[41562]
弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?
投稿日時:2009年10月14日 08:33
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
Surface Soundについては、catgut氏が前言撤回し、
”Surface Sound" = double-slipping motion 状態
を示すのでなく、様々なケースで使われることが明確になりましたので、議論を打ち切ります。
次に、catgut氏が最も知りたいことである
「弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?」
のスレッドをたてましたので、Surface Soundという言葉は基本的に使わず、実証、データ、映像、文献等で明確にしていきましょう。
”Surface Sound" = double-slipping motion 状態
を示すのでなく、様々なケースで使われることが明確になりましたので、議論を打ち切ります。
次に、catgut氏が最も知りたいことである
「弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?」
のスレッドをたてましたので、Surface Soundという言葉は基本的に使わず、実証、データ、映像、文献等で明確にしていきましょう。
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1 / 6 ページ [ 57コメント ]
【ご参考】
[41567]
Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?
投稿日時:2009年10月14日 20:13
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:IYhIMTc)
既に締めたスレッドで申し訳ないのですが、「surface sound って何?」で
[41476]
catgut さんが引用した、
ttp://www.phys.unsw.edu.au/jw/Bows.html
この論文をちゃんと読むと、同スレッド[41539]
で小生が書いたことが殆ど蛇足であったことが判りました(赤面)。
ただし、catgutさんの解釈にも「?」なところがあります。
そもそも、「弓倍音」というのは誤訳ではないでしょうか。 ここで「bowing harmonics」と言っているのは記述内容からして単にフラジオレットのことだと思います。 ギターなどのハーモニクス(自由振動?)と区別するために「bowing」と形容詞を付けているだけしょう。 Double Slip とは全く関係ない話ですし、高次倍音が増えることの説明でもありません。
「高い倍音が増えるメカニズム」として ここに書いてあるのは、
(1)ヘルムホルツ運動(で近似される弦の振動)では弦の折れ曲がり点(kink)が鋭い方が高次倍音の多い音が出る。
(2)弓圧が高い方がkinkが鋭い
ということです。
catgut さんはサウンディングポイントが駒に近づくと弓圧が上がる、という前提を置いているようです。 確かに弦楽器弾きなら経験的に当然と思っているでしょうけど、よく考えてみれば物理的な直接の因果関係はありませんよね。 論文には「高い弓圧で弾くのは駒寄りのことが多い」と書いてあるだけです。 物理的な話をしたいのならここは混同してはいけません。
(1)は、Helmholtz motion のモデルで説明できますのでマクロ的には間違いないでしょう。
(2)が問題です。 弓圧を増やすとkinkが鋭くなる、とサラッと書いているだけで、何故kinkが鋭くなるのか(引用された論文には)全く説明がありません。
意地悪く言うと、「弓圧を減らすとkinkが鋭くなる」、「弓速を増すとkinkが鋭くなる」と言われても同じことで、それだけでは反論も検証もできません、即ち何の説得力も無い。 (この論文自体、高次倍音のメカニズムが主題ではないので仕方ありませんが)
書いてあることを素直に信じるなら、このモデルは「弓圧を上げると高次倍音が増える」と言っている訳で、本スレッドの設問とは一見逆の答になります。 ただし、弓圧を上げることは十分条件に過ぎませんから、これとは別に「弓の速さを増す and/or 圧力を減らすことで倍音が増える」メカニズムが有る可能性は否定しません。 Double (Multiple) Slip がそれに相当する現象なら面白いですね。
[41476]
[41476]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月10日 00:42
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
「弓の倍音」で検索すると興味深い情報がありました。ミルシテイン
自身が自分は弓を本当に軽く持っていて、弾いている最中に誰かが
弓を持ったら簡単に抜けるだろう、弾いている最中に弓が抜けたこと
があった、と書いているそうです。
カルボナーレさま、
「弓倍音」はすでに紹介した、
ttp://www.phys.unsw.edu.au/jw/Bows.html
で使われている「Bowing harmonics」をそのまま訳したものです。
これがdouble slipによる倍音です。
ところで、この中で「サウンディングポイントが駒に近いと高い倍音が
増える理由」として
The sharp corner of the kink produces all of the harmonics, except
for those that have a node at the bowing point. However, because
a string has a certain stiffness, the kink is never perfectly sharp
and the finite curvature limits the number of upper harmonics.
Bowing with greater force (usually closer to the bridge) gives a
sharper kink and therefore more high harmonics and a brighter tone.
という説明もあります。弓倍音とは違う原因による倍音です。もちろん、
弦をピチカートで弾いた場合にも一定の倍音が含まれていると思います。弓による倍音も倍音には違いなく、これらと合成されて最終的な「音色」
になるのでしょうが、"Bowing harmonics"を別の原因による倍音と
区別したほうが良いのではないかということです。
自身が自分は弓を本当に軽く持っていて、弾いている最中に誰かが
弓を持ったら簡単に抜けるだろう、弾いている最中に弓が抜けたこと
があった、と書いているそうです。
カルボナーレさま、
「弓倍音」はすでに紹介した、
ttp://www.phys.unsw.edu.au/jw/Bows.html
で使われている「Bowing harmonics」をそのまま訳したものです。
これがdouble slipによる倍音です。
ところで、この中で「サウンディングポイントが駒に近いと高い倍音が
増える理由」として
The sharp corner of the kink produces all of the harmonics, except
for those that have a node at the bowing point. However, because
a string has a certain stiffness, the kink is never perfectly sharp
and the finite curvature limits the number of upper harmonics.
Bowing with greater force (usually closer to the bridge) gives a
sharper kink and therefore more high harmonics and a brighter tone.
という説明もあります。弓倍音とは違う原因による倍音です。もちろん、
弦をピチカートで弾いた場合にも一定の倍音が含まれていると思います。弓による倍音も倍音には違いなく、これらと合成されて最終的な「音色」
になるのでしょうが、"Bowing harmonics"を別の原因による倍音と
区別したほうが良いのではないかということです。
ttp://www.phys.unsw.edu.au/jw/Bows.html
この論文をちゃんと読むと、同スレッド[41539]
[41539]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月12日 22:45
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:IYhIMTc)
「楽器の音響学」、「楽器の音色を探る」未読なのでなんですが、あまりに面白そうなので思わず Excel で遊んでしまいました:
[41534] カルボナーレ さん、
ちょっと注文つけても良いですか?
① 理想化した Helmholtz Motion、現実の弦の運動、どっちの話をしているのか
② 弓との接点での弦の運動、駒にかかる力、聞こえる音、どの話をしているのか
を明示いただけると大変ありがたいです。
Helmholtz Motion というモデルはエネルギーの散逸を度外視していると思います。 ですから当然弓からの入力も無視される訳です。 また、弦の剛性を無視(微分不可能な点があることを許容)しているのもミソです。 (多分、です。 突っ込み大歓迎)
手元に実測の設備はありませんので以下は全て Helmholtz Motion についての思考実験です。
> 全体を1として、駒からの距離をAとすると、A:(1-A)がほぼ、立ち上がりと、下降部の時間の時間比となります。
これは弦の運動です。 弓の位置とは無関係に、駒からAの距離にある点はそういう運動をします。 そして、これは出てくる音の波形とはちょっと別物なのです。
ヴァイオリンから最終的に出てくる音は複雑すぎて到底手に負えませんので、駒にかかる力を以って弦の音と考えておきます。 ヴァイオリンの発音機構は佐々木マイスターのサイトの解説--弦の振動が駒の頂部に横方向の力を加え、これが回転モメントとなって表板を垂直方向に揺する--が概ね当たっていると思います。 駒にかかる横方向の力は 張力×弦の振れ角度 なんですが、計算すると確かに瞬時に立ち上がって時間と共に直線的に減少します。 直線はゼロを通り越して反対方向の同じ絶対値に至り、そこから瞬時にまた立ち上がります。 これも弓の位置とは無関係です。
ですから、「弾く位置を駒に近づけるほど、倍音が多く」なることは弦楽器弾きなら百人が百人、経験的に同意すると思いますが、そのメカニズムとして上記はちょっと違うかな? という気がします。
えっと、殆ど思いつきに過ぎないのですが、駒寄りを弾いた音って、「倍音が多くなる」というよりも「倍音に乱れが出ている」のではないでしょうか? Helmholtz Motion の挿絵に出てくる三角形の頂点が、現実の弦では点ではなく怪しげな曲線にならざるを得ないことにより、鋸状波形も鈍ります。 鋸状波形が整数倍音の規則的な積み重ねでできているということは、それが鈍るということは倍音構成に乱れが出ている、ということではないか? (非常に感覚論なんですが)駒近くを弾いた方が弦が「硬く」感じられることから、剛性の影響がより強く現れるのかな、と想像します。
一方、
> 擦る位置(駆動点)が弦長の1/nの時、n次倍音付近が谷となります。
は実測結果なのでしょうか、或いは、 Helmholtz Motion に弓からの入力と駒への出力という項を加えたモデルによる理論値なんでしょうか? いずれにせよ、大変興味深い現象ですね。
すみません、思い切り脱線してしまいました。
> また、double-slippingでの倍音を説明する場合は、上記とごっちゃにすることなく、上記に対し、どのような理由でどの倍音がどのように増えるのか、という明確な差分を語り切らないといけません。
200%同感です。
[41534] カルボナーレ さん、
ちょっと注文つけても良いですか?
① 理想化した Helmholtz Motion、現実の弦の運動、どっちの話をしているのか
② 弓との接点での弦の運動、駒にかかる力、聞こえる音、どの話をしているのか
を明示いただけると大変ありがたいです。
Helmholtz Motion というモデルはエネルギーの散逸を度外視していると思います。 ですから当然弓からの入力も無視される訳です。 また、弦の剛性を無視(微分不可能な点があることを許容)しているのもミソです。 (多分、です。 突っ込み大歓迎)
手元に実測の設備はありませんので以下は全て Helmholtz Motion についての思考実験です。
> 全体を1として、駒からの距離をAとすると、A:(1-A)がほぼ、立ち上がりと、下降部の時間の時間比となります。
これは弦の運動です。 弓の位置とは無関係に、駒からAの距離にある点はそういう運動をします。 そして、これは出てくる音の波形とはちょっと別物なのです。
ヴァイオリンから最終的に出てくる音は複雑すぎて到底手に負えませんので、駒にかかる力を以って弦の音と考えておきます。 ヴァイオリンの発音機構は佐々木マイスターのサイトの解説--弦の振動が駒の頂部に横方向の力を加え、これが回転モメントとなって表板を垂直方向に揺する--が概ね当たっていると思います。 駒にかかる横方向の力は 張力×弦の振れ角度 なんですが、計算すると確かに瞬時に立ち上がって時間と共に直線的に減少します。 直線はゼロを通り越して反対方向の同じ絶対値に至り、そこから瞬時にまた立ち上がります。 これも弓の位置とは無関係です。
ですから、「弾く位置を駒に近づけるほど、倍音が多く」なることは弦楽器弾きなら百人が百人、経験的に同意すると思いますが、そのメカニズムとして上記はちょっと違うかな? という気がします。
えっと、殆ど思いつきに過ぎないのですが、駒寄りを弾いた音って、「倍音が多くなる」というよりも「倍音に乱れが出ている」のではないでしょうか? Helmholtz Motion の挿絵に出てくる三角形の頂点が、現実の弦では点ではなく怪しげな曲線にならざるを得ないことにより、鋸状波形も鈍ります。 鋸状波形が整数倍音の規則的な積み重ねでできているということは、それが鈍るということは倍音構成に乱れが出ている、ということではないか? (非常に感覚論なんですが)駒近くを弾いた方が弦が「硬く」感じられることから、剛性の影響がより強く現れるのかな、と想像します。
一方、
> 擦る位置(駆動点)が弦長の1/nの時、n次倍音付近が谷となります。
は実測結果なのでしょうか、或いは、 Helmholtz Motion に弓からの入力と駒への出力という項を加えたモデルによる理論値なんでしょうか? いずれにせよ、大変興味深い現象ですね。
すみません、思い切り脱線してしまいました。
> また、double-slippingでの倍音を説明する場合は、上記とごっちゃにすることなく、上記に対し、どのような理由でどの倍音がどのように増えるのか、という明確な差分を語り切らないといけません。
200%同感です。
ただし、catgutさんの解釈にも「?」なところがあります。
そもそも、「弓倍音」というのは誤訳ではないでしょうか。 ここで「bowing harmonics」と言っているのは記述内容からして単にフラジオレットのことだと思います。 ギターなどのハーモニクス(自由振動?)と区別するために「bowing」と形容詞を付けているだけしょう。 Double Slip とは全く関係ない話ですし、高次倍音が増えることの説明でもありません。
「高い倍音が増えるメカニズム」として ここに書いてあるのは、
(1)ヘルムホルツ運動(で近似される弦の振動)では弦の折れ曲がり点(kink)が鋭い方が高次倍音の多い音が出る。
(2)弓圧が高い方がkinkが鋭い
ということです。
catgut さんはサウンディングポイントが駒に近づくと弓圧が上がる、という前提を置いているようです。 確かに弦楽器弾きなら経験的に当然と思っているでしょうけど、よく考えてみれば物理的な直接の因果関係はありませんよね。 論文には「高い弓圧で弾くのは駒寄りのことが多い」と書いてあるだけです。 物理的な話をしたいのならここは混同してはいけません。
(1)は、Helmholtz motion のモデルで説明できますのでマクロ的には間違いないでしょう。
(2)が問題です。 弓圧を増やすとkinkが鋭くなる、とサラッと書いているだけで、何故kinkが鋭くなるのか(引用された論文には)全く説明がありません。
意地悪く言うと、「弓圧を減らすとkinkが鋭くなる」、「弓速を増すとkinkが鋭くなる」と言われても同じことで、それだけでは反論も検証もできません、即ち何の説得力も無い。 (この論文自体、高次倍音のメカニズムが主題ではないので仕方ありませんが)
書いてあることを素直に信じるなら、このモデルは「弓圧を上げると高次倍音が増える」と言っている訳で、本スレッドの設問とは一見逆の答になります。 ただし、弓圧を上げることは十分条件に過ぎませんから、これとは別に「弓の速さを増す and/or 圧力を減らすことで倍音が増える」メカニズムが有る可能性は否定しません。 Double (Multiple) Slip がそれに相当する現象なら面白いですね。
[41573]
Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?
投稿日時:2009年10月14日 23:21
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
セロ轢きのGoshさま、誤解されています。
ttp://www.phys.unsw.edu.au/jw/Bows.html
の一番下の図は、一切弓毛以外は弦に触れずに1オクターブ
高い音を出す方法(E線が裏返る現象と同じ)を示しています。
右の図と左の図の中間には「遷移状態」があります。
この状態こそ「音程は変わらないが倍音が強く聞こえる状態」
と考えられます。実測した調査が以下です。
擦弦における 1 stick-1 slip 振動から 2 stick-2 slip 振動への過渡振動について
ttp://ci.nii.ac.jp/naid/110002550787
ttp://www.phys.unsw.edu.au/jw/Bows.html
の一番下の図は、一切弓毛以外は弦に触れずに1オクターブ
高い音を出す方法(E線が裏返る現象と同じ)を示しています。
右の図と左の図の中間には「遷移状態」があります。
この状態こそ「音程は変わらないが倍音が強く聞こえる状態」
と考えられます。実測した調査が以下です。
擦弦における 1 stick-1 slip 振動から 2 stick-2 slip 振動への過渡振動について
ttp://ci.nii.ac.jp/naid/110002550787
[41581]
Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?
投稿日時:2009年10月15日 04:15
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:GBkzATQ)
catgutさん
> 右の図と左の図の中間には「遷移状態」があります。
仰ることが解りません。 同web page の下のほうにある、基本振動と第二倍音の連続イラストのことを言っているのでしょうか? だとしたら、右の図と左の図の間には余白しかありませんが?
まさか、一連のイラストの中ほどにある「start of stick phase」とか「start of srip hase」を捕まえて「遷移状態」と読んではいませんよね?
一方、ご紹介いただいた遷移状態の実測と解析のレポートは(まだ完全に理解はしていませんが)非常に面白そうですね。 ありがとうございました。
但し、2 stick 2 slip 状態というのは、どう見ても弦長の中央に振動の腹ができており、指で触るかどうかとは関係なくフラジオレットと同じ振動をしているとしか見えませんが? なんと呼んでも結局、完全なdouble slip状態とは意図しないフラジオ、所謂「ひっくりかえった音」の状態ですね。
遷移状態については、まだ頭が整理できていませんが、上手くコントロールすれば音色の幅を広げる手段になるのかも知れませんね。 ハイフェッツがそれに長けていた、というなら面白い仮説です。(但し、今までの議論がその検証になっているとは全く思えません)
> 右の図と左の図の中間には「遷移状態」があります。
仰ることが解りません。 同web page の下のほうにある、基本振動と第二倍音の連続イラストのことを言っているのでしょうか? だとしたら、右の図と左の図の間には余白しかありませんが?
まさか、一連のイラストの中ほどにある「start of stick phase」とか「start of srip hase」を捕まえて「遷移状態」と読んではいませんよね?
一方、ご紹介いただいた遷移状態の実測と解析のレポートは(まだ完全に理解はしていませんが)非常に面白そうですね。 ありがとうございました。
但し、2 stick 2 slip 状態というのは、どう見ても弦長の中央に振動の腹ができており、指で触るかどうかとは関係なくフラジオレットと同じ振動をしているとしか見えませんが? なんと呼んでも結局、完全なdouble slip状態とは意図しないフラジオ、所謂「ひっくりかえった音」の状態ですね。
遷移状態については、まだ頭が整理できていませんが、上手くコントロールすれば音色の幅を広げる手段になるのかも知れませんね。 ハイフェッツがそれに長けていた、というなら面白い仮説です。(但し、今までの議論がその検証になっているとは全く思えません)
[41582]
Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?
投稿日時:2009年10月15日 05:21
投稿者:セロ(ID:GBkzATQ)
先ほどの「弦長の中央に振動の『腹』が」というのは『節』の間違いです。
ところで、
ヴァイオリン弾きの皆さんにとって、音がひっくり返るのは金属のE線に特有な何か特殊な現象、というイメージがあるのでしょうか?
チェロは、自慢じゃありませんが、どの弦でも簡単にひっくり返ります。 特に開放弦なら意図的にひっくり返った音を出すのも簡単です(意図しなくても出るのが困り物ですが)。 更に、弦長・振幅共に大きいので振動の様子(何処に節がある、とか)がヴァイオリンよりもずっとよく見えます。 ですから、ひっくり返った音(double slip)とフラジオが同じものだ、というのは日常的な経験に基づく実感です。 そして、これまで紹介されてきた資料でも(小生が気付いた限りでは)「違う」とは読めません。
ところで、
ヴァイオリン弾きの皆さんにとって、音がひっくり返るのは金属のE線に特有な何か特殊な現象、というイメージがあるのでしょうか?
チェロは、自慢じゃありませんが、どの弦でも簡単にひっくり返ります。 特に開放弦なら意図的にひっくり返った音を出すのも簡単です(意図しなくても出るのが困り物ですが)。 更に、弦長・振幅共に大きいので振動の様子(何処に節がある、とか)がヴァイオリンよりもずっとよく見えます。 ですから、ひっくり返った音(double slip)とフラジオが同じものだ、というのは日常的な経験に基づく実感です。 そして、これまで紹介されてきた資料でも(小生が気付いた限りでは)「違う」とは読めません。
[41583]
Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?
投稿日時:2009年10月15日 07:48
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
セロ轢きのGoshさま、
-----
上手くコントロールすれば音色の幅を広げる手段になるのかも知れませ
んね。 ハイフェッツがそれに長けていた、というなら面白い仮説です。
-----
ずっとこのように考えて説明しているつもりです。
ポイントだけ書きますが、弓速が速くなってdouble-slipがおき始めると、
最初は弓毛と弦の接触時間は「長・短・長・短・長・短」となります。
「短」が余計に増えた接触です。これは波形ではノコギリ波の小さな
「コブ」となります。つまり倍音が増えるわけです。
さらに弓速がどんどん速くなると長と短の差が減って行き、
図の右側の状態では、これがさらに進行して長と短が同等になった
状態、つまり2番目の接触も1番目の接触と全く同じ長さになり、周波数
がちょうど2倍になります。
-----
上手くコントロールすれば音色の幅を広げる手段になるのかも知れませ
んね。 ハイフェッツがそれに長けていた、というなら面白い仮説です。
-----
ずっとこのように考えて説明しているつもりです。
ポイントだけ書きますが、弓速が速くなってdouble-slipがおき始めると、
最初は弓毛と弦の接触時間は「長・短・長・短・長・短」となります。
「短」が余計に増えた接触です。これは波形ではノコギリ波の小さな
「コブ」となります。つまり倍音が増えるわけです。
さらに弓速がどんどん速くなると長と短の差が減って行き、
図の右側の状態では、これがさらに進行して長と短が同等になった
状態、つまり2番目の接触も1番目の接触と全く同じ長さになり、周波数
がちょうど2倍になります。
[41584]
Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?
投稿日時:2009年10月15日 08:56
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
"surface sound って何?"のスレッドの[41412]
~[41417]
での、そのあたりのことはディスカッションされています。
catgutさんは、double-slipと「ハイフェッツは速い弓使いだった」という証言を結びつけて、それが「ハイフェッツの音の秘密」という方向に話を持って行き、私はヴァイリン奏者っであれば普通1音の中でもdouble-slip音も込みで連続的に音色変化を使い分けているものであり、理論は別として、通常の音作りの中の立ち上がりや音の切れ際には、時間的変化をdouble-slipの過渡状態の音を混ぜている、としています。
私の考え方は、[41414]
、[41417]
をご覧ください。
ポイントは、catgutさんはハイフェッツの音は「圧力を少なく指板寄りを速いスピードで弾く事」を根拠に、どうも、ずっとdouble-slipの過渡状態の音を出し続けているととれる発言をしている点です。またdouble-slipの音=倍音の豊富な音という論理で、ハイフェッツの音は、その奏法による倍音の豊富さという説明をしています。
一方、私は1音の中でも典型的なdouble-slipから次第に過渡状態を遷移し、Helmholtz Motionにいたり、そこでしっかりした音を形成した上で、再度音の切れ際に向かってdouble-slipの過渡状態を使っているという時間変化の中でのMIX状態を通常のヴァイオリンの音と想定しており、ハイフェッツも「十分な圧力をかけ、駒寄りも多用する」ということを映像も使いながらcatgutさんに教え続けてきました。
よって、倍音に対する、弓のスピードの影響と、圧力の影響を明確にしないと、ずっと平行線で真実が見えないと思い、このスレをおこさせていただきました。
なお、ハイフェッツの音は、極端に言えばdouble-slip音しか使っていないのか、Helmholtz Motionの音が含まれているのか、とい点も大きな主張の差かと認識していますので、いずれ明確にすべきかと思っています。
[41412]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月03日 23:23
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
カルボナーレさま、ようやくsurface soundの面白さに目覚められたよう
ですね。
すでに「surface soundについて」のスレッドで技術解説とsuface sound
に似た音をソフトウェアで発生させる方法について説明したので、こちら
ではより基本的・実践的な解説を試みたいと思います。
"surface sound"とは直訳すれば表面音で、上滑りの音とか、基本の
音にかぶさる仮の音といったイメージだろうと思います。surface sound
という用語は目新しいですが、ヴァイオリンを演奏する人なら誰でも知っ
ている現象です。
物理的には、以下のような現象はすべて”surface sound"の一種と考え
られます。
・E線を軽く弾きすぎて「裏返る音」
・弾きたい弦の隣の弦に触れて出る「妙に高い音」
・フラウタート(=スル・タスト)の「フラジオレットのような音」
(非常に弱い弓圧で指板の上の弦を弾く)
・アタックに失敗して「裏返る音」
・弓を返す時に「一瞬音程が高くなる音」(弓の返し音)
・「常識的な軽めの圧力」でも非常に速く弾くことで「高周波成分が増
える音」
これらに共通するのは「弓圧に対して弓速が速すぎる」ということです。
非常に弱い弓圧の場合、普通の弓速で弾いても音色に高い周波数成
分が混じります。やや軽めから普通の弓圧の場合、かなり速い弓速で
弾くことで音色に高い周波数成分が混じります。
しかし、圧力を強くし過ぎると"surface sound"は発生しなくなります。
弓速が速ければ速いほど、音量を確保しながら「高周波成分が多い
音」、つまり輝かしい音を出すことができます(ただし弓速には限界が
あるので、高周波成分を保ちつつ出せる音量には限界がある)。
また高周波成分はサウンディングポイントが同一の場合、弓圧と弓速
のコントロールで変化させることができます。
ですね。
すでに「surface soundについて」のスレッドで技術解説とsuface sound
に似た音をソフトウェアで発生させる方法について説明したので、こちら
ではより基本的・実践的な解説を試みたいと思います。
"surface sound"とは直訳すれば表面音で、上滑りの音とか、基本の
音にかぶさる仮の音といったイメージだろうと思います。surface sound
という用語は目新しいですが、ヴァイオリンを演奏する人なら誰でも知っ
ている現象です。
物理的には、以下のような現象はすべて”surface sound"の一種と考え
られます。
・E線を軽く弾きすぎて「裏返る音」
・弾きたい弦の隣の弦に触れて出る「妙に高い音」
・フラウタート(=スル・タスト)の「フラジオレットのような音」
(非常に弱い弓圧で指板の上の弦を弾く)
・アタックに失敗して「裏返る音」
・弓を返す時に「一瞬音程が高くなる音」(弓の返し音)
・「常識的な軽めの圧力」でも非常に速く弾くことで「高周波成分が増
える音」
これらに共通するのは「弓圧に対して弓速が速すぎる」ということです。
非常に弱い弓圧の場合、普通の弓速で弾いても音色に高い周波数成
分が混じります。やや軽めから普通の弓圧の場合、かなり速い弓速で
弾くことで音色に高い周波数成分が混じります。
しかし、圧力を強くし過ぎると"surface sound"は発生しなくなります。
弓速が速ければ速いほど、音量を確保しながら「高周波成分が多い
音」、つまり輝かしい音を出すことができます(ただし弓速には限界が
あるので、高周波成分を保ちつつ出せる音量には限界がある)。
また高周波成分はサウンディングポイントが同一の場合、弓圧と弓速
のコントロールで変化させることができます。
[41417]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月04日 12:03
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
>倍音の強い音(Surface Sound)を出すためには斜線部分の"Helmholtz"、つまり普通の音色より、常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。
は、正確ではなく、
==
倍音の強い音(Surface Sound)を、”持続的に出し続ける”ためには斜線部分の"Helmholtz"、つまり普通の音色より、常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。
==
が正しいものです。
実演奏においては、弱い弓圧~強い弓圧と、弓のスピードを、一瞬の間に可変させながらコントロールしますので、上記の”常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。”は正しくありません。”持続的に出し続ける”わけではなく、またその必要はないのです。
一方、その音を出す(混ぜる)ためには速さが必要ですので、特に短い音を弾く場合は、音を出している間は最初から最後まで速い速度で弓を動かすことが必要となり、速い弓使いが必要ということに関しては、まったく否定するものではありません。
[41415] で文献としてあげられたものが、最終的には現実の演奏をモデル化することにつながるものであり、条件は固定しながらも、まさに過渡状態を示すものです。
ヴァイオリン奏者は、過渡状態も音色の一部として使い分けているのであり、音が出始めて最後に音が切れるまでの時間の中では、振動モードは連続的に変化しており、その変化による音色変化が、”変化に敏感な”人間の耳での知覚を刺激し印象的に聴こえさせるということでしょう。
変化がないものに対しては、人間は慣れてしまい、意識しないようになりますので、あくまでも時間的な変化が重要なのです。ビブラートによる周波数&振幅変調&倍音の変化も、その時間的変化を生み出すためのものであり、それにより人の耳を引きつけるためのものです。
catgutさんは、以前から1か0か、白か黒かでしか物事を見られない傾向がありますので、その点ご注意ください。
シンセサイザーの世界でも、音量、フィルターその他を、少なくともADSR(アタック、ディケイ、サスティーン、リリース)に分離して設定していきます。現実の演奏ではさらにその中で常に細かく変化があり、定常部などない変化の継続の結果を、耳は音色としてとらえます。
は、正確ではなく、
==
倍音の強い音(Surface Sound)を、”持続的に出し続ける”ためには斜線部分の"Helmholtz"、つまり普通の音色より、常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。
==
が正しいものです。
実演奏においては、弱い弓圧~強い弓圧と、弓のスピードを、一瞬の間に可変させながらコントロールしますので、上記の”常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。”は正しくありません。”持続的に出し続ける”わけではなく、またその必要はないのです。
一方、その音を出す(混ぜる)ためには速さが必要ですので、特に短い音を弾く場合は、音を出している間は最初から最後まで速い速度で弓を動かすことが必要となり、速い弓使いが必要ということに関しては、まったく否定するものではありません。
[41415] で文献としてあげられたものが、最終的には現実の演奏をモデル化することにつながるものであり、条件は固定しながらも、まさに過渡状態を示すものです。
ヴァイオリン奏者は、過渡状態も音色の一部として使い分けているのであり、音が出始めて最後に音が切れるまでの時間の中では、振動モードは連続的に変化しており、その変化による音色変化が、”変化に敏感な”人間の耳での知覚を刺激し印象的に聴こえさせるということでしょう。
変化がないものに対しては、人間は慣れてしまい、意識しないようになりますので、あくまでも時間的な変化が重要なのです。ビブラートによる周波数&振幅変調&倍音の変化も、その時間的変化を生み出すためのものであり、それにより人の耳を引きつけるためのものです。
catgutさんは、以前から1か0か、白か黒かでしか物事を見られない傾向がありますので、その点ご注意ください。
シンセサイザーの世界でも、音量、フィルターその他を、少なくともADSR(アタック、ディケイ、サスティーン、リリース)に分離して設定していきます。現実の演奏ではさらにその中で常に細かく変化があり、定常部などない変化の継続の結果を、耳は音色としてとらえます。
catgutさんは、double-slipと「ハイフェッツは速い弓使いだった」という証言を結びつけて、それが「ハイフェッツの音の秘密」という方向に話を持って行き、私はヴァイリン奏者っであれば普通1音の中でもdouble-slip音も込みで連続的に音色変化を使い分けているものであり、理論は別として、通常の音作りの中の立ち上がりや音の切れ際には、時間的変化をdouble-slipの過渡状態の音を混ぜている、としています。
私の考え方は、[41414]
[41414]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月04日 00:09
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
>高周波成分はサウンディングポイントが同一の場合、弓圧と弓速のコントロールで変化させることができます。
これは、ヴァイオリンを演奏するものにとっては、今も昔も当たり前のことですので、改めて言うことでもないと思います。
アタックからリリースまでの下記の時間的変化は、求める音を得るために奏者が意図的にコントロールします。
- 弦にかける圧力
- 弓を動かすスピード
- 弓の傾き(弓の毛の接地面積と圧力の逃がし方:ベクトル)
- 弓元から弓先のどこを使うか(これは上記をコントロールするための手段かもしれません。)
- 指板と駒の間の弾く位置
当然、一部の条件を固定したケースは、コントロールの想定内です。
>弓速が速ければ速いほど、音量を確保しながら「高周波成分が多い音」、つまり輝かしい音を出すことができます
これは直感的には違うと思います。最適な圧力とスピードの組み合わせにより、しっかりと圧力を加えて出した力強い音のアタックとリリースに、高周波成分を加えることができ、結果的に、強くかつ輝かしい音が得られるのだと、私は思います。これも特に目新しい話とは思いません。
これも1か0か、白か黒かの話ではなく、時間経過の中でアナログ的に変化&Mixされる事象の度合いの話です。
今回私が面白いと思ったのは、基音自体が1オクターブ上がった音が、意外と容易に得られる点です。
これは、ヴァイオリンを演奏するものにとっては、今も昔も当たり前のことですので、改めて言うことでもないと思います。
アタックからリリースまでの下記の時間的変化は、求める音を得るために奏者が意図的にコントロールします。
- 弦にかける圧力
- 弓を動かすスピード
- 弓の傾き(弓の毛の接地面積と圧力の逃がし方:ベクトル)
- 弓元から弓先のどこを使うか(これは上記をコントロールするための手段かもしれません。)
- 指板と駒の間の弾く位置
当然、一部の条件を固定したケースは、コントロールの想定内です。
>弓速が速ければ速いほど、音量を確保しながら「高周波成分が多い音」、つまり輝かしい音を出すことができます
これは直感的には違うと思います。最適な圧力とスピードの組み合わせにより、しっかりと圧力を加えて出した力強い音のアタックとリリースに、高周波成分を加えることができ、結果的に、強くかつ輝かしい音が得られるのだと、私は思います。これも特に目新しい話とは思いません。
これも1か0か、白か黒かの話ではなく、時間経過の中でアナログ的に変化&Mixされる事象の度合いの話です。
今回私が面白いと思ったのは、基音自体が1オクターブ上がった音が、意外と容易に得られる点です。
[41417]
Re: surface sound って何?
投稿日時:2009年10月04日 12:03
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
>倍音の強い音(Surface Sound)を出すためには斜線部分の"Helmholtz"、つまり普通の音色より、常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。
は、正確ではなく、
==
倍音の強い音(Surface Sound)を、”持続的に出し続ける”ためには斜線部分の"Helmholtz"、つまり普通の音色より、常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。
==
が正しいものです。
実演奏においては、弱い弓圧~強い弓圧と、弓のスピードを、一瞬の間に可変させながらコントロールしますので、上記の”常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。”は正しくありません。”持続的に出し続ける”わけではなく、またその必要はないのです。
一方、その音を出す(混ぜる)ためには速さが必要ですので、特に短い音を弾く場合は、音を出している間は最初から最後まで速い速度で弓を動かすことが必要となり、速い弓使いが必要ということに関しては、まったく否定するものではありません。
[41415] で文献としてあげられたものが、最終的には現実の演奏をモデル化することにつながるものであり、条件は固定しながらも、まさに過渡状態を示すものです。
ヴァイオリン奏者は、過渡状態も音色の一部として使い分けているのであり、音が出始めて最後に音が切れるまでの時間の中では、振動モードは連続的に変化しており、その変化による音色変化が、”変化に敏感な”人間の耳での知覚を刺激し印象的に聴こえさせるということでしょう。
変化がないものに対しては、人間は慣れてしまい、意識しないようになりますので、あくまでも時間的な変化が重要なのです。ビブラートによる周波数&振幅変調&倍音の変化も、その時間的変化を生み出すためのものであり、それにより人の耳を引きつけるためのものです。
catgutさんは、以前から1か0か、白か黒かでしか物事を見られない傾向がありますので、その点ご注意ください。
シンセサイザーの世界でも、音量、フィルターその他を、少なくともADSR(アタック、ディケイ、サスティーン、リリース)に分離して設定していきます。現実の演奏ではさらにその中で常に細かく変化があり、定常部などない変化の継続の結果を、耳は音色としてとらえます。
は、正確ではなく、
==
倍音の強い音(Surface Sound)を、”持続的に出し続ける”ためには斜線部分の"Helmholtz"、つまり普通の音色より、常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。
==
が正しいものです。
実演奏においては、弱い弓圧~強い弓圧と、弓のスピードを、一瞬の間に可変させながらコントロールしますので、上記の”常にBow force(弓圧)が弱くなければなりません。”は正しくありません。”持続的に出し続ける”わけではなく、またその必要はないのです。
一方、その音を出す(混ぜる)ためには速さが必要ですので、特に短い音を弾く場合は、音を出している間は最初から最後まで速い速度で弓を動かすことが必要となり、速い弓使いが必要ということに関しては、まったく否定するものではありません。
[41415] で文献としてあげられたものが、最終的には現実の演奏をモデル化することにつながるものであり、条件は固定しながらも、まさに過渡状態を示すものです。
ヴァイオリン奏者は、過渡状態も音色の一部として使い分けているのであり、音が出始めて最後に音が切れるまでの時間の中では、振動モードは連続的に変化しており、その変化による音色変化が、”変化に敏感な”人間の耳での知覚を刺激し印象的に聴こえさせるということでしょう。
変化がないものに対しては、人間は慣れてしまい、意識しないようになりますので、あくまでも時間的な変化が重要なのです。ビブラートによる周波数&振幅変調&倍音の変化も、その時間的変化を生み出すためのものであり、それにより人の耳を引きつけるためのものです。
catgutさんは、以前から1か0か、白か黒かでしか物事を見られない傾向がありますので、その点ご注意ください。
シンセサイザーの世界でも、音量、フィルターその他を、少なくともADSR(アタック、ディケイ、サスティーン、リリース)に分離して設定していきます。現実の演奏ではさらにその中で常に細かく変化があり、定常部などない変化の継続の結果を、耳は音色としてとらえます。
ポイントは、catgutさんはハイフェッツの音は「圧力を少なく指板寄りを速いスピードで弾く事」を根拠に、どうも、ずっとdouble-slipの過渡状態の音を出し続けているととれる発言をしている点です。またdouble-slipの音=倍音の豊富な音という論理で、ハイフェッツの音は、その奏法による倍音の豊富さという説明をしています。
一方、私は1音の中でも典型的なdouble-slipから次第に過渡状態を遷移し、Helmholtz Motionにいたり、そこでしっかりした音を形成した上で、再度音の切れ際に向かってdouble-slipの過渡状態を使っているという時間変化の中でのMIX状態を通常のヴァイオリンの音と想定しており、ハイフェッツも「十分な圧力をかけ、駒寄りも多用する」ということを映像も使いながらcatgutさんに教え続けてきました。
よって、倍音に対する、弓のスピードの影響と、圧力の影響を明確にしないと、ずっと平行線で真実が見えないと思い、このスレをおこさせていただきました。
なお、ハイフェッツの音は、極端に言えばdouble-slip音しか使っていないのか、Helmholtz Motionの音が含まれているのか、とい点も大きな主張の差かと認識していますので、いずれ明確にすべきかと思っています。
[41585]
Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?
投稿日時:2009年10月15日 11:14
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:IYhIMTc)
[41583]
catgut さん、
また悪いクセがでましたね。
人の発言の中で自分に都合のよさそうなところだけつまみ食い。 都合の悪い指摘・質問は無視。
文献をいくら引用しても所詮同じことをしてるんだろうと思うと、結局は無視するか、自分で読むしかないんですよね。 で、読んでみると「やっぱり・・・・」
「誤解してました。ご指摘ありがとう。」の一言が何故言えないのでしょうか。
面白そうな話題を出すだけに、残念です。
「ポイントだけ書きますが」に続く2段落については実測データもあることですし、物理現象としては7割がた納得しています(完全には理解できていないので3割は保留)。 皆さんもそんなモンじゃないでしょうか。 ただ、それを以って「ハイフェッツの音の秘密」などと言い出すから、ストラディバリのニス神話みたいな与太話になってしまうんですよね。
P.S.
みなさまお気づきとは思いますが、[41582]
は小生です。 眠くて朦朧としてました。
[41583]
Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?
投稿日時:2009年10月15日 07:48
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
セロ轢きのGoshさま、
-----
上手くコントロールすれば音色の幅を広げる手段になるのかも知れませ
んね。 ハイフェッツがそれに長けていた、というなら面白い仮説です。
-----
ずっとこのように考えて説明しているつもりです。
ポイントだけ書きますが、弓速が速くなってdouble-slipがおき始めると、
最初は弓毛と弦の接触時間は「長・短・長・短・長・短」となります。
「短」が余計に増えた接触です。これは波形ではノコギリ波の小さな
「コブ」となります。つまり倍音が増えるわけです。
さらに弓速がどんどん速くなると長と短の差が減って行き、
図の右側の状態では、これがさらに進行して長と短が同等になった
状態、つまり2番目の接触も1番目の接触と全く同じ長さになり、周波数
がちょうど2倍になります。
-----
上手くコントロールすれば音色の幅を広げる手段になるのかも知れませ
んね。 ハイフェッツがそれに長けていた、というなら面白い仮説です。
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ずっとこのように考えて説明しているつもりです。
ポイントだけ書きますが、弓速が速くなってdouble-slipがおき始めると、
最初は弓毛と弦の接触時間は「長・短・長・短・長・短」となります。
「短」が余計に増えた接触です。これは波形ではノコギリ波の小さな
「コブ」となります。つまり倍音が増えるわけです。
さらに弓速がどんどん速くなると長と短の差が減って行き、
図の右側の状態では、これがさらに進行して長と短が同等になった
状態、つまり2番目の接触も1番目の接触と全く同じ長さになり、周波数
がちょうど2倍になります。
また悪いクセがでましたね。
人の発言の中で自分に都合のよさそうなところだけつまみ食い。 都合の悪い指摘・質問は無視。
文献をいくら引用しても所詮同じことをしてるんだろうと思うと、結局は無視するか、自分で読むしかないんですよね。 で、読んでみると「やっぱり・・・・」
「誤解してました。ご指摘ありがとう。」の一言が何故言えないのでしょうか。
面白そうな話題を出すだけに、残念です。
「ポイントだけ書きますが」に続く2段落については実測データもあることですし、物理現象としては7割がた納得しています(完全には理解できていないので3割は保留)。 皆さんもそんなモンじゃないでしょうか。 ただ、それを以って「ハイフェッツの音の秘密」などと言い出すから、ストラディバリのニス神話みたいな与太話になってしまうんですよね。
P.S.
みなさまお気づきとは思いますが、[41582]
[41582]
Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?
投稿日時:2009年10月15日 05:21
投稿者:セロ(ID:GBkzATQ)
先ほどの「弦長の中央に振動の『腹』が」というのは『節』の間違いです。
ところで、
ヴァイオリン弾きの皆さんにとって、音がひっくり返るのは金属のE線に特有な何か特殊な現象、というイメージがあるのでしょうか?
チェロは、自慢じゃありませんが、どの弦でも簡単にひっくり返ります。 特に開放弦なら意図的にひっくり返った音を出すのも簡単です(意図しなくても出るのが困り物ですが)。 更に、弦長・振幅共に大きいので振動の様子(何処に節がある、とか)がヴァイオリンよりもずっとよく見えます。 ですから、ひっくり返った音(double slip)とフラジオが同じものだ、というのは日常的な経験に基づく実感です。 そして、これまで紹介されてきた資料でも(小生が気付いた限りでは)「違う」とは読めません。
ところで、
ヴァイオリン弾きの皆さんにとって、音がひっくり返るのは金属のE線に特有な何か特殊な現象、というイメージがあるのでしょうか?
チェロは、自慢じゃありませんが、どの弦でも簡単にひっくり返ります。 特に開放弦なら意図的にひっくり返った音を出すのも簡単です(意図しなくても出るのが困り物ですが)。 更に、弦長・振幅共に大きいので振動の様子(何処に節がある、とか)がヴァイオリンよりもずっとよく見えます。 ですから、ひっくり返った音(double slip)とフラジオが同じものだ、というのは日常的な経験に基づく実感です。 そして、これまで紹介されてきた資料でも(小生が気付いた限りでは)「違う」とは読めません。
[41586]
Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?
投稿日時:2009年10月15日 12:27
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:IYhIMTc)
catgutさん
もしかして、
> 右の図と左の図の中間には「遷移状態」があります。
ではなくて、
「(この論文では触れていないが)右の図で示される『状態』と左の図で示される『状態』の中間には『遷移状態』がある」
と言いたかったのですか?
それなら解ります。 あ~疲れた。
もしかして、
> 右の図と左の図の中間には「遷移状態」があります。
ではなくて、
「(この論文では触れていないが)右の図で示される『状態』と左の図で示される『状態』の中間には『遷移状態』がある」
と言いたかったのですか?
それなら解ります。 あ~疲れた。
[41596]
Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?
投稿日時:2009年10月15日 23:32
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
セロ轢きのGoshさま、
もちろんその意味で書いています。逆に私にはセロ轢きのGoshさま
がどこで混乱されていたのかよくわかりません。
ハイフェッツやミルシテインのように速い弓で(良い意味で)金属的な
音色を出しつづけることは凡人には困難ですが、非常に弓圧を軽くすれ
ば一弓とか、数秒程度なら容易に高い倍音が混じる音色を出すことが
できます。逆にどうしても出ないという方がいらっしゃるなら教えて頂き
たいです。弓圧のかけ方を誤解されているのではないかと思います。
もちろんその意味で書いています。逆に私にはセロ轢きのGoshさま
がどこで混乱されていたのかよくわかりません。
ハイフェッツやミルシテインのように速い弓で(良い意味で)金属的な
音色を出しつづけることは凡人には困難ですが、非常に弓圧を軽くすれ
ば一弓とか、数秒程度なら容易に高い倍音が混じる音色を出すことが
できます。逆にどうしても出ないという方がいらっしゃるなら教えて頂き
たいです。弓圧のかけ方を誤解されているのではないかと思います。
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