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木工パテによる穴埋め | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 24 Comments
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木工パテによる穴埋め

投稿日時:2014年01月21日 18:23
投稿者:羅留吾(ID:QZWWUiU)
弓のフロッグをぶつけた際にできた凹みキズを、市販の水性の白い木工パテを使って穴埋めして、さらに、そのパテの上からアルコールニスを塗って修理する工程を見せていただきました。
2から3ミリの凹みキズが、わずか2日間で、ほぼ完全に元通りに穴埋めされて、色もオリジナルとそっくりな状態に復元していて、どこに凹みキズがあったのか、そのモダンバイオリンの持ち主も、ほとんどわからないほどでした。
どんな方法で修理するのか以前から興味があったので全部の工程を見せていただいたのですが、職人さんの見事な手際に感心しました。
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Re: 木工パテによる穴埋め

投稿日時:2014年03月18日 20:20
投稿者:羅留吾(ID:QZWWUiU)
ヴァイオリンとフルートのRio さんがおっしゃっている
>物がぶつかって生じたくぼみで、かつ、木材が一部でも失われていない場合には、その部分の木材が圧縮されているだけですから、水分、もしくは水分と熱を与えるとかなり戻ります
という手法についてですが、2回目に行った修理工房では、修理職人さんが、木工用パテで修理する前に、その手法を実際に試みていらっしゃいました。残念ながら、この方法では凹みキズがほとんど回復しなかったので、木工用パテで凹みを埋めて、その後、ニスを塗るという修復が行なわれました。
1回目に行った工房では、ごく浅いキズであれば透明なニスで凹みを埋めてから、その後に色ニスを塗るという修理方法もあるという説明を受けましたが、2回目に行った工房では、凹みキズの深さが2ミリ未満で凹みキズの広さが2ミリ四方程度という小さいキズであれば、埋め木をする修理方法よりも木工用パテで凹みを埋める修理方法の方が、仕上がりが綺麗で修理跡が目立たなくなるので良いという説明を受けました。
凹みキズに木工用パテを埋めた、ということは、その上にニスを塗った後となっては、ほとんどわからない状態です。キズが浅くてニスだけが欠けたようなキズには木工用パテは使わずに直接ニスを塗ってありますが、木工用パテで埋めた後その上にニスを塗った箇所と、木工用パテを使わずに直接ニスを塗った箇所を見比べても、ほとんど差を感じません。木工用パテを埋めた箇所とそうでない箇所を知っている自分が見ても、ほとんどわからないので、初めてそのバイオリンを見る人には、木工用パテで埋めた後その上にニスを塗った箇所と、木工用パテを使わずに直接ニスを塗った箇所を明るいところでじっくり見比べたとしても、全く違いがわからないだろうと思います。
とにかく、修理職人さんが木工用パテで凹みキズを埋める技術とその後のニス塗り技術の巧みさには、本当に驚かされました。
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Re: 木工パテによる穴埋め

投稿日時:2014年03月18日 23:10
投稿者:Xin(ID:gDg1KWA)
●水で戻す
軽くぶつけた浅い凹みを水でもどすのは有効は手法ですリペアだけではなく、新作時でもこの手法はつかえます
たとえば、プレートの縁のパーフリングの溝を彫るときに、ナイフで切り込むと、溝の入口がつぶれて広がってしまいます、
これを水で戻せば、きれいな溝に成形できます。

また、スプルースの夏材部は柔らかくて、ニスを塗る前に切れないスクレーパーで削ったり、サンドペーパで強く磨くとつぶれてしまい、
固い冬材部と平滑にしたつもりでも、ニスを塗ってから期間がたつと膨れてきて年輪が凸凹になって目立ってしまいます、
水で膨潤させてから軽く磨いて平滑にします。
水を使う手法は昔からおこなわれているらしくHeron Allenの「Violin Making」でも、水で洗えと書いてあります。
米国ではケロシンで洗えと書いてある本があります。

●石膏で盛る
入門用のヴァイオリンでスクロールの加工ミスを石膏で盛り上げてあるのをみたことがあります、
鋸で切りすぎたのは別材を張り付けるのが本手でしょうが、石膏で盛る方が簡便なのでしょう、
石膏は白いのですがニスが染み込むと、見た目では判らなくできます。
縄文式や弥生式土器の復元にも石膏は使用されますが、pochiさまが書かれたように、
修復が判るような色をつけるらしいです、元が白いほうが色合わせは楽です。
新品同様に戻さないのは岡倉天心でしょうか。

●パテの成分
確かに、近年ではウッドパテが使われています、どのような成分のパテを使うかのほうが問題です。
昔は、木の粉末を膠で練ったらしいですが、意外と色合わせが困難です。
膠や澱粉のりは乾燥やせします、エポキシ系が収縮しないので補修用としては使いやすいでしょう。

●凹み量
一般的に見た目の凹みの深さは測定値よりも深くなります
慣れてくると0.01mmでも手で撫でて凹みを感じます。
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Re: 木工パテによる穴埋め

投稿日時:2014年03月19日 12:35
投稿者:吉野(ID:Z1aZYkA)
Xin様のご意見には深い造詣が感じられますね。ヴァイオリンの製作や修理に精通されたお方と拝察いたします。

それにしても石膏で盛るという手法があるとは!

ウッドパテなんて禁じ手なのではと思いましたが、最近は使われているんですね。修理修復の世界も奥が深いと感じました。
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Re: 木工パテによる穴埋め

投稿日時:2014年03月19日 20:17
投稿者:羅留吾(ID:QZWWUiU)
Xinさんのご解説はとても勉強になります。凹みキズの直し方には色々な方法があることが良くわかりました。2回目に行った修理工房では木工用パテを指で軽く圧するときの絶妙さもさることながら、2回目に行った修理工房では木工用パテの後にニスを塗った後に、オリジナルニスと修理のニスの境目がわからなくなるように境目をぼかずために、GLANOLという貴金属を磨くペーストを麵棒に含ませて軽く擦っていました。GLANOLで擦る前は、多少オリジナルニスと修理のニスの境目が多少目立っていましたが、GLANOLで軽く擦ると境目がほとんどわからなくなりました。まるで手品を見ているようで、不思議なくらい手際が良くて驚きました。
木工パテ埋めやニスの色合わせはすごく難しいだろうと思いますが、修理のニスを塗った際にできるオリジナルニスとの段差というか境目を目立たなくするのも、かなり難しいだろうと思いました。
木工用パテにしてもGLANOLにしても、100年以上前の修理職人さんが見たら、「こんな便利なものがあるのか。」と驚いて欲しがるのではないかと思います。
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Re: 木工パテによる穴埋め

投稿日時:2014年03月20日 00:27
投稿者:QB(ID:kUCDMEA)
Xin氏の紹介された、音響から多少遠い部位はプラスターも有るのかもしれませんね。

消耗品クラスの楽器は別にして、
>100年以上前の修理職人さんが見たら、「こんな便利なものがあるのか。」と驚いて欲しがるのではないかと思います。

は、どうかな?と思います。
HANS WEISSHAARの書いたリペアの本は、何世代も受け継がれる楽器を扱っている修理人であれば無視できない存在だと思いますが、、、そういう見地からすると、パテで表板 or 裏板の凹みを塞ぐ楽器はそのクラスの楽器なのではないかと考えます。またそれを持って(+色合せの技術を持って)修復の至高の技のごとくことさら持ち上げるのも、ちょっと違うと思います。 それはそれで立派な技術であることに異論はありませんがね。
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Re: 木工パテによる穴埋め

投稿日時:2014年03月21日 11:59
投稿者:羅留吾(ID:QZWWUiU)
キズの深さが1ミリ未満の浅い凹みキズを、同じ職人さん(とても腕の良い職人さん)に、埋木の方法と木工用パテで埋める方法で修理した場合を比較させてもらいました。ニスを塗る前の段階、つまり、埋木した段階や木工用パテで埋めた段階、同士で比較すると、木工パテの方が凹んでいない部分と凹みを埋めた部分との境目や段差が目立たなかったです。色も、埋木よりも木工用パテの方が、元の木の色に似ているぐらいでした。
その上にニスを塗った後の最終的な仕上がりを比較すると、真上から見ると、あまり差が感じられませんでしたが、斜め方向から色々と角度を変えて見ると、木工用パテの方がキズ跡が目立たなかったです。ニスを塗る前の凹みを埋めた時点でのキズ跡の目立たなさがそのままニスを塗った後の仕上がりにも反映していることを実感しました。
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Re: 木工パテによる穴埋め

投稿日時:2014年04月26日 21:49
投稿者:羅留吾(ID:SSEXJA)
浅い凹みキズを木工パテで埋めしてもらってから約1ヶ月が経過したので、修理してもらったバイオリンを再び同じ工房に持って行って、キズ修理後の経過を見てもらいました。自分の目には、修理の際に塗ったニスの色は、ほとんど変化していないように見えますが、とても腕の良い職人さんが見ると、良い方向に変化してきていて、修理した直後よりも色が馴染んできていて、キズ跡が目立たなくなってきているそうです。
時々バイオリンをケースから出してやって、バイオリンを軽く拭いてやるようにすると、馴染みが早くなるとのことです。あと半年もすれば、キズ跡がほとんどわからなくなるだろうとのことでした。自分としても、今後どのように変化していくのか楽しみに見守りたいと思います。
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Re: 木工パテによる穴埋め

投稿日時:2014年06月20日 00:08
投稿者:羅留吾 (ID:SSEXJA)
友人のバイオリンに弓がぶつかってキズがついたので、木工パテで巧みにキズを埋めてほとんど目立たなくする腕の良い職人さんを紹介して、修理作業を見学させてもらいました。
今回見学して気づいたことは、木工パテが乾燥したときに、木工パテの表面が木地のような風合いになるように、軽く濡らした後、水気を払った麺棒で、乾燥する前の木工パテの表面を軽くなでる、という作業でした。
キズからはみ出した木工パテを濡らした麺棒で拭き取って除去するだけでなく、キズを埋めた部分の木工パテの表面を軽くなでると、木工パテが乾燥したときに、パテの表面がテカテカと光ったりせず、光の反射が抑えられて、まるで木のような自然な風合いになるのです。
このようにすることで、ニスを塗った後も、パテ埋めしたことの違和感を感じさせないような自然な仕上がりになります。
木工パテの色が元の木の色に非常に近いこともあって、ニスを塗る直前の状態は、ニスだけが薄く剥げたように見えるほどで、木が凹んだのを木工パテで埋めたとは思えないくらい自然でさり気ない仕上がりに、改めてすごい技術だと思いました。キズ埋め修理の超絶技巧と言っても過言ではないと思います。
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Re: 木工パテによる穴埋め

投稿日時:2014年08月16日 23:03
投稿者:羅留吾(ID:SSEXJA)
夏休みを利用して工房を訪ね、フランス製のセミオールドバイオリンの凹みキズを修理するところを見学しました。木工パテで修理する際の手際の良さは、何度見ても感心してしまいます。木工パテが乾くと、キズが元通りに直ったかのように修復されています。
ニスを塗る前に、凹みキズの周囲のニスを少し剥がしてから、ニスを塗り始めていました。速乾性のアルコールニスを1日に2~3回ずつ塗っていましたが、最初のうちは、ニスの色が薄いように感じましたが、5日後に15回ぐらいニスが塗られた後は、オリジナルのニスとほぼ同じような色合いになってました。ニスが塗られた後は、もはや、どこが木工パテで修理されたのか、全くわからなくなっていました。
そのままだと新しくニスを塗った部分だけがピカピカで目立つので、セミオールドっぽくなるように、乾いた後のニスを色々なものを使ってこすって、艶消しをしていました。艶消しをした後は、オリジナルのニスと修理ニスの境目がほとんどわからなくなりました。このまま半年ぐらい演奏すれば、このヴァイオリンの持ち主でさえも、どこを修理したかわからなくなるだろうと思いました。まさに職人技といったところで、見ごたえがありました。
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Re: 木工パテによる穴埋め

投稿日時:2014年08月20日 20:38
投稿者:よくできました(ID:kUCDMEA)
始業式には夏休み帳の他に、今回の社会科見学の作文忘れずにね。
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