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ヴァーニッシュ・ガット弦
投稿日時:2011年09月29日 18:02
投稿者:ガットラヴァー(ID:FwUDeTY)
ニスによる防水加工が施された、いわゆるヴァーニッシュ・ガット弦についてですが、今から100年前の1911年には既に販売されていたようです。
当時の海外の弦楽器専門誌に、あるガット弦メーカーによる、ガット表面の毛羽立ちを抑え、防水性も向上させたヴァーニッシュ・ガット弦に関する広告が掲載されていました。
1911年頃というと、イザイ、ティボー、クライスラー、フーバーマン、エルマンといった往年の大ヴァイオリニストが活躍していた頃です。
ヴァーニッシュ・ガット弦は、信頼できるガットメーカーのものであれば、高温多湿な日本の夏でも、安心して使用できます。
自分のヴァイオリンにとって最適なゲージを見つけることができれば、ヴァーニッシュ・ガット弦は、最新のシンセティック弦よりも大きな音量と美しい音を両立して出すことが可能です。
当時の海外の弦楽器専門誌に、あるガット弦メーカーによる、ガット表面の毛羽立ちを抑え、防水性も向上させたヴァーニッシュ・ガット弦に関する広告が掲載されていました。
1911年頃というと、イザイ、ティボー、クライスラー、フーバーマン、エルマンといった往年の大ヴァイオリニストが活躍していた頃です。
ヴァーニッシュ・ガット弦は、信頼できるガットメーカーのものであれば、高温多湿な日本の夏でも、安心して使用できます。
自分のヴァイオリンにとって最適なゲージを見つけることができれば、ヴァーニッシュ・ガット弦は、最新のシンセティック弦よりも大きな音量と美しい音を両立して出すことが可能です。
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【ご参考】
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Re: ヴァーニッシュ・ガット弦
投稿日時:2011年10月22日 18:24
投稿者:ガットラヴァー(ID:QJVJYIM)
バロックヴァイオリンではない現代のヴァイオリンに、ヴァーニッシュガット弦を張るときの組み合わせを説明します。
なお、裸のガット弦におけるロウツイストとハイツイストの違いについては、下記のサイトを参照して下さい。図が掲載されていて、違いがわかりやすいです。
ttp://www.aquilacorde.com/index.php?option=com_content&view=article&id=41&Itemid=1384&lang=en
ロウツイスト:やや硬め、引っ張り強度が強いので高いテンションに耐えられる、中~高音域向け
ハイツイスト:柔らかめ、引っ張り強度がやや弱いので高いテンションには耐えられない、低~中音向け
①一般的な組み合わせ
E:ロウツイスト
A:ロウツイスト
D:ハイツイスト
G:ハイツイスト(またはロープガット)
②D線をロウツイストに変える組み合わせ
E:ロウツイスト
A:ロウツイスト
D:ロウツイスト
G:ハイツイスト(またはロープガット)
①を選ぶか②を選ぶかは、楽器との相性、演奏者との相性によります。
なお、裸のガット弦におけるロウツイストとハイツイストの違いについては、下記のサイトを参照して下さい。図が掲載されていて、違いがわかりやすいです。
ttp://www.aquilacorde.com/index.php?option=com_content&view=article&id=41&Itemid=1384&lang=en
ロウツイスト:やや硬め、引っ張り強度が強いので高いテンションに耐えられる、中~高音域向け
ハイツイスト:柔らかめ、引っ張り強度がやや弱いので高いテンションには耐えられない、低~中音向け
①一般的な組み合わせ
E:ロウツイスト
A:ロウツイスト
D:ハイツイスト
G:ハイツイスト(またはロープガット)
②D線をロウツイストに変える組み合わせ
E:ロウツイスト
A:ロウツイスト
D:ロウツイスト
G:ハイツイスト(またはロープガット)
①を選ぶか②を選ぶかは、楽器との相性、演奏者との相性によります。
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Re: ヴァーニッシュ・ガット弦
投稿日時:2011年10月22日 19:16
投稿者:通りすがり(ID:EBmEmZE)
取り説 乙
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Re: ヴァーニッシュ・ガット弦
投稿日時:2011年10月22日 20:40
投稿者:ガットラヴァー(ID:QJVJYIM)
各社から様々なヴァーニッシュガット弦が発売されていますが、その良し悪しを判定する方法をお知らせします。
良質なヴァーニッシュガット弦は、次のような特徴があります。
・ヴァイオリンに張ったときの弦の伸びが少ない
⇒ガット弦の伸びが少ないと、ヴァーニッシュ層にヒビが入りにくいので、ヴァーニッシュ層が長持ちする⇒長期間にわたって耐水性が保たれる⇒長期間にわたってピッチが安定する
・ヴァイオリンに張ったときの弦の直径の減少が少ない(張る前と張った後の弦の太さの違いが少ない)
⇒ガット弦の太さの変化が少ないと、ヴァーニッシュ層にヒビが入りにくいので、ヴァーニッシュ層が長持ちする⇒長期間にわたって耐水性が保たれる⇒長期間にわたってピッチが安定する
上記のように「良質なヴァーニッシュガット弦」は、弦を張った後ピッチが安定するまでの時間、いわゆるブレークインタイム、が短いというメリットもあります。
適切な太さのヴァーニッシュガット弦を張って毎日数時間弾いているにもかかわらず、5日経ってもピッチが安定しない、という場合は、そのヴァーニッシュガット弦は、あまり質が良くない、ということになります。
ちなみに、自分が張っている「最良質のヴァーニッシュガット弦」は、毎日2時間弾いた場合、E・A・D・G線の4本とも、3日以内にピッチが安定します。ここで言う安定とは、「1週間ほど弾きこんで十分に安定した状態のナイロン弦と同じくらいの安定」を意味しています。要するに、演奏会本番で使えるくらいの安定ということです。
良質なヴァーニッシュガット弦は、次のような特徴があります。
・ヴァイオリンに張ったときの弦の伸びが少ない
⇒ガット弦の伸びが少ないと、ヴァーニッシュ層にヒビが入りにくいので、ヴァーニッシュ層が長持ちする⇒長期間にわたって耐水性が保たれる⇒長期間にわたってピッチが安定する
・ヴァイオリンに張ったときの弦の直径の減少が少ない(張る前と張った後の弦の太さの違いが少ない)
⇒ガット弦の太さの変化が少ないと、ヴァーニッシュ層にヒビが入りにくいので、ヴァーニッシュ層が長持ちする⇒長期間にわたって耐水性が保たれる⇒長期間にわたってピッチが安定する
上記のように「良質なヴァーニッシュガット弦」は、弦を張った後ピッチが安定するまでの時間、いわゆるブレークインタイム、が短いというメリットもあります。
適切な太さのヴァーニッシュガット弦を張って毎日数時間弾いているにもかかわらず、5日経ってもピッチが安定しない、という場合は、そのヴァーニッシュガット弦は、あまり質が良くない、ということになります。
ちなみに、自分が張っている「最良質のヴァーニッシュガット弦」は、毎日2時間弾いた場合、E・A・D・G線の4本とも、3日以内にピッチが安定します。ここで言う安定とは、「1週間ほど弾きこんで十分に安定した状態のナイロン弦と同じくらいの安定」を意味しています。要するに、演奏会本番で使えるくらいの安定ということです。
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Re: ヴァーニッシュ・ガット弦
投稿日時:2011年10月23日 13:21
投稿者:ガットラヴァー(ID:QJVJYIM)
ヴァーニッシュ・ガット弦を張るときに、どんな太さの弦(どのゲージの弦)を張ったら良いのか、について説明します。
裸のガット弦メーカーのホームページに書かれている推奨ゲージは、A=415Hzのバロックヴァイオリンを想定している場合が多いです。このため、メーカーの推奨ゲージのヴァーニッシュガット弦を張ると、A=440~443Hzの現代のヴァイオリンにとっては、あまりにも太過ぎて、音が詰まってしまう場合があります。
A=440~443Hzの現代のヴァイオリンにヴァーニッシュ・ガット弦を張る際には、バロックヴァイオリンにおける標準ゲージよりも10%程度細いゲージを張ると、上手く行く場合が多いです。最初は、そうしたゲージを張ってみて、多少太いゲージを張ったり、多少細いゲージを張ったりして、自分のヴァイオリンにとってベストなゲージを探してみると良いでしょう。
なお、弦を張る前と張った後のゲージの違いが大きいメーカーと小さいメーカーがあります。伸びの少ない「良質なヴァーニッシュ・ガット弦」は、ヴァイオリンに張ってテンションがかかった状態になっても、ほとんど太さが変化しません。
裸のガット弦の弦の太さ(ゲージ)に関しては、張る前の太さではなく、ヴァイオリンに張った状態での太さが、ヴァイオリンの音(音色、音量)に影響しますので、弦の太さ(ゲージ)について情報交換する際には、注意が必要です。
裸のガット弦メーカーのホームページに書かれている推奨ゲージは、A=415Hzのバロックヴァイオリンを想定している場合が多いです。このため、メーカーの推奨ゲージのヴァーニッシュガット弦を張ると、A=440~443Hzの現代のヴァイオリンにとっては、あまりにも太過ぎて、音が詰まってしまう場合があります。
A=440~443Hzの現代のヴァイオリンにヴァーニッシュ・ガット弦を張る際には、バロックヴァイオリンにおける標準ゲージよりも10%程度細いゲージを張ると、上手く行く場合が多いです。最初は、そうしたゲージを張ってみて、多少太いゲージを張ったり、多少細いゲージを張ったりして、自分のヴァイオリンにとってベストなゲージを探してみると良いでしょう。
なお、弦を張る前と張った後のゲージの違いが大きいメーカーと小さいメーカーがあります。伸びの少ない「良質なヴァーニッシュ・ガット弦」は、ヴァイオリンに張ってテンションがかかった状態になっても、ほとんど太さが変化しません。
裸のガット弦の弦の太さ(ゲージ)に関しては、張る前の太さではなく、ヴァイオリンに張った状態での太さが、ヴァイオリンの音(音色、音量)に影響しますので、弦の太さ(ゲージ)について情報交換する際には、注意が必要です。
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Re: ヴァーニッシュ・ガット弦
投稿日時:2011年10月23日 20:34
投稿者:ガットラヴァー(ID:QJVJYIM)
ヴァーニッシュガット弦のゲージ(太さ)のレンジ(範囲)に関しては、裸のガット弦メーカー各社が、それぞれ考え方が違っているのですが、例えば、次のような驚くべき例もあるのでご紹介します。
・あるガット弦メーカー(X社)ではヴァイオリンのE線用として販売している太さ(ゲージ)が、別のガット弦メーカー(Y社)ではヴァイオリンのA線用として販売されているという例
一般的なナイロン弦(シンセティック弦)においては、上記のような例は「あり得ません」が、裸のガット弦では「あり得る」ことなのです。
上記の例の場合、X社のヴァーニッシュガットのA線は、一般的なナイロン弦のA線よりも太いですが、Y社のヴァーニッシュガットのA線は、一般的なナイロン弦のA線と同じか、それよりも多少細いです。
裸のガット弦は太くて弾きにくい、と思っている方は、Y社のように「細くても十分に丈夫で音量もパワフルな」ヴァーニッシュガット弦を試してみると良いでしょう。
・あるガット弦メーカー(X社)ではヴァイオリンのE線用として販売している太さ(ゲージ)が、別のガット弦メーカー(Y社)ではヴァイオリンのA線用として販売されているという例
一般的なナイロン弦(シンセティック弦)においては、上記のような例は「あり得ません」が、裸のガット弦では「あり得る」ことなのです。
上記の例の場合、X社のヴァーニッシュガットのA線は、一般的なナイロン弦のA線よりも太いですが、Y社のヴァーニッシュガットのA線は、一般的なナイロン弦のA線と同じか、それよりも多少細いです。
裸のガット弦は太くて弾きにくい、と思っている方は、Y社のように「細くても十分に丈夫で音量もパワフルな」ヴァーニッシュガット弦を試してみると良いでしょう。
[43832]
Re: ヴァーニッシュ・ガット弦
投稿日時:2011年10月25日 21:58
投稿者:ガットラヴァー(ID:QJVJYIM)
バロックヴァイオリンではない現代のヴァイオリンに、ヴァーニッシュガット弦を張るときの組み合わせについて、補足説明します。前回の①②以外に、次のような組み合わせもOKです。
③低域2本をロープガットにする
E:ロウツイスト
A:ロウツイスト
D:ロープガット
G:ロープガット
④ロウツイストのA線とロープガットのG線の橋渡し役としてD線をハイツイストにする
E:ロウツイスト
A:ロウツイスト
D:ハイツイスト
G:ロープガット
⑤A線もハイツイストにする
E:ロウツイスト
A:ロウツイスト
D:ハイツイスト
G:ロープガット
どの組み合わせを選ぶかは、楽器との相性、演奏者との相性によって決まります。色々試して一番良い結果が出るものを選択する、というのが、時間もお金もかかりますが、最も確実な方法です。
裸のガット弦は、市販のナイロン弦の何倍も幅広い選択肢(ヴァラエティ)があるので、自分のヴァイオリンに合うセッティングをとことんまで追究できるというのが最大のメリットと言えます。
③低域2本をロープガットにする
E:ロウツイスト
A:ロウツイスト
D:ロープガット
G:ロープガット
④ロウツイストのA線とロープガットのG線の橋渡し役としてD線をハイツイストにする
E:ロウツイスト
A:ロウツイスト
D:ハイツイスト
G:ロープガット
⑤A線もハイツイストにする
E:ロウツイスト
A:ロウツイスト
D:ハイツイスト
G:ロープガット
どの組み合わせを選ぶかは、楽器との相性、演奏者との相性によって決まります。色々試して一番良い結果が出るものを選択する、というのが、時間もお金もかかりますが、最も確実な方法です。
裸のガット弦は、市販のナイロン弦の何倍も幅広い選択肢(ヴァラエティ)があるので、自分のヴァイオリンに合うセッティングをとことんまで追究できるというのが最大のメリットと言えます。
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Re: ヴァーニッシュ・ガット弦
投稿日時:2011年10月25日 22:28
投稿者:ストリング(ガット)(ID:QgGAkjI)
ここの解説も分かりやすい!
tennis365.net/help/shopping/select/strings/01.html
tennis365.net/help/shopping/select/strings/01.html
[43839]
Re: ヴァーニッシュ・ガット弦
投稿日時:2011年10月27日 17:35
投稿者:ガットラヴァー(ID:QJVJYIM)
裸のガット弦の取り扱い方法について(英語での詳細な解説)
ttp://www.nrinstruments.demon.co.uk/InstMain.html
中でも特に
G: STRING GROOVE SHAPES IN THE NUT AND BRIDGE
の記事は、裸のガット弦を長持ちさせ、ブレイクインタイム(ピッチが安定するまでの時間)を短くするのに役立つ情報が書かれてますので、参考にして下さい。
ttp://www.nrinstruments.demon.co.uk/InstMain.html
中でも特に
G: STRING GROOVE SHAPES IN THE NUT AND BRIDGE
の記事は、裸のガット弦を長持ちさせ、ブレイクインタイム(ピッチが安定するまでの時間)を短くするのに役立つ情報が書かれてますので、参考にして下さい。
[43840]
Re: ヴァーニッシュ・ガット弦
投稿日時:2011年10月27日 17:38
投稿者:ガットラヴァー(ID:QJVJYIM)
先ほど紹介した記事は、英国のNRI社(Northern Renaissance Instruments)のホームページの記事ですが、このNRI社のヴァーニッシュガット弦も秀逸ですので、一言申し添える次第です。
[43846]
Re: ヴァーニッシュ・ガット弦
投稿日時:2011年10月28日 20:23
投稿者:ガットラヴァー(ID:QJVJYIM)
音色というものは人によって好みがあるので、一概に、どういう音色が一番良い、とは決められませんが、音量というのは、大きいか小さいかという問題なので、比較が容易です。
裸のガット弦の音量は、そのヴァイオリンにとって最適なゲージを張って、うまくバランスを取ることができた場合、
裸のガット弦>ナイロン弦(あるいは巻きガット弦)
というように、裸のガット弦の方が、より大きな音量が得られます。
裸のガット弦の音は、金属巻きの弦に比べて耳元でキンキンしないので、演奏者の耳に優しい弦ですが、聴衆に伝わる音量は十分に大きな音量ですし、最新鋭のナイロン弦を上回るほどの大音量を得ることも可能です。
なお、裸のガット弦に防水加工を施したヴァーニッシュ・ガット弦についても、音量はノンバーニッシュのガット弦と同様です。
裸のガット弦の音量は、そのヴァイオリンにとって最適なゲージを張って、うまくバランスを取ることができた場合、
裸のガット弦>ナイロン弦(あるいは巻きガット弦)
というように、裸のガット弦の方が、より大きな音量が得られます。
裸のガット弦の音は、金属巻きの弦に比べて耳元でキンキンしないので、演奏者の耳に優しい弦ですが、聴衆に伝わる音量は十分に大きな音量ですし、最新鋭のナイロン弦を上回るほどの大音量を得ることも可能です。
なお、裸のガット弦に防水加工を施したヴァーニッシュ・ガット弦についても、音量はノンバーニッシュのガット弦と同様です。
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