製作者がニスが音を良くすると言うのを直接聞いたので間違いないと信じている。
・ヴァイオリンの外見上ニスには輝きと深みがあって存在感が大きく、ヴァイオリンの板に音量以外にも音響的影響を与えているように思える。
・外見が似たニスには音色の共通性があるような気がするので、ニスが音色に影響を与えているのではないか。
・自分の所有楽器はニスが厚めに見えるので薄いほうが音がいいという説を認めたくない。
[37646]

Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年06月19日 01:51
投稿者:catgut(ID:MxCCaDI)
これも繰り返しになりますが、ヴァイオリン界全体に「ニスが音を良くする」
という説を信憑性があるように思わせたのがヒル兄弟の著作であり、最近の日本では「海峡を渡るバイオリン」の影響が大きいのではないかと思います。さすがにムカデやカタツムリで音が良くなると信じる人はいないでしょう。
[37647]

Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年06月19日 01:57
投稿者:通りすがり(ID:IBIIcHY)
全く違うと思います。

一般に論じられている場合(ヒル兄弟などは除いて)、
白木と比較して音色が良くなるという文脈、論調の議論はありません。

「このバイオリンはニスが良いから音色が良い」という場合、
ニスAの方がニスBより良いという議論があるのみです。

白木の楽器が一般に出回っていない以上、当然の帰結でしょう。
多くの人が触ったことも聞いたこともない白木楽器を念頭に話をするとはとても考えられません。
[37648]

Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年06月19日 02:22
投稿者:catgut(ID:MxCCaDI)
違うといいですね。そうであってほしいです。

しかしすでに紹介した通り、ヒル兄弟は「ニスが固有の音色を作る」と
主張しているのです。下記にもその影響が伺えます。

「海峡を渡るバイオリン」ハードカバー P304より
ストラディヴァリウスと同じ美しい声を出すミミズだ。このミミズ
を乾かし、ニスの下地に塗ってみてはどうだろうか。
[37649]

Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年06月19日 02:35
投稿者:通りすがり(ID:IBIIcHY)
最終的な結果がどうあれ
>ムカデやカタツムリで音が良くなると信じ
試行錯誤することが文化、科学技術を前進させるのです。
それを否定するような論調はいかがかと思います。

後の時代の人間が、当時の試み、考えを
後の時代のパラダイムで、断罪するのは簡単であり、
傲慢でもあります。

今の科学水準(ニスの製造技術あるいは分析機器など)では、どんなニスも白木の音色以上のものは出せないとしても、将来のことまでは断定できないでしょう。

さて
>ヒル兄弟は「ニスが固有の音色を作る」と主張
と書かれていますが、もとの文章では白木の楽器について何か書かれているのですか?

注 白木と塗装済みの楽器の比較についてです。
  常識的な塗装をしている限り、ニスの違いによる音色への影響が
  ありうるのか、あったとしても微々たる変化なのかという議論は
  別に展開してください。話が混乱しますので。
[37651]

Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年06月19日 07:41
投稿者:catgut(ID:MxCCaDI)
むしろオイルニスやアルコールニスでない新塗装技術や、木質加工技術、さらには板の新素材化もチャレンジすべきでしょう。

ヒル兄弟の主張については[ヴァイオリンの塗装について その2 [37225]
[37225]

Re: ヴァイオリンの塗装について その2

投稿日時:2008年04月01日 07:32
投稿者:catgut(ID:OACJhhI)
ニスの「音の改善交換」について半信半疑に思われていた方も、それが
いかに誤ったものかこのスレッドでご理解頂けたと思います。

繰り返すまでもありませんが、「ニスが音を良くする」という「神話」が現代
でも命脈を保っているのはヒル兄弟の影響が大であり、そのヒル兄弟の主
張は、

・ヴァイオリンにとって作りや素材よりもニスのほうが重要
ttp://www.cello.org/heaven/hill/six.htm
Hence we are disposed to classify the relative importance of
material, dimensions and construction, and varnish, as follows:
1st, varnish; 2nd, construction and dimensions; 3rd, material.

とか、
・本物のオールドとそのコピー品では形が似ているのに音が
違うのはニスが違うから
ttp://www.cello.org/heaven/hill/seven.htm

といった馬鹿げたものです。他の記述はまともなのにニスに関して
だけはあまりにも馬鹿げているため、

>「ニスの秘密」の神話は一説によるとイギリスのヒル商会が作り上げた
>神話ではなかろうかと云われている!
ttp://godmuses.hp.infoseek.co.jp/hafuna-48-15.html

とまで言われています。

をご覧下さい。ヒル兄弟は白木の楽器にストラディヴァリのニスを塗ればストラディヴァリの音に、デル・ジェスのニスを塗ればデル・ジェスの音になる
という意味あいのことを書いています。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年06月19日 20:38
投稿者:catgut(ID:MxCCaDI)
日本音楽財団のWebに、安永徹氏がストラディヴァリ「ロード・ニューランズ」の音について興味深い話を書かれた資料があります。

「白木の楽器の音」が「ニスを塗った新作楽器の音」と違っていたとしても、
注意深い製作者はそこから何かを感じ取れるかもしれません。
白木で十分に乾かして慎重にセットアップし、駒足にだけはニスを塗り、
しばらく弦の張力をかけてから板厚の調整を繰り返すことが必要でしょう。

ttp://www.nmf.or.jp/concert/pro-data/Midsummer%20Night%20Trio%20.pdf

「ストラディヴァリが製作した名器は何をしなくてもバターが
滑らかに溶けるように素晴らしい音が出る」時々耳にする言葉
ですが、私が“Lord Newlands”を実際に弾いた感覚から受け
た印象は、ずいぶん違ったものです。遠くで聴く音と耳のそば
で聴く音は音量だけでなく音色まで違うのだ、ということを実
感しますが、何と言っても「楽音」ではない「雑音」のような
音が多く含まれていることは想像もしなかったことです。川が
流れるような音、風の音、時には電話のべルが鳴っているよう
な音、人間の声……いろいろな「音」が聞こえるのです。「音」
が聞こえるので弾くのをやめてもそこには何もないのです。
楽器から出た音としか考えられない…信じられないようなこと
ですが、実際に私自身体験していることです。
楽音以外の音は倍音に違いないのですが(もちろん、どんな楽
器にも倍音はあります)、その種類が他の楽器に比べてとても
多く、音量も大きいので最初の頃は戸惑ってしまいました。今で
も一人で練習している時に勘違いをすることが多くあります。
この倍音(至近距離では雑音に聞こえる音)が、演奏会場で聴
いている方々に音色として届くのだと思います。他にも、重音
で奏した時のうなり(2つの音の振動数の差から派生する音で、
実音ではありません)の音も大きく、これは“Lord Newlands”
に限らず、おそらくストラディヴァリウスやその頃に製作され
た名器が備えている特色の一つと言えるのかも知れません。
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