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ヴァイオリン弦のテンションについて考える
投稿日時:2011年05月21日 18:46
投稿者:帆立(ID:FwUDeTY)
ヴァイオリン弦の理想的なテンション、4本の弦のテンションの「バランス」について考えてみたいと思います。
現代のヴァイオリン(バロックヴァイオリンではない、現代ののE:A:D:Gのテンンション比は、弦のブランドによって異なりますが、おおむね以下のようなテンション比となっています。
① E:A:D:G=8.0:5.5:4.5:4.5
もっと大きな音量、パワフルな音が欲しい、という人は、各弦のテンションを上げて、以下の②のようなテンション比にする場合があります。
② E:A:D:G=9.0:6.0:5.0:5.0
各弦のテンションを上げると、弾いている本人の耳には音量が大きくなった感じがするのですが、離れたところで聴く人(聴衆)の耳には、音量が大きくなった感じがしなくて、むしろ、音の伸びやかさが失われた苦しい音になったように感じられる場合があります。
弦のテンションを上げると、演奏者が弦の反発力を押さえ込もうとして力む(りきむ)傾向があるため、伸びを欠いた苦しい音になってしまうのです。
そこで、弾いている本人ではなく、聴衆にとって、より大きな音に感じられ、より伸びのある音に感じられるようにするには、弦のテンションをどうすれば良いのでしょうか?
それは、各弦のテンションを下げる、という方法です。
③ E:A:D:G=7.0:5.0:4.0:4.0
現在市販されている弦の中には、テンションが低めで上記③のようなテンション比の弦がいくつかあります。ゲージ(太さ)を選択できる弦の場合、一番細いゲージを組み合わせると、上記③のようなテンション比になる場合が多いです。
今までと同じ弾き方をすると、音が潰れてしまうので、右手をもっとリラックスさせて弾いてやると、演奏者の耳もとでは、それほどうるさく聴こえないのに、遠くまで良くとおる伸びのある音が出せるようになります。
弦のテンションを下げることによって、ヴァイオリンの表板がより自由に振動できるようになるので、結果的に伸びのある音が出せるようになるというわけです。
①のような標準的なテンションの弦から②のようなハイテンションの弦に替えたのに、聴衆に聴こえる音量が大きくならない、という場合は、思い切って③のようにローテンションの弦に替えてみると、良い結果がでる場合がありますので、試してみて下さい。
現代のヴァイオリン(バロックヴァイオリンではない、現代ののE:A:D:Gのテンンション比は、弦のブランドによって異なりますが、おおむね以下のようなテンション比となっています。
① E:A:D:G=8.0:5.5:4.5:4.5
もっと大きな音量、パワフルな音が欲しい、という人は、各弦のテンションを上げて、以下の②のようなテンション比にする場合があります。
② E:A:D:G=9.0:6.0:5.0:5.0
各弦のテンションを上げると、弾いている本人の耳には音量が大きくなった感じがするのですが、離れたところで聴く人(聴衆)の耳には、音量が大きくなった感じがしなくて、むしろ、音の伸びやかさが失われた苦しい音になったように感じられる場合があります。
弦のテンションを上げると、演奏者が弦の反発力を押さえ込もうとして力む(りきむ)傾向があるため、伸びを欠いた苦しい音になってしまうのです。
そこで、弾いている本人ではなく、聴衆にとって、より大きな音に感じられ、より伸びのある音に感じられるようにするには、弦のテンションをどうすれば良いのでしょうか?
それは、各弦のテンションを下げる、という方法です。
③ E:A:D:G=7.0:5.0:4.0:4.0
現在市販されている弦の中には、テンションが低めで上記③のようなテンション比の弦がいくつかあります。ゲージ(太さ)を選択できる弦の場合、一番細いゲージを組み合わせると、上記③のようなテンション比になる場合が多いです。
今までと同じ弾き方をすると、音が潰れてしまうので、右手をもっとリラックスさせて弾いてやると、演奏者の耳もとでは、それほどうるさく聴こえないのに、遠くまで良くとおる伸びのある音が出せるようになります。
弦のテンションを下げることによって、ヴァイオリンの表板がより自由に振動できるようになるので、結果的に伸びのある音が出せるようになるというわけです。
①のような標準的なテンションの弦から②のようなハイテンションの弦に替えたのに、聴衆に聴こえる音量が大きくならない、という場合は、思い切って③のようにローテンションの弦に替えてみると、良い結果がでる場合がありますので、試してみて下さい。
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【ご参考】
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Re: ヴァイオリン弦のテンションについて考える
投稿日時:2011年08月14日 20:43
投稿者:帆立(ID:FwUDeTY)
前回の書き込みの補足説明です。テニスのラケットやゴルフのクラブでもそうですが、プロは、見た目は市販品と同じでも、中身(性能)が異なる道具を使っている場合があります。
市販のヴァイオリン弦は、弱(細)・中・強(太)の3種類のゲージしか選べないものが大半で、5種類のゲージを用意している弦は、ごく一部しかありません。
ヴァイオリンは、オールド、モダン、コンテンポラリー(新作)と時代的な幅が広いだけでなく、製作者ごとの個性にも大きな幅があります。
一方、市販のヴァイオリン弦は、3種類とか5種類しかゲージが選べないわけですが、このように弦の選択肢が狭い状況では、本当の意味で、そのヴァイオリンにとって「最適な」弦の組み合わせを見つけるのは困難です。
弦のテンション(太さ)の選択肢が狭いため、たいていのヴァイオリンは、本来の実力の70%程度しか発揮できていないという例が多いように思います。
300年ほど前のオールドヴァイオリンと現代の新作ヴァイオリンに、同じ種類の弦を張って、どちらのヴァイオリンも良い結果が得られる、などというはずが無いのに、実際には、そういうことが行なわれているわけです。
300年ほど前のオールドヴァイオリンと現代の新作ヴァイオリンでは、板の厚みや強度が全く異なるのに、同じ種類の弦を張る、というのは、そもそも無理があります。
各弦ごとに、10種類ぐらいの弦のテンション(太さ)から選べるようになれば、そのヴァイオリン本来の実力を、もっと多く引き出すことができるようになると思いますが、最大手のヴァイオリン弦メーカーは、弦(ブランド)の種類を増やすことにはエネルギーを注ぐものの、ゲージの種類を増やすということはありません。
最大手のヴァイオリン弦メーカーの一般的な市販弦では、なかなか思い通りの結果が得られない、という場合は、0.01ミリとか0.02ミリ刻みのゲージで、カスタムメードのガット弦を作ってくれるガット弦メーカーに直接発注すると、予想以上に素晴らしい結果が得られる場合があります。
自分の場合は、最大手のヴァイオリン弦メーカーの市販弦よりも、明らかにテンションが低いガット弦を張っていますが、音量も音色も響きも弾き心地もレスポンスも表現力も、最大手のヴァイオリン弦メーカーの市販弦を張っていた頃よりも、ずっと良くなりました。
自分のヴァイオリンにとって最適なテンションバランスが実現して、自分のヴァイオリンの性能が100%近く引き出せたからだと思います。
駒とか魂柱の調整もたしかに大事な要素ですが、弦楽器にとっては、弦の選択は、非常に重要なので、最大手メーカーの市販弦の狭い選択肢の中で「もがく(悩み苦しむ)」ぐらいなら、小規模なガット弦メーカーの幅広い選択肢の中から時間をかけてベストな組み合わせを見つける方が、ずっと良いと思います。
時間とお金はかかりますが、きっと大いに報われると思います。少なくとも自分は、大いに報われましたし、本当にヴァイオリンが良く鳴ってくれています。
市販のヴァイオリン弦は、弱(細)・中・強(太)の3種類のゲージしか選べないものが大半で、5種類のゲージを用意している弦は、ごく一部しかありません。
ヴァイオリンは、オールド、モダン、コンテンポラリー(新作)と時代的な幅が広いだけでなく、製作者ごとの個性にも大きな幅があります。
一方、市販のヴァイオリン弦は、3種類とか5種類しかゲージが選べないわけですが、このように弦の選択肢が狭い状況では、本当の意味で、そのヴァイオリンにとって「最適な」弦の組み合わせを見つけるのは困難です。
弦のテンション(太さ)の選択肢が狭いため、たいていのヴァイオリンは、本来の実力の70%程度しか発揮できていないという例が多いように思います。
300年ほど前のオールドヴァイオリンと現代の新作ヴァイオリンに、同じ種類の弦を張って、どちらのヴァイオリンも良い結果が得られる、などというはずが無いのに、実際には、そういうことが行なわれているわけです。
300年ほど前のオールドヴァイオリンと現代の新作ヴァイオリンでは、板の厚みや強度が全く異なるのに、同じ種類の弦を張る、というのは、そもそも無理があります。
各弦ごとに、10種類ぐらいの弦のテンション(太さ)から選べるようになれば、そのヴァイオリン本来の実力を、もっと多く引き出すことができるようになると思いますが、最大手のヴァイオリン弦メーカーは、弦(ブランド)の種類を増やすことにはエネルギーを注ぐものの、ゲージの種類を増やすということはありません。
最大手のヴァイオリン弦メーカーの一般的な市販弦では、なかなか思い通りの結果が得られない、という場合は、0.01ミリとか0.02ミリ刻みのゲージで、カスタムメードのガット弦を作ってくれるガット弦メーカーに直接発注すると、予想以上に素晴らしい結果が得られる場合があります。
自分の場合は、最大手のヴァイオリン弦メーカーの市販弦よりも、明らかにテンションが低いガット弦を張っていますが、音量も音色も響きも弾き心地もレスポンスも表現力も、最大手のヴァイオリン弦メーカーの市販弦を張っていた頃よりも、ずっと良くなりました。
自分のヴァイオリンにとって最適なテンションバランスが実現して、自分のヴァイオリンの性能が100%近く引き出せたからだと思います。
駒とか魂柱の調整もたしかに大事な要素ですが、弦楽器にとっては、弦の選択は、非常に重要なので、最大手メーカーの市販弦の狭い選択肢の中で「もがく(悩み苦しむ)」ぐらいなら、小規模なガット弦メーカーの幅広い選択肢の中から時間をかけてベストな組み合わせを見つける方が、ずっと良いと思います。
時間とお金はかかりますが、きっと大いに報われると思います。少なくとも自分は、大いに報われましたし、本当にヴァイオリンが良く鳴ってくれています。
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Re: ヴァイオリン弦のテンションについて考える
投稿日時:2011年08月15日 18:11
投稿者:G線上のアリア(ID:kpkACHA)
外国の文献によると、19世紀後半(1850~1900年頃)になっても、ヴァイオリンのG線に裸ガット(金属の巻き線の無いプレーンガット)を張っていたヴァイオリン奏者がいたようですよ。
19世紀後半というと、ヴュータン、エルンスト、ヴィエニャフスキー、サラサーテなどロマン派の超絶技巧の名手が活躍した時期ですね。
裸ガットのG線は、バロック音楽の時代までしか使われていなかったと思われがちですが、実際には、ロマン派の音楽全盛の19世紀後半になっても、当時主流だった金属巻き線のあるガットのG線ではなくて、あえて裸ガットのG線を張るヴァイオリン奏者がいたというのは、興味深い史実だと思いますね。
そうした史実からしますと、バロックヴァイオリンではないモダンヴァイオリンに4本とも裸のガットを張って、ブルッフ、メンデルスゾーン、ブラームス、チャイコフスキー、パガニーニ、ヴュータンなどのロマン派の傑作コンチェルトを演奏する、というのはアリということになりますね。
19世紀後半というと、ヴュータン、エルンスト、ヴィエニャフスキー、サラサーテなどロマン派の超絶技巧の名手が活躍した時期ですね。
裸ガットのG線は、バロック音楽の時代までしか使われていなかったと思われがちですが、実際には、ロマン派の音楽全盛の19世紀後半になっても、当時主流だった金属巻き線のあるガットのG線ではなくて、あえて裸ガットのG線を張るヴァイオリン奏者がいたというのは、興味深い史実だと思いますね。
そうした史実からしますと、バロックヴァイオリンではないモダンヴァイオリンに4本とも裸のガットを張って、ブルッフ、メンデルスゾーン、ブラームス、チャイコフスキー、パガニーニ、ヴュータンなどのロマン派の傑作コンチェルトを演奏する、というのはアリということになりますね。
[43602]
Re: ヴァイオリン弦のテンションについて考える
投稿日時:2011年08月17日 00:42
投稿者:帆立(ID:FwUDeTY)
第一次世界大戦以降、良質なガット弦が入手しにくくなったため、スチール弦やナイロン弦が台頭するようになりました。
しかしながら、現在、非常に良質で高性能なガット弦を製造している小規模なガット弦メーカーがいくつか存在します。
最大手の弦メーカーと違って、小規模なガット弦メーカーは、小回りが効くので、注文者のニーズに合ったカスタムメイドのガット弦を作ってくれます。ゲージについては、0.01~0.02ミリ刻みで細かく指定できますし、防水コーティング層の数を指定できるガット弦メーカーもあります。
ヴァイオリンのE・A・D・G線の4弦とも、そのヴァイオリンにとって最適なゲージのプレーンガット弦を張ると、一般的に市販されているナイロン弦やスチール弦では得られないような大音量、豊かな響き、俊敏で素直なレスポンス、素晴らしい弾き心地が得られます。
4弦ともプレーンガット弦に統一すると、弦のテンションを低めにすることができるので、右手も左手も演奏していて楽になりますし、表現力や音色の幅が多彩なのでバロック音楽から現代曲まであらゆる音楽に対応できます。
自分のヴァイオリンに良く合う良質なガット弦を入手することができたら、ガット弦以外の弦など2度と張りたくないと思うようになることは間違いないでしょう。
しかしながら、現在、非常に良質で高性能なガット弦を製造している小規模なガット弦メーカーがいくつか存在します。
最大手の弦メーカーと違って、小規模なガット弦メーカーは、小回りが効くので、注文者のニーズに合ったカスタムメイドのガット弦を作ってくれます。ゲージについては、0.01~0.02ミリ刻みで細かく指定できますし、防水コーティング層の数を指定できるガット弦メーカーもあります。
ヴァイオリンのE・A・D・G線の4弦とも、そのヴァイオリンにとって最適なゲージのプレーンガット弦を張ると、一般的に市販されているナイロン弦やスチール弦では得られないような大音量、豊かな響き、俊敏で素直なレスポンス、素晴らしい弾き心地が得られます。
4弦ともプレーンガット弦に統一すると、弦のテンションを低めにすることができるので、右手も左手も演奏していて楽になりますし、表現力や音色の幅が多彩なのでバロック音楽から現代曲まであらゆる音楽に対応できます。
自分のヴァイオリンに良く合う良質なガット弦を入手することができたら、ガット弦以外の弦など2度と張りたくないと思うようになることは間違いないでしょう。
[43604]
Re: ヴァイオリン弦のテンションについて考える
投稿日時:2011年08月17日 13:42
投稿者:G線上のアリア (ID:ElaAmYQ)
仮に、パガニーニやヴュータンが今生き返って、愛用のヴァイオリンに、現代のヴァーニッシュ加工された裸ガット弦を張ったら、その品質と性能の高さと製品のバラツキの少なさ(加工精度の高さ)に驚嘆して大いに喜ぶだろうと言われていますね。パガニーニやヴュータンの演奏を聴けるものなら、ぜひ聴いてみたいものですね。
[43616]
Re: ヴァイオリン弦のテンションについて考える
投稿日時:2011年08月21日 02:47
投稿者:帆立(ID:FwUDeTY)
古銘器を欲しがるヴァイオリン奏者は多いですが、古銘器に適した(ふさわしい)良質なガット弦を求めるヴァイオリン奏者が少ないのは不思議なことであり、残念なことです。
古銘器に現代のハイテンションの化学繊維弦を張って良い結果が得られる場合もありますが、よりテンションが低いガット弦を張ってやった方が、古銘器ならではの素晴らしい音が出る場合が多いです。
板が薄めで軽い古銘器に現代のハイテンションの弦を張ってゴシゴシと擦るようなボウイングで弾くのは、古銘器がかわいそうだと思います。
大音量を出す際に、テンションが低いガット弦と現代のハイテンションの化学繊維弦では、ボウイングのコツがだいぶ異なります。現代のハイテンションの化学繊維弦を張ったときと同じボウイングで、テンションの低いガット弦を弾くと、音がつぶれてしまって大きな音が出せません。慣れるのに多少時間がかかりますが、慣れてしまえば、右手が楽になるのを実感できると思います。
・ガット弦は湿気や汗に弱い
・ガット弦は切れ易く耐久性に難がある
・ガット弦はチューニングが狂い易い
というのは、現代の「防水コーティングが施されたガット弦」には、全く当てはまりません。
現代のヴァイオリンよりも半音チューニングが低い(A=415Hzの)バロックヴァイオリンにガット弦を張ったときのガット弦の音と、A=442Hzの現代のヴァイオリンにガット弦を張ったときのガット弦の音では、だいぶ印象が異なります。
A=415Hzのバロックヴァイオリンの音は、音量はやや小さめで、柔らかくておとなしい音に感じられます。多様なニュアンスを表現できるという表現の幅の広さはありますが、最大音量は、小さめです。
一方、A=442Hzの現代のヴァイオリンにガット弦を張ったときのガット弦の音は、広いホールでも良く透る音で適度な輝かしさがあって、現代のコンサートグランドピアノの大音量に十分に対抗できる力強い音を備えています。弾き手に十分な技量があれば、最大音量は、現代のハイテンションな化学繊維弦と同じくらい大きな音が出せます。
良質な古銘器を持っている方には、ぜひ、防水コーティングが施された現代のガット弦を試していただきたいと思います。
ガット弦を張ってやると、古銘器は、より一層美しくて伸びやかな音が出るようになって、より楽に自由に歌うようになってくれるのを実感できると思います。
古銘器にテンションの低いガット弦を張ると、音が良くなるだけでなく、右手も左手も楽になって、長時間演奏したときの疲労が減ります。
かつてのガット弦の弱点を全て克服した「防水コーティングが施された現代のガット弦」を、バロックヴァイオリン奏者だけに弾かせておくのは、もったいないと思います。
「防水コーティングが施された現代のガット弦」を張れば、ブラームスやチャイコフスキーといったロマン派のヴァイオリン協奏曲において、より個性的な音色が出せて、より独創的な音楽表現をすることが可能になります。
現代のハイテンションな化学繊維弦からテンションの低いガット弦に張り替えた場合、ヴァイオリンがガット弦に馴染むのに多少時間がかかりますし、弾き手が慣れてコツをつかむのに多少時間がかかりますが、予想以上に素晴らしい結果が得られる場合がありますので、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。
古銘器に現代のハイテンションの化学繊維弦を張って良い結果が得られる場合もありますが、よりテンションが低いガット弦を張ってやった方が、古銘器ならではの素晴らしい音が出る場合が多いです。
板が薄めで軽い古銘器に現代のハイテンションの弦を張ってゴシゴシと擦るようなボウイングで弾くのは、古銘器がかわいそうだと思います。
大音量を出す際に、テンションが低いガット弦と現代のハイテンションの化学繊維弦では、ボウイングのコツがだいぶ異なります。現代のハイテンションの化学繊維弦を張ったときと同じボウイングで、テンションの低いガット弦を弾くと、音がつぶれてしまって大きな音が出せません。慣れるのに多少時間がかかりますが、慣れてしまえば、右手が楽になるのを実感できると思います。
・ガット弦は湿気や汗に弱い
・ガット弦は切れ易く耐久性に難がある
・ガット弦はチューニングが狂い易い
というのは、現代の「防水コーティングが施されたガット弦」には、全く当てはまりません。
現代のヴァイオリンよりも半音チューニングが低い(A=415Hzの)バロックヴァイオリンにガット弦を張ったときのガット弦の音と、A=442Hzの現代のヴァイオリンにガット弦を張ったときのガット弦の音では、だいぶ印象が異なります。
A=415Hzのバロックヴァイオリンの音は、音量はやや小さめで、柔らかくておとなしい音に感じられます。多様なニュアンスを表現できるという表現の幅の広さはありますが、最大音量は、小さめです。
一方、A=442Hzの現代のヴァイオリンにガット弦を張ったときのガット弦の音は、広いホールでも良く透る音で適度な輝かしさがあって、現代のコンサートグランドピアノの大音量に十分に対抗できる力強い音を備えています。弾き手に十分な技量があれば、最大音量は、現代のハイテンションな化学繊維弦と同じくらい大きな音が出せます。
良質な古銘器を持っている方には、ぜひ、防水コーティングが施された現代のガット弦を試していただきたいと思います。
ガット弦を張ってやると、古銘器は、より一層美しくて伸びやかな音が出るようになって、より楽に自由に歌うようになってくれるのを実感できると思います。
古銘器にテンションの低いガット弦を張ると、音が良くなるだけでなく、右手も左手も楽になって、長時間演奏したときの疲労が減ります。
かつてのガット弦の弱点を全て克服した「防水コーティングが施された現代のガット弦」を、バロックヴァイオリン奏者だけに弾かせておくのは、もったいないと思います。
「防水コーティングが施された現代のガット弦」を張れば、ブラームスやチャイコフスキーといったロマン派のヴァイオリン協奏曲において、より個性的な音色が出せて、より独創的な音楽表現をすることが可能になります。
現代のハイテンションな化学繊維弦からテンションの低いガット弦に張り替えた場合、ヴァイオリンがガット弦に馴染むのに多少時間がかかりますし、弾き手が慣れてコツをつかむのに多少時間がかかりますが、予想以上に素晴らしい結果が得られる場合がありますので、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。
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Re: ヴァイオリン弦のテンションについて考える
投稿日時:2011年08月21日 22:43
投稿者:帆立(ID:FwUDeTY)
使い古しのガット弦から、現代の防水コーティングが施されたガット弦の伸び率を計算してみましたので、お知らせします。サンプル数は50本以上ありますので、それなりに信頼できるデータではないかと思います。
現代の防水コーティングが施されたガット弦の伸び率:0.5%~1.5%程度※なお、計測値の大半は0.5~1.0%の範囲に収まってました。
※ゲージの細い弦=テンションの低い弦、の方が、ガット弦の伸び率が小さい傾向がありました。
某ヴァイオリン製作者のサイトによると、ナイロン弦の伸び率は1~3%程度のようですので、現代の防水コーティングが施されたガット弦の伸び率は、ナイロン弦よりも小さいということがわかります。
弦の伸び率が少ない
⇒ブレークイン・タイム(チューニングが安定するまでの時間)が短い
⇒演奏中の調弦の狂いが少ない
⇒弦を張った直後と弦を張ってから数週間経過した後のテンションの違いが少ないので、経時変化による音の劣化が少ない
といった大きなメリットがあります。
実際にガット弦を張ってみたら、すぐに、この大きなメリットを実感していただけると思います。
現代の防水コーティングが施されたガット弦の伸び率:0.5%~1.5%程度※なお、計測値の大半は0.5~1.0%の範囲に収まってました。
※ゲージの細い弦=テンションの低い弦、の方が、ガット弦の伸び率が小さい傾向がありました。
某ヴァイオリン製作者のサイトによると、ナイロン弦の伸び率は1~3%程度のようですので、現代の防水コーティングが施されたガット弦の伸び率は、ナイロン弦よりも小さいということがわかります。
弦の伸び率が少ない
⇒ブレークイン・タイム(チューニングが安定するまでの時間)が短い
⇒演奏中の調弦の狂いが少ない
⇒弦を張った直後と弦を張ってから数週間経過した後のテンションの違いが少ないので、経時変化による音の劣化が少ない
といった大きなメリットがあります。
実際にガット弦を張ってみたら、すぐに、この大きなメリットを実感していただけると思います。
[43619]
Re: ヴァイオリン弦のテンションについて考える
投稿日時:2011年08月21日 23:29
投稿者:質問です(ID:EBmEmZE)
伸び率はどのように測定したのですか?
加える張力は、錘で一定の力を加え続けたのですか?
あるいは楽器に張って本来あるべき音程を保ったのですか?
後者の場合調弦の頻度は?
工業製品の品質試験の場合前者を行うべきですね。
伸びきったと判断したのはどの時点ですか?
毎日1回調弦して1週間後とか?
加える張力は、錘で一定の力を加え続けたのですか?
あるいは楽器に張って本来あるべき音程を保ったのですか?
後者の場合調弦の頻度は?
工業製品の品質試験の場合前者を行うべきですね。
伸びきったと判断したのはどの時点ですか?
毎日1回調弦して1週間後とか?
[43626]
Re: ヴァイオリン弦のテンションについて考える
投稿日時:2011年08月28日 02:48
投稿者:帆立(ID:FwUDeTY)
モダンヴァイオリン(現代型のヴァイオリン)に改造されているストラディヴァリウスに張られているプレーンガット弦の太さに関するデータを入手したのでお知らせします。
個体①(初期の作品) E=0.60ミリ、A=0.74ミリ
個体②(初期の作品) E=0.56ミリ、A=0.62ミリ
個体③(中期の作品) E=0.54ミリ、A=0.64ミリ
なお、上記の個体①~③は、コンサート等で実際に演奏されているストラディヴァリウスです。
A線に関しては、自分はまだ0.68ミリよりも細いゲージを試したことがなかったのですが、今回上記のようなデータを入手したので、もっと細いゲージも試してみたいと思っているところです。
ところで、A=442Hzの現代のヴァイオリンよりも半音ほどピッチが低いA=415Hzのバロックヴァイオリンは、太めのプレーンガット弦が張られている場合が多いですが、現代のA=442Hzのヴァイオリンにバロックヴァイオリンと同じ太さのプレーンガット弦を張るとテンションが高過ぎて音が詰まったり弾きにくかったりするので、もっと細いゲージを選択する必要があります。
プレーンガット弦のA線の標準的なゲージに関しては、ガット弦メーカーによって違いがありますが、だいたい0.75~0.80ミリあたりを標準ゲージとしている場合が多いように思います。これは、A=415Hzのバロックヴァイオリンには適していますが、A=442Hzの現代のヴァイオリンには太過ぎますので、現代のヴァイオリンに張る場合は、これよりも10%くらい細いゲージを選ぶとうまく行くことが多いです。
プレーンガット弦を張る際に、バロックヴァイオリン向けの太過ぎるゲージを選択して失敗している方が多いようですので、ご注意いただきたいと思います。
現代の代表的なナイロン弦であるドミナントのA線の太さは0.67ミリですので、上記の個体②や個体③のA線は、それよりも細いということになります。
よって、普段ナイロン弦を張っているヴァイオリンにプレーンガットのA線を張る場合、ナットや駒の弦溝を全く調整しなくても、そのままプレーンガットのA線を張ることが可能です。
自分のヴァイオリンにプレーンガット弦を試してみたいという方は、まずは、A線からスタートされてみてはいかがでしょうか?
個体①(初期の作品) E=0.60ミリ、A=0.74ミリ
個体②(初期の作品) E=0.56ミリ、A=0.62ミリ
個体③(中期の作品) E=0.54ミリ、A=0.64ミリ
なお、上記の個体①~③は、コンサート等で実際に演奏されているストラディヴァリウスです。
A線に関しては、自分はまだ0.68ミリよりも細いゲージを試したことがなかったのですが、今回上記のようなデータを入手したので、もっと細いゲージも試してみたいと思っているところです。
ところで、A=442Hzの現代のヴァイオリンよりも半音ほどピッチが低いA=415Hzのバロックヴァイオリンは、太めのプレーンガット弦が張られている場合が多いですが、現代のA=442Hzのヴァイオリンにバロックヴァイオリンと同じ太さのプレーンガット弦を張るとテンションが高過ぎて音が詰まったり弾きにくかったりするので、もっと細いゲージを選択する必要があります。
プレーンガット弦のA線の標準的なゲージに関しては、ガット弦メーカーによって違いがありますが、だいたい0.75~0.80ミリあたりを標準ゲージとしている場合が多いように思います。これは、A=415Hzのバロックヴァイオリンには適していますが、A=442Hzの現代のヴァイオリンには太過ぎますので、現代のヴァイオリンに張る場合は、これよりも10%くらい細いゲージを選ぶとうまく行くことが多いです。
プレーンガット弦を張る際に、バロックヴァイオリン向けの太過ぎるゲージを選択して失敗している方が多いようですので、ご注意いただきたいと思います。
現代の代表的なナイロン弦であるドミナントのA線の太さは0.67ミリですので、上記の個体②や個体③のA線は、それよりも細いということになります。
よって、普段ナイロン弦を張っているヴァイオリンにプレーンガットのA線を張る場合、ナットや駒の弦溝を全く調整しなくても、そのままプレーンガットのA線を張ることが可能です。
自分のヴァイオリンにプレーンガット弦を試してみたいという方は、まずは、A線からスタートされてみてはいかがでしょうか?
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Re: ヴァイオリン弦のテンションについて考える
投稿日時:2011年08月28日 03:57
投稿者:テンション?(ID:NXFygSc)
ttp://coastaltrading.biz/string/post-231.html
ttp://coastaltrading.biz/string/post-282.html
ttp://coastaltrading.biz/string/post-283.html
ttp://coastaltrading.biz/string/post-346.html
ttp://coastaltrading.biz/string/post-282.html
ttp://coastaltrading.biz/string/post-283.html
ttp://coastaltrading.biz/string/post-346.html
[43628]
OTZ
投稿日時:2011年08月28日 11:45
投稿者:質問です(ID:EBmEmZE)
お答えはないのですね。
この掲示板でよく見られたパターンですね。
残念です。
この掲示板でよく見られたパターンですね。
残念です。
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