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ストラディヴァリのニス | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 70 Comments
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ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月08日 22:31
投稿者:catgut(ID:EIVkJFQ)
maestronet掲示板の以下のスレッドのpost #76にストラディヴァリのニスの調査結果のPDFが添付されていました。

ttp://www.maestronet.com/forum/index.php?showtopic=320849&st=60

Echard_2010_Angew_English.pdf ( 482.22K )

シンクロトロンとか、島津製作所の分析装置とかを使っていて、つい笑ってしまうくらい凄い調査内容です。
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4 / 8 ページ [ 70コメント ]
【ご参考】
[42114]

Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月22日 11:09
投稿者:QB(ID:cYBJOIA)
catgut氏の[42112]
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月22日 00:17
投稿者:catgut(ID:EDNYgpY)
なぜか一部のメッセージが消えているようですね。

すでに板に染み込んだ物質の厚みも以下の調査結果に掲載されていました。

ttp://www.maestronet.com/forum/index.php?showtopic=320849&st=60&p=450793&#entry450793
Echard_2010_Angew_English.pdf

This material penetrates to an approximate depth ranging between 10 and 30 micro meter into the spruce soundboards (“Davidoff” and “Provigny” samples Figure 1) and between 30 and 100 micro meter into maple (viola damore and “Long Pattern”), depending on the orientation of the medullar rays in the wood.

つまり、2、3mm程度の表板に対して10から30マイクロメーターしかニスが染み込んでいないということです。3mmの表板に30マイクロメーター染み込むのは、比率としては10cmの厚みの板に1ミリだけニスが染み込むのと同じことです。この程度で音に影響が出るとはとても思えません。

もう一つ興味深い論文がありました。
ttp://ci.nii.ac.jp/naid/110006570998
人為的促進老化処理したヒノキ材の切削抵抗

老化処理したヒノキを加工するときに、どのような配慮をすれば良いかの
参考になりそうです。
について、
アルコールニスであれば、そうかも知れません。
オイルニスを塗布したことがありますか?
側板程度の厚さであれば、裏側にまで浸透させることも容易です。ニスの樹脂成分のみが塗布面に残り、純粋なオイルのみが浸透するという反論も考えられなくはないですが、現実にはありえません。
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月22日 21:19
投稿者:通りすがり(ID:FINJlSk)
>この程度で音に影響が出るとはとても思えません。

思っているだけでは意味がないと何度繰り返したら分かっていただけるのでしょうか。

そこから先の検証こそが重要です。
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月22日 22:14
投稿者:catgut(ID:EDNYgpY)
QBさま、それは恐らく現在のオイルニスに揮発油のターペンタイン(テレピン油。ベネチアンターペンタインではなく)が含まれているからでしょう。ターペンタインは強い浸透性がありますが、すぐに揮発してしまいます。

ストラディヴァリはあえて下地にリンシードオイルまたはクルミ油のような浸透性の低い乾性油を使うことで、板への浸透をわずかにし、板を振動しやすくしていたのではないでしょうか。

また、スプルースは経年変化で暗い色になると同時に少し赤味が出ます。
下地には顔料が含まれていないということなので、単純に考えるとストラディヴァリの新作時はかなり赤みが強く、木自体の経年変化で暗い色になると同時に当初の上塗りの赤みの強い色ニスが減ってきて現在のような色になったのかもしれません。
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月23日 04:08
投稿者:通りすがり(ID:gyk0FYA)
>ストラディヴァリはあえて下地にリンシードオイルまたはクルミ油のような浸透性の低い乾性油を使うことで、

何を根拠に、そう推測できるのですか?
それらの残留物が検出されたという報告がありますか?
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月23日 09:44
投稿者:カルボナーレ(ID:EnE4GYc)
画材ということでしたので、塗り物について勉強中です。(白か黒か、1か0かのデジタル的な話はまっぴらなので。)
例えば、下記のようなサイトに、種類、材料、複数の精製方法&処理方法などがのっています。
ttp://www.cad-red.com/jpn/main.html

オリーブ油でも、エキストラバージン、バージン、単なるオリーブ油など、精製方法や混ぜ方でいろいろなものがあるように、乾性油の場合は、単につぶして絞り出したり、薬品で抽出したり、水と混ぜて熱して不純物をとるとか、自然光で黄色の発色を押さえるとか、加熱するとか、出来上がったものは様々であることがわかります。それにより、乾性油といっても、当然浸透具合は変わってきます。

イタリア北部では、画材としても、乾性油としては胡桃油がよく使われたということですから、ストラディヴァリが70年以上楽器製作を行う中で、時間の経過とともにどのように材料を変えていったか、ということも、彼の試行錯誤と経験、クレモナの環境、交通網の整備状況、ストラディヴァリの経済力といった変化と連動させながら考えると面白そうですね。

また、めどめ(下塗り)の目的も、いくつかのサイトで読んで、明確に認識できました。
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月23日 22:12
投稿者:catgut(ID:EDNYgpY)
今回の研究結果で、どの層にどの物質が含まれているかはかなり明確になりました。下塗りについてはシッカチーフという表現があるので、乾燥を促進するために微量の酸化鉛が入っているのかもしれません。また、コチニールに近い色素はラックカイガラムシ(アルコールニスでよく使われるシェラックを作る)からも取れるそうなので、こちらに由来する可能性も少しはあるかもしれません。

オイルの浸透の音への影響については以下のような見解が妥当でしょう。

ttp://guitar--parts.net/goods/1808.html

「楽器塗装法」としてのオイルフィニッシュ

一般の木材製品へのオイルフィニッシュは可能な限りオイルを浸透させるのが良いと されています。楽器の場合には音に悪影響のない塗装をする必要があります。 楽器へのオイルフィニッシュはオイルの浸透度合いを極力抑えることが重要となります。一般の木材製品であれば、浸透を促進させることでより強固な塗装になる、という見解が一般的です。楽器の場合はオイルの過度な浸透により乾燥が遅れ、音の透明感、明瞭度が低下します。可能な限り乾燥時間が短いオイルを選択し、少量を 塗ったらすぐに拭き取り、オイルの浸透を表面で抑えることがポイントと言えます。
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月23日 23:43
投稿者:カルボナーレ(ID:EnE4GYc)
catgutさん、
下塗り(めどめ)の話と、上塗り(カバーニス)の話は明確に分けてください。どちらの話をしているのですか。
まったく違う物ですから、くれぐれもひとくくりになさらぬように。

板にしみ込んだ物質ということであれば、主には下塗りに注目して、話を進めるべきです。
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月24日 00:30
投稿者:catgut(ID:EDNYgpY)
今回の調査結果では、5つの楽器で共通して2層しか検出されなかった
と理解しています。つまり下側(わずかに木に染みている)がリンシードオイルまたはクルミ油、上側がオイルと松脂の混合物、つまりバルサムです。下側には顔料が含まれず、上側には”ロングパターン”を除いて赤系
の顔料(コチニールかバーミリオン)が含まれていたということです。
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月24日 23:53
投稿者:カルボナーレ(ID:EnE4GYc)
下塗りと上塗りは、昔から一般的な方法でしょうから、まずは、2層になるのが普通でしょう。

「下側がリンシードオイルまたはクルミ油」 ”または”と書いていますが、これは、時代により違うのですか、意図を持って楽器により明確に使い分けているのですか、それともどちらかわからないのですか。

「上側がオイルと松脂の混合物」の松脂という表現は違うように思います。本文は読んでおらず、記事の方だけ見た限りでは、樹脂という言い方はしていますが、何の樹脂かは明言していないと思うのですが。
具体的に、どの産地でとれたどのような植物の樹脂なのかを、引用箇所含めて教えてください。

色素については、現存している上塗りニスが赤いのですから、当時はもっと赤かったのでしょう。一方、ロングパターン以前の、アマティ型はどうなのですか。
ストラディヴァリの楽器も、数十年の中で変化してきて、後年にある程度固まったものになり、それが最も評価されているのでしょうから、変化を見るのか、ベストをしゃぶり尽くすのか、研究においては方針が重要です。
[42125]

Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月26日 00:38
投稿者:catgut(ID:EDNYgpY)
リンシードオイルかクルミ油のどちらかということですが、組成が似ているためかこの両者の判別は難しいようです。なお、バルサムを蒸留して松脂とテレピン油が作られます。

もっともシンプルなケースを考えると、史実のストラディヴァリは極力リンシードオイルかクルミ油が木に染み込まないように塗り、1日程度乾かした上で市販の色ニスを塗りっぱなしにして数週間乾かしたのかもしれません(バルサムは乾燥が遅い)。乾燥時間を除くとニスにかける時間は特別高級なものを除き1時間もかけなかったかもしれません。
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