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擬似新品処理 | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 4 Comments
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擬似新品処理

投稿日時:2011年12月25日 02:15
投稿者:アンダンテ(ID:QJVJYIM)
新作ヴァイオリンをオールド風に見せかけるために擬似オールド処理(アンティーク処理)が施されることがありますが、その逆に、多少使われて傷がついた新作ヴァイオリンを、まるで、ほとんど弾かれずに大切に保管されてきた新品のヴァイオリンのように見せかける擬似新品処理という手法があるそうです。
こうした擬似新品処理については初耳の方が多いかと思います。
とある工房で、擬似新品処理を行なう工程を見学させてもらったのでレポートしたいと思います。
爪が長い奏者、あるいは、ヴァイオリンの扱いがやや雑な奏者、などによって少々傷つけられた、いわゆるニス傷のある新作ヴァイオリンのニスを、巧みなリタッチ技術によって、出来立ての新品に近い状態まで復元するのですが、その作業工程を見ていて驚いたのは、ニスを塗るリタッチ技術の巧みさもさることながら、リタッチした後に、リタッチした箇所とその周辺を磨いて、段差を解消して艶や質感を、オリジナルのニスにほとんど完全に同化させてしまう技術でした。
ニス傷の多さや深さにもよるようですが、2~4週間に及ぶ擬似新品処理が終わると、5年から10年くらい演奏されてきた多少ニス傷のある新作ヴァイオリンが、ほんの数ヶ月しか演奏されていない新品状態にまで復元します。
蛍光灯の光の下で肉眼で見た場合は、リタッチした場所を教えてもらっても、どこをリタッチしたのか全然わかりません。白熱灯のスタンドの光を当ててルーペで拡大して見ると、リタッチした跡がなんとなくわかりますが、リタッチした場所を教えてもらわなければ、見分けることが困難なぐらいリタッチの形跡が隠れています。
この工房には、試奏された際にニス傷がついてしまった弦楽器店の展示楽器が運びこまれることが多いようですが、新作ヴァイオリンの愛用者でニス傷を極度に嫌う人が愛用の新作ヴァイオリンを持ち込むことも多いようです。
2ヶ月から3ヶ月預けて徹底的にニス傷を消す作業を依頼する潔癖症な方もいるようです。
工房で作業を見せてもらって、擬似オールド処理も高度で困難な技術なのだろうと思いますが、この工房が行なっている擬似新品処理は、ある意味では、擬似オールド処理以上に難しいのではないかと思いました。
世の中にはすごい人がいるものだなあと驚きました。
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Re: 擬似新品処理

投稿日時:2011年12月25日 23:55
投稿者:Xin(ID:ImOJlEM)
製作中にもキズを付けたり、角を欠いてしまうことがあります。
大きく割れてもすぐに切りくず木片の中から破片を見つけて補修をすれば判らなくなります。
ぶつけてへこんでも元に戻す方法はあります。
塗装中に爪を当てたキズや付着したごみは一回分塗装回数を増やせば判らなくなります。
失敗する箇所は決まっているので、ストラドの名器でも見る人がみれば拡大写真でアラが見えます。
製作の名人は補修の名人でもあります。
参考動画です。
ttp://www.youtube.com/watch?v=adNrXit0p1w&feature=related
隠したキズはあるものです、数メートル離れて判らなければ気にしないことです。
接着のはがれや弦高の異常は外観は良くてもすぐに補修に出すべきです。
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Re: 擬似新品処理

投稿日時:2011年12月27日 17:39
投稿者:アンダンテ(ID:QJVJYIM)
Xinさん、深いご造詣を感じさせるコメントありがとうございます。
製作は一切やらない補修専門の超絶的名工も居ます。イタリアの新作ヴァイオリンから、モダンやオールドに買い換える際に少しでも下取り査定をアップさせるには、擬似新品処理は非常に有効なようです。1ヶ月かけて徹底的にニス傷消去をやってもらうと5万円から10万円かかるようですが、下取額が20万円から30万円アップすることもあるようなので、費用対効果はバッチリなようです。
そのヴァイオリンを製作した職人本人が、そのヴァイオリンを製作する際に塗ったオリジナルニスを使ってニス傷のリタッチをしたとしても、擬似新品処理の超絶的名工にはかなわないだろうと思います。
製作者本人が唖然とするであろうほどの驚異的な仕上がりなのに、リタッチに使うニスは、市販の、いわゆる出来合いのアルコールニスです。速乾性のアルコールニスなので朝昼晩と3回も塗り重ねることができるようです。急ぎの客の場合は1日に5回塗り重ねることもあるようです。ニスを乾かす部屋は、湿度40%前後、室温25度前後とのことです。
オリジナルのニスとは異なる市販のニスを塗っているのに、肉眼では同じ色に見えるようにリタッチできる技術には、ただただ驚かされます。
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Re: 擬似新品処理

投稿日時:2011年12月29日 13:00
投稿者:アンダンテ(ID:QJVJYIM)
ニス傷を隠すためにニスを塗るリタッチの技術もさることながら、リタッチしたニスが乾いた後にオリジナルのニスとの段差や艶感の違いを是正するための磨き作業を見せてもらったのですが、この磨き作業にこそ、擬似新品処理の奥義があるのではないかと思いました。
専用の薬液やペーストを使って塗り跡を目立たなくするのですが、1箇所のニスをリタッチするのはほんの数秒で終わるのに対して、1箇所の磨き作業には数分から数十分かけて非常に慎重に作業を進めていました。
リタッチの技術があまりにも巧みなので磨く前の状態でもニス傷はあまりわからなくなっていますが、磨いた後はどこにニス傷があったのか本気で探さないと見つからないくらいになります。
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Re: 擬似新品処理

投稿日時:2011年12月29日 14:29
投稿者:Xin(ID:ImOJlEM)
私は小さなニスキズなら、筆を使わないで筆跡が残らない方法でニスをぬります。
ニスを塗ったら磨きもいらず終わりです。
有る程度広範囲にぼかして薄くぬるのがよいのではないかとおもいます。
塗装のリタッチで難しいのは色の経年変化です
中古車の板金修理で新車とは色合いが変化しているので色あわせが難しいときいたことがあるとおもいます。車の修理屋さんは全塗装を勧めるはずです。部分塗装よりも技術が不要で楽だからです。
ニスでも同様にリタッチ直後は色が合っていても経時変化で色が変わります、特に龍血の赤系統は変化しやすいと聞いています。これは三百年も継続観察したことがないので伝聞です。

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