ヴァイオリン・ウェブ | Violin Web
ヴァイオリン・ウェブ | Violin Web

ヴィブラートのかけ方について その4 | ヴァイオリン掲示板

ヴァイオリン好きのための情報サイト ヴァイオリン・ウェブ
[32432]

ヴィブラートのかけ方について その4

投稿日時:2007年04月01日 03:31
投稿者:catgut(ID:JoVYNnI)
以前のスレッド(ヴィブラートのかけ方 その3)が再び非常に長くなりましたので、新しいスレッドを作成しました。

本スレッドの趣旨は、客観的事実として弦楽器のヴィブラートは基本的には基準音の上下におよそ均等にかかることを前提としてよいヴィブラートのかけ方について検討・議論・情報交換を行うことです。

例えば以下のような話題を想定しています。
・tartiniなど分析ソフトを用いたヴィブラート方法の改善
・従来、基本的に上向きまたは下向きにかけていた奏者が逆の方向にかけるケースについて
・ヴィブラートの仕組みに関連する話題
 等。
ヴァイオリン掲示板に戻る
11 / 13 ページ [ 120コメント ]
【ご参考】
[33150]

Re: ヴィブラートのかけ方について その4

投稿日時:2007年04月21日 18:29
投稿者:catgut(ID:MXOEJhA)
カルボナーレさま、

catgutさんが上下均等と発言されるときの上下の軸は、セントでしょうか、
Hz(周波数)でしょうか、それとも指の角度でしょうか。私はセントのつもりで
考えてきました。

→セントです。
[33165]

Re: ヴィブラートのかけ方について その4

投稿日時:2007年04月22日 01:05
投稿者:父娘でVn始めました(ID:KTlTkzU)
カルボナーレ さま。
[33132]
[33132]

Re: ヴィブラートのかけ方について その4

投稿日時:2007年04月21日 09:22
投稿者:カルボナーレ(ID:KUSZmUA)
いままでの議論をまとめると、
共有されたことは、
「演奏の際には、ビブラートは狙った音程の上下にかかる(かける)。基準音の下だけにかかる(かける)ものではない。」
だけでしょう。わたしもその点については合意しています。

しかし、それ以外はまったく合意されていませんし、
証明もされていませんので、”catgut さんの個人的な感想”にすぎません。
- 基準音の定義について、「調弦によって定義される特定の周波数」=「聴衆に聞かせたい」音程であるcatgutさんの発言に反論はあっても合意した人はいません。大勢は、演奏中のビブラートを論ずる場合は、「聴衆に聞かせたい」音程=奏者が意図した音程=曲や調で異なり奏者の個性によって決まるもので、録音を聴いたり波形を見るだけでは、どこが基準音かはわからない。
- ”およそ”という言葉の定義も曖昧であり、これもきちんと定義しない限り、何か聞かれた時の言い訳のための言葉となる。
- 「聴衆に聞かせたい」音程を中心に、上下に均等に振っているというデータは以前しめされておらず、アマチュアチェロ弾きさんが用意したデータからの、具体的な分析結果も提示されていない。
- 「出したい音程を押さえ、そこから下に掛けて、出したい音に戻す」ことを、狙いのスピードと幅を設定しなが行うことは、短時間にビブラートをマスターする上
では有効な手段であり、指導法としては有効である。従って、”指導上”という点では”演奏上”のビブラートとは切り離して議論すべきとなったはずであり、”指導上”については特に否定するものではない、という方向で話が進んでいる。

”基準音”、”およそ”、”原則的”という曖昧な表現に対して、意識をあわせていけるはずがありません。

なお、”下にかける”(下のみにかける)派の発言は長い議論の中で出ていませんので、演奏時には”下にかける”のではないという点では、データからも経験からも明確であり、意識は合っていると判断しています。
一方、原則とかおよそとかいう言葉を使いながら”基準音を中心に上下均等に”という方向で話をまとめようとしているところについては、まったく合意されておらず、単にcatgutさんの個人的感想でしかありません。そちらの方向に話を進めたいのであれば、例えばアマチュアチェロ弾きさんアップの各演奏家の演奏データに対し(多くのサンプルとしては2曲提示されています)、何を基準音とするかを定義した上で、上下にどのように分布しているかをデータ化して、例えば「80%の音は、振幅の幅の40~60%の位置に基準音が位置する」などという具体的な結果を提示してください。
Re: ヴィブラートのかけ方について その4 [07/04/21 9:22:07]
におけるご指摘には、非常に同感です(ヴァイオリン全く素人のくせに...とお叱りを受けそうですが、めげずに書きます)。
[33166]

Re: ヴィブラートのかけ方について その4

投稿日時:2007年04月22日 01:07
投稿者:catgut(ID:MXOEJhA)
ヴァイオリンにおけるヴィブラートの周波数変動と音圧レベル変動について
北垣郁雄(福岡教育大学)昭和58年9月9日受理

という論文を入手しましたので簡単に紹介します。
検索してみると北垣氏は現在は広島大学教授でヴァイオリンを弾かれるようです。
ttp://www11.plala.or.jp/hirodai-np/069.htm#08

この論文は、簡単に言えば、一人の奏者にヴィブラートを演奏してもらい、この波形と音量をグラフ化して特徴を調べる研究です。ヴィブラートの音程認識は研究内容に含まれません。

北垣氏はヴィブラートのデータを観察し以下の特徴をあげています。

(1)ヴィブラートは、1秒間に5回程度である。
(2)周波数の変動巾は、40-60セントである。
(3)周波数変動の傾斜は、上昇よりも下降の方がゆるやかである。
(4)音圧レベルの変動巾は、4-6[dB]である。
(5)音圧レベルは、大きいときも小さいときも、その近辺では比較的なだらかである。
(6)周波数と音圧レベルの大小関係はほぼ逆である。
(7)しかし詳細に見ると、音圧レベルは周波数が上昇しはじめると同時に下降をはじめるが、周波数が下降する場合は、やや遅れてから音圧レベルが上昇しはじめる。

上記はあくまで特定奏者のデータであり、ヴィブラート一般についてでない
と北垣氏は断っていますが、北垣氏は(3)について、以下のようにコメントしています。

-------------
すなわち、周波数変動の傾斜は下降より上昇の方が急であるが、このことは、「ヴィブラートでは上昇中にその力を注入し、一方下降中にはより自然の状態に戻す(つまり、力を抜く)というメカニズムにもとづく」ということを示しているといえる(尚、筆者の主観であるが、周波数の上昇中の傾斜の強さが、ヴィブラートにおける”音のメリハリ”に影響しているように感ずる)。
-------------

北垣氏はヴィブラートは「上に向けてかけ始める」と想定しているようです。
そうだとすると力強いヴィブラートをかけるなら手前に強く早く手を引いて
その反動で下に戻すことになるので、「周波数の上昇中の傾斜の強さ」がヴィブラートの力強さに比例するのは自然な気もします。
[33199]

Re: ヴィブラートのかけ方について その4

投稿日時:2007年04月23日 19:43
投稿者:catgut(ID:MXOEJhA)
有名奏者Tさんのヴィブラートは特徴的で「タイスの瞑想曲」をtaritiniで見ると、ヴィブラートの上昇と下降に要する時間が3:5の割合で上昇が早い部分が連続している部分がありました。Tさんは全体的に強く張りのある印象を受ける演奏をされる方です。上昇と下降の速度の違いはヴィブラートの印象に影響を与えるかもしれません。電子音でこのようなヴィブラート波形を作ることはできるのでしょうか?

アマチュアチェロ弾きさまはヴィブラートの上昇と下降の速度について何かお気づきになった点はありませんか?

ちなみに北垣郁雄氏の「ヴァイオリンにおけるヴィブラートの周波数変動と音圧レベル変動について」も、周期的FM音(ヴィブラート音)で認識される音程は変調波が対称である場合、ほぼ搬送周波数(周波数変化範囲の中心)に一致するという結果を出している岩宮眞一郎氏らの論文も24年も前の1983年に書かれたものです。「音響学者は現実の演奏をわかっていない」などと決め付けずに、弦楽器関係の雑誌などで時々取り上げたら
よいのではないでしょうか。
[33203]

Re: ヴィブラートのかけ方について その4

投稿日時:2007年04月23日 22:16
投稿者:父娘でVn始めました(ID:KTlTkzU)
玉木先生のご意見が出ましたね。ついに。
[33206]

Re: ヴィブラートのかけ方について その4

投稿日時:2007年04月23日 23:23
投稿者:アマチュアチェロ弾き(ID:MFdyYyU)
catgutさん こんばんは。

ヴィブラートの上昇と下降の速度については、強い関心があります。私が解析ソフトの開発を行おうとしたきっかけが実はその辺にあるのです。ヴィブラートの速度と大きさが(ほぼ)同じなのに、どうして奏者によって(あるいは弾き方によって)硬い/やわらかいといった違いが生じるのか、という疑問を解決したかったのです。例えば正弦波や三角波からのずれを視覚化あるいは数値化すれば何とかなりそうです。プログラミング的にはさほど困難な事ではありません。しかしそれを実用化するためには、ヴィブラート波形をかなりの精度で捕らえる必要があり、また実際の演奏では、速度や大きさ、形状にかなりの揺らぎがあるため、それらをどう扱うかという問題を解決しなければなりません。catgutさんもご存知の通り、Tartiniの新バージョンでその辺の機能を盛り込むとのアナウンスがされていますが、なかなか出てきませんね。恐らくそういった実用性の問題がネックとなっているのではないかと勝手に推測しています。勿論私のほうでも解決出来ていません。

「有名奏者Tさん」て、どなたなのでしょうか? とても気になります。もうちょっとヒントをお願いします。私のUPした10名の中には、いらっしゃらないようです。

皆様へ

私のサイトにタイスの瞑想曲の実際の演奏と波形をUPしてみました。私の友人のVn弾きです。ピアノトリオとか、あちこちのオケでお世話になっています。ここ、見てるかな? ちゃんとUPしたんでよろしく。
波形を見ながら演奏を聴くと、いろいろ面白いことが判って勉強になると思いますよ。

では。
[33209]

Re: ヴィブラートのかけ方について その4

投稿日時:2007年04月24日 00:02
投稿者:catgut(ID:MXOEJhA)
アマチュアチェロ弾きさま
こんな波形です。

ttp://catgut.hp.infoseek.co.jp/vibrato-tk.jpg

ソース音源はromanza(BVCC-31074)Kyoko Takezawaです。
ヴァイオリンの調弦はA=444Hz程度です。
[33210]

Re: ヴィブラートのかけ方について その4

投稿日時:2007年04月24日 00:16
投稿者:アマチュアチェロ弾き(ID:MFdyYyU)
catgutさん

なるほど。私はその音源は持っていませんが、確かにTさんは見た目も音も特徴のある(迫力のある)ヴィブラートですよね。
[33214]

Re: ヴィブラートのかけ方について その4

投稿日時:2007年04月24日 16:29
投稿者:catgut(ID:MXOEJhA)
ストリング誌2007年5月号掲載の玉木宏樹「革命的音楽論」を読みました。本稿によってヴィブラートについて再考される方が多数いらっしゃると思います。詳細はぜひストリング誌でご確認ください。
以下に簡単に「革命的音楽論」の内容を紹介します。

・ヴィブラートについては「何のためにヴィブラートをかけるのか」といった根源的な問いこそが重要。

・「私自身はヴィブラートの向きが上か下か、ということには全く関心がない(というか上下に決まってるじゃろ‥‥というのが私のスタンス)」

・シンセサイザーのキーボードに付いているピッチベンド用スティックを使用して基準音から「上向きのヴィブラート」と「下向きのヴィブラート」のどちらが耳に心地よいかストリング誌の青木編集長に聞いてもらったところ、青木編集長はすぐに「上向き」を選んだ。

・弦楽器のヴィブラートは「固定ピッチ型」だが、歌や二胡のヴィブラートは「ポルタメント系」。歌やニ胡では聞える音程全体が上下に揺れる。

・ヴィブラート幅のトップを音程として認識するというのは間違いだと思われる。前後の音の流れ、和音の流れのなかで音の高さを認識する。

・弦楽器のヴィブラートの根源は上向きだった。
ヴァイオリン誕生以前に存在したフレット付き楽器(リュート、ギター、ヴィオラ・ダ・ガンバ等)でもヴィブラートは使用されたが、フレット付きであるため基準音の上にかけた。

この掲示板は玉木さまもご覧になっていると思いますので、私の理解に間違いがありましたらコメント頂けると幸いです。
[33222]

Re: ヴィブラートのかけ方について その4

投稿日時:2007年04月25日 15:32
投稿者:catgut(ID:MXOEJhA)
パガニーニはギターの名手でもあったわけで、ギターではヴィブラートを上にかけるのに、ヴァイオリンでは下にかけるとは考えなかったでしょう。

みなさまご存知の通り、玉木さまはイントネーションについても大変詳しい方ですから、これ以上ヴィブラートの音程認識とイントネーションを関連づけて議論する必要はないと思います。

ガラミアンはカリスマ的指導者でしたから、ガラミアンの「基準音の下にかける」という指導を信じた方がいるのはやむをえない点があると思います。しかしいくらカリスマ的指導者でも誤りは誤りですから、訂正しなくてはいけません。

ヴィブラートを「基準音の下にかける」「下に向けてかけ始める」という奏法は、ガラミアンの間違いを起源とするものであり、ヴァイオリンの約500年の歴史のなかで最後の50年の、一部の奏者が採用しているに過ぎない奏法です。この奏法のみが正しいといった主張は明らかに誤りです。「基準音の上下にかける」のが客観的事実であり「上に向けてかけ始める」ほうがメリットが多い奏者やケースも多数あると考えられます。

今後は「基準音の上下にかける(かかる)」という客観的事実を前提として、上にかける意味や下にかける意味について情報交換していきましょう。
ヴァイオリン掲示板に戻る
11 / 13 ページ [ 120コメント ]

関連スレッド