ヴァイオリン・ウェブ | Violin Web
ヴァイオリン・ウェブ | Violin Web

弦楽四重奏の響き(音程) | ヴァイオリン掲示板

ヴァイオリン好きのための情報サイト ヴァイオリン・ウェブ
[48041]

弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月10日 12:37
投稿者:スガラボット(ID:E4QmB4I)
この掲示板も少し落ち着いてきて、静かに音楽や演奏技術の議論が出来ることを期待ししつつ標題のスレッドを立ち上げてみようと思います。

今年の9月17日~20日に四回にわたって東京クァルテット創設メンバーのチェリスト、原田貞夫さんのインタビュー記事が日経新聞に掲載されました。1969年の東京クァルテット結成の翌年、難関のミュンヘン国際コンクールで優勝する直前に一軒家を借りて7週間もこもって毎日10時間くらい練習したエピソードなども紹介されていて興味深い連載でした。

連載第4回目の記事で、1999年に原田さんが東京クァルテットを脱退されたときの状況について次のように語っています。『彼(2代目の1stVn、ピーター・ウンジャン氏のこと)が指の故障で脱退せざるを得なくなった時、次のバイオリニストが入りましたが、どうにもなじまないと思いました。僕が思う東京クァルテットの音とは、精緻なアンサンブルや「シルキーサウンド」と呼ばれたなめらかさ、和音の美しさです。それが保てないのなら続ける意味がない、と悩んだ末、辞めることにしました。…』

これを読んで思い出したことがあります。実は2~3年前、NHKテレビで今のメンバー(実は東京クァルテットは今年の夏に解散したのでの今はないのですが…)が札幌郊外の別荘で演奏したバーバーの『弦楽のためのアダージョ』(カルテット版が原曲で弦楽四重奏第1番 Op.11の2楽章ですね)が放映された時のことです。さすが東京クァルテットだけあって各メンバーの腕は達者で……、ん?、でも全然ハモらない。この曲は純正的なハーモニーこそ命なのに、それがハモらないで何が楽しいの?と。(失礼、この曲は哀しい曲でした)

この原田さんの記事を読んであのとき聴いた違和感に胸落ちしたものです。多分あの演奏では各パートが平均律的(もしくはピタゴラス音律的)に弾いていたのでしょう。こういうハーモニーの曲をカルテットで弾く時、その協和性こそが命なのに、それが達成されないのならやる意味がないと。いくら腕利きの奏者が集まろうと、それがカルテットとして成立するには四人の音程感覚に共通の基盤が必要で、それにはある程度の期間と修練が欠かせない事が分かります。

このバーバーの曲は♭が5つつく変ロ短調ですが、もう一つ同じように調号が沢山つく曲で有名なのが♯が6つのハイドン Op.76-5 第2楽章のラルゴでしょう。いずれもアマチュアにとっては難曲ですが、練習には各音を一つずつ響きを確認しながら積み上げていく必要があります。 (以下続く)
ヴァイオリン掲示板に戻る
2 / 3 ページ [ 25コメント ]
[48063]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月10日 18:49
投稿者:たく(ID:MFSYN4U)
スガラボットさん

[48058]
[48058]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月10日 17:18
投稿者:スガラボット(ID:E4QmB4I)
たく さん、
> 弦楽四重奏(音程)と弦楽合奏(音程)は基本的には共通すると考えて宜しいのでしょうか。

基本的には共通すると思いますが……、やはり多人数で演奏することもあり厳密性が多少甘くなるのはやむを得ないこともあります。また複数の楽器で同じ音を弾くアンサンブルでは、それに内包される音程の幅(揺らぎ)故に、人が感じる純正的な響きにもある程度の許容度が出てくるのではないでしょうか。

それと弦楽合奏で多く採り上げられるヴィヴァルディやコレルリ以前のバロックの曲はそれなりの古典音律で演奏していたのすから、その音律を追求するのはある意味自然の流れでしょう。最近は古楽器による演奏も珍しくなくなってきましたが、昨年僕がマルタで聴いたヨーロッパ・バロックアンサンブルなどは、曲と曲の間に随分時間をとって、次にやる曲の調律をチェンバロから一々やり直していました。楽団のリーダー曰く「昔はこの様に一曲ずつ調律をやり直していて、大変だったんですよ」と。

またモーツアルトの時代までは、コンマスの役割というのは次に弾く曲のチューニングをチェンバロを基準に各パートに徹底することが第一の仕事だったと言われています。

あともう一つ、弦楽合奏の特徴はコンバスが入ることです。そのため、チェロなどの低減パートはそのコンバスに乗った音を出す必要があります。音程だけでなくそういう音質が出る奏法で弾く必要があると思います。当然、音程の取り方についてのポイントはカルテットと共通する要素が多い筈です。
のご説明ありがとうございます。納得しました。

弦楽合奏では弦楽四重奏より響き(音程)の厳密性を追及することが困難なのですね。でも、実際の練習では弦楽四重奏のつもりで、議論しないといけないように思えますので、そういう気持ちで、このスレッドの内容を勉強させてください。

それと、現時点では、曲と曲の間でチェンバロに調弦を合わす余裕はありませんが、少しづつでも、実践できれば素敵だなと感じました。

<あともう一つ、弦楽合奏の特徴はコンバスが入ることです。そのため、チェロなどの低減パートはそのコンバスに乗った音を出す必要があります。>←これは、実践しております。

ありがとうございました。
[48064]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月10日 19:41
投稿者:スガラボット(ID:E4QmB4I)
それともう一つ、

カルテット四人で練習をする時は、必ず録音をするようにしています。録音機は市販のフィード・レコーダーでも十分ですが、なるべくナチュラルなサウンドで録音できるものが良いです。録音フォーマットはCD音質でも十分ですが、出来れば最近はやりのハイ・レゾリューションのものが良いでしょう。しかし、録音レベルを自動で調節するAutoモードは良くありません。これだとフォルテもピアノも関係なく一定レベルで録音されてしまいます。最近では安価でもナチュラルに録音できるZOOM社のH2nなどがお勧めです。

練習時に侃々諤々、百の議論をするより、録音した結果を聞き直してみるとそれぞれのパートのマズかったところが一目瞭然です。こうして書くメンバーが反省し、次回の練習に備えることです。楽譜を見ながら録音を聞き直し、気付いたところはその修正ポイントを書き入れます。

演奏中は、つい弾くことに夢中で自分で気付かなかった欠点が録音によって客観的に確認できます。また、奏法上の自分の欠点やフレーズの作り方方について、自分の意図したものの差がさらけ出されます。以前は自分の演奏の録音を聴くことは耐えがたいことでした。でも、まわりの人にはこの様に聞こえているのですから、それを無視して向上はあり得ません。自分の演奏と真摯に向き合うことが絶対に必要です。バイオリンやビオラは演奏している本人には、骨伝導もあってまわりの人が聴いている音とは異なっているものです。演奏中に自分が聴いた音の記憶と、あとから録音で聴いた自分の音を比較して、そのギャップを埋める努力をすることも演奏技術向上のための重要な要素だと思います。
[48065]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月10日 20:16
投稿者:Tako(ID:KWYGkxI)
スガラボットサンの仰るとおり、カルテットの練習を録音すると、言った言わないに類した意見の対立が回避でき、有効だと思います。ところで、便乗して恐縮ですが、バイオリンの音をコルグのMR-2で録音していますが、イメージより線が細く枯れた音に感じています。バイオリンの音が忠実に(近く)録音できるマイクをご存知でしたら教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
[48066]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月10日 20:18
投稿者:スガラボット(ID:E4QmB4I)
CDと合わせて練習した時に少し奇異に感じた経験について少し述べてみたいと思います。

前にも書いた♯が6つのハイドンのラルゴ(OP.76-5 第2楽章)を練習していた時です。色々なCDがありますが、たまたまハイドンの弦楽四重奏全曲を納めたアルバムがあったので、そのCDに合わせて弾いてみたのです。カルテットの名前は"The Angel String Qualtet"、あまり名は知られていないようですが、ロスアンジェルス由来のカルテットのようで、ハイドン全曲をフィリップスからリリースするだけあって、中々のアンサンブルとハーモニーを達成しているグループだと思いました。

するとこのラルゴ、例えばビオラの最初の音はAisからなのですが、これが随分低いのです。僕の古典音律にセットしたチューナーと比較すると15~20セント近く低く感じました。確かにシャープが6つもつけば開放弦と共鳴する音はほとんどなく、たまに出てくるHisがC弦と、或いはfesがバイオリンのE弦と共通するくらいで、全ての音は各パートが押さえる指の位置に依存している訳です。だから演奏のピッチが多少高かろうが低かろうが
和声的には四人のアンサンブルでハーモニーはどうにでもなるとはいえ、僕は「えっ、そうなの?」と違和感を覚えたものです。

ところが、この曲をいつものメンバーではなく、もう一つ仲間と演っているカルテットで合わせた時、その時の1stVnは芸大出のプロ奏者でしたが、殆どこのCDと同じ音程で曲が始まっのです。チューナーなど使わないプロ奏者がこういう曲の音程をとる時、こういう音程の取り方をするのだなと感じた次第です。

チューナーによる音律感覚がプロの演奏現場では絶対ではないのだなと感じた経験でした。
[48067]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月10日 22:41
投稿者:スガラボット(ID:E4QmB4I)
[48058]
[48058]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月10日 17:18
投稿者:スガラボット(ID:E4QmB4I)
たく さん、
> 弦楽四重奏(音程)と弦楽合奏(音程)は基本的には共通すると考えて宜しいのでしょうか。

基本的には共通すると思いますが……、やはり多人数で演奏することもあり厳密性が多少甘くなるのはやむを得ないこともあります。また複数の楽器で同じ音を弾くアンサンブルでは、それに内包される音程の幅(揺らぎ)故に、人が感じる純正的な響きにもある程度の許容度が出てくるのではないでしょうか。

それと弦楽合奏で多く採り上げられるヴィヴァルディやコレルリ以前のバロックの曲はそれなりの古典音律で演奏していたのすから、その音律を追求するのはある意味自然の流れでしょう。最近は古楽器による演奏も珍しくなくなってきましたが、昨年僕がマルタで聴いたヨーロッパ・バロックアンサンブルなどは、曲と曲の間に随分時間をとって、次にやる曲の調律をチェンバロから一々やり直していました。楽団のリーダー曰く「昔はこの様に一曲ずつ調律をやり直していて、大変だったんですよ」と。

またモーツアルトの時代までは、コンマスの役割というのは次に弾く曲のチューニングをチェンバロを基準に各パートに徹底することが第一の仕事だったと言われています。

あともう一つ、弦楽合奏の特徴はコンバスが入ることです。そのため、チェロなどの低減パートはそのコンバスに乗った音を出す必要があります。音程だけでなくそういう音質が出る奏法で弾く必要があると思います。当然、音程の取り方についてのポイントはカルテットと共通する要素が多い筈です。
のpochi さん、

最初の演奏は本当にクレメルですか?あんなに歳とってましたっけ。

二番目の鷲見さんのガボットは典型的なソリスト的音程で、二つ目のFisの音程などは相当高めにとっていますね。そのせいか楽器の響きはクレメルより倍音の協和性において良くないように思いました。

調弦についてはこれだけでは何ともいえませんが、完全五度よりあまり狭めにとっているようには感じません。弦楽四重奏など純粋なアンサンブルをするにはあまり一緒にやりたいタイプではありませんが、ソリストとしてはこう言うのもありなんでしょうね。

オーケストラをバックにソリストがコンツェルトを弾く時、必ずしもバックのオケと同じ音程・音律で弾く必要は無くて音程も少し高めの方がオケに埋もれることなく浮き上がって聞こえたりします。

以前、NHKテレビで、VnのK田T子さんがモーツァルトのVnコンツェルトを弾くのを聴きましたが、彼女の音程が余りにもオケと純正的に響和していて、ソロとしてはオケに埋もれてしまっていたのを思い出します。ソリストに求められる音楽性・音程感覚はその他一般のテュッティを弾く場合とはまた一味違うものが要求されるのではないでしょうか。
[48069]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月11日 03:20
投稿者:pochi(ID:JpZ3giU)
[48060]
[48060]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月10日 17:52
投稿者:スガラボット(ID:E4QmB4I)
ヴァイオリンとフルートのど素人 さん、
> 第一ヴァイオリンのAに他のメンバーが合わせ、A以外の弦については五度調弦を確認して、全員が調弦完了するのであろうと思います。それで4つの楽器どうしの調弦が完全と言えるのか

当然、調弦するとき他のメンバーのチューニングも聴いています。それでもし誰かの弦の調弦が自分と異なると感じた時は、その音だけ二人で出し合って納得のいくまで合わせます。その確認無しに弾き始めるのでは演奏に対する真摯さが足りないと思います。

でも普通慣れてるメンバー同士の場合、それぞれがチューニングを終えた段階で多くても1~2セント以内の誤差になっていると思います。
スガラボット氏 [13/12/10 17:52:26]投稿、
>でも普通慣れてるメンバー同士の場合、それぞれがチューニングを終えた段階で多くても1~2セント以内の誤差になっていると思います。

平均律(古典調律)でも、実際には人間の耳で合わせます。
ttp://www.simonhendry.co.uk/wp/wp-content/uploads/2012/08/inharmonicity.pdf
ttp://dafx04.na.infn.it/WebProc/Proc/P_212.pdf
ttp://www.musica-osaragi.jp/R60/index-1.html
ttp://www.musica-osaragi.jp/R60/images10/Railsback-curve-00A.jpg

どのようにお考えですか?
[48076]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月11日 06:56
投稿者:たく(ID:MFSYN4U)
スガラボットさん

録音機のお話ありがとうございます。実は録音にうるさい先輩から推薦していただいたZoomのH2を販売当初より、愛用しています。欠点は、画面が小さくて、それが辛いですね。ド近眼の老眼なので、操作する時は、眼鏡を外して操作します。近眼なのでそれが可能です。
[48081]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月11日 13:34
投稿者:スガラボット(ID:E4QmB4I)
[48069]
[48069]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月11日 03:20
投稿者:pochi(ID:JpZ3giU)
[48060]スガラボット氏 [13/12/10 17:52:26]投稿、
>でも普通慣れてるメンバー同士の場合、それぞれがチューニングを終えた段階で多くても1~2セント以内の誤差になっていると思います。

平均律(古典調律)でも、実際には人間の耳で合わせます。
ttp://www.simonhendry.co.uk/wp/wp-content/uploads/2012/08/inharmonicity.pdf
ttp://dafx04.na.infn.it/WebProc/Proc/P_212.pdf
ttp://www.musica-osaragi.jp/R60/index-1.html
ttp://www.musica-osaragi.jp/R60/images10/Railsback-curve-00A.jpg

どのようにお考えですか?
pochi さん、

色々な例を引かれているのはピアノの「インハーモニシティ」についてですね。これは低い音域の音は低めに、高い音域の音は高めに調律して全体として倍音の響きを整える鍵盤楽器独特の調律テクニックです。

実は前に紹介したKORG社のMT-1200というチューナーにはこのインハーモニシティ機能が組み込まれていて、そのモードにセットするとそれに従って針が振れると言う訳です。しかしながら、これもあくまで平均値で、ピアノや張ってあるビアノ弦に個体差があるため、実際の調律現場では耳を頼りに一番美しい倍音が出るようにしているようです。

あとチェンバロなどでも、二音を叩いて、そのうなりを腕時計を見ながら数えて既定値に整えることが行われているようです。この様に調律現場はあくまでも「耳」なのですね。但し、一度耳を使って精密に調律したあと、その結果の数値をメモしておいて、次に調律する時はそのメモを頼りに機械で調律して時間短縮を図るということは行われているようです。
[48083]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月11日 16:49
投稿者:たく(ID:JoCZmDA)
そうか、読み間違いでした。

H2ではなくH2nですね。
[48084]

Re: 弦楽四重奏の響き(音程)

投稿日時:2013年12月11日 17:06
投稿者:pochi(ID:JpZ3giU)
スガラボット氏、

私が問題にしているのは、レイルスバック・データ(インハーモニシティー)そのものではなく、実際のピアノ調律の値との差です。ヴァイオリンのGだと10セントくらいの差があるように見えます。

聴感上、これで平均律に聴こえるから、このように調弦しているはずなので、古典調律であっても、同じくらいの差があるはずです。
ヴァイオリン掲示板に戻る
2 / 3 ページ [ 25コメント ]