[41410]
surface sound って何?
投稿日時:2009年10月03日 17:06
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
別スレで話題の一つになっている本タイトルの件、分離した方がよいと思い、新しくスレを立てました。
”surface sound ”の定義については、catgutさんが再度、整理の上書き込んでくださると思いますので、それを待ちます。
それが、軽く引っ掛けてオクターブ上の音を出すものであれば、先ほどから試していますが、結構簡単に出るので、余興含め使い勝手は良さそうです。
どちらかと言えば、指板寄りよりも、駒寄りを、引っ掛けを弱くして軽く速く弾く方がオクターブ上の音は出しやすく、その感覚をマスターした上で弾く場所を選べば指板寄りでもオクターブ上の音が出るようです。
また駒寄りでその音を出した直後は、弦がその振動モードに入っているのか、指板寄りで出しやすくなりますね。
「春の海」を弾く時に、これを使うと尺八風に弾けそうなので、いろいろと遊べそうです。
Pochiさんご指南のホーミー奏法もだいぶマスターし、オクターブ下の音もある程度出せるようになったので、それに加えてこのオクターブ上の音も駆使すれば、聴き手が目を丸くするような楽しい曲が出来そうです。
なお、一瞬であれば、この音は、弓の毛が、動き始めて弦から離れるまでの間の、振動モードが通常モードに入る前後には、結構混じるような気がしますので、音の立ち上がりや切り際の音作りのバリエーションの中では、演奏者の出したい音のイメージには折り込み済であって、無意識に使いこなされているもののように感じます。
”surface sound ”の定義については、catgutさんが再度、整理の上書き込んでくださると思いますので、それを待ちます。
それが、軽く引っ掛けてオクターブ上の音を出すものであれば、先ほどから試していますが、結構簡単に出るので、余興含め使い勝手は良さそうです。
どちらかと言えば、指板寄りよりも、駒寄りを、引っ掛けを弱くして軽く速く弾く方がオクターブ上の音は出しやすく、その感覚をマスターした上で弾く場所を選べば指板寄りでもオクターブ上の音が出るようです。
また駒寄りでその音を出した直後は、弦がその振動モードに入っているのか、指板寄りで出しやすくなりますね。
「春の海」を弾く時に、これを使うと尺八風に弾けそうなので、いろいろと遊べそうです。
Pochiさんご指南のホーミー奏法もだいぶマスターし、オクターブ下の音もある程度出せるようになったので、それに加えてこのオクターブ上の音も駆使すれば、聴き手が目を丸くするような楽しい曲が出来そうです。
なお、一瞬であれば、この音は、弓の毛が、動き始めて弦から離れるまでの間の、振動モードが通常モードに入る前後には、結構混じるような気がしますので、音の立ち上がりや切り際の音作りのバリエーションの中では、演奏者の出したい音のイメージには折り込み済であって、無意識に使いこなされているもののように感じます。
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[41412]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月03日 23:23
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
カルボナーレさま、ようやくsurface soundの面白さに目覚められたよう
ですね。
すでに「surface soundについて」のスレッドで技術解説とsuface sound
に似た音をソフトウェアで発生させる方法について説明したので、こちら
ではより基本的・実践的な解説を試みたいと思います。
"surface sound"とは直訳すれば表面音で、上滑りの音とか、基本の
音にかぶさる仮の音といったイメージだろうと思います。surface sound
という用語は目新しいですが、ヴァイオリンを演奏する人なら誰でも知っ
ている現象です。
物理的には、以下のような現象はすべて”surface sound"の一種と考え
られます。
・E線を軽く弾きすぎて「裏返る音」
・弾きたい弦の隣の弦に触れて出る「妙に高い音」
・フラウタート(=スル・タスト)の「フラジオレットのような音」
(非常に弱い弓圧で指板の上の弦を弾く)
・アタックに失敗して「裏返る音」
・弓を返す時に「一瞬音程が高くなる音」(弓の返し音)
・「常識的な軽めの圧力」でも非常に速く弾くことで「高周波成分が増
える音」
これらに共通するのは「弓圧に対して弓速が速すぎる」ということです。
非常に弱い弓圧の場合、普通の弓速で弾いても音色に高い周波数成
分が混じります。やや軽めから普通の弓圧の場合、かなり速い弓速で
弾くことで音色に高い周波数成分が混じります。
しかし、圧力を強くし過ぎると"surface sound"は発生しなくなります。
弓速が速ければ速いほど、音量を確保しながら「高周波成分が多い
音」、つまり輝かしい音を出すことができます(ただし弓速には限界が
あるので、高周波成分を保ちつつ出せる音量には限界がある)。
また高周波成分はサウンディングポイントが同一の場合、弓圧と弓速
のコントロールで変化させることができます。
ですね。
すでに「surface soundについて」のスレッドで技術解説とsuface sound
に似た音をソフトウェアで発生させる方法について説明したので、こちら
ではより基本的・実践的な解説を試みたいと思います。
"surface sound"とは直訳すれば表面音で、上滑りの音とか、基本の
音にかぶさる仮の音といったイメージだろうと思います。surface sound
という用語は目新しいですが、ヴァイオリンを演奏する人なら誰でも知っ
ている現象です。
物理的には、以下のような現象はすべて”surface sound"の一種と考え
られます。
・E線を軽く弾きすぎて「裏返る音」
・弾きたい弦の隣の弦に触れて出る「妙に高い音」
・フラウタート(=スル・タスト)の「フラジオレットのような音」
(非常に弱い弓圧で指板の上の弦を弾く)
・アタックに失敗して「裏返る音」
・弓を返す時に「一瞬音程が高くなる音」(弓の返し音)
・「常識的な軽めの圧力」でも非常に速く弾くことで「高周波成分が増
える音」
これらに共通するのは「弓圧に対して弓速が速すぎる」ということです。
非常に弱い弓圧の場合、普通の弓速で弾いても音色に高い周波数成
分が混じります。やや軽めから普通の弓圧の場合、かなり速い弓速で
弾くことで音色に高い周波数成分が混じります。
しかし、圧力を強くし過ぎると"surface sound"は発生しなくなります。
弓速が速ければ速いほど、音量を確保しながら「高周波成分が多い
音」、つまり輝かしい音を出すことができます(ただし弓速には限界が
あるので、高周波成分を保ちつつ出せる音量には限界がある)。
また高周波成分はサウンディングポイントが同一の場合、弓圧と弓速
のコントロールで変化させることができます。
[41414]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月04日 00:09
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
>高周波成分はサウンディングポイントが同一の場合、弓圧と弓速のコントロールで変化させることができます。
これは、ヴァイオリンを演奏するものにとっては、今も昔も当たり前のことですので、改めて言うことでもないと思います。
アタックからリリースまでの下記の時間的変化は、求める音を得るために奏者が意図的にコントロールします。
- 弦にかける圧力
- 弓を動かすスピード
- 弓の傾き(弓の毛の接地面積と圧力の逃がし方:ベクトル)
- 弓元から弓先のどこを使うか(これは上記をコントロールするための手段かもしれません。)
- 指板と駒の間の弾く位置
当然、一部の条件を固定したケースは、コントロールの想定内です。
>弓速が速ければ速いほど、音量を確保しながら「高周波成分が多い音」、つまり輝かしい音を出すことができます
これは直感的には違うと思います。最適な圧力とスピードの組み合わせにより、しっかりと圧力を加えて出した力強い音のアタックとリリースに、高周波成分を加えることができ、結果的に、強くかつ輝かしい音が得られるのだと、私は思います。これも特に目新しい話とは思いません。
これも1か0か、白か黒かの話ではなく、時間経過の中でアナログ的に変化&Mixされる事象の度合いの話です。
今回私が面白いと思ったのは、基音自体が1オクターブ上がった音が、意外と容易に得られる点です。
これは、ヴァイオリンを演奏するものにとっては、今も昔も当たり前のことですので、改めて言うことでもないと思います。
アタックからリリースまでの下記の時間的変化は、求める音を得るために奏者が意図的にコントロールします。
- 弦にかける圧力
- 弓を動かすスピード
- 弓の傾き(弓の毛の接地面積と圧力の逃がし方:ベクトル)
- 弓元から弓先のどこを使うか(これは上記をコントロールするための手段かもしれません。)
- 指板と駒の間の弾く位置
当然、一部の条件を固定したケースは、コントロールの想定内です。
>弓速が速ければ速いほど、音量を確保しながら「高周波成分が多い音」、つまり輝かしい音を出すことができます
これは直感的には違うと思います。最適な圧力とスピードの組み合わせにより、しっかりと圧力を加えて出した力強い音のアタックとリリースに、高周波成分を加えることができ、結果的に、強くかつ輝かしい音が得られるのだと、私は思います。これも特に目新しい話とは思いません。
これも1か0か、白か黒かの話ではなく、時間経過の中でアナログ的に変化&Mixされる事象の度合いの話です。
今回私が面白いと思ったのは、基音自体が1オクターブ上がった音が、意外と容易に得られる点です。
[41415]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月04日 01:16
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
以下はWoodhouse教授による"surface sound"の原因となる”Double
slipping"の解説記事です。英語がよく分からない方は”Helmholtz
motion”と”Double slipping motion”という二つのアニメーションだけを
見比べてください。
ttp://plus.maths.org/issue31/features/woodhouse/index.html
アニメーションの赤い点線(弓の動き)が動くにつれて、緑の字で
”sticking"と表示されている時間は弓毛と弦が摩擦力でくっついて
一緒に動いています。青字で"slipping"と表示されている時間は、
弦が弓毛から離れて毛の上を滑っています。
常識的な弓圧・弓速だと、”Helmholtz motion”のアニメーションのよう
に弦が振動します。しかし弓の速度に対して弓圧が低いと、"Dobule
slipping motion"のような振動になり、倍音が発生して高周波が強い
音になります。弓の使い方によって、少し高周波が混じる程度から、
音程が2倍になる極端な状態にまで連続的に変化します。
ヴァイオリンの弦がこのように振動していることはなかなか信じられな
いかもしれませんが、ヴァイオリンの弦が実際に「折れ曲がって」振動
しているところをデジタルカメラで撮影した論文がありました。
ttp://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/bitstream/harp/783/1/AA11419398_39_41.pdf
また、参考ですが2000年に日本人研究者がどのようにスリップ状態が
変化するか実測した日本語の論文が以下にあります。全文が読めます。
カルボナーレさまにはこの論文をぜひ読んで頂きたいと思います。
擦弦における 1 stick-1 slip 振動から 2 stick-2 slip 振動への過渡
振動について
ttp://ci.nii.ac.jp/naid/110002550787
ちなみに、Woodhouse教授の記事で「西洋音楽」ではSurface soundは
使わないと受け取れる部分がありますが、ここでは極端に音色が変わっ
た状態のことを指しています。タイのニ胡に似た民族楽器(ソードゥアン)
ではこの極端な音色を積極的に使うそうです。
Woodhouse教授自身は論文では少し高周波が増えた状態もsurface
soundと表現しています。
slipping"の解説記事です。英語がよく分からない方は”Helmholtz
motion”と”Double slipping motion”という二つのアニメーションだけを
見比べてください。
ttp://plus.maths.org/issue31/features/woodhouse/index.html
アニメーションの赤い点線(弓の動き)が動くにつれて、緑の字で
”sticking"と表示されている時間は弓毛と弦が摩擦力でくっついて
一緒に動いています。青字で"slipping"と表示されている時間は、
弦が弓毛から離れて毛の上を滑っています。
常識的な弓圧・弓速だと、”Helmholtz motion”のアニメーションのよう
に弦が振動します。しかし弓の速度に対して弓圧が低いと、"Dobule
slipping motion"のような振動になり、倍音が発生して高周波が強い
音になります。弓の使い方によって、少し高周波が混じる程度から、
音程が2倍になる極端な状態にまで連続的に変化します。
ヴァイオリンの弦がこのように振動していることはなかなか信じられな
いかもしれませんが、ヴァイオリンの弦が実際に「折れ曲がって」振動
しているところをデジタルカメラで撮影した論文がありました。
ttp://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/bitstream/harp/783/1/AA11419398_39_41.pdf
また、参考ですが2000年に日本人研究者がどのようにスリップ状態が
変化するか実測した日本語の論文が以下にあります。全文が読めます。
カルボナーレさまにはこの論文をぜひ読んで頂きたいと思います。
擦弦における 1 stick-1 slip 振動から 2 stick-2 slip 振動への過渡
振動について
ttp://ci.nii.ac.jp/naid/110002550787
ちなみに、Woodhouse教授の記事で「西洋音楽」ではSurface soundは
使わないと受け取れる部分がありますが、ここでは極端に音色が変わっ
た状態のことを指しています。タイのニ胡に似た民族楽器(ソードゥアン)
ではこの極端な音色を積極的に使うそうです。
Woodhouse教授自身は論文では少し高周波が増えた状態もsurface
soundと表現しています。
[41416]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月04日 10:09
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
ttp://plus.maths.org/issue31/features/woodhouse/index.html
の下のほうにある
"The Schelleng diagram of bow force versus position for a long
steady bow stroke"という図から明白なように、倍音の強い音
(Surface Sound)を出すためには斜線部分の"Helmholtz"、つまり
普通の音色より、常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。
この事実は、ロシア奏法を8年習ったパールマンがThe Art of Violin
の中で語った以下の指摘に適合します。
------
ハイフェッツの音の秘密は運弓の速さにあります。弓を弦にあまり
押し付けずすばやく動かすのです。ロシア風の奏法です。弓をすば
やく動かすと凛とした音が出るのです。
------
このような弓使いで倍音が強い音が出ることは一定以上の経験があ
れば大抵のヴァイオリン奏者は理解していることですが、その音色を
徹底的に活用したことがパールマンに「音の秘密」とまで言わせたと
いうことでしょう。
ヘルムホルツ振動のアニメーションは以下のページのほうがやや分
かりやすいです。一番下のほうにダブルスリップ(Bowing harmonics)
の解説もあります。
ttp://www.phys.unsw.edu.au/jw/Bows.html
の下のほうにある
"The Schelleng diagram of bow force versus position for a long
steady bow stroke"という図から明白なように、倍音の強い音
(Surface Sound)を出すためには斜線部分の"Helmholtz"、つまり
普通の音色より、常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。
この事実は、ロシア奏法を8年習ったパールマンがThe Art of Violin
の中で語った以下の指摘に適合します。
------
ハイフェッツの音の秘密は運弓の速さにあります。弓を弦にあまり
押し付けずすばやく動かすのです。ロシア風の奏法です。弓をすば
やく動かすと凛とした音が出るのです。
------
このような弓使いで倍音が強い音が出ることは一定以上の経験があ
れば大抵のヴァイオリン奏者は理解していることですが、その音色を
徹底的に活用したことがパールマンに「音の秘密」とまで言わせたと
いうことでしょう。
ヘルムホルツ振動のアニメーションは以下のページのほうがやや分
かりやすいです。一番下のほうにダブルスリップ(Bowing harmonics)
の解説もあります。
ttp://www.phys.unsw.edu.au/jw/Bows.html
[41417]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月04日 12:03
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
>倍音の強い音(Surface Sound)を出すためには斜線部分の"Helmholtz"、つまり普通の音色より、常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。
は、正確ではなく、
==
倍音の強い音(Surface Sound)を、”持続的に出し続ける”ためには斜線部分の"Helmholtz"、つまり普通の音色より、常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。
==
が正しいものです。
実演奏においては、弱い弓圧~強い弓圧と、弓のスピードを、一瞬の間に可変させながらコントロールしますので、上記の”常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。”は正しくありません。”持続的に出し続ける”わけではなく、またその必要はないのです。
一方、その音を出す(混ぜる)ためには速さが必要ですので、特に短い音を弾く場合は、音を出している間は最初から最後まで速い速度で弓を動かすことが必要となり、速い弓使いが必要ということに関しては、まったく否定するものではありません。
[41415]
で文献としてあげられたものが、最終的には現実の演奏をモデル化することにつながるものであり、条件は固定しながらも、まさに過渡状態を示すものです。
ヴァイオリン奏者は、過渡状態も音色の一部として使い分けているのであり、音が出始めて最後に音が切れるまでの時間の中では、振動モードは連続的に変化しており、その変化による音色変化が、”変化に敏感な”人間の耳での知覚を刺激し印象的に聴こえさせるということでしょう。
変化がないものに対しては、人間は慣れてしまい、意識しないようになりますので、あくまでも時間的な変化が重要なのです。ビブラートによる周波数&振幅変調&倍音の変化も、その時間的変化を生み出すためのものであり、それにより人の耳を引きつけるためのものです。
catgutさんは、以前から1か0か、白か黒かでしか物事を見られない傾向がありますので、その点ご注意ください。
シンセサイザーの世界でも、音量、フィルターその他を、少なくともADSR(アタック、ディケイ、サスティーン、リリース)に分離して設定していきます。現実の演奏ではさらにその中で常に細かく変化があり、定常部などない変化の継続の結果を、耳は音色としてとらえます。
は、正確ではなく、
==
倍音の強い音(Surface Sound)を、”持続的に出し続ける”ためには斜線部分の"Helmholtz"、つまり普通の音色より、常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。
==
が正しいものです。
実演奏においては、弱い弓圧~強い弓圧と、弓のスピードを、一瞬の間に可変させながらコントロールしますので、上記の”常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。”は正しくありません。”持続的に出し続ける”わけではなく、またその必要はないのです。
一方、その音を出す(混ぜる)ためには速さが必要ですので、特に短い音を弾く場合は、音を出している間は最初から最後まで速い速度で弓を動かすことが必要となり、速い弓使いが必要ということに関しては、まったく否定するものではありません。
[41415]
[41415]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月04日 01:16
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
以下はWoodhouse教授による"surface sound"の原因となる”Double
slipping"の解説記事です。英語がよく分からない方は”Helmholtz
motion”と”Double slipping motion”という二つのアニメーションだけを
見比べてください。
ttp://plus.maths.org/issue31/features/woodhouse/index.html
アニメーションの赤い点線(弓の動き)が動くにつれて、緑の字で
”sticking"と表示されている時間は弓毛と弦が摩擦力でくっついて
一緒に動いています。青字で"slipping"と表示されている時間は、
弦が弓毛から離れて毛の上を滑っています。
常識的な弓圧・弓速だと、”Helmholtz motion”のアニメーションのよう
に弦が振動します。しかし弓の速度に対して弓圧が低いと、"Dobule
slipping motion"のような振動になり、倍音が発生して高周波が強い
音になります。弓の使い方によって、少し高周波が混じる程度から、
音程が2倍になる極端な状態にまで連続的に変化します。
ヴァイオリンの弦がこのように振動していることはなかなか信じられな
いかもしれませんが、ヴァイオリンの弦が実際に「折れ曲がって」振動
しているところをデジタルカメラで撮影した論文がありました。
ttp://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/bitstream/harp/783/1/AA11419398_39_41.pdf
また、参考ですが2000年に日本人研究者がどのようにスリップ状態が
変化するか実測した日本語の論文が以下にあります。全文が読めます。
カルボナーレさまにはこの論文をぜひ読んで頂きたいと思います。
擦弦における 1 stick-1 slip 振動から 2 stick-2 slip 振動への過渡
振動について
ttp://ci.nii.ac.jp/naid/110002550787
ちなみに、Woodhouse教授の記事で「西洋音楽」ではSurface soundは
使わないと受け取れる部分がありますが、ここでは極端に音色が変わっ
た状態のことを指しています。タイのニ胡に似た民族楽器(ソードゥアン)
ではこの極端な音色を積極的に使うそうです。
Woodhouse教授自身は論文では少し高周波が増えた状態もsurface
soundと表現しています。
slipping"の解説記事です。英語がよく分からない方は”Helmholtz
motion”と”Double slipping motion”という二つのアニメーションだけを
見比べてください。
ttp://plus.maths.org/issue31/features/woodhouse/index.html
アニメーションの赤い点線(弓の動き)が動くにつれて、緑の字で
”sticking"と表示されている時間は弓毛と弦が摩擦力でくっついて
一緒に動いています。青字で"slipping"と表示されている時間は、
弦が弓毛から離れて毛の上を滑っています。
常識的な弓圧・弓速だと、”Helmholtz motion”のアニメーションのよう
に弦が振動します。しかし弓の速度に対して弓圧が低いと、"Dobule
slipping motion"のような振動になり、倍音が発生して高周波が強い
音になります。弓の使い方によって、少し高周波が混じる程度から、
音程が2倍になる極端な状態にまで連続的に変化します。
ヴァイオリンの弦がこのように振動していることはなかなか信じられな
いかもしれませんが、ヴァイオリンの弦が実際に「折れ曲がって」振動
しているところをデジタルカメラで撮影した論文がありました。
ttp://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/bitstream/harp/783/1/AA11419398_39_41.pdf
また、参考ですが2000年に日本人研究者がどのようにスリップ状態が
変化するか実測した日本語の論文が以下にあります。全文が読めます。
カルボナーレさまにはこの論文をぜひ読んで頂きたいと思います。
擦弦における 1 stick-1 slip 振動から 2 stick-2 slip 振動への過渡
振動について
ttp://ci.nii.ac.jp/naid/110002550787
ちなみに、Woodhouse教授の記事で「西洋音楽」ではSurface soundは
使わないと受け取れる部分がありますが、ここでは極端に音色が変わっ
た状態のことを指しています。タイのニ胡に似た民族楽器(ソードゥアン)
ではこの極端な音色を積極的に使うそうです。
Woodhouse教授自身は論文では少し高周波が増えた状態もsurface
soundと表現しています。
ヴァイオリン奏者は、過渡状態も音色の一部として使い分けているのであり、音が出始めて最後に音が切れるまでの時間の中では、振動モードは連続的に変化しており、その変化による音色変化が、”変化に敏感な”人間の耳での知覚を刺激し印象的に聴こえさせるということでしょう。
変化がないものに対しては、人間は慣れてしまい、意識しないようになりますので、あくまでも時間的な変化が重要なのです。ビブラートによる周波数&振幅変調&倍音の変化も、その時間的変化を生み出すためのものであり、それにより人の耳を引きつけるためのものです。
catgutさんは、以前から1か0か、白か黒かでしか物事を見られない傾向がありますので、その点ご注意ください。
シンセサイザーの世界でも、音量、フィルターその他を、少なくともADSR(アタック、ディケイ、サスティーン、リリース)に分離して設定していきます。現実の演奏ではさらにその中で常に細かく変化があり、定常部などない変化の継続の結果を、耳は音色としてとらえます。
[41418]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月04日 12:29
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
カルボナーレさま、
プレーンガット弦の性質が現実の演奏では関係が深いと思います。
"suface sound"とプレーンガット弦との関係についてですが、明らかに
プレーンガット弦は現在広く使われているナイロン弦より容易に"surface
sound"が発生します。実際にピラストロのコルダ標準ゲージ(プレーン
ガット)とドミナントを張った楽器を弾き比べて確認しました。
A線同士を比較した場合、弓の重さだけをかけて駒と指板の中間を弾
いた場合、コルダでは「少し速め」くらいの弓速ですでに倍音が強くな
り始めます。ドミナントのA線では音色は変化しません。
プレーンガット弦は「ボーイングの技量が低いと安定した音色を出しに
くい」とも、「ボーイングの技量が高いと音色をつくりやすい」ともいえそ
うです。
プレーンガットA線だけなら2000円もしないと思いますし、ほとんどの
場合駒やナットの調整も必要ないので、試した経験がない方は一度
試してみると良いと思います。
プレーンガット弦の性質が現実の演奏では関係が深いと思います。
"suface sound"とプレーンガット弦との関係についてですが、明らかに
プレーンガット弦は現在広く使われているナイロン弦より容易に"surface
sound"が発生します。実際にピラストロのコルダ標準ゲージ(プレーン
ガット)とドミナントを張った楽器を弾き比べて確認しました。
A線同士を比較した場合、弓の重さだけをかけて駒と指板の中間を弾
いた場合、コルダでは「少し速め」くらいの弓速ですでに倍音が強くな
り始めます。ドミナントのA線では音色は変化しません。
プレーンガット弦は「ボーイングの技量が低いと安定した音色を出しに
くい」とも、「ボーイングの技量が高いと音色をつくりやすい」ともいえそ
うです。
プレーンガットA線だけなら2000円もしないと思いますし、ほとんどの
場合駒やナットの調整も必要ないので、試した経験がない方は一度
試してみると良いと思います。
[41419]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月04日 12:55
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
catgutさん
>実際にピラストロのコルダ標準ゲージ(プレーン
ガット)とドミナントを張った楽器を弾き比べて確認しました。
簡単に試せるのであれば、ついでに、デジタル騒音計にて、音圧レベルの差も測定しておいてください。
プレーンガットではありませんが、オリーブのA線は、普通に弾いても容易に音がひっくりかえるので、そのような振動モードには入りやすいと想像しています。
>実際にピラストロのコルダ標準ゲージ(プレーン
ガット)とドミナントを張った楽器を弾き比べて確認しました。
簡単に試せるのであれば、ついでに、デジタル騒音計にて、音圧レベルの差も測定しておいてください。
プレーンガットではありませんが、オリーブのA線は、普通に弾いても容易に音がひっくりかえるので、そのような振動モードには入りやすいと想像しています。
[41420]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月04日 22:01
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
>catgutさん
ttp://plus.maths.org/issue31/features/woodhouse/index.html
を読んでいるのですが、Surface Soundが意味するものについて、大きな疑問があります。
圧力が少ない時にHelmholts motionではない、double-slipping motion 状態になることは図示しながら書かれているのですが、double-slipping motion の音自体を、Surface Sound と名付けているように見えません。
”surface”という単語 は、その文章の中では、下記のように3度しか登場していません。
1.ヴァイオリンの教師やクラシックのヴァイオリニストは、Surface Sound(これは上滑りしてしまいちゃんと鳴っていない音を意味すると推測します)は出してはいけないと考えている
2.弾く位置と圧力を図示し、それぞれのエリアを
Surface Sound (上滑りした音)
Helmholts (正常な振動をしている音)
Raucus (つぶれたハスキーな音)
という表現で呼んでいる。
*Surface Soundをdouble-slippingとは言っていない。
*Surface Soundは、図からは主には駒寄りで出る音。
3.まとめで、
Helmholtz motion and creating unacceptable surface and raucous sounds
と書いている。
Helmholtz motion は、きれいに弦が振動して鳴ってる状態(弦を見ればきれいに弧を描いている状態)であり、その音とその状態は明確なために、それをHelmholtzと呼んでいるのだと思いますが、
一方、Surface Soundというのは、単に”上滑りした音”を指し、その中には様々な状態があり得るが、その中の一つの状態として、double-slipping motion 状態が存在すると考える方が素直だと思います。
従って、double-slipping motion 状態を、Surface Soundという言葉で表すべきではないと考えます。
Surface Sound > double-slipping motion 状態
ということであり、
Surface Sound = double-slipping motion 状態
ではないということです。
(このようなケースにおいて、catgutさんはよく思い込みで”=”に扱ってしまうという間違いを起こします。)
反論があれば、
Surface Sound = double-slipping motion 状態
と、明確に定義されている、文献等をお示しください。
そのURLの説明を読む限りでは、Surface Sound や、Raucus Soundは、英語圏では、昔から音を表すのに普通に使われてきた言葉のように思えました。
もし、
Surface Sound = double-slipping motion 状態
と、明確に定義されている文献等がないのであれば、catgutさんの今までの発言の”Surface Sound ”は、すべて”double-slipping motion 状態の音”と読み替える必要があります。
ttp://plus.maths.org/issue31/features/woodhouse/index.html
を読んでいるのですが、Surface Soundが意味するものについて、大きな疑問があります。
圧力が少ない時にHelmholts motionではない、double-slipping motion 状態になることは図示しながら書かれているのですが、double-slipping motion の音自体を、Surface Sound と名付けているように見えません。
”surface”という単語 は、その文章の中では、下記のように3度しか登場していません。
1.ヴァイオリンの教師やクラシックのヴァイオリニストは、Surface Sound(これは上滑りしてしまいちゃんと鳴っていない音を意味すると推測します)は出してはいけないと考えている
2.弾く位置と圧力を図示し、それぞれのエリアを
Surface Sound (上滑りした音)
Helmholts (正常な振動をしている音)
Raucus (つぶれたハスキーな音)
という表現で呼んでいる。
*Surface Soundをdouble-slippingとは言っていない。
*Surface Soundは、図からは主には駒寄りで出る音。
3.まとめで、
Helmholtz motion and creating unacceptable surface and raucous sounds
と書いている。
Helmholtz motion は、きれいに弦が振動して鳴ってる状態(弦を見ればきれいに弧を描いている状態)であり、その音とその状態は明確なために、それをHelmholtzと呼んでいるのだと思いますが、
一方、Surface Soundというのは、単に”上滑りした音”を指し、その中には様々な状態があり得るが、その中の一つの状態として、double-slipping motion 状態が存在すると考える方が素直だと思います。
従って、double-slipping motion 状態を、Surface Soundという言葉で表すべきではないと考えます。
Surface Sound > double-slipping motion 状態
ということであり、
Surface Sound = double-slipping motion 状態
ではないということです。
(このようなケースにおいて、catgutさんはよく思い込みで”=”に扱ってしまうという間違いを起こします。)
反論があれば、
Surface Sound = double-slipping motion 状態
と、明確に定義されている、文献等をお示しください。
そのURLの説明を読む限りでは、Surface Sound や、Raucus Soundは、英語圏では、昔から音を表すのに普通に使われてきた言葉のように思えました。
もし、
Surface Sound = double-slipping motion 状態
と、明確に定義されている文献等がないのであれば、catgutさんの今までの発言の”Surface Sound ”は、すべて”double-slipping motion 状態の音”と読み替える必要があります。
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Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月04日 23:36
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
失礼しました。大事な言葉を間違えました。
Raucus はタイプミスで、Raucous が正解です。
Raucus はタイプミスで、Raucous が正解です。
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